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{{Otheruses|イヌ科の動物|その他の「キツネ」「きつね」「狐」|キツネ (曖昧さ回避)}} |
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一部の国では、キツネはウサギと鶏の主要な捕食者であり、それら2つの種の個体群振動を研究した最初の非線形振動は、生物の捕食-被食関係による個体数の変動を表現する数理モデルである[[ロトカ・ヴォルテラの方程式]]として導かれた<ref>Sprott, Julien. [https://books.google.com/books?id=buILBDre9S4C&pg=PA89 Elegant Chaos] 2010. p.89.</ref><ref>Komarova, Natalia. [https://books.google.com/books?id=_PWsM_hzQjgC&pg=PA113 Axiomatic Modeling in Life Sciences], from Mathematics and Life Sciences. Alexandra Antoniouk and Roderick Melnik, eds. pp.113–114.</ref>。 |
一部の国では、キツネはウサギと鶏の主要な捕食者であり、それら2つの種の個体群振動を研究した最初の非線形振動は、生物の捕食-被食関係による個体数の変動を表現する数理モデルである[[ロトカ・ヴォルテラの方程式]]として導かれた<ref>Sprott, Julien. [https://books.google.com/books?id=buILBDre9S4C&pg=PA89 Elegant Chaos] 2010. p.89.</ref><ref>Komarova, Natalia. [https://books.google.com/books?id=_PWsM_hzQjgC&pg=PA113 Axiomatic Modeling in Life Sciences], from Mathematics and Life Sciences. Alexandra Antoniouk and Roderick Melnik, eds. pp.113–114.</ref>。 |
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=== キツネ狩り === |
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16世紀にイギリスで[[キツネ狩り (ブラッド・スポーツ)|キツネ狩り]]が始まり、イギリスの文化となった。しかし、20世紀以降は、世界的な動物愛護の影響により、イギリスでは犬を使った狩猟が禁止されている<ref>{{cite news | url=http://news.bbc.co.uk/1/hi/uk/5109184.stm | title=Hunt campaigners lose legal bid | work=BBC News Online | date=2006-06-23}}</ref><ref>{{cite web|url=https://www.telegraph.co.uk/finance/newsbysector/epic/htg/6203266/David-Cameron-to-vote-against-fox-hunting-ban.html |work=The Daily Telegraph |location=London |title=David Cameron 'to vote against fox hunting ban' |first=Anita |last=Singh |date=2009-09-18 |accessdate=2010-05-02 |deadurl=yes |archiveurl=https://web.archive.org/web/20090930013856/http://www.telegraph.co.uk/finance/newsbysector/epic/htg/6203266/David-Cameron-to-vote-against-fox-hunting-ban.html |archivedate=30 September 2009 }}</ref><ref>[https://web.archive.org/web/20050307100822/http://www.nwlacs.co.uk/foxhunting.htm Fox Hunting]. North West League Against Cruel Sports Support Group. nwlacs.co.uk</ref><ref>{{cite web | url=http://www.emteconline.co.uk/rliteracy/rpersuade/foxhunt.pdf | title=Fox Hunting: For and Against | access-date=2009-12-12 | archive-url=https://web.archive.org/web/20100331221254/http://www.emteconline.co.uk/rliteracy/rpersuade/foxhunt.pdf | archive-date=2010-03-31 | dead-url=yes | df= }}</ref>。 |
16世紀にイギリスで[[キツネ狩り (ブラッド・スポーツ)|キツネ狩り]]が始まり、イギリスの文化となった。しかし、20世紀以降は、世界的な動物愛護の影響により、イギリスでは犬を使った狩猟が禁止されている<ref>{{cite news | url=http://news.bbc.co.uk/1/hi/uk/5109184.stm | title=Hunt campaigners lose legal bid | work=BBC News Online | date=2006-06-23}}</ref><ref>{{cite web|url=https://www.telegraph.co.uk/finance/newsbysector/epic/htg/6203266/David-Cameron-to-vote-against-fox-hunting-ban.html |work=The Daily Telegraph |location=London |title=David Cameron 'to vote against fox hunting ban' |first=Anita |last=Singh |date=2009-09-18 |accessdate=2010-05-02 |deadurl=yes |archiveurl=https://web.archive.org/web/20090930013856/http://www.telegraph.co.uk/finance/newsbysector/epic/htg/6203266/David-Cameron-to-vote-against-fox-hunting-ban.html |archivedate=30 September 2009 }}</ref><ref>[https://web.archive.org/web/20050307100822/http://www.nwlacs.co.uk/foxhunting.htm Fox Hunting]. North West League Against Cruel Sports Support Group. nwlacs.co.uk</ref><ref>{{cite web | url=http://www.emteconline.co.uk/rliteracy/rpersuade/foxhunt.pdf | title=Fox Hunting: For and Against | access-date=2009-12-12 | archive-url=https://web.archive.org/web/20100331221254/http://www.emteconline.co.uk/rliteracy/rpersuade/foxhunt.pdf | archive-date=2010-03-31 | dead-url=yes | df= }}</ref>。 |
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=== 家畜化の可能性 === |
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[[青銅器時代]]の[[イベリア半島]]では[[犬]]や[[牛]]と同様に餌を与えられ埋葬されていたことから、少なくともこの時代のこの地域では狐を家畜化していた可能性がある<ref>[https://www.excite.co.jp/news/article/Karapaia_52271550/ 青銅器時代、キツネは家畜化されていた(スペイン)紀元前3千年から2千年]</ref>。 |
[[青銅器時代]]の[[イベリア半島]]では[[犬]]や[[牛]]と同様に餌を与えられ埋葬されていたことから、少なくともこの時代のこの地域では狐を家畜化していた可能性がある<ref>[https://www.excite.co.jp/news/article/Karapaia_52271550/ 青銅器時代、キツネは家畜化されていた(スペイン)紀元前3千年から2千年]</ref>。 |
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ロシアの神経細胞学者リュドミラ・ニコラエブナ・トルットは、ロシア科学アカデミーの遺伝学者[[ドミトリ・ベリャーエフ]]と共に、キツネの[[人為選択]]による馴致化実験を行った<ref>[http://siberiandream.net/topic/pet.html 動物好きな研究者の夢 -- 40年の研究からペットギツネが誕生]</ref><ref>{{Cite web |url=http://jp.rbth.com/articles/2012/03/07/14178.html |title=実験飼育場で遊ぶキツネ |website=ロシアNOW |publisher= |accessdate=2019-03-21 |archiveurl=https://web.archive.org/web/20150912191027/http://jp.rbth.com/articles/2012/03/07/14178.html |archivedate=2015-09-12}}</ref>。100頭あまりのキツネを掛け合わせ、もっとも人間になつく個体を選択して配合を繰り返すことで、わずか40世代でイヌのようにしっぽを振り、人間になつく個体を生み出すことに成功した。同時に、耳が丸くなるなど飼い犬のような形質を発現することも観察された<ref>[http://www4.nhk.or.jp/dramatic/x/2014-12-14/31/28686/ 地球ドラマチック「不自然な“進化”〜今 動物に何が!?〜」]</ref>{{出典無効|date=2019年3月21日 (木) 08:43 (UTC)|title=該当する記述がない。}}<ref>[http://nationalgeographic.jp/nng/magazine/1103/feature01/ 特集:野生動物 ペットへの道]</ref><ref>[http://www.tokyoprogress.co.jp/report2.html ロシア科学アカデミーシベリア支部 細胞学・遺伝学研究所の「キツネの家畜化研究」]</ref>。これはなつきやすさという性質が、(自然、あるいは人為的に)選択されうることを示している。 |
