東急6000系電車 (2代)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
Jump to navigation Jump to search
東急6000系電車
東急6000系 (2008年3月28日 / 尾山台駅 - 等々力駅間)
東急6000系
(2008年3月28日 / 尾山台駅 - 等々力駅間)
基本情報
運用者 東京急行電鉄
製造所 東急車輛製造[* 1]
総合車両製作所横浜事業所[* 2]
製造年 2008年 - 2017年
製造数 6編成42両
運用開始 2008年3月28日
投入先 大井町線
主要諸元
編成 7両編成
軌間 1,067 mm
電気方式 直流1,500V
架空電車線方式
最高運転速度 95 km/h(大井町線)
110 km/h(田園都市線)
設計最高速度 120 km/h
起動加速度 3.3 km/h/s
減速度(常用) 3.5 km/h/s
減速度(非常) 4.5 km/h/s
編成定員 878人
車両定員 先頭車139人
中間車150人
自重 クハ6100形 (Tc2) 26.9 t
デハ6200形 (M) 30.7 t
サハ6300形 (T) 28.2 t
デハ6400形 (M2) 33.3 t
デハ6500形 (M1) 32.9 t
クハ6600形 (Tc1) 26.8 t
編成重量 178.8 t
全長 20,435 mm(先頭車)
20,000 mm(中間車)
全幅 2,800 mm
全高 4,050 mm
主電動機 かご形三相誘導電動機
(定格出力190kW/端子電圧1100V、電流128A、周波数62Hz、定格回転数1825rpm)
主電動機出力 190 kW
駆動方式 TD継手式中実軸平行カルダン駆動方式
歯車比 87:14 (6.21)
編成出力 2,280 kW
制御方式 VVVFインバータ制御
IGBT素子
制動装置 回生ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキ全電気ブレーキ
保安装置 ATC-P
備考
  1. ^ 増強用中間車以外
  2. ^ 増強用中間車のみ
テンプレートを表示

東急6000系電車(とうきゅう6000けいでんしゃ)は、2008年平成20年)3月28日に営業運転を開始した東京急行電鉄通勤形電車

東急で6000系を名乗る形式はこれで2代目になるため、「新6000系」と呼ばれることもある。

登場の経緯[編集]

大井町線では1993年以降、田園都市線のバイパス路線としての機能を持たせることを目的に輸送力増強工事が行われており[1]、この一環として2008年3月28日から、それまで全列車5両編成で運行されていた大井町線に6両編成の急行列車を運行することとなり、これに充当する車両として製造されたものである[2]。6両編成6本(36両)が投入された。

2017年度下期より大井町線急行を現行の6両編成から7両編成に増強することになり[3]、同年8月29日から30日にかけて中間車デハ6300[4]総合車両製作所から甲種輸送された。同年11月4日より6103Fを皮切りに7両編成での運用を開始[5][6]、2018年2月9日に6101Fが7両編成化したことをもって6000系の全編成が7両編成化され[7]、現在は7両編成6本(42両)の陣容となっている。

概要[編集]

「人と環境にやさしい車両」を全体の設計コンセプトとして、東急ですでに標準車両としている5000系列を設計のベースとした20m級片側4扉のオールステンレス車両である[2]

車体[編集]

基本的には5000系列と共通の部材を使用したステンレス製である。先頭車前面は繊維強化プラスチック (FRP) 製で、運転室から見て右側にオフセット配置された非常用貫通扉を有する。形状は5000系列と異なる特徴的なくさび形とされた。前照灯尾灯は5000系列や池上線多摩川線向けの7000系と異なり、下部両サイドに縦一列に配置されている。

車体配色は5000系列までの車両とは異なり、前面と側面窓上から屋根にかけて東急のコーポレートカラーである赤を配しており、色調も紅色(カーマイン)やマルーンに近いものとなっている。側面には大井町線のラインカラーである橙色が配されており、裾部の帯に加えて、スピード感の演出のため1両あたり2か所、天地いっぱいに前面形状に準じた「くの字」形のグラフィックが配されている。これは編成中央の3・4号車を境に両端に向かうデザインとされている(左写真二子新地のものを参照)。最初に落成した6101Fのみ、側面幕板部の赤帯と裾部の橙色の帯がない状態で出場し、長津田検車区への搬入後、同区にて施工されている。なお、他の大井町線用車両は急行運転開始時に前面帯のグラデーション化と大井町線を示すステッカーが貼り付けられたが、6000系にはステッカーの貼り付けは行われていない。

