立春

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立春(りっしゅん)は、二十四節気の第1。正月節(旧暦12月後半から1月前半)。

現在広まっている定気法では太陽黄経が315のときで2月4日ごろ。ではそれが起こるだが、天文学ではその瞬間とする。恒気法では冬至から1/8年(約45.66日)後で2月5日ごろ。

期間としての意味もあり、この日から、次の節気の雨水前日までである。

季節

の初め。『暦便覧』には「春の気立つを以って也」と記されている。冬至春分の中間に当たり、昼夜の長短を基準に季節を区分する場合は、この日から立夏の前日までがとなる。九州など暖かい地方ではが咲き始める。この日が寒さの頂点となり、翌日からの寒さを「残寒」または「余寒」といい、手紙や文書等の時候の挨拶などで用いられる。そもそも春とは「寒さが増さなくなった時期」として定められたため、春の初頭は当然に寒さが底を打った時期になる。よって立春の頃に「暦の上では春なのにまだ寒い」と言い交わすことは、新暦5月頃に見事な""五月晴れ""と言い交わす事と同様本義をわきまえない言い方と言える。

立春は八十八夜二百十日二百二十日など、雑節の起算日(第1日目)となっている。立春から春分の間に、その年に初めて吹く南寄り(東南東から西南西)の強い風を春一番と呼ぶ。桜の開花時期は、立春からの最高気温の合計が540℃という概算法がある(ほかに、元日からの平均気温の合計が600℃、2月1日からの最高気温の合計が600℃という方法もある)。

一般的な節分とは、立春の前日のことである。立春の早朝、禅寺では門に「立春大吉」と書いた紙を貼る習慣がある。また、中国では立春の日に春餅(チュンビン)を食べる習慣がある。また、地域によるが節分の日までが日本で一番寒い時期であり、初めて気温が上昇傾向になる日が立春である[1]

日付

日時 (UT) 日本 中国
2001年 2月3日18:28 2月4日 2月4日
2002年 2月4日00:24 2月4日 2月4日
2003年 2月4日06:05 2月4日 2月4日
2004年 2月4日11:56 2月4日 2月4日
2005年 2月3日17:43 2月4日 2月4日
2006年 2月3日23:27 2月4日 2月4日
2007年 2月4日05:18 2月4日 2月4日
2008年 2月4日11:00 2月4日 2月4日
2009年 2月3日16:49 2月4日 2月4日
2010年 2月3日22:47 2月4日 2月4日
2011年 2月4日04:32 2月4日 2月4日
2012年 2月4日10:22 2月4日 2月4日
2013年 2月3日16:13 2月4日 2月4日
2014年 2月3日22:03 2月4日 2月4日

定気法での立春の瞬間の日時 (UT) と、日本中国での日付は表のとおり。

年を4で割った余り
1 2 3 0
1801年 - 1816年 4日 4日 5日 5日
1817年 - 1848年 4日 4日 4日 5日
1849年 - 1884年 4日 4日 4日 4日
1885年 - 1900年 3日 4日 4日 4日
1901年 - 1916年 4日 5日 5日 5日
1917年 - 1952年 4日 4日 5日 5日
1953年 - 1984年 4日 4日 4日 5日
1985年 - 2020年 4日 4日 4日 4日
2021年 - 2056年 3日 4日 4日 4日
2057年 - 2088年 3日 3日 4日 4日
2089年 - 2100年 3日 3日 3日 4日
2101年 - 2120年 4日 4日 4日 5日
2121年 - 2156年 4日 4日 4日 4日
2157年 - 2192年 3日 4日 4日 4日
2193年 - 2200年 3日 3日 4日 4日

グレゴリオ暦による17世紀から24世紀までの日本の立春は表のとおり[2][3][4]

2024年の立春は2月4日[更新]

365日からの超過分が毎年蓄積し、4年に一度閏年でリセットされる様子がわかる(立春は閏日の挿入される2月末日より前のため、4で割って1余る年が先頭)。 1985年から2020年までは2月4日だが、1984年までは2月5日1897年までは2月3日もあった。2021年からは再び2月3日が現れる。

旧暦と立春

立春は旧暦1月1日だという勘違いがあるが、ほとんどの場合は正しくない。旧暦1日は必ず(新月)だが、立春は朔に関係なく定められるため、多くの年は1日にならない。ただし約30年に1度、立春が朔と重なり、旧暦1月1日になる年がある(朔旦立春)。近年は1954年1992年がそうで、次は2038年と予測される。

旧暦(中国・日本の太陰太陽暦)では元日が立春前後に置かれる。それは立春のころを年初にし、春の始まりと年の始まりを一致させるためである。これを夏正(かせい)という。古代中国夏王朝の正月という意である。平気法ではそのために、立春の次の雨水を含む月を正月(1月)とする。定気法での月名の定義はやや複雑だが、結果はやはり、雨水を含む月が正月となる。

節切りにあっては立春が年初となる。四柱推命風水などの占いでは、節分までは前年に属し、立春をもって年が改まるとしているものが多い。節分の豆撒きは立春を年初として、新しい年の幸運を願っての昔からの習慣である。

