館シリーズ

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館シリーズ(やかたシリーズ)は、綾辻行人による長編推理小説のシリーズ。

概要[編集]

寺の三男坊(後に推理作家)の素人探偵島田潔が、今は亡き建築家中村青司が建築に関わった建物に魅せられ、その奇怪な館に訪ねていく。すると、そこでは決まって凄惨な殺人事件が起こり、島田はその事件を解決すべく奔走し、犯人のトリックを暴いていく。

「秘密の抜け道」「隠し部屋」という本格ミステリの禁じ手をあえて用いるなど、単なる謎解きだけではない、幻想怪奇趣味満載の、綾辻行人特有の世界観、そして叙述トリックを駆使したストーリーによる終盤での大胆などんでん返しが特徴である。特に、第1作『十角館の殺人』は新本格ムーブメントの嚆矢となった、日本ミステリ史上の傑作の一つとされる。第5作『時計館の殺人』は、第45回日本推理作家協会賞を受賞した。

綾辻本人は、エラリー・クイーンの『国名シリーズ』のひそみに倣って、最新作『奇面館の殺人』の次の作品をもって本シリーズは完結するとしている。

2012年2月時点でシリーズ累計409万部を突破している。

作品リスト[編集]

()内は解説者。

登場人物[編集]

島田 潔(しまだ きよし)
大分県のとある寺の三男。仏教系の大学を卒業後は定職につかず実家の手伝いをしながら30代後半まで各地を放浪していたが、現在は東京都世田谷区在住。浅黒い顔に落ち窪んだ目、鷲鼻をもつ。言葉遣いは丁寧で、人懐っこい性格。長兄・勉は犯罪心理学者、次兄・修は大分県警警部で、両方とも実家を継ぐ意思が無いことから彼が後継ぎの模様だが、住職である父親がいまだ壮健でありまだまだ先のことと語る。中村青司の弟である紅次郎は、大学生時代の先輩に当たる。中村青司の建築物に惹かれている。
肺を悪くして以来、煙草は1日1本だけと決めており、一本だけ煙草を入れられる印籠型のシガレットケースを愛用している。趣味は折り紙で、「首が3つある折鶴」「七本指の悪魔」などかなりハイレベルな作品を作ることができる。
名前の由来は島田荘司御手洗潔を合わせたもの。「時計館の殺人」以降は、ペンネームの「鹿谷門実」の名前で彼を登場させている(鹿谷門実の名前は、島田潔のローマ字表記のアナグラムである) 。
江南 孝明(かわみなみ たかあき)
大手出版社「稀譚社」(講談社のパロディ)勤務。島田からは「コナン」と呼ばれている。大学生時代「十角館の殺人」事件で島田と知り合い、その後再会、それ以後行動を共にすることがある。「時計館」では凄惨な連続殺人に巻き込まれてしまう。文芸編集部配属後は鹿谷の担当編集者。なお、漫画版では「女子大生」に変更されている。
中村青司(なかむら せいじ)
建築家。奇妙な建造物をいくつも設計している。故人。

その他[編集]

  • 1998年に発売されたプレイステーション用ゲームソフト『ナイトメア・プロジェクト YAKATA[注釈 1]は、舞台および人物設定の一部にシリーズの第1作から第5作までの内容をモチーフに使用しており、綾辻本人も監修に関わっている。
  • 綾辻原作・佐々木倫子作画の漫画月館の殺人』はその表記とは裏腹に館シリーズではない。(「月館」は館の名前ではなく、地名「つきだて」である)
  • 綾辻の代表作『霧越邸殺人事件』は館シリーズでないものの、冒頭に「もう一人の中村青司氏に捧ぐ」との一文がある。
  • はやみねかおるは『消える総生島』において登場する館・霧越館(霧越邸のもじり)の設計を当初中村青司に依頼していた、と登場人物に語らせている。後に『機巧館のかぞえ唄』でも「中村という有名な建築家」の名前があり、何か仕掛けがあるように含ませていた。
  • 2012年の鮎川哲也賞受賞作『体育館の殺人』より始まる青崎有吾の裏染天馬シリーズの長編題名はこのシリーズのパロディである。続けて水族館、図書館とドライな「館」を長編題名に取り上げている。

脚注[編集]

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注釈[編集]

  1. ^ 後年発表されたサンソフト監修の携帯アプリゲーム『ナイトメア・プロジェクト』シリーズとは無関係。

出典[編集]