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海洋物理学

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
海洋物理学者から転送)
津波メカニズム研究も海洋物理学の対象

海洋物理学(かいようぶつりがく、: physical oceanography[1][2])とは、海流がどこをどのように流れているかなど、海洋物理的な条件・状態及び運動を記述・研究する学問である[3][4]。海洋物理学は「記述海洋物理学」(記述海洋学、descriptive physical oceanography[5])と「理論海洋物理学」から構成され、前者の目的は海洋観測による海洋の状態、変動、物質分布の解析および記述であり、後者の目的はそのメカニズムを説明する理論・数値モデルを構築することにある。

概要

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記述海洋物理学に用いられる海洋観測は多岐にわたり、海洋化学海洋生物学とも重なる部分がある。観測船(みらいなどの研究船による観測航海[6][7]商船などの篤志観測船(: Voluntary Observing Ship、略称:VOS[8]による観測)、漂流・固定ブイによる現場観測が主流であったが、技術的発展により様々な観測方法が提案され、海洋光学(光学の応用)、[9][10][11]海洋音響学(音響学の応用)、[12][13][14]衛星海洋学人工衛星によるリモートセンシングの応用)[15][16][17]などのサブカテゴリが存在する。

理論海洋物理学(海洋力学)は、気象力学とともに地球流体力学の一部分をなし、流体力学熱力学などを基礎とした応用科学である。計算物理学の一分野としても発展しており、[18]多くの海洋数値モデルプログラム(ほとんどは差分法による微分方程式数値積分によって解かれ、[19]有限要素法境界要素法によるものは稀)がGPLなどのライセンスによって無料で公開されている。[注釈 1][20]近年では地球シミュレーターなどの計算機の発展により、現実的な海洋に極めて近い状態をシミュレートできるまでに至っているが、[21]混合のパラメタリゼーションなどの課題も多く残されている。

脚注

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注釈

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  1. ^ 例えばデルフト工科大学が開発したSWASHアメリカ海洋大気庁MOM等がある。

出典

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  1. ^ 文部省 編『学術用語集 海洋学編』日本学術振興会、1981年。ISBN 4-8181-8154-4http://sciterm.nii.ac.jp/cgi-bin/reference.cgi 
  2. ^ Knauss, J. A., & Garfield, N. (2016). Introduction to physical oceanography. Waveland Press.
  3. ^ 海洋の物理学、花輪公雄、共立出版
  4. ^ 海で起きている現象を物理と数学で解き明かすのが海洋物理学 大分大学教育福祉科学部
  5. ^ Talley, L. D. (2011). Descriptive physical oceanography: an introduction. Academic Press.
  6. ^ 米山邦夫. (2000). 海洋地球研究船 「みらい」 による観測研究. 日本航海学会誌 NAVIGATION, 143, 159-171.
  7. ^ 米山邦夫. (2000). 海洋地球研究船 「みらい」 による大気・海洋観測 (<特集> 海洋調査). らん: 纜, 47, 13-18.
  8. ^ Kent, E., Hall, A. D., & Leader, V. T. T. (2010, February). THE VOLUNTARY OBSERVING SHIP(VOS) SCHEME. In Proceedings from the 2010 AGU Ocean Sciences Meeting. American Geophysical Union, 2000 Florida Ave., N. W. Washington DC 20009 USA,.
  9. ^ 海洋環境光学、杉森康宏 (編)坂本亘(編)、1985年、東海大学出版会
  10. ^ Jerlov, N. G. (1976). Marine optics. Elsevier.
  11. ^ Jerlov, N. G. (2014). Optical oceanography, Elsevier.
  12. ^ 海洋音響の基礎と応用、海洋音響学会(編)、2004年、成山堂書店
  13. ^ Buchanan, J. L., Gilbert, R. P., Wirgin, A., & Xu, Y. S. (2004). Marine acoustics: direct and inverse problems. Society for Industrial and Applied Mathematics.
  14. ^ Caruthers, J. W. (1977). Fundamentals of marine acoustics. Elsevier.
  15. ^ Robinson, I. S. (2004). Measuring the oceans from space: the principles and methods of satellite oceanography. Springer Science & Business Media.
  16. ^ Maul, G. A. (2012). Introduction to satellite oceanography (Vol. 3). Springer Science & Business Media.
  17. ^ Robinson, I. S. (2010). Discovering the Ocean from Space: The unique applications of satellite oceanography. Springer Science & Business Media.
  18. ^ 日高孝次. (1970). 海洋力学における数値解法の応用. 日本海洋学会誌, 26(4), 237-241.
  19. ^ Blayo, E., & Debreu, L. (1999). Adaptive mesh refinement for finite-difference ocean models: first experiments. Journal of Physical Oceanography, 29(6), 1239-1250.
  20. ^ Prinos, Panayotis (2020): Modelling coastal hydrodynamics. Available from [1] (accessed on 20-02-2021)
  21. ^ 松野健 (1990) 電子計算機の発達と数値実験 ―海洋物理学の場合― センターレポート, 9, pp.27-35; 長崎大学総合情報処理センター. https://hdl.handle.net/10069/25360

関連項目

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外部リンク

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