物語の類型

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物語の類型(ものがたりのるいけい)とは、類似の物語をカテゴライズしたものである。

概論[編集]

人が接する数々の物語には類似のものが多く認められ、こうした物語を類型として捉えることは各ジャンル内で、あるいはジャンルを跨って多く行われてきた。ただし、物語の類型化には様々なアプローチがある。物語に登場する人物類型によるもの、物語を構成するモチーフによるもの、物語の構成そのものであるプロットによるもの、物語のストーリーによるもの、物語の表現様式によるものなどであるが、多くの場合はストーリー、プロットもしくはモチーフに基づく類型化を指す。

物語を類型に分けるということは、神話民話など「物語」を研究する上では基本、かつ重要なことであり、その歴史は古い。例えば、帝政ローマ期の著述家、プルタルコスが、オシリスイシス神話をギリシア神話と比較して解釈しようとしたことが知られている。

世界的によく知られている研究としては、1910年にアンティ・アールネが出した「The Types of the Folktale: A Classification and bibliography(FFC 184)」をスティス・トンプソンが増補して作られた分類、AT分類があり、これは今日でも物語研究者達の間で共通のインデックスとして認識されている。これを日本の昔話に適用したのが1976年に池田弘子が発表した「A Type and Motif Index of Japanese Folk-Literature」であるが、これらは上位分類が表現形式によるもので、下位分類がモチーフに基づくものとなっている。

日本では1936年に柳田國男が民話の分類を試み、『日本昔話名彙』にまとめている。その後関敬吾稲田浩二らが、収録話数や話型を大幅に拡充し、さらにAT番号を振って世界的な対比を可能としている。詳細は「アールネ・トンプソンのタイプ・インデックス#日本の昔話」を参照。

1960年代にクロード・レヴィ=ストロースによる神話の分析(構造解析)が注目を集め、それと共に再発見されたのがウラジーミル・プロップによる『昔話の形態学』(1928)である。プロップはこの中で、ロシアの魔法昔話に現れる「物語機能」(今でいうところのモチーフに相当するもの)は31個であり、物語の中でほぼ一定の順番で現れることを示した。つまり、バリエーションによる差異はあるものの、ロシアで伝えられていた魔法昔話はすべて同一構造(同一プロット)を有するとプロップは唱えたのである。この発見は、構造主義の流行の中で民話学の枠を超えた影響を及ぼし、多種多様な作品群も物語構造に注目すれば似たようなものであるという認識をもたらした。たとえば、蓮実重彦『小説から遠く離れて』(1989年)のように、村上春樹井上ひさし丸谷才一村上龍大江健三郎中上健次といったまるで異なる傾向の作家の小説を構造分析して、共通するモチーフをあぶり出すといった評論が現れている。

神話学民話学のみならず、そのほかの多くのジャンルにおいても物語の分類は多く試みられている。例えば、ミステリ作品をトリックで分類する『類別トリック集成』が江戸川乱歩によって1953年に発表された。

類型[編集]

関連項目[編集]