ロシアの神経細胞学者リュドミラ・ニコラエブナ・トルットは、ロシア科学アカデミーの遺伝学者[[ドミトリ・ベリャーエフ]]と共に、キツネの[[人為選択]]による馴致化実験を行った<ref>[http://siberiandream.net/topic/pet.html 動物好きな研究者の夢 -- 40年の研究からペットギツネが誕生]</ref><ref>{{Cite web |url=http://jp.rbth.com/articles/2012/03/07/14178.html |title=実験飼育場で遊ぶキツネ |website=ロシアNOW |publisher= |accessdate=2019-03-21 |archiveurl=https://web.archive.org/web/20150912191027/http://jp.rbth.com/articles/2012/03/07/14178.html |archivedate=2015-09-12}}</ref>。100頭あまりのキツネを掛け合わせ、もっとも人間になつく個体を選択して配合を繰り返すことで、わずか40世代でイヌのようにしっぽを振り、人間になつく個体を生み出すことに成功した。同時に、耳が丸くなるなど飼い犬のような形質を発現することも観察された<ref>[http://www4.nhk.or.jp/dramatic/x/2014-12-14/31/28686/ 地球ドラマチック「不自然な“進化”〜今 動物に何が!?〜」]</ref>{{出典無効|date=2019年3月21日 (木) 08:43 (UTC)|title=該当する記述がない。}}<ref>[http://nationalgeographic.jp/nng/magazine/1103/feature01/ 特集:野生動物 ペットへの道]</ref><ref>[http://www.tokyoprogress.co.jp/report2.html ロシア科学アカデミーシベリア支部 細胞学・遺伝学研究所の「キツネの家畜化研究」]</ref>。これはなつきやすさという性質が、(自然、あるいは人為的に)選択されうることを示している。 |
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以下のような観光用の放し飼い施設がある。 |
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;大衆文化の中での狐 |
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{{main|en:Foxes in popular culture}} |
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狐は広い範囲に適応して住み着くことから、多くの地域の民族伝承に登場する。西洋では、ハンターを回避する狡猾な動物であることから[[トリックスター]]の役割として登場する。アジア圏では、[[使い魔]]としての役割や、西洋のように悪戯好きで人を騙す性格を有して、女性に化けたりなどの能力を持つ。 |
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;その他 |
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* こぎつね座 |
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* 軍隊が使用する一人だけ入れる大きさの[[塹壕]]([[蛸壺壕]])を英語で、[[フォックスホール]]という。 |
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== 日本人とキツネの関係 == |
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キツネを精霊・妖怪とみなす民族はいくつかあるが、特に日本([[大和民族]])においては文化・信仰と言えるほどキツネに対して親密である。キツネは人を化かすいたずら好きの動物と考えられたり、それとは逆に、[[宇迦之御魂神]]の[[神使]]として信仰されたりしている。 |
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日本における鳴き声の聞きなしについては、古来は「キツ」「ケツ」と表現されており、[[岩手県]][[遠野市]]付近の[[口承文芸]]を採集した[[佐々木喜善]]が編集した説話集『聴耳草紙』『老媼夜譚』、あるいは佐々木の語りをまとめた[[柳田国男]]の『[[遠野物語]]』においては、キツネの鳴き声は「グェン」「ジャグェン」と表現されている。近代からは「コン」「コンコン」が専ら用いられている。「コン」「コンコン」については(テレビ朝日『シルシルミシルさんデー』の調べによって)親が子を呼ぶ時の鳴き声に由来していると報告されている<ref>[http://datazoo.jp/tv/%E3%82%B7%E3%83%AB%E3%82%B7%E3%83%AB%E3%83%9F%E3%82%B7%E3%83%AB%E3%81%95%E3%82%93%E3%83%87%E3%83%BC/430197 2010年8月29日放送シルシルミシルさんデー『キツネは本当に「コンコン」鳴くの?』]</ref>。なお[[アイヌ語]]での聞きなしは「パウ」「パウパウ」である<ref>[https://www.ff-ainu.or.jp/about/files/kai2009.pdf 中川裕「語り合うことばの力~カムイたちと生きる世界」]</ref>。 |
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キツネは特に[[油揚げ]]を好むという伝承にちなみ、稲荷神を祭る神社では、油揚げや稲荷寿司などが[[供物|供え物]]とされることがある。ここから、嘗ての[[江戸|江戸表]]を中心とした[[東国]]一般においての「きつねうどん」「きつねそば」などの「[[きつね (麺類)|きつね]]」という言葉は、その食品に油揚げが入っていることを示す。([[畿内]]を中心とした[[西国]]では蕎麦に関しては[[たぬき (麺類)|たぬき]]と呼ばれる場合がある) |
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狐に関する[[名字]]としては「狐崎」「狐塚」「狐鼻」「狐森」など東北地方に数例がある。 |
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=== 語源 === |
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諸説あるが、『[[大言海]]』では、古来のなき声の表す「ケツケツ」「キツキツ」と神道系の敬称を表す「ネ」が結びついたと説明している。『[[万葉集]]巻十六』には「さすなべに湯わかせて子どもいちい津の檜橋より来る'''きつ'''にあむせむ」という、鍋とキツネを詠んだ即興歌が残っており、日本では古代より「キツ」と呼んでいたことを示す資料が残っている<ref name="sasama" />。仏教系の説では『日本霊異記』やその話を転記した『今昔物語』では「来つ寝」という語呂合わせが語源と説明している。平安時代に編纂された日本最古の辞書である『[[和名類聚抄]]』には、「狐:韻は(コ)日本の読み(きつね)、中国の伝説では100歳になると女に化ける妖怪に変化する」という説明があり、平安時代には、既にきつねと発音していたことが分かる<ref name="sasama" />。 |
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=== 歴史 === |
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[[画像:A Scene of Sorcery.jpg|thumb|350px|鳥獣戯画に見る擬人化されたキツネ]] |
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日本の狩猟時代の考古学的資料によると、キツネの[[犬歯]]に穴を開けて首にかけた、約5500年前の装飾品<ref>{{Harvnb|清野|2009|p=27}}</ref>やキツネの下顎骨に穴を開け、彩色された護符のような、縄文前期の(網走市大洞穴遺跡)ペンダント<ref>{{Harvnb|金子|1984|pp=127f}}</ref>が発掘されている。しかし、[[福井県]]などでは、キツネの生息域でありながら、貝塚の中に様々な獣骨が見つかる中でキツネだけが全く出てこない<ref>{{Harvnb|森川|2002}}{{要ページ番号|date=2019-03-21}}</ref>。 |
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日本人がキツネを[[イネ|稲]]と関連させた起源は、文化人類学的推察にもとづく農耕民族の必然だったとする必然起因説と、歴史学的手法に基づいて推察して、神の名に「狐」を宛てたことによるとする、誤解起因説の2通りがあって特定はされておらず、その後大陸より渡来した[[秦氏]]の勢力によって、キツネは稲荷神の眷属に収まったという流れになっている。 |
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稲作には、穀物を食する[[ネズミ]]や、[[田]]の土手に穴を開けて水を抜く[[ハタネズミ]]が与える被害がつきまとう。稲作が始まってから[[江戸時代]]までの間に、日本人はキツネがネズミの天敵であることに注目し、キツネの[[尿]]のついた石にネズミに対する忌避効果がある事に気づき、田の付近に[[祠]]を設置して、[[油揚げ]]等で餌付けすることで、忌避効果を持続させる摂理があることを経験から学んで、信仰と共にキツネを大切にする文化を獲得した<ref>{{harvnb|守山|2007|pp=80-84}}</ref>。 |
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日本古来の世界観は山はそれ自体が[[山神]]であって、山神から派生する古木も石も獣(キツネ)もまた神であるという思想が基としてあると言われている<ref name="naoe">{{Harvnb|直江|1996|pp=15, 143}}</ref>。 |
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民間伝承の狐神信仰の発生がいつ始まったかの特定は難しいとした上で、発生の順番から考えて、土地が開墾される以前にキツネが生息しており、畏敬された狐神と稲荷の結合は、田の神信仰と稲荷の結合に先立つであろうと言われている<ref name="naoe" />。 |
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一方、稲荷神社の神は、[[宇迦之御魂大神|宇迦之御霊神]]、別名、御食神(みけつがみ)であって、三狐神と書き誤って、日本中に誤解が定着したという説も、根強く有力な説である。 |
