片山敏彦

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索
片山敏彦

片山 敏彦(かたやま としひこ、1898年明治31年)11月5日 - 1961年昭和36年)10月11日)は、詩人、文学研究者、ドイツ文学者フランス文学者ロマン・ロランヘッセリルケハイネゲーテらの翻訳も多く、『著作集』全10巻がある。


経歴[編集]

1898年明治31年)11月5日、高知市帯屋町に生まれた。医師の父徳治・母歌・姉佐栄との4人家族であった。1905年、高知市立第三尋常小学校へ入学、1911年、高知県立第一中学校(現在の追手前高校)に進んだ。多感で、詩に牽かれ、短歌を投稿するなどした。

1916年(大正5年)(18歳)、岡山市第六高等学校第3部(医科)に入学した。西欧の哲学、文学を耽読した。1919年、高校卒業後、文学を志して上京した。同人雑誌を出した。

1921年(23歳)、東京帝国大学独逸文学科に入学。このころ高田博厚高村光太郎尾崎喜八らを知った。1923年、斎藤知子と同棲し、翌2月結婚した。ロマン・ロランに心酔した。

1924年(26歳)、大学を卒業し、法政大学予科独逸語専任教授となった(1932年まで)。母没。高村、高橋元吉、高田、尾崎らと雑誌『大街道』を創刊し、また、ゲーテの『エッカーマンとの対話』の翻訳を、雑誌『不二』に載せた。1925年、ロランとの文通を始めた。上記の仲間らと『ロマン・ロラン友の会』を作った。油絵を美術展に出品した。井荻(現在は杉並区清水)に新居を構え、疎開を除き終生住んだ。

1926年(28歳)、ロラン生誕60年記念のスイスの出版に、独文を寄稿した。倉田百三と交際した。1928年、高村・高田・尾崎らと雑誌『東方』を始めた。

1929年(昭和4年)(30歳)、4月に出航し、6月から翌々年3月までヨーロッパに滞在した。パリでは、ヴィルドラックデュアメルらと交わり、また、スイスに住んでいたロマン・ロランを訪ねて知遇を得た。ドイツでは、シュテファン・ツヴァイクを訪ね、アルザスシュヴァイツァーに会った。

1932年6月、第一高等学校講師となり、ドイツ語を教えた。1933年1月、妻を喪った。4月、法政大学文学部講師となった(1937年まで)。1935年3月、父没。菊地愛子と再婚した。雑誌『世代』を発行した(1941年まで)。

1938年2月、第一高等学校教授となった。1945年4月、その職を辞し、6月、群馬県北軽井沢に空襲を避け、栄養失調となり、戦後の10月、小諸市近在の塩名田に疎開した。

1947年1月、杉並の自宅に戻り、3月から1年間東京大学ドイツ文学科の講師を勤めた。1949年、『日本・ロマン・ロランの友の会』発足に伴い委員長となった。みすず書房版『ロマン・ロラン全集』の監修・翻訳をしている。

1952年、フランス政府文化使節として来日したデュアメルの、歓迎委員になった。

1956年9月(58歳)夫人没。1957年と1958年、高知女子大学で集中講義を行った。1959年、雑誌『表象』が『片山敏彦還暦記念特集号』を組んだ。1960年4月、小山富士夫高田博厚武者小路実篤らと美術展を開くなど、抽象性の強い絵画を多く描いた。

1961年、前年秋から肺癌に冒され、4月東大病院へ入院。闘病を経て満63歳を前に10月没した。

著作[編集]

