条件付き確率

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等式 P(AB) = P(A|B) P(B) の決定木による図示。

条件付き確率(じょうけんつきかくりつ、: conditional probability)は、ある事象B が起こるという条件下での別の事象A確率をいい、これを P(A|B) または PB(A) と書く[1]

定義[編集]

A およびB を事象とし、P(B) > 0 とすると、B におけるA の条件付き確率は

あるいは

により定義される[2][3]

独立性[編集]

二つのランダムな事象 AB

のとき、またそのときに限り独立である。あるいは独立な事象 AB については

かつ

である。言い換えれば、AB が独立ならば条件 B における A の条件付き確率は A 単独の確率に等しい。同様に条件 A における B の条件付き確率は B 単独の確率に等しい。社会現象においては、独立性を確認することは困難で、独立性を仮定して論を進めることがある。しかし、独立性が確認できない状態では、結論は仮定が成り立てばという条件付きであることを記録しておくとよい。

排反性[編集]

二つの事象 AB は、

かつ

である限りにおいて、

のとき、またそのときに限り排反的である(AB排反事象という)。従って

である。言い換えると、B が起こるという条件で A の起こる確率はゼロであり、また A が起こるという条件で B の起こる確率はゼロである。

その他[編集]

  • ある事象 B に対して P(B) > 0 ならば、すべての事象 A に対して、Q(A) = P(A|B) で定義される関数 Q確率測度である。
  • P(B) = 0 ならば、P(A|B) は定義されない。
  • 条件付き確率は決定木ベン図によりわかりやすく表示できる。

関連する概念とそれらの関係[編集]

同時確率[編集]

同時確率または結合確率: joint probability)は、二つの事象がどちらも起こる確率をいう(時間的に同時という意味ではない)。AB の同時確率を P(AB) または P(A, B) と書く。なお、同時分布は、二つ以上の多次元分布関数を指す[4]

周辺確率[編集]

周辺確率: marginal probability)は、他の事象にかかわりなく一つの事象だけの確率をいう(普通の条件なしの確率と等しい)。周辺確率は同時確率を不要な事象に関して合計(または一般に積分)すれば得られる。A の周辺確率はP(A)、B の周辺確率はP(B)と書く。なお、周辺分布は、k 次元確率変数部分集合である k1 変数の同時分布である[5]

ただし、以上の二つの事象 AB の間には時間関係または因果関係はなくてもよく、どんな関係であってもよいことに注意されたい。例えばベイズ推定で用いられる事後確率とは、ある根拠を条件として、その原因となった(時間的にも以前の)事象を推測した確率をいう。

確率に条件を付けるということは、別の(あるいは新たな)情報を考慮して確率を改訂することであり、数学的にはベイズの定理で示される。

脚注[編集]

  1. ^ 西岡 2013, p. 44, §4.1 条件付き確率.
  2. ^ 伏見 1942, p. 63, 第II章 確率論 8節 公理系.
  3. ^ ラプラス 1997, p. 21, 第四原理.
  4. ^ JIS Z 8101-1 : 1999, 1.4 2次元分布関数.
  5. ^ JIS Z 8101-1 : 1999, 1.6 周辺分布.

参考文献[編集]

関連項目[編集]