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『[[日本書紀]]』によると、斉明5年(659年)、(皇孫[[建王]]が[[唖]]であったために?)神の宮([[島根県]][[松江市]][[八雲村 (島根県)|八雲町]]の[[熊野神社 (松江市)|熊野神社]])を改修し始めた直後、狐が現われて柱を曳く蔓の綱を根元から食い切り、[[ニホンオオカミ|狗(山犬)]]が現われて死人の手を言屋社(いうやのやしろ)(島根県松江市[[東出雲町]]の[[揖屋神社]])に残したという記事(つまりみかどの死の予兆が下された)が残されている<ref name="iwanami">{{Cite book |和書|title=[[日本書紀]] |volume=4 |publisher=岩波書店 |series=[[岩波文庫]] |date=1995-02 |isbn=4-00-300044-7 |others=坂本太郎ほか校注|page=}}{{要ページ番号|date=2019-03-21}}</ref>。 |
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正史に狐の記事が記載されたのは、『[[日本書紀]]』斉明記3年(657年)石見に現れた白狐の記事であり<ref name="iwanami" />、伝記に狐が記載されたのは『[[日本霊異記]]』[[欽明天皇]]の時代(540年–571年)とされている<ref name="sasama">{{Harvnb|笹間|1998|pp=1,7,12}}</ref>。キツネが騙す、化ける妖怪の一種であるという概念は、仏教と共に伝来したもので、中国の[[九尾の狐|九尾狐]]の伝説に影響されたものである<ref name="sasama" />。 |
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以下は日本の文化におけるキツネの歴史の大まかな流れである。 |
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==== [[アニミズム]]の時代 ==== |
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:弥生時代、日本に本格的な稲作がもたらされるにつれネズミが繁殖し、同時にそれを捕食してくれるキツネや[[オオカミ]]が豊作をもたらす益獣となった<ref>[http://blog.livedoor.jp/kioibungakukai/archives/1174471.html 上智大学紀尾井文学会 公式ブログ]</ref><ref>[http://www.kuniomi.gr.jp/geki/iwai/maramyo05.html 『「共生」のシンボル・狐』] [[岩井国臣]]公式HP【私の旅】</ref>。[[柳田國男]]は、稲の生育周期とキツネの出没周期の合致から、キツネを神聖視したという民間信仰が独自に芽生えたという説を述べている。必然起因説はその発展系と見られる。 |
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==== [[神道]]への吸収 ==== |
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:[[稲荷神社|御饌津神]](みけつ)が誤って[[三狐神]]と書かれたという説が定説である。しかし[[秦氏]]が土着民への懐柔策として使用させたとの説もある。[[大和時代]]に入り[[朝廷]]が勢力を拡大する中、抵抗する土着の神を持つ民を排除し、狐と呼んで蔑視していた。 |
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[[画像:Fox0290.jpg|thumb|200px|稲荷神社の狛狐像]] |
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:土着の農民は、独自の「山の神‐田の神」を信仰しており、狐をその先触れとする文化があったものの、『日本書紀』の欽明記の時代に伊勢と交易を行い、後に国庫の管理者となる程の秦氏の経済的な勢力に押され、元は「田の神‐山の神」の祠であった場所が秦氏の神社になった事に、農民たちは旧来の神を祭りながらも抗えなかったであろうと言われている<ref>{{Harvnb|直江|1996|p=8}}</ref>。秦氏の稲荷の眷属の狐は「命婦(みょうぶ)」と呼ばれ、[[命婦]]の位を持っているが、最初からそのような位を持っていた訳ではないということは、[[伏見稲荷]]の縁起によって示されている。 |
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:こうして土着の神は豊穣をもたらす荒神的な性格から「[[宇迦之御魂大神]]」の「稲荷」として認識され、シンボルである狐自体は[[眷属]]に納まったと考えられる。 |
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:鍛冶屋に信仰される[[金屋子神]]は、白い狐に乗って現れるとの伝説が有る。 |
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:[[天照皇大御神]]は[[豊葦原瑞穂国]](日本国)を豊穣の地にせよと[[豊受明神]]に命じたため、豊受明神は多くの狐たちに命じ、稲の種を各地に蒔かせたと言われている<ref>{{Harvnb|岡田|1943|}}{{要ページ番号|date=2019-03-21}}</ref>。 |
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==== [[仏教]]による変遷 ==== |
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:[[平安時代]]、[[空海]]により中国から本格的に[[密教]]がもたらされ、キツネは仏典に登場する[[野干]](やかん)の名でも呼ばれるようになる。後には白狐に乗った[[荼吉尼天|ダキニ天]]と、狐を眷属とした稲荷が同一視されることとなる。説話の中で多い、人に化ける悪いキツネが僧によって降参する(仏の勝利)という図式は、ダキニ天の生い立ちそのものである。このころから狐に悪狐が登場し、ある種の精神病を狐の仕業とし、法力で治せるものと宣伝された。また密教では狐霊が使われ呪術が行われた。このようにしてキツネが化ける妖怪([[妖狐]])であるというイメージが民衆に定着した。 |
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==== 民間信仰の開花 ==== |
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:このような状態はかなり後世まで続いたが、キツネは大衆に憎まれる存在とはならなかった。江戸時代に入り商業が発達するにつれて、稲荷神は豊作と商売繁盛の神としてもてはやされるようになり、民間信仰の対象として[[伏見人形|伏見のキツネの土偶]]を神棚に祭る風習が産まれた。 |
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:明治政府が不敬としてキツネの土偶の製造を禁じると、細々と生産されていたネコの土偶が大流行し定番商品([[招き猫]])となった。狐霊に白黒赤金銀があるように招き猫にも白黒赤金が存在するのはそのためである。 |
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:社の裏手にキツネの巣穴があるような稲荷は多く見られることから、キツネの巣穴を供養する風習が江戸時代から昭和にかけて全国各地に広がっていたことが判る。キツネの巣穴に食べ物を供える習慣は[[穴施行]]、寒施行となって現在も残っている。またそのような由来を持つ[[狐塚]](田の神の祭場)も数多くある。[[安倍晴明]]で有名な[[信太森葛葉稲荷神社|葛葉稲荷神社]]の裏手には石組みの行場が残っている。 |
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==== 廃仏毀釈と近代化 ==== |
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:明治時代に入り、[[廃仏毀釈]]の運動が起こり、稲荷神社は少数の仏教系と、多数の神道系に分かれた。 |
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==== 現代 ==== |
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:現代では神道との関連や、妖狐など伝統的なイメージのほか、宗教上の観念から離れたキャラクターも登場している。 |
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=== 日本の説話の中のキツネ === |
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キツネ(狐)が霊獣として伝えられる歴史は非常に古く、『[[日本現報善悪霊異記|日本霊異記]]』に、すでにキツネの話が記されている。[[美濃国|美濃]]大野郡の男が広野で1人の美女に出会い、結ばれて子をなすが、女はキツネの化けた姿で、犬に正体を悟られて野に帰ってしまう。しかし男はキツネに、「なんじ我を忘れたか、子までなせし仲ではないか、来つ寝(来て寝よ)」と言った。なお、これを元本に発展させた今昔物語にもこの話は収録され、キツネの語源としている。キツネは、人間との婚姻譚において語られることが多く、後に『[[葛の葉]]』、『[[信太妻]](しのだづま)』を経、古[[浄瑠璃]]『[[信田妻]](しのだづま)』において、[[異類婚姻]]によって生まれた子の超越的能力というモチーフが、稀代の[[陰陽師]]、[[安倍晴明]]の出生となって完成される。 |
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「狐」は、[[クモ|蜘蛛]]、[[ヘビ|蛇]]などと同じく[[大和朝廷]]側から見た被差別民であったという見方もある。彼らは、大和朝廷が勢力を伸ばす段階で先住の地を追われた人々であり、人ではない者として動物の名称で呼ばれたという見方である。彼らが、害をもたらす存在として扱われる場合、それは朝廷側の、自分たちが追い出した異民族が復讐してくるのではという恐怖心の現れであると考えられる。また、動物が不思議な能力(特殊能力)を持つというのは、異民族が持つ特殊な技術を暗に意味している場合がある。この考え方に沿えば、異類婚姻は、それらの人々との婚姻を意味することになる。つまり女が身元を偽って(化けて)婚姻したものの里が暴かれ、子の将来を案じて消えてしまった物語と解される。 |
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[[ファイル:KusuMoto-Inari_Kitsune2_right.jpg|thumb|right|200px|稲荷神社のキツネの像 右]] |
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キツネの子が神秘的能力をもつというのは、[[稲荷神|稲荷]]の神の使いとして親しまれてきたキツネが、元来は[[農耕]]神として信仰され、豊穣や富のシンボルであったことに由来するものである。狐婚姻の類話には、正体を知られて別れたキツネの女が、農繁期に帰ってきて田仕事で夫を助けると、稲がよく実るようになったという話がある。また[[江戸]]の王子では、[[大晦日]]の夜、[[関八州]]のキツネが集い、無数の[[狐火]]が飛んだというが、里人はその動きで豊作の吉凶を占ったと伝えられており、落語「[[王子の狐]]」のモチーフとなっている。 |