  • 『朝の林』(詩集)自費出版(1929)
  • 『ロマン・ロラン』(評論)、六芸社(1937)/新潮文庫(1950)
  • 『心の遍歴』(評論集)中央公論社(1942)
  • 『詩と友情』(評論集)三笠書房(1943)
  • 『暁の泉』(詩集)自費出版(1944)
  • 『詩心の風光』(随筆集)美焉書房(1946)※みすず書房の創業出版/ みすず書房(新版2006)
  • 『詩と文化』(評論集)二見書房(1947)
  • 『紫水晶』(随筆)世界書房(1947)
  • 『リルケ』(評論)角川書店(1948)
  • 『愛と孤独』(評論集)みすず書房(1948)
  • 『雲の旅』(随筆集)早川書房(1949)
  • 『精神の風土』(評論集)池田書店(1950)
  • ルノワール』(評論)美術出版社・少年美術文庫(1951)
  • 『幸福論』(評論集)要書房(1952)
  • 『魂のよろこび』(評論集)雲井書店(1955)
  • ボナール』(美術評論)みすず書房(1955)
  • 『印象派Ⅱ』(美術評論)みすず書房(1955)
  • ルドン』(美術評論)みすず書房(1956)
  • モネ』(美術評論)みすず書房(1958)
  • 『片山敏彦詩集』みすず書房(1958)
  • クレー』(美術評論)みすず書房(1959)
  • 『泉のこだま』(随筆集)アポロン社(1959)
  • 片山敏彦著作集」(全10巻)、みすず書房(1971-1972)/日本図書センター(1998)
  1. 『詩集』、解説宇佐見英治
  2. 『ロマン・ロラン』解説清水茂
  3. 『ドイツ詩集』(訳詩集)解説河原忠彦
  4. 『橄欖のそよぎ 詩論・詩人論1』解説村上光彦
  5. 『さまよえる客 詩論・詩人論2』解説長谷川四郎
  6. 『青空の眼 芸術論集』解説山口三夫
  7. 『照応 比較文化・比較文学論』解説佐々木斐夫
  8. 『雲の旅 散文詩・回想』解説森本達雄
  9. 『自分に言う言葉 日記抄』解説青木やよひ
  10. 『書簡集』
  • 『片山敏彦 詩と散文』清水茂編・解説、小沢書店(1989)
  • 片山敏彦歌集刊行会『ときじく 歌集』(1988)限定私家版

翻訳[編集]

  • ロラン『愛と死との戯れ』叢文閣(1926)/岩波文庫(1998)
  • ロラン『時は来らん』叢文閣(1927)/みすず書房(1959)
  • ロラン『獅子座の流星群』岩波文庫(1932)/みすず書房「ロマン・ロラン全集 10」(1960)
  • ロラン『ベートーヴェンの生涯』岩波文庫(1938)
  • 『ハイネ詩集』新潮社(1938)/新潮文庫(1994)
  • アラン『文学語録』創元社(1939)
  • 『ヘッセ詩集』三笠書房(1941)/みすず書房(1998)
  • 『現代独逸短篇集』中央公論社(1941)
  • 『ドイツ近代詩集』蒼樹社(1941)
  • 『リルケ詩集』新潮社(1942)/みすず書房(1975)
  • カロッサ詩集』三笠書房 「カロッサ全集 7」(1942)/みすず書房(1998)
  • 『ドイツ詩集』新潮叢書(1943)/みすず書房(1990)
  • ゲーテ『歌と太陽』育英書院(1944)
  • ヘッセ『叙情詩集』二見書房(1946)
  • 『ゲーテ詩集』蒼樹社(1948)/岩波文庫 第2・4巻(1955、復刊1996)
  • ゲーテ『遠き恋人に寄す』角川書店(1948)
  • ゲーテ『マリエンバードの悲歌』角川書店(1948)
  • 『芸術と文化』(訳詩集)みすず書房(1950)
  • ロラン『内面の旅路』みすず書房(1950)/同「全集17」(1980)
  • アラン『文学論』創元社(1950)/新潮文庫(1966)
  • ゲーテ『タウリス島のイフィゲーニエ』岩波文庫(1951)
  • モーロワ 『文学研究』新潮社(1951)/新潮文庫(1958)
  • フランツ・ヴェルフェル『ベルナデットの歌 Ⅰ』エンデルレ書店(1951)
  • メーテルリンク 『貧者の宝』新潮文庫(1952)
  • リルケ『果樹園』人文書院(1952)
  • ロラン『ジャン・クリストフ』みすず書房「全集1-4」(1952 - 53)/新装版(1981)
  • ハーバート・リード『クレエ』みすず書房(1954)
  • ハンス・カロッサ『老手品師』養徳社(1957)
  • シュライヘア『マルヴィーダ・フォン・マイゼンブーグ』みすず書房(1957)(Berta Schleicher:Malwida von Meysenbug
  • 『世界詩集』(訳詩集)アポロン社(1960)
  • ツヴァイク『人類の星の時間』みすず書房 (1961)/みすずライブラリー(2001)

参考文献[編集]

  • 「巻末の〈年譜〉」『片山敏彦著作集 第9巻 自分に言う言葉 日記抄』 日本図書センター、1998年9月、復刻版。ISBN 4-8205-8269-0
  • 片山敏彦 『片山敏彦の世界 アルバム 生涯と仕事』 片山敏彦文庫の会編、みすず書房、1998年10月。ISBN 4-622-04708-X
  • 清水茂 『地下の聖堂 詩人片山敏彦』 小沢書店、1988年11月。

外部リンク[編集]