スティス・トンプソン

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スティス・トンプソン
Stith Thompson
生誕 (1885-03-07) 1885年3月7日
ケンタッキー州ブルームフィールド英語版
死没 (1976-01-10) 1976年1月10日(90歳没)
インディアナ州コロンバス
国籍 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
研究分野
研究機関
出身校
主な業績
プロジェクト:人物伝

スティス・トンプソン(Stith Thompson、1885年3月7日 - 1976年1月10日) は、アメリカ合衆国民話学者。スティース・トンプソン等とも表記される。

物語の類型の多大な貢献者、世界的権威。フィンランドアンティ・アールネが着手した世界の物語分類システムを、更に改良・発展させたアールネ・トンプソンのタイプ・インデックス(略号 AT分類)の名称は、両氏の名を冠したものである。これはアールネ=トムソン『昔話の型』などとも呼ばれ、世界の物語分類では定番となっている。

さらには民話共通のモチーフをカタログ化した、スティス・トンプソンのモチーフ・インデックス(「民間文芸のモティーフ索引」などとも称する)があるが、これはアルファベット文字(大分類)4ケタ数字以下小数点(細分類)の組み合わせで各モチーフを指定するシステムである。こちらもやはり、民話のみでなく中世の物語などの分析など多岐にわたり使われる。

トンプソンの同志にアーチャー・テイラーがおり、ひところは両者をして米国民俗学界における指導的地位を占」める「ニ大巨頭」などと評した[1]インディアナ大学のトンプソンの元で師事した日本出身の民俗学者に、池田弘子がいる。[2]

経歴[編集]

出自・大学[編集]

1885年、米ケンタッキー州ブルームフィールド英語版市ネルソン郡に生まれる。父ジョン・ウォーデン・トンプソン、母イライザ・マクラスキー・トンプソン。12歳の時、家族がインディアナポリス市に転住し、バットラー大学英語版に進学。ウィスコンシン大学を卒業後、2年間オレゴン州ポートランドで高校の教師を務める。この間にノルウェー語を習得。1912年にカリフォルニア大学バークレー校英文学課で修士号を取得。

博士号[編集]

1912-1914年、ハーバード大学ジョージ・ライマン・キトレッジ英語版に支持し、博士号を取得。このときの論文は「北米インディアンの説話における欧州からの借用や類話 (European Borrowings and Parallels in North American Indian Tales)」というものであり、1919年に改稿を経て再版されている。[3][4]この論文のそもそもの発端というのは、同教授から与えられたあるテーマであったが、それはカナダ西部のディネ族系チペワイアン族から収集された「強くなった少年」が、北ドイツ北欧系の類話「青いリボン」の類話の伝播であるかを問うものであった。[注 1][5]

教授職[編集]

1914-1918年テキサス大学オースティン校で英語作文の講師を務め、1921年に英文科の准教授としてインディアナ大学ブルーミングトン校英語版に招聘された。[6]

トムソン自身、長年にわたり民話、バラッド、言い伝え、なぞなぞ、などの収集をおこなったが、そうした伝承民間文芸の研究に、トムソンが築き上げた分類化の機構が大いに役立っている[7]。トムソンの Motif-Indexの第1巻は、1955年に出版された。[8]

1942年をはじめに、4年ごとに"Institute of Folklore"と称する夏期コースをもうけ、世界から研究者を招聘して会議をおこなった。これはトムソン教授が1956年に引退する以降まで続いた。[9]そしてついに1962年、これが常設の民俗学研究所としてインディアナ大学に設置されることになった。初代所長(兼機関紙編集長)には、リチャード・ドーソンが赴任した。

1976年、米インディアナ州コロンバス市の自宅で心不全となり永眠。[10][11]

トムソンによる民俗学の著書、共著、訳書、は多数に渡るが、その名声をとどめるのは、異論もあろうが、いまや世界各国の伝承のカタログ化にもちいられる、そのモチーフ分類の業績と、その集大成である Motif-Index of Folk-Literature (全6巻。1955-1958年)によるといえるだろう。