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人間を助ける役割を果たすキツネの側面は、かつてキツネが、農耕神信仰において重要な役割を果たしていたことの名残りであるといえ、江戸大窪百人町など、郊外にある野原に出没する特定のキツネは名前をつけて呼ばれ、人間を化かすが、[[災害]]や変事を報らせることもあった。 |
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[[岐阜県]]の老狐「ヤジロウギツネ」は、[[僧]]に化けて、高潔な人物の人柄を賞揚したという。[[群馬県]]の「コウアンギツネ」もこの類で、 白頭の翁となり、自ら128歳と述べ、常に仏説で人を教諭し、吉凶禍福や将来を予言した。[[千葉県]]飯高壇林の境内に住みついた「デンパチギツネ」も、若者に化けて勉学に勤しんでいる。 その他、[[静岡県]]の「オタケギツネ」は、大勢の人々に出す膳が足りない場合にお願いに行くと、膳をそろえてくれるといわれていた。[[岩手県]]九戸のアラズマイ平に棲む白狐は、村の子どもと仲がよく、一緒に遊んでいたという。また、[[鳥取県]]の御城山に祭られている「キョウゾウボウギツネ」は、城に仕え、江戸との間を2、3日で往復したと伝えられている。 |
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[[1602年]]、[[白石城の戦い]]により[[伊達政宗]]が[[上杉景勝]]から奪い取った[[白石城]]に[[片倉景綱]]が城主として配され修繕を始めるが、夜に怪火や笑い声が聞こえ知らない女が目撃されるなどの怪現象が起きた。そして城で働いていた老女に狐が憑き「上杉がいた頃は狐は大事にされたが城主が変わって扱いが悪くなった。大事にすれば領内は安泰となる」との言葉を発したため、城を見下ろす場所に神社を建立して鎮めたという伝承がある<ref>「しろいし郷土の夜話」 白石市商工観光課発行 1983年</ref><ref>明治42年には[[萬蔵稲荷神社]]に合祀された。</ref>。[[白石市]]福岡蔵本の字には「狐壇」「狐峰」など狐に関連した地名が現在でも残っている。 |
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[[宝暦]]3年([[1753年]])8月、江戸の[[八丁堀 (東京都中央区)|八丁堀]]本多家に、日暮れから諸道具を運び込み、九ツ前、[[提灯]]数十ばかりに前後数十人の守護を連れた鋲打ちの女乗物が、本多家の門をくぐった。5、6千石の婚礼の体であったが、本多家の人は誰も知らなかったという。このような「[[狐の嫁入り|キツネノヨメイリ]]」には必ず[[にわか雨]]が降るとされるが、やはりこれも降雨を司る農業神の性質であろう。 |
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<gallery class="center" caption="''狐の嫁入り''" mode="packed" heights="180px"> |
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印籠-Inro with Fox's Wedding.jpg|狐の嫁入りを描いた[[印籠]](表面) |
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Inro with Fox's Wedding (reverse side).jpg|籠に乗った狐の新婦(裏面) |
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</gallery> |
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しかし、農耕信仰がすたれるにつれ、キツネが狡猾者として登場することも多くなり、『[[今昔物語]]』でも「高陽川の狐、女と変じて馬の尻に乗りし語」では、夕に若い女に化けたキツネが、馬に乗った人に声をかけて乗せてもらうが、4、5[[町 (単位)|町]]ばかり行ったところでキツネになって「こうこう」と鳴いたとある。『[[行脚怪談袋]]』には、僧が[[団子]]を喰おうとするキツネを杖で打ったら、翌日そのキツネが[[大名行列]]に化けて仕返しをしたという話がある。ほかにも『[[太平百物語]]』に、[[京都]][[伏見区|伏見]]の穀物問屋へ女がやって来て、[[桶]]を預けていった。ところがその桶の中から、[[大坂]]真田山のキツネと名乗る大入道が現われて、この家の者が日ごろ自分の住まいに小便をして汚すと苦情を述べた。そこで主人は入道に詫びて、3日間[[赤飯]]と[[油]]ものをキツネのすみかの穴に供えて許しを乞うたという。 |
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キツネは女に化けることが多いとされるが、これはキツネが[[陰陽五行思想]]において土行、特に[[八卦]]では「艮」に割り当てられることから陰気の獣であるとされ、後世になって「狐は女に化けて陽の存在である男に近づくものである」という認識が定着してしまったためと考えられる。関西・中国地方で有名なのは「[[おさん狐]]」である。このキツネは美女に化けて男女の仲を裂きにくる妖怪で、嫉妬深く男が手を焼くという話が多数残っている。キツネが化けた女はよく見ると、闇夜でも着物の柄がはっきり見えるといわれていた。女の他、男はもちろん、月や日、[[妖怪]]、石、木、[[電柱]]、[[灯籠]]、馬やネコ、家屋、汽車に化けるほか、雨([[狐の嫁入り]])や雪のような自然現象を起こす等、実にバリエーションに富んでいる。 |
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[[妖狐|霊狐]]には階級があるとされ、住む場所、妖力によって「地狐」、「[[天狐]]」、「空狐」などに分類される。[[長崎県]][[五島列島]]でいう「テンコー(天狐)」は、 憑いた者に神通力を与えるが、これに反して「ジコー(地狐)」の方はたわいのないものといわれる。 |
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妖怪の狐は[[九尾の狐]]など尾が分かれていることを特徴とすることがある。九尾の狐は『[[山海経]]』では、「その状は、狐の如くで九つの尾、その声は嬰児の様、よく人を喰う。食った者は邪気に襲われぬ」という。日本ではその正体が九尾の狐とされる[[玉藻前]](たまものまえ)の物語が有名である。 |
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=== 狐憑きと俗信 === |
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狐信仰の変種であり、日本独自の現象として、「[[狐憑き]](きつねつき)」が存在する。[[タヌキ|狸]]、[[ヘビ|蛇]]、[[犬神]]憑きなどに比べシェアが広く、全国的(沖縄等を除く)に見られ、かつ根強い。狐憑きは、精神薄弱者や暗示にかかりやすい女性たちの間に多く見られる発作性、ヒステリー性精神病と説明され、実際に自らキツネとなって、さまざまなことを口走ったり、動作をしたりするという話が、[[平安時代]]ごろから文献に述べられている。行者や神職などが、「松葉いぶし」や、キツネの恐れる犬に全身をなめさせるといった方法で、キツネを落とす呪術を行っていた。 |
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狐憑きで有名なものは、長篠を中心に語り伝えられる「[[おとら狐]]」で、「長篠のおとら狐」とか「長篠の御城狐」などと呼ばれていた。おとら狐は、病人や、時には健康な人にも憑くことがあって、憑いた人の口を借りて[[長篠の戦い]]の物語を語る。[[櫓]](やぐら)に上がって合戦を見物しているときに、流れ弾に当たって左目を失明し、その後左足を狙撃されたため、おとら狐にとり憑かれた人は、左の目から目やにを出して、左足の痛みを訴えるという。 |
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狐憑きの一種に「狐持ち」という現象があり、狐持ちの家系の者はキツネの霊を駆使して人を呪うという迷信があった。「飯綱(いづな、[[イイズナ]])使い」と呼ぶ地方もあり、[[管狐]](くだぎつね)や、[[オサキ]]、[[人狐]](ニンコ)を操ると信じられていた。これらの狐霊は、人に憑いて憎む相手を病気にしたり、呪いをかけたりすることができると信じられてきた。狐持ちの家系の者はこの迷信のため差別され、自由な結婚も認められなかった。 |
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[[山陰地方]]では、霊力をもって財を成したり、他人を病気にする力を持った人を「キツネ持ち」と呼び、江戸時代には[[村八分]]にしていた。キツネ持ちは大半が他所から来た外来者の家系であり、時には財を蓄え大[[地主]]になった者も対象になっていたことから、外部からきた有力者をキツネの霊力を理由に排斥していたものとされている<ref>「キツネ持ち」は反体制派『朝日新聞』1976年(昭和51年)3月1日朝刊、11版、9面</ref>。 |
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キツネにまつわる俗信には、日暮れに新しい[[草履]](ぞうり)をはくとキツネに化かされるというものがあり、かなり広い地域で信じられていた。[[下駄]]はもちろん靴でも、新しい履き物は必ず朝におろさなければならないとされ、夕方、新品を履かねばならないときは、裏底に灰か墨を塗らねばならないといわれている。 |
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キツネに化かされないためには、眉に唾をつけるとよいというが、これは、キツネに化かされるのは眉毛の数を読まれるからだと信じられていたためである。真偽の疑わしいものを「眉唾物(まゆつばもの)」というゆえんである。 |
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また、得体の知れない燐光を「[[狐火]]」と呼び、「狐に化かされた」として、説明のつかない不思議な現象一般をキツネの仕業とすることも多かった。 しかし、化けるにしろ報復譚にしろ、キツネの話はどこかユーモラスで、悪なる存在というよりは、むしろ[[トリックスター]]的な性格が強い。 |
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=== 近代の狐伝説 === |
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中には法話や俗信では説明のつかない、比較的新しい伝説や伝承も存在する。大阪府の松原市には、戦後しばらくの間まで人に混じって、[[松原の狐たち|化けた狐たちが生計を立てていたという伝承]]が残っている。彼らは人々と良好な交流関係を保っていただけでなく、姓と名を持ち、住民として住民票が交付されていた。 |