二十四節気の「立春」は、『暦便覧』では「の気立つを以って也」とされるが、時候的な解説では、「大寒から立春までは一年のうちで最も寒い季節であり、立春を過ぎると少しずつ寒さが緩み始め、の気配が忍び入ってくる」とされるのが一般的である。ただ注意が必要なのは、このような気象的事象のゆえに「立春」が定められたのではなく、冬至から春分への中間点として、暦法上の要請から定められたものだということである。

の区分は、西欧では習慣的に暑くも寒くもない季節、つまり、春分から夏至までを spring とするのに対し、古代中国では昼夜の長短のピークとなる二至(夏至、冬至)と、昼夜の長さがほぼ同じとなる二分(春分、秋分)を各季節の中心とし、これらの中間に各季節の区切りとして四立(立春、立夏、立秋、立冬)を設けた。したがって、両者の季節の区切りは約1.5か月ずれていることになる。なお、日本の気象庁では、3月 - 5月が、6月 - 8月が、9月 - 11月が、12月 - 2月がとしている[5]

新年立春と年内立春

立春の旧暦での日付は大まかに言って、半分の年では新年1月の前半、半分の年では旧年12月(あるいは希に12月)の後半である。旧年12月(または閏12月)の立春を年内立春、新年1月の立春を新年立春と呼ぶ。また特に旧暦1月1日にあたる場合を朔旦立春(さくたんりっしゅん)と呼び、非常に縁起のよい日とされている。

より正確に言えば、立春の次の節気である雨水を含む暦月が1月なので、立春翌日から雨水当日までの約半月間に(新月)があれば、立春は前年12月(または閏12月)なので年内立春であり、その期間に朔がなければ立春は1月であり新年立春となる。

近年の立春の旧暦での日付は次のとおり(未来は予測)。19年周期(メトン周期)でほぼ同じ日付が繰り返され、近年では19年中10年が年内立春、9年が新年立春である。

新暦 旧暦 新暦 旧暦
1992年02月04日 1992年01月01日 2011年02月04日 2011年01月02日
1993年02月04日 1993年01月13日 2012年02月04日 2012年01月13日
1994年02月04日 1993年12月24日 2013年02月04日 2012年12月24日
1995年02月04日 1995年01月05日 2014年02月04日 2014年01月05日
1996年02月04日 1995年12月16日 2015年02月04日 2014年12月16日
1997年02月04日 1996年12月27日 2016年02月04日 2015年12月26日
1998年02月04日 1998年01月08日 2017年02月04日 2017年01月08日
1999年02月04日 1998年12月18日 2018年02月04日 2017年12月19日
2000年02月04日 1999年12月29日 2019年02月04日 2018年12月30日
2001年02月04日 2001年01月12日 2020年02月04日 2020年01月11日
2002年02月04日 2001年12月23日 2021年02月04日 2020年12月23日
2003年02月04日 2003年01月04日 2022年02月04日 2022年01月04日
2004年02月04日 2004年01月14日 2023年02月04日 2023年01月14日
2005年02月04日 2004年12月26日 2024年02月04日 2023年12月25日
2006年02月04日 2006年01月07日 2025年02月03日 2025年01月06日
2007年02月04日 2006年12月17日 2026年02月04日 2026年12月17日
2008年02月04日 2007年12月28日 2027年02月04日 2027年12月28日
2009年02月04日 2009年01月10日 2028年02月04日 2028年01月09日
2010年02月04日 2009年12月21日 2029年02月03日 2029年12月20日

年内立春の歌

古今和歌集』の巻頭には、年内立春を詠んだ歌がある。

ふるとしに春たちける日よめる

年のうちに 春は來にけり 一年(ひととせ)を去年(こぞ)とやいはむ 今年とやいはむ

在原元方

年明け前に立春となった日に詠んだ歌

年が明けないうちに立春が来てしまった。昨日までの一年(一月一日から節分)を去年と言おうか、今年と言おうか

—現代語訳

七十二候

立春の期間の七十二候は以下のとおり。

初候
東風解凍(はるかぜ こおりを とく):東風が厚い氷を解かし始める(日本・中国)
次候
黄鶯睍睆(うぐいす なく):が山里で鳴き始める(日本)
蟄虫始振(ちっちゅう はじめて ふるう):冬蘢りの虫が動き始める(中国)
末候
魚上氷(うお こおりを のぼる):割れた氷の間から魚が飛び出る(日本・中国)

前後の節気

大寒立春雨水

脚注

  1. ^ 気温と景気 なぜ最も寒い時期に「立春」なのか
  2. ^ 現代の天体力学による位置推算のため、過去の暦の記述とは必ずしも一致しない(代わりに分単位の精度がある)。 将来の見積もりについては(主に閏秒の不確かさから)日付が前後する恐れがある(10分の誤差を見込んだが、表の末尾では恐らく不足)。
  3. ^ JPL HORIZONS Web-Interface(2015年8月22日 Ver 3.9.8)取得後 TT→UT変換
  4. ^ NASAによるΔTの解説計算式
  5. ^ 気象庁(時に関する用語)

関連項目