日本語訳されている著書[編集]

  • トンプソン, S (1977), 民間説話 : 理論と展開, 上・下, 荒木博之、石原綏代 (訳), 社会思想社  - The Folktale (1946) の訳出
    • トンプソン, スティス (2013), 民間説話: 世界の昔話とその分類, 八坂書房, ISBN 4896941500  - 上下巻の合本、新版
  • トンプソン, スティス, アメリカ・インディアンの民話, 民俗民芸双書, 49, 皆河宗一 (訳), 岩崎美術社 

スティス・トンプソンのモチーフ・インデックス[編集]

「民間文芸のモティーフ索引」などとも称する。

以下、同インデックスからの抜粋である。[12]日本の研究論文などでも、原文(英語)のモチーフ題名を引用する場合が多いが、以下では日本語題名に仮訳している。したがって正式訳ではないが、かつて小澤かおるが、情報考古学研究所 (ROICA)のプロジェクトして未完の形で発表していたもの(A-T の大分類、及び B, D の中分類))を一部流用している。

  • A. 神話モチーフ群
    • A0-A99 創造主
      • A21 天界からの創造主
        • A21.1 男女の創造主たち
    • A100-A499 神格
    • A500-A599 半神半人・文化英雄
    • A500-A599 世界開闢論・世界観
    • A900-A999 地形・地象
    • A1000-A1099 天変地異
    • A1100-A1199 自然秩序の形成
    • A1100-A1699 創造と人間の営みの秩序
      • A1411 光を盗む
      • A1415 火を盗む
    • A1700-A1799 動物の生命の創造
    • A2200-A2599 動物の特質
    • A2600-A2699 樹木・植物の起源
  • B. 動物
    • B0-B99 神話的動物
    • B100-B199 魔法の動物
      • B100-B119 財宝の動物
      • B120-B169 魔法の知恵をもつ動物たち
      • B170-B199 その他の魔法の動物
    • B200-B299人間の特質をもつ動物
    • B300-B599 友好的な動物
      • B300-B349 援助してくれる動物たち―一般
      • B350-B399 感謝している動物たち
      • B400-B499 援助してくれる動物たちの種類
      • B500-B599 援助してくれる動物のいろいろな活動
      • B600-B699 ひとが動物と結婚する ⇒ 異類婚姻譚
      • B700-B799 動物の架空の特質
      • B800-B899 その他の動物のモティーフ
  • C. 禁忌
    • C0-C99 超自然存在にまつわる禁忌
    • C100-C199 性の禁忌
    • C200-C299 飲食の禁忌
    • C300-C399 見ることを禁ずる
    • C400-C499 喋ることを禁ずる
    • C900-C999 禁忌を破りうける罰
      • C 961.1 禁忌を破り塩柱に変身
  • D. 魔法
    • D0-D699 変身
      • D10-D99 別人に変身
      • D100-D199 変身:人が動物に
      • D200-D299 変身:人が物に
      • D300-D399 変身:動物が人に
      • D400-D499 変身のその他の形
      • D450-D499 変身:物が物に
      • D500-D599 変身の方法
      • D600-D699 様々な変身の発生
    • D700-D799 魔法の解除
    • D800-D1699 魔法の品物
      • D800-D899 魔法の品物の所有権
      • D900-D1299 魔法の品物の種類
        • D990--D1029. 魔法の体の一部
      • D300-D399 変身:動物が人に
        • D1080 魔法の武器
        • D1081 魔法の剣
          • D1081.1 魔法で作られた剣
      • D1300 - D1599 魔法の品物の機能
  • D1700 - D2199 魔法の力の出現
  • E. 死者
    • E0-E199 蘇生
    • E200-E599 幽霊その他霊
    • E600-E699 転生
    • E700-E799 魂
  • F. 不思議
    • F0-D199 異界への旅
    • F200-D699 不思議の生物
    • F700-D899 超常的な場所・品物
  • G. 鬼 (サタン)
    • G10-G399 鬼の種類
    • G100-G199 巨鬼
    • G200-G299 魔女
    • G300-G399 その他の鬼
    • G400-G499 鬼の支配下におかれる
    • G500-G599 鬼の敗北
  • H.テスト
    • H0-H199 正体の確認:識別
    • H300-H499 結婚の条件
    • H500-H899 知恵だめし
    • H900-H1199 技だめし:課業
    • H1200-H1399 技だめし:探求
  • J. 賢い人と愚か者
    • J0-J199 知恵・知識の獲得
    • J200-J1099 賢い行為・愚かな行為
    • J1100-J1699 賢さ
    • J1700-J2799 愚者
  • K. 騙し
    • K0-K99 騙しによる勝利
    • K100-K299 欺瞞な取引
    • K300-K499 窃盗・いかさま
    • K500-K699 騙して脱走
    • K700-K799 騙して捕獲
    • K800-K999 命取りな騙し
    • K1000-K1199 しっぺい返しを蒙る騙し
    • K1200-K1299 恥をかく騙し
    • K1300-K1399 誘惑やいんちき結婚
    • K1400-K1499 騙されて所有物を壊される
    • K1400-K1599 不倫にまつわる欺罔
    • K1600-K1699 騙す方が自分の罠にはまる
    • K1700-K1799 はったりによる騙し
    • K1800-K1899 変装・幻惑による騙し
    • K1900-K1999 偽者(替え玉、なりすまし)
    • K2100-K2199 讒言
  • L. 運命の逆転
  • M. 未来を定める
  • N. 偶然と運命
  • P. 社会
  • Q. 報いと罰
  • R. とりこと逃亡者
  • S. 不自然な残酷さ
  • T. 性
  • U. 人生かくのごとし (The Nature of Life)
  • V. 宗教
  • W. 性格的特質 (Traits of Character)
  • X. ユーモア/滑稽譚 (Humor)
  • Z. その他のモティーフ群