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[[内山節]]の『日本人はなぜキツネにだまされなくなったのか』([[講談社現代新書]] 2007年)によれば、「1965年の精神革命」という心の変化があり、「キツネにだまされる能力」をなくしたという。高度成長、迷信・まやかしを否定する精神風土、ラジオ・テレビの普及、進学率の上昇、自然と共同体を包んでいた世界の消滅、自然と人の分離、原生林や天然林の消滅などで老キツネの消滅などがその理由としてあげられている{{Sfn|内山|2007|loc=第2章 一九六五年の革命}}。 |
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== アイヌとキツネ == |
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[[アイヌ]]にとって身近な生き物であるチロンヌㇷ゚([[キタキツネ]])は人間に災難などの予兆を伝える神獣、あるいは人間に化けて悪戯をするなど、[[ユーカラ]]によって善悪様々な描かれかたをしている<ref name=":0">{{Cite web|title=アイヌと自然デジタル図鑑|url=http://www.ainu-museum.or.jp/siror/book/detail.php?book_id=A0270|website=www.ainu-museum.or.jp|accessdate=2021-01-04}}</ref>。 |
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日本と同じく人に化ける伝承もあり、キツネが化けた人にサッチポㇿ(乾し[[イクラ]])を食べさせれば、歯に粘り付いたイクラの粒を取ろうと口に手を入れているうちに正体を表すという。 |
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[[アイヌ語]]で「チ(我々が)ロンヌ(どっさり殺す)ㇷ゚(もの)」という名から、獲物として重要視されていたことが分かる<ref name=":0" />。 |
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== キツネを主題とする作品 == |
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=== 文学 === |
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;[[狐物語]] : 悪賢い狐ルナールを中心とする中世フランスの物語。今日ルナール(renard)がフランス語で「狐」を意味するのはこの物語に由来する。 |
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;[[ごん狐]] (童話) : [[新美南吉]]原作。「ごん」というきつねが主人公。間接的にも兵十の母を死なせた償いの意味を込めて彼に隠れながら栗をあげていたが、それまでのイタズラの報いによって兵十に射殺される。 |
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;[[手袋を買いに]] : 新美南吉の作。手袋を買いにでた子ぎつねの話。一部の国語の教科書にも掲載された。 |
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;[[雪渡り]] : [[宮沢賢治]]の作。キツネの幻燈会に招待された子供たちの物語。古い偏見を払拭するために、キツネたちが子供を啓蒙しようとする。 |
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;[[土神と狐]] : 宮沢賢治の作。樺の木と仲の良いプレイボーイの狐に嫉妬した土神の話。 |
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;[[イソップ寓話]] (童話) : 「[[からすときつね]]」「[[すっぱい葡萄]]」はじめ、多くの話にキツネが登場する。 |
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=== 歌舞伎 === |
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;[[葛の葉]] : 有名な信太の森の葛の葉狐の伝説を歌舞伎にしたもの。 |
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;[[義経千本桜]] : 四段目に、狐の化身である狐忠信が登場する。 |
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=== 落語 === |
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;[[王子の狐]] : 美女に化けた狐を男が逆に化かすという滑稽噺。 |
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=== 狂言 === |
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;[[釣狐]] : 狐の役は狂言ではもっとも難しいとされ、「狂言師は猿に始まり、狐に終わる」ともいわれる。 |
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=== オペラ === |
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;[[利口な女狐の物語]] : [[レオシュ・ヤナーチェク]]のオペラ。 |
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=== 映画 === |
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;[[夢 (映画)#日照り雨|日照り雨]] : [[黒澤明]]監督『夢』の第一話。見てはならないという母の言葉を無視して少年は狐の嫁入りを覗いてしまう。家に帰ると母から自殺用の短刀を渡され、死ぬ気で狐に謝罪してこいと叱られる。自然を侮辱する者への警告が込められた作品。 |
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;[[キタキツネ物語]] : [[1978年]]に公開された[[サンリオ]]映画。[[2013年]]には撮影素材を用いて再構成した『キタキツネ物語【35周年リニューアル版】』が上映された。 |
|||
;[[子ぎつねヘレン]] : 北海道在住の獣医師で作家の[[竹田津実]]原作の小説『[[子ぎつねヘレンがのこしたもの]]』の映画化作品。[[2006年]]3月に劇場公開。[[河野圭太]]監督作品。配給は[[松竹]]。 |
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=== 絵本 === |
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;[[おれたちともだち]] : [[内田麟太郎]](作)、[[降矢なな]](絵)の絵本。[[オオカミ]]とキツネの間の友情を描く。 |
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;チロヌップのきつね : [[高橋宏幸 (児童文学者)|高橋宏幸]]作・絵。孤島で生まれたこぎつねが優しい老夫婦と、密猟者の二種類の人間に出会う。雪の降る中、母ぎつねはワナにかかったこぎつねを身を挺して暖める。 |
|||
;こんとあき : [[林明子]]作・絵。キツネのぬいぐるみの「こん」と、女の子あきちゃんの物語。 |
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;きつねとぶどう : [[坪田譲治 (作家)|坪田譲治]]作、[[いもとようこ]]絵。自分を犠牲にして息子を守った母ぎつねの物語。 |
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;きつねのきんた : [[かこさとし]]作、いもとようこ絵。人間に家を壊され、森を逃げ出したこぎつねの物語。ある屋敷に逃げ込んだきんたは毛皮になり果てたお母さんの姿を見てしまう。 |
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;きつねのおきゃくさま : [[あまんきみこ]]作、二俣英五郎絵。やせっぽちのヒヨコ、アヒル、ウサギを太らせて食べようと、はらぺこキツネは家に招いて御馳走をふるまう。ヒヨコ、アヒル、ウサギから優しくて、親切で、神様みたいな友達と言われてキツネの心は変わっていく。 |
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=== 児童書 === |
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;[[かいけつゾロリ]] : [[原ゆたか]]作の児童文学シリーズ。キツネのゾロリがイタズラ道を極める旅をしながら行く先々で活躍する物語。[[2004年]]よりアニメ化された。 |
|||
;[[父さんギツネバンザイ|父さんギツネバンザイ/すばらしき父さん狐]] : [[ロアルド・ダール]]作の児童文学。父さんギツネと3人の農場主の攻防を描く。[[2009年]]に『[[ファンタスティック Mr.FOX]]』の題名で映画化された。 |
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=== アニメーション === |
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;[[きつねと猟犬]]/[[きつねと猟犬2]] : ディズニーアニメ。キツネのトッドと猟犬のコッパーの友情の物語。 |
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=== 歌謡 === |
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;[[きつねのコンピューター]] (童謡) : [[三浦徳子]]作詞、[[小杉保夫]]作曲、[[西内としお]]アニメ。[[メタボリックシンドローム|メタボ]]のキツネの歌。 |
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;[[小ぎつね]] (ドイツ民謡、文部省唱歌) : [[勝承夫]]作詞。原曲の翻訳 : 忠告するよきつねさん泥棒にはならないで、ガチョウ料理なんか必要ないでしょ、ねずみで我慢してよ。 |
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;[[しっぽのきもち|秋ぎつね]] (童謡): [[谷山浩子]]作詞・作曲。女の子に片想いして失恋したきつねの物語になっている。アルバム『[[しっぽのきもち]]』に収録。 |
