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日本海オロロンライン

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国道231号標識
国道231号標識
国道232号標識
国道232号標識

日本海オロロンライン(にほんかいオロロンライン)は、北海道日本海側石狩市から天塩郡天塩町までの国道231号国道232号の愛称である。広義には、国道337号国道5号道道106号を含め、小樽市から稚内市をさす。国道231号および国道232号は留萌市で接続する。オロロンラインとも称される。

概要

国道231号厚田付近。左は旧道
国道231号幌〜床丹間。国道は山肌と海の間に設けられている
雄冬岬にある白銀の滝

北海道の日本海側の海岸の沿って南北に走るルートで、国道231号、国道232号および、北海道道106号稚内天塩線の各国道と道道の路線をつなぐ、一般には起点を石狩市の石狩川の河口付近、終点は稚内とする約290 km区間の道路を指す[1]

国道5号区間は、小樽市中心部から小樽市銭函まで至り、国道337号に接続する。

国道337号は、小樽市銭函から石狩市に入る。石狩市新港南で国道231号に接続する。

国道231号区間は、石狩市の漁村(旧厚田村浜益村)をとおり、濃昼山道、送毛山道等を越え、雄冬岬を回り増毛町を経て留萌市へ至る。おおむね日本海に沿い、山道等では海を眺望するルートである。

留萌以北の国道232号は浜沿いを走るルートで、小平町苫前町羽幌町初山別村遠別町を経て天塩町に至る。沿線には、旧羽幌線高架の遺構が残る。サンセットプラザはぼろ(道の駅ほっと♡はぼろ)、しょさんべつ天文台道の駅☆ロマン街道しょさんべつ)などの施設があり、天売島焼尻島を望む日本海の眺望とともにドライブルートとして観光ガイド等に紹介されている。

道道106号は、留萌管内の天塩町から北海道宗谷管内の稚内市までを結ぶ。サロベツ原野の中を南北に一直線に走る道路は、オトンルイ風力発電所の風車が道路に沿って3kmにわたって並ぶほかは人家や電柱柱などの人工物がほとんどなく、海の向こうに利尻富士を望むことができる絶景ドライブルートとして知られる[2]

札幌対稚内方面の交通路としての機能

日本海オロロンラインには、札幌と石狩市、増毛町、留萌市、留萌以北の各町村および天塩町・幌延町豊富町稚内市方面を結ぶ都市間バスが設定されている。下記以外に過去には札幌と留萌をオロロンライン経由で結ぶ日本海るもい号(北海道中央バス)が運行されていた。

国道40号との関係

札幌・旭川方面と豊富・稚内方面の間は、途中士別市までは道央自動車道、士別以北は名寄市を経由し浜頓別町枝幸町北オホーツクへの国道を分岐する国道40号が動脈として機能するが、塩狩峠の急勾配を抱え、名寄以北は天塩川に沿い蛇行する。一方、オロロンラインは、国道231号区間は送毛山道や雄冬岬を回るものの、留萌以北では海岸線沿いに平坦な道を辿り道路形状が直線的である。

オロロンライン経由に都市間バスが6便、所要6時間で設定されているのに比べ、道央道及び国道40号経由のルートでは、現在は札幌・稚内発着の設定はない。札幌 - 旭川間(高速あさひかわ号)のバスは2時間20分、旭川 - 稚内間(特急わっかない号)は4時間40分を要するので、旭川市内の移動にかかる時間を差し引いても、道央道経由とオロロンライン経由では札幌 - 稚内間の所要時間は大きく変わらないと言える。

鉄道との関係

国道232号と並行する鉄道路線国鉄羽幌線があったが、分割民営化直前の1987年3月を以て廃線となっている。

地方交通線である宗谷本線2000年(平成12年)が高速化事業により高速化され、同線昼行急行「宗谷」・「サロベツ」・「礼文」(計3往復)、夜行急行「利尻」(1往復)がいずれも特急化され、高出力のエンジンや通過速度を高める車体傾斜装置[3]を持つ261系スーパー宗谷」が投入されるなどし、所要時間が短縮化された。(2017年のダイヤ改正後の所要時間は、札幌駅 - 稚内駅を直通運転の「宗谷」でおよそ5時間10分、旭川駅で「ライラック」と「サロベツ」の2本を乗り継ぐ場合で、乗り換え時間を含めておよそ5時間20分)。

バスの所要時間は札幌 - 稚内間が6時間、札幌 - 豊富間が5時間10分であり、宗谷本線高速化により鉄道との差は広がっている。特に冬季は道路状況[4]により実際の所要時間は設定時間よりも延びることもある。

ただし、札幌と豊富・稚内を結ぶ夜行便に関しては、2006年(平成18年)3月に「利尻」が乗客減少により夏季のみ運行の臨時列車に格下げされ、その後2008年(平成20年)4月に廃止されたため、現在、札幌 - 稚内間の旅客輸送としての夜間移動手段はバスのみとなっている。

地域交通

留萌十字街を中心に、雄冬、大別苅、増毛方面、小平、鬼鹿、苫前、羽幌、豊富方面へ沿岸バスがローカル便を運行する。一部は深川市旭川市方面へ国道233号経由で乗り入れる。

雄冬、増毛経由で石狩市方面へは、沿岸バスの都市間バス特急ましけ号が、国道231号経由で朝夕1便運行されている。かつて同区間では、北海道中央バスが日本海るもい号を運行していた。

愛称の由来

天売島に棲む海鳥であるオロロン鳥(ウミガラスの別名)にちなんだものである[1]。オロロン鳥とは、ペンギンに似た姿をした飛ぶことよりも泳ぐのが得意な鳥で、「オルルーン、オルルーン」という鳴き声からオロロン鳥とよばれるようになったといわれる[1]。日本海オロロンラインの国道沿いのあちらこちらで、オロロン鳥の巨大像が建てられている[5]。しかし、オロロン鳥が天売島などを中心に北海道の日本海沿岸に棲息していたのは太平洋戦争以前までのことで、昭和時代後半には餌となるニシンが捕れなくなったことに伴い急速に数を減らし、現在は北海道ではほとんど見られなくなってしまっている[1]

観光

脚注

  1. ^ a b c d 佐々木・石野・伊藤 2015, p. 10.
  2. ^ 佐々木・石野・伊藤 2015, p. 9.
  3. ^ 車体傾斜装置は2014年(平成26年)に使用停止。それ以前にも軌道が強化されていない名寄以北では車体傾斜装置は使用出来なかった。
  4. ^ 吹雪の際は視界が失われ、また、トラックバスなど側面積の大きな車両は、凍結路面上では走行中、停車中にかかわらず強風で流されて道路から滑落することがある。そのための一時避難施設として、道道106号・幌延町浜里の「北緯45度通過点モニュメント」付近にトイレ公衆電話のある「パーキングシェルター」が建設されている。その他、稚内開発建設部管内には、国道40号の豊富町「開源」、国道238号の「猿払」にも「パーキングシェルター」が設けられている。
  5. ^ 佐々木・石野・伊藤 2015, p. 11.

参考文献

  • 佐々木節、石野哲也、伊藤もずく 著「日本海オロロンライン」、松井謙介編 編『絶景ドライブ100選 [新装版]』学研パブリッシング〈GAKKEN MOOK〉、2015年9月30日、8-11頁。ISBN 978-4-05-610907-8 

関連項目