脚注[編集]

補注[編集]

  1. ^ キトレッジ教授は、"The Blue Band"と称しているが、これはヨーロッパの類話のことで、もとはカール・ミューレンホフ英語版編(1845年)の第XI話「 Der blaue Band」として発表された、ドイツのシュレースヴィヒ=ホルシュタイン州ディトマルシェン英語版マルネ英語版からの採集話である。カナダ原住民の原話は、プライニー・アール・ゴダード英語版が『Chipewyan Texts』 (1912年) において編訳する "The Boy who became Strong"である。北ドイツ民話については、ベンジャミン・ソープの英訳(1853年) "The Blue Riband"がある。

出典[編集]

  1. ^ 堀 1971, p. 302
  2. ^ Thompson 1996, p. 307=Thompson 1994, "Distinguished Service 1953-1955", p.34
  3. ^ Richmond 1957
  4. ^ Dundes, Alan (1966). “The American concept of folklore” (snippet). Journal of the Folklore Institute 3.3: 240. http://books.google.com/books?id=BFgsAAAAMAAJ. (pp. 226-249)
  5. ^ Thompson 1996, pp. 57-58=Thompson 1994, "Distinguished Service 1953-1955", pp.19-20
  6. ^ Richmond 1957
  7. ^ 堀 1971, p. 348
  8. ^ Thompson 1996, pp. 57-58=Thompson 1994, "Distinguished Service 1953-1955", pp.19-20
  9. ^ Dorson 1977, p. 4
  10. ^ Warren 1976, p. 145
  11. ^ 堀 1971, p. 333
  12. ^ Thompson, Stith (2006). The Folktale (reprint). Kessinger Publishing. pp. 488-. ISBN 1425486568. http://books.google.com/books?id=xqoDnnzuwycC&pg=PA488. 

参考文献[編集]

邦文資料
洋書:自叙伝・人物評

外部リンク[編集]