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;[[The Fox (曲)|The Fox]] : ノルウェイのコメディアン[[Ylvis|イルヴィス]]によるコミックソング。誰もキツネの[[オノマトペ|鳴き声]]を知らないとし、それをあてずっぽうに想像するという趣向。キツネの姿は天使の化身のごとくと唄われている<ref>[https://www.youtube.com/watch?v=jofNR_WkoCE Ylvis - The Fox (What Does the Fox Say?) [Official music video HD]]</ref><ref>[http://www.hollywoodreporter.com/earshot/ylvis-q-a-what-fox-623672 Ylvis Q&A: What 'The Fox' (Viral Stars) Say About Their Surprise Hit]</ref>。 |
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== 観光用のキツネ放し飼い施設 == |
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;[[北きつね牧場]] |
;[[北きつね牧場]] |
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:キタキツネ 約100頭規模、『[[北の国から]]』スペシャルエディションのロケ地 |
:キタキツネ 約100頭規模、『[[北の国から]]』スペシャルエディションのロケ地 |
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;[[宮城蔵王キツネ村]] |
;[[宮城蔵王キツネ村]] |
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:キタキツネ・銀ギツネ・十字ギツネ・ホッキョクギツネ・ブルーフォックス混合 約100頭規模、映画『[[子ぎつねヘレン]]』役のキツネの里 |
:キタキツネ・銀ギツネ・十字ギツネ・ホッキョクギツネ・ブルーフォックス混合 約100頭規模、映画『[[子ぎつねヘレン]]』役のキツネの里 |
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=== 鳴き声 === |
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日本における鳴き声の聞きなしについては、古来は「キツ」「ケツ」と表現されており、[[岩手県]][[遠野市]]付近の[[口承文芸]]を採集した[[佐々木喜善]]が編集した説話集『聴耳草紙』『老媼夜譚』、あるいは佐々木の語りをまとめた[[柳田国男]]の『[[遠野物語]]』においては、キツネの鳴き声は「グェン」「ジャグェン」と表現されている。近代からは「コン」「コンコン」が専ら用いられている。「コン」「コンコン」については(テレビ朝日『シルシルミシルさんデー』の調べによって)親が子を呼ぶ時の鳴き声に由来していると報告されている<ref>[http://datazoo.jp/tv/%E3%82%B7%E3%83%AB%E3%82%B7%E3%83%AB%E3%83%9F%E3%82%B7%E3%83%AB%E3%81%95%E3%82%93%E3%83%87%E3%83%BC/430197 2010年8月29日放送シルシルミシルさんデー『キツネは本当に「コンコン」鳴くの?』]</ref>。なお[[アイヌ語]]での聞きなしは「パウ」「パウパウ」である<ref>[https://www.ff-ainu.or.jp/about/files/kai2009.pdf 中川裕「語り合うことばの力~カムイたちと生きる世界」]</ref>。 |
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=== 大衆文化の中での狐 === |
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{{main|en:Foxes in popular culture|日本文化における狐}} |
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狐は広い範囲に適応して住み着くことから、多くの地域の民族伝承に登場する。西洋では、ハンターを回避する狡猾な動物であることから[[トリックスター]]の役割として登場する。アジア圏では、[[使い魔]]としての役割や、西洋のように悪戯好きで人を騙す性格を有して、女性に化けたりなどの能力を持つ。特に日本([[大和民族]])においては文化・信仰と言えるほどキツネに対して親密で、人を化かすいたずら好きの動物と考えられたり、それとは逆に、[[宇迦之御魂神]]の[[神使]]として信仰されたりしている。 |
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== 脚注 == |
== 脚注 == |
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{{脚注ヘルプ}} |
{{脚注ヘルプ}} |
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{{Reflist|2}} |
{{Reflist|2}} |
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== 参考文献 == |
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*{{Cite book|和書 |
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| author = [[内山節]] |
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| date = 2007-11 |
|||
| title = 日本人はなぜキツネにだまされなくなったのか |
|||
| series = [[講談社現代新書]] 1918 |
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| publisher = [[講談社]] |
|||
| isbn = 978-4-06-287918-7 |
|||
| ref = {{Harvid|内山|2007}} |
|||
}} |
|||
*{{Cite book|和書 |
|||
| author = [[岡田茂吉]] |
|||
| date = 1943 |
|||
| title = 明日の医術 |
|||
| volume = 第3編 |
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| publisher = 志保澤武 |
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| ref = {{Harvid|岡田|1943}} |
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}} |
|||
*{{Cite book |和書 |
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| author = [[金子浩昌]] |
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| date = 1984-08 |
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| title = 貝塚の獣骨の知識 人と動物とのかかわり |
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| series = 考古学シリーズ 10 |
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| publisher = [[東京美術]] |
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| pages = 127–128 |
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| isbn = 978-4-8087-0229-8 |
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| ref = {{Harvid|金子|1984}} |
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}} |
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*{{Cite book|和書 |
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| author = [[笹間良彦]] |
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| date = 1998-06 |
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| title = 怪異・きつね百物語 |
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| publisher = [[雄山閣出版]] |
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| isbn = 978-4-639-01544-4 |
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| ref = {{Harvid|笹間|1998}} |
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*{{Cite journal|和書 |
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| author = 清野孝之 |
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| date = 2009-06 |
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| title = 発掘された日本列島2009 |
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| journal = 月刊文化財 |
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| issue = 549 |
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| pages = 46-49 |
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| publisher = 文化庁文化財部 |
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| ref = {{harvid|清野|2009}} |
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}} |
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*{{Cite book |和書 |