床面高さはレール面から1,130mmであり、レール面から1,100mmのプラットホームとの段差を低減している。

冷房装置は能力61.05kW (52,500kcal/h) の集中式を屋根上に1基搭載する。装置内の電熱ヒーターおよびヒートポンプ冷凍サイクルを活用した冬期の暖房や除湿も可能としている。

前面と側面の種別・行先表示器フルカラーLED式である。8500系8090系2000系方向幕換装車および2004年以降に製造された5000系列では種別表示器をフルカラーLED式、行先表示器を白色LED式としてきたが、本系列では行先表示器もフルカラー式となった。ドア用車側灯のカバーの色は従来の車両の赤から無色透明となり、太陽光の散乱などによる誤認を防いでいる。

なお、大井町線でドアカットを行っている九品仏駅は急行通過駅であるため、ドアカットを示すステッカーは貼付されていない。

車内[編集]

客室のカラースキームは、車端部を木目調、そのほかの壁面は白を基調としている。

座席はすべてロングシートで、1人あたりの掛け幅は460mmである。形状や材質は5000系3次車以降や7000系と共通であるが、座席モケットの色は座面部が橙色、背もたれ部が赤や橙色などを配したモザイクである。7人掛けの座席部には2か所に手摺りを配するが、ユニバーサルデザインの一環として弓状に通路部に突出させた形状とされた。この手摺りは5000系5・6次車で優先席部分のみに設置されたが、本系列では7000系と同様に全座席配置とされた。

客用ドア間のつり革位置は床面から1,630mmが基本であるが、これもユニバーサルデザインの一環として1,580mmのものを3個配置することで小柄な顧客、子供高齢者がつかまりやすいように配慮されている。荷棚は金網構成で、3000系より20mm位置を低くしている。

車椅子スペースは中間電動車のデハ6200形とデハ6500形の車端部に各1か所設置されている。この部分もユニバーサルデザインの一環として7000系と同様に手すりを横方向に2段設置し、車椅子利用の乗客以外にもベビーカー利用の乗客や立席の乗客に対しても配慮されている。また、各車両間の貫通扉は5000系5次車以降と同じく傾斜式戸閉装置(上吊り傾斜レールによるドアクローザ)を採用されている。

客室側窓は車端部に固定式を1枚、客用ドア間に5000系列に準じた下降式のものを1枚配している。窓ガラス熱線吸収および紫外線カットを図っており、5000系列や7000系と同様に巻き上げカーテンは省略されている。

客用ドアは5000系6次車(5111F - 5114F・5166F - 5168F)と同一仕様で、室内側は化粧板仕上げとされ、戸当たり部分には黄色のマーキングを施している。窓ガラスは結露防止の観点から複層構造が採用されている。

客用ドア上部にはTIPによる15インチ液晶ディスプレイ (LCD) を2基設置している。5000系列(5080系の一部を除く)と同一のレイアウトであり、右側に停車駅、乗り換え案内、ドア開閉方向、駅ホーム設備案内などを表示するほか、異常時における運行情報を表示する。左側は「TOQビジョン」で、動画広告を表示することも可能である。そのほかにも多チャンネル機能を有しており、車内の左右で異なる画面を表示することが可能である。さらに、ドアチャイムとドア開閉表示灯も設置している。

最近になって案内表示用のROMが更新され、表示内容が東横線と類似した表示になり、駅ナンバリングと新しい路線シンボルに対応した。ただし、優等列車の次駅の停車案内で東横線は「自由が丘の次は武蔵小杉にとまります」と表示されるのに対して、大井町線では「自由が丘の次は【大岡山】にとまります」と表示され、若干ながら表示に違いがある。[要出典]

運転室の機器配置は5000系列と共通である。運転室と客室の仕切窓は5000系列と同じ構成であるが、運転席背後の窓寸法は5000系列より縮小されているほか、この窓のみ遮光ガラスが使用されている。運転席背後と仕切扉には遮光幕が設置されている。

なお、2011年11月から04編成の車内の照明器具にLEDが試験導入され、各車両毎にメーカーが違う。車端部分の上部にそれを示すステッカーが貼付されており、使用しているメーカー名も記載されていた。以後2013年から5000系1500系などに順次導入されている[8]。その後、04編成は試験終了に伴い2012年に1号車を除き蛍光灯に戻されたが、2014年度に全編成の車内照明がLED化されている。

走行機器など[編集]

主回路システムは、5080系と同一の東芝IGBT素子 (IEGT) による2レベル方式のVVVFインバータ制御(容量 3,300V/1,200A)で、回生ブレーキ機能と全電気ブレーキ機能を有する。1基のインバータ装置で4個のかご形三相誘導電動機を駆動する1C4M方式2群のユニットをデハ6500形に、1C4M1群のユニットをデハ6200形に搭載する。編成中の電動車と付随車の構成(MT比)は3M3Tである。

補助電源装置は、IGBT素子による容量210kVAの静止形インバータ (SIV) をサハ6300形とデハ6400形に搭載する。7000系と異なりVVVFインバータとのデュアルモード構成ではない。

主電動機は5000系列・7000系と同一のTKM-99A型で、定格出力は190kWである。歯車比 (6.21) や駆動装置にTD継手を採用している点も5000系列や7000系と同一である。

台車東急車輛製造製の軸梁式軸箱支持ボルスタレス台車で、ホイールベースは2,100mmである。基本構造は電動台車 (TS-1019A) ・付随台車 (TS-1020A) とも共通化されており、基礎ブレーキ装置もユニットブレーキとされている。

パンタグラフはシングルアーム式で、デハ6200形に1基、デハ6500形に2基搭載される。

空気圧縮機は騒音低減を図ったスクロール式で、サハ6300形とデハ6400形に各1台搭載される。

保安装置はATC-Pのみ装備する。大井町方先頭車のクハ6100形に車上装置を、溝の口方先頭車のクハ6600形に受信用増幅器を搭載し、両車間を制御伝送するシステムとしている。このATC装置には情報伝送装置(トランスポンダ)を用いることで「駅停車制御」「臨時速度制御」「踏切制御」の機能が付加されている。

編成[編集]

  • 個別の編成を指す場合は、大井町方のクハ6100形の車両番号を用いて「6101F」(「F」は編成を意味するFormationの頭文字)のように表記される。

7両編成化前[編集]

 
← 大井町
二子玉川・溝の口・鷺沼・長津田・中央林間
号車 1 <2 3 4 <5> 6
形式 クハ6100
(Tc2)
デハ6200
(M) ●
サハ6300
(T)
デハ6400
(M2)
デハ6500
●(M1)
クハ6600
(Tc1)
搭載機器 ATC cont SIV,CP SIV,CP CONT  
車両番号 6101
6102
6103
6104
6105
6106
6201
6202
6203
6204
6205
6206
6301
6302
6303
6304
6305
6306
6401
6402
6403
6404
6405
6406
6501
6502
6503
6504
6505
6506
6601
6602
6603
6604
6605
6606
凡例 
  • ATC:ATC-P車上装置 
  • cont:主制御器(1C4M1群) 
  • CONT:主制御器(1C4M2群) 
  • SIV:補助電源装置(210kVA静止形インバータ) 
  • CP:空気圧縮機
  • <>:パンタグラフ
  • ●:車椅子スペース設置箇所

7両編成化後[編集]

 
← 大井町
二子玉川・溝の口・鷺沼・長津田・中央林間
号車 1 <2 <3 4 5 <6> 7
形式 クハ6100
(Tc2)
デハ6200
(M) ●
デハ6300
●(M)
サハ6400
(T)
デハ6500
(M2)
デハ6600
●(M1)
クハ6700
(Tc1)
搭載機器 ATC cont cont SIV,CP SIV,CP CONT  
車両番号 6101
 
6102
 
6103
 
6104
 
6105
 
6106
 
6201
 
6202
 
6203
 
6204
 
6205
 
6206
 
6301 (II)
 
6302 (II)
 
6303 (II)
 
6304 (II)
 
6305 (II)
 
6306 (II)
 