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| editor = [[直江広治]] 編 |
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| date = 1996-09 |
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| title = 稲荷信仰 |
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| series = 民衆宗教史叢書 3 |
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| publisher = 雄山閣出版 |
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| isbn = 978-4-639-00231-4 |
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| ref = {{Harvid|直江|1996}} |
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*{{Cite book|和書 |
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| author = [[松村潔]] |
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| date = 2006-02 |
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| title = 日本人はなぜ狐を信仰するのか |
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| series = 講談社現代新書 1829 |
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| publisher = 講談社 |
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| isbn = 978-4-06-149829-7 |
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| ref = {{Harvid|松村|2006}} |
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}} |
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*{{Cite book|和書 |
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| author = [[森川昌和]] |
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| date = 2002-03 |
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| title = 鳥浜貝塚 縄文人のタイムカプセル |
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| publisher = [[未来社]] |
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| isbn = 978-4-624-11189-2 |
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| ref = {{Harvid|森川|2002}} |
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}} |
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*{{Cite journal|和書 |
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| author = [[守山弘]] |
|||
| date = 2007-03 |
|||
| title = 「ごんぎつね」がいたころ――作品の背景となる農村空間と心象世界 |
|||
| journal = 食農教育 |
|||
| issue = 53 |
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| pages = 80-84 |
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| publisher = 農山漁村文化協会 |
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| ref = {{harvid|守山|2007}} |
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== 関連項目 == |
== 関連項目 == |
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{{Wikiquote|狐}} |
{{Wikiquote|狐}} |
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{{commons&cat|Vulpini|Vulpini|キツネ族}} |
{{commons&cat|Vulpini|Vulpini|キツネ族}} |
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*[[こぎつね座]] |
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*[[フォックスホール]] - 軍隊が使用する一人だけ入れる大きさの[[塹壕]]([[蛸壺壕]]) |
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*[[キツネの入った言葉一覧]] |
*[[キツネの入った言葉一覧]] |
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*[[館林城]] - 狐の尾曳きで築城したという伝説があり、城内に[[尾曳稲荷神社]]を創建した。 |
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== 外部リンク == |
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*{{Kotobank|キツネ}} |
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*[{{NDLDC|1906591/26}} 『芸術資料』第三期第八冊「狐、狸」] 金井紫雲編([[芸艸堂]], 1941) - 狐に関するさまざまな芸術資料について |
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{{DEFAULTSORT:きつね}} |
{{DEFAULTSORT:きつね}} |
2021年2月22日 (月) 10:49時点における版
キツネ(広義) | |||||||||||||||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
分類 | |||||||||||||||||||||||||||
| |||||||||||||||||||||||||||
和名 | |||||||||||||||||||||||||||
キツネ(狐) | |||||||||||||||||||||||||||
英名 | |||||||||||||||||||||||||||
fox | |||||||||||||||||||||||||||
属 | |||||||||||||||||||||||||||
キツネ(狐)は、哺乳綱ネコ目(食肉目)イヌ科イヌ亜科の一部。
狭義にはキツネ属のことである[1][2]。広義には、明確な定義はないがイヌ亜科の数属を総称する[3][4]が、これは互いに近縁でない属からなる多系統である。
最も狭義にはキツネ属の1種アカギツネのことである[5][6]。古来、日本で「狐」といえば、アカギツネの亜種ホンドギツネのことだったが、蝦夷地進出後は、北海道の別亜種キタキツネも含むようになった。
ただし、この記事では広義のキツネを扱うものとする。キツネ属、アカギツネについてはそれぞれの記事を参照。
現生種
最も広義のキツネとして、和名に「キツネ」(英語名に fox)が含まれる6属の種を挙げる。ただし、化石種を除く(近代絶滅種は挙げる)。
大きく3分した「〜クレード」は分子系統による[7]。イヌ亜科は伝統的にはイヌ族 Canini とキツネ族 Vulpini に分けられてきたが、この分類は、系統にも、広義のキツネの範囲とも、対応していない。
- アカギツネ型クレードの大半(タヌキ以外) - 旧大陸と北米のキツネ類。キツネ族の大半。
- キツネ属 Vulpes
- アカギツネ red fox、Vulpes vulpes
- アフガニスタンキツネ (ブランフォードギツネ) Blanford's fox、Vulpes cana
- オグロスナギツネ pale fox、Vulpes pallida
- オジロスナギツネ Rueppel's fox、Vulpes rueppelli
- ケープギツネ Cape fox、Vulpes chama
- コサックギツネ corsac fox、Vulpes corsac
- スウィフトギツネ swift fox、Vulpes velox
- チベットスナギツネ Tibetan fox、Vulpes ferrilata
- キットギツネ kit fox、Vulpes macrotis
- ベンガルギツネ Bengal fox、Vulpes bengalensis
- フェネック (フェネックギツネ) fennec、Vulpes zerda (Fennecus zerda)
- ホッキョクギツネ arctic fox、Vulpes lagopus (Alopex lagopus)
- オオミミギツネ属 Otocyon
- オオミミギツネ bat-eared fox、Otocyon megalotis
- キツネ属 Vulpes
- 南米クレードの一部 - 南米のキツネ類。オオカミ型クレード(イヌ属など)にやや近縁で、イヌ族の一部。
- カニクイキツネ属(カニクイイヌ属) Cerdocyon
- カニクイキツネ(カニクイイヌ) crab-eating fox、Cerdocyon thous
- クルペオギツネ属 Lycalopex (Pseudalopex)
- クルペオギツネ (クルペオ) culpeo、Lycalopex culpaeus
- スジオイヌ hoary fox、Lycalopex vetulus
- セチュラギツネ Sechura fox、Lycalopex sechurae
- チコハイイロギツネ Argentine gray fox, chilla、Lycalopex griseus
- パンパスギツネ pampas fox, Azara's dog、Lycalopex gymnocercus
- †フォークランドキツネ属(フォークランドオオカミ属、アザライヌ属) Dusicyon
- †フォークランドキツネ(フォークランドオオカミ) Falkland island fox、Dusicyon australis
- カニクイキツネ属(カニクイイヌ属) Cerdocyon
- シマハイイロギツネクレード - 両米に住む。キツネ族の一部(アカギツネ型クレード以外の残り)。
- ハイイロギツネ属 Urocyon
- ハイイロギツネ gray fox、Urocyon cinereoargenteus
- シマハイイロギツネ island fox、Urocyon littoralis
- ハイイロギツネ属 Urocyon
-
フェネックギツネ
-
ホッキョクギツネ
-
オオミミギツネ
-
カニクイギツネ
-
クルペオギツネ
-
ハイイロギツネ
系統
広義のキツネ(図中の ―◆)は、イヌ亜科(現生イヌ科)の中で単系統を成さず、系統的に分散した多系統である。イヌ亜科の4大系統のうち3つに分散している。
イヌ亜科 |
| ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
生態
日本では、本州・九州・四国の各本島と淡路島[9]にホンドギツネが、北海道本島と北方領土にキタキツネが生息している。近年、沖縄本島でも自然分布以外の流入で生息が確認されている[要出典]。佐渡島にも人為的な移入がなされたが、定着は確認されていない[10]。
イヌ科には珍しく、群れず、小さな家族単位で生活する。イヌのような社会性はあまりないとされるが、宮城県白石市の狐塚のように、大きなグループで生活していた例も知られる[11]。
生後1年も満たないで捕獲訓練をマスターし、獲物を捕らえるようになる。食性は肉食に近い雑食性。鳥、ウサギ、齧歯類などの小動物や昆虫を食べる。餌が少ないと雑食性となり人間の生活圏で残飯やニワトリを食べたりする。夜行性で非常に用心深い反面、賢い動物で好奇心が強い。そのため大丈夫と判断すると大胆な行動をとりはじめる。人に慣れることで、白昼に観光客に餌をねだるようになる事が問題になっている[11]。
野生のキツネは10年程度の寿命とされるが、ほとんどの場合、狩猟・事故・病気によって、2-3年しか生きられない[12]。
一般的に、キツネの体格は、オオカミ・ジャッカルなど、イヌ科の他の種よりも小型である。平均的なオスのキツネの体重は、5.9kg、メスはそれより軽い5.2kg。俗に言うキツネ顔で、ふさふさした尾を持つ。典型的なアカギツネの毛色は、赤褐色で、通常尾の先は白い[12]。
ロシアでは45年の選択的交配でギンギツネの創出に成功している。この選択的な繁殖により、毛色のバリエーション・丸い耳・巻き尾など、猫・犬・その他の動物で見られるような物理的・行動特性が変化することが分かった[13]。
人畜共通感染症であるエキノコックスについては、エキノコックス症の項が詳しい
人間との関係
狐は、小型の家畜、ペット、また家に侵入し子供を襲うため、害獣とされた。どのような環境にも適応するので、様々な場所に住む固有種に影響を与える。都市部でもゴミを漁って生活できるため、そういった狐は resident urban carnivores(都市居住型肉食動物?) に分類される[14]。また、そういった狐は、猫などの小動物を捕食したりし、ごみなどを散らかすため駆除対象となる[15]。
一部の国では、キツネはウサギと鶏の主要な捕食者であり、それら2つの種の個体群振動を研究した最初の非線形振動は、生物の捕食-被食関係による個体数の変動を表現する数理モデルであるロトカ・ヴォルテラの方程式として導かれた[16][17]。
キツネ狩り
16世紀にイギリスでキツネ狩りが始まり、イギリスの文化となった。しかし、20世紀以降は、世界的な動物愛護の影響により、イギリスでは犬を使った狩猟が禁止されている[18][19][20][21]。
家畜化の可能性
青銅器時代のイベリア半島では犬や牛と同様に餌を与えられ埋葬されていたことから、少なくともこの時代のこの地域では狐を家畜化していた可能性がある[22]。
ロシアの神経細胞学者リュドミラ・ニコラエブナ・トルットは、ロシア科学アカデミーの遺伝学者ドミトリ・ベリャーエフと共に、キツネの人為選択による馴致化実験を行った[23][24]。100頭あまりのキツネを掛け合わせ、もっとも人間になつく個体を選択して配合を繰り返すことで、わずか40世代でイヌのようにしっぽを振り、人間になつく個体を生み出すことに成功した。同時に、耳が丸くなるなど飼い犬のような形質を発現することも観察された[25][出典無効][26][27]。これはなつきやすさという性質が、(自然、あるいは人為的に)選択されうることを示している。
以下のような観光用の放し飼い施設がある。
- 北きつね牧場
- キタキツネ 約100頭規模、『北の国から』スペシャルエディションのロケ地
- 北海道きつね村・トナカイ観光牧場
- オホーツク観光株式会社が経営している施設。
- フクロウとキタキツネの森
- フクロウのアトラクションも見られる、キタキツネの放し飼い施設。
- キツネやフクロウに関する小規模な学習コーナーもあり、専門書や写真集もおいている。
- くまがい北きつね牧場
- 木彫り職人が経営する個人経営のドライブイン。作者のサインが入った木彫りのキツネが直接買えたり、成獣のキツネ(季節によっては仔狐も)が抱っこできる店。 放し飼いの狐は1-2頭ほど。
- 宮城蔵王キツネ村
- キタキツネ・銀ギツネ・十字ギツネ・ホッキョクギツネ・ブルーフォックス混合 約100頭規模、映画『子ぎつねヘレン』役のキツネの里
鳴き声
日本における鳴き声の聞きなしについては、古来は「キツ」「ケツ」と表現されており、岩手県遠野市付近の口承文芸を採集した佐々木喜善が編集した説話集『聴耳草紙』『老媼夜譚』、あるいは佐々木の語りをまとめた柳田国男の『遠野物語』においては、キツネの鳴き声は「グェン」「ジャグェン」と表現されている。近代からは「コン」「コンコン」が専ら用いられている。「コン」「コンコン」については(テレビ朝日『シルシルミシルさんデー』の調べによって)親が子を呼ぶ時の鳴き声に由来していると報告されている[28]。なおアイヌ語での聞きなしは「パウ」「パウパウ」である[29]。
大衆文化の中での狐
狐は広い範囲に適応して住み着くことから、多くの地域の民族伝承に登場する。西洋では、ハンターを回避する狡猾な動物であることからトリックスターの役割として登場する。アジア圏では、使い魔としての役割や、西洋のように悪戯好きで人を騙す性格を有して、女性に化けたりなどの能力を持つ。特に日本(大和民族)においては文化・信仰と言えるほどキツネに対して親密で、人を化かすいたずら好きの動物と考えられたり、それとは逆に、宇迦之御魂神の神使として信仰されたりしている。
脚注
- ^ 三省堂編修所, ed. (2012), “キツネ”, 三省堂 生物小事典, 三省堂, ISBN 978-4-385-24006-0
- ^ 増井光子 (1974), “キツネ”, in 相賀徹夫, 万有百科大事典 20 動物, 小学館
- ^ ミステリアス“ウルフ” - 中村一恵(生命の星・地球博物館名誉館員)
- ^ Sillero-Zubiri, Claudio; et al., eds., Status Survey and Conservation Action Plan, Canids: Foxes, Wolves, Jackals and Dogs, IUCN/SSC Canid Specialist Group
- ^ 今泉吉典. “キツネ”. 日本大百科全書(ニッポニカ)(コトバンク). 2019年5月25日閲覧。
- ^ 今泉吉晴 (2009), “キツネ”, in 下中直人, 世界大百科事典, 2009年改定新版, 平凡社
- ^ a b Lindblad-Toh, Kerstin; et al. (2005), “Genome sequence, comparative analysis and haplotype structure of the domestic dog”, Nature 438: 803–819, doi:10.1038/nature04338
- ^ Austin, Jeremy J.; et al. (2013), “The origins of the enigmatic Falkland Islands wolf”, Nature Communications 4, doi:10.1038/ncomms2570
- ^ 洲本川水系河川整備基本方針(案) 概要 - 兵庫県[リンク切れ]
- ^ 佐渡島のテンの生息に関する研究 - 箕口秀夫(新潟大学農学部助教授)他 (2004)
- ^ a b 宮城蔵王キツネ村公式ウェブサイト
- ^ a b Journal of Mammalogy
- ^ Early Canid Domestication: The Fox Farm Experiment
- ^ Iossa, G. et al. A Taxonomic Analysis of Urban Carnivore Ecology, from Urban Carnivores. Stanley Gehrt et al. eds. 2010. p.174.
- ^ Clark E. Adams (15 June 2012). Urban Wildlife Management, Second Edition. CRC Press. p. 168. ISBN 978-1-4665-2127-8
- ^ Sprott, Julien. Elegant Chaos 2010. p.89.
- ^ Komarova, Natalia. Axiomatic Modeling in Life Sciences, from Mathematics and Life Sciences. Alexandra Antoniouk and Roderick Melnik, eds. pp.113–114.
- ^ “Hunt campaigners lose legal bid”. BBC News Online. (2006年6月23日)
- ^ Singh, Anita (2009年9月18日). “David Cameron 'to vote against fox hunting ban'”. The Daily Telegraph. 2009年9月30日時点のオリジナルよりアーカイブ。2010年5月2日閲覧。
- ^ Fox Hunting. North West League Against Cruel Sports Support Group. nwlacs.co.uk
- ^ “Fox Hunting: For and Against”. 2010年3月31日時点のオリジナルよりアーカイブ。2009年12月12日閲覧。
- ^ 青銅器時代、キツネは家畜化されていた(スペイン)紀元前3千年から2千年
- ^ 動物好きな研究者の夢 -- 40年の研究からペットギツネが誕生
- ^ “実験飼育場で遊ぶキツネ”. ロシアNOW. 2015年9月12日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年3月21日閲覧。
- ^ 地球ドラマチック「不自然な“進化”〜今 動物に何が!?〜」
- ^ 特集:野生動物 ペットへの道
- ^ ロシア科学アカデミーシベリア支部 細胞学・遺伝学研究所の「キツネの家畜化研究」
- ^ 2010年8月29日放送シルシルミシルさんデー『キツネは本当に「コンコン」鳴くの?』
- ^ 中川裕「語り合うことばの力~カムイたちと生きる世界」
関連項目
- こぎつね座
- フォックスホール - 軍隊が使用する一人だけ入れる大きさの塹壕(蛸壺壕)
- キツネの入った言葉一覧