6401 (II)
(6301)
6402 (II)
(6302)
6403 (II)
(6303)
6404 (II)
(6304)
6405 (II)
(6305)
6406 (II)
(6306)
6501 (II)
(6401)
6502 (II)
(6402)
6503 (II)
(6403)
6504 (II)
(6404)
6505 (II)
(6405)
6506 (II)
(6406)
6601 (II)
(6501)
6602 (II)
(6502)
6603 (II)
(6503)
6604 (II)
(6504)
6605 (II)
(6505)
6606 (II)
(6506)
6701
(6601)
6702
(6602)
6703
(6603)
6704
(6604)
6705
(6605)
6706
(6606)
備考
  • 括弧内の番号:旧番号
  • (II)と付記した番号:同番号の2代目の車両

運用[編集]

基本的に大井町駅 - 溝の口駅間の急行に使用されるが、夜間に大井町始発で田園都市線鷺沼駅長津田駅までの運用や、土休日ダイヤの朝間帯に田園都市線中央林間発の運用、日中には毎時2本長津田発着の運用がある。この場合でも田園都市線内は急行として運転されるが、田園都市線が人身事故等で急行運転を取り止めた場合、田園都市線内は各停で運転されることがある。後に運用を開始した6020系とは2018年12月まで共通運用を組んでいるが、6020系にデュアルシート車両が組み込まれ、座席指定列車を設定する関係上、同月実施予定のダイヤ改正でオールロングシート車の6000系と1両にデュアルシート車を組み込む6020系の運用は分離される予定である。

車体装飾[編集]

  • 2008年3月28日の運転開始は3編成にヘッドマークの装着と車体広告の貼付を行っていた。6101Fは6000系デビューのヘッドマーク2種類(うち1種類は旧6000系と一緒に表記)が、6104Fは「東急お台場パス」のヘッドマークと車体広告、6105Fは大井町線急行運転開始の車体広告を施している。

出典[編集]

  1. ^ “「大井町線改良工事および田園都市線複々線化工事」に伴う大井町線急行運転実施時期の変更について” (プレスリリース), 東京急行電鉄, (2003年6月18日), http://www.tokyu.co.jp/file/030618.pdf 2018年7月22日閲覧。 
  2. ^ a b “3月28日、大井町線の急行運転を開始、田園都市線の混雑緩和を目指します さらに新型車両導入、田園都市線の夕刻・夜間の増発など、快適・便利な鉄道を目指した施策に取り組みます” (プレスリリース), 東京急行電鉄, (2008年2月15日), http://www.tokyu.co.jp/file/080215-1.pdf 2018年7月22日閲覧。 
  3. ^ “田園都市線および大井町線の朝ラッシュ時の混雑緩和施策を実施 ピーク前増発や大井町線急行7両編成化など、都心方面の輸送力を増強するとともに、移動手段、働く場所、乗車時間の多様な選択肢を提供します” (プレスリリース), 東京急行電鉄, (2017年3月22日), http://www.tokyu.co.jp/file/170322-1.pdf 2018年7月22日閲覧。 
  4. ^ 東急6000系中間車が甲種輸送される 鉄道ファン(railf.jp) 2017年8月30日
  5. ^ 都心方面への輸送力を増強し混雑緩和を推進します! 大井町線急行列車の7両編成化と新型車両6020系の導入 (PDF)”. 東京急行電鉄株式会社 (2017年10月12日). 2017年10月12日閲覧。
  6. ^ 東急大井町線で7両編成の急行列車の運転開始 鉄道ファン(railf.jp) 2017年11月5日
  7. ^ 大野雅人 (2018年3月1日). “東急大井町線が急行7両統一、ホーム延伸で大変身”. 日経xTECH. 日経BP. 2018年7月22日閲覧。
  8. ^ 環境報告書2014 特集3 鉄道事業における消費電力・CO2排出量削減対策 鉄道車両への「LED車内照明」の導入”. 2015年1月27日閲覧。

参考文献[編集]

  • 東京急行電鉄(株)運転車両部 車両課 望月敏明「新車ガイド 東京急行電鉄6000系」『鉄道ファン』2008年4月号(通巻564号)p.67 - 73、交友社

外部リンク[編集]