月讀宮

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月讀宮

社殿(2015年)
所在地 三重県伊勢市中村町742-1[1]
位置 北緯34度28分24.6秒 東経136度43分43.8秒 / 北緯34.473500度 東経136.728833度 / 34.473500; 136.728833座標: 北緯34度28分24.6秒 東経136度43分43.8秒 / 北緯34.473500度 東経136.728833度 / 34.473500; 136.728833
主祭神 月讀尊
社格 式内社(大)
皇大神宮別宮
創建 延暦23年(804年)以前
本殿の様式 神明造
地図
月讀宮の位置(三重県内)
月讀宮
月讀宮
地図
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月讀宮(つきよみのみや)は、三重県伊勢市中村町にある神社伊勢神宮皇大神宮(内宮)別宮。式内社。「月宮」と略字表記される場合がある。

第62回神宮式年遷宮では、内宮の遷御の約1年後の2014年平成26年)10月6日午後8時に遷御が行われた[2]

概要[編集]

表参道口の鳥居
内宮末社の葭原神社
手水舍と宿衛屋

月讀宮は豊受大神宮(外宮)から約3.8km、皇大神宮(内宮)から約1.8kmの五十鈴川中流域の中村町にある内宮別宮である。祭神は月讀尊(つきよみのみこと)。「つきよみさん」とも呼ばれるが、同じく「つきよみさん」と呼ばれる外宮別宮の月夜見宮の祭神「月夜見尊」は本別宮と同じ神とされている。

宮域には同じく内宮別宮の、月讀尊の魂を祭神とする月讀荒御魂宮(つきよみのあらみたまのみや)、伊弉諾尊(いざなぎのみこと)を祭神とする伊佐奈岐宮(いざなぎのみや)、伊弉冉尊(いざなみのみこと)を祭神とする伊佐奈弥宮(いざなみのみや)の3社がある。複数の社殿が並ぶ別宮は月讀宮以外では瀧原宮の2社のみで、社殿は荒祭宮以外の内宮の他の別宮と同等で、正宮に比べれば小規模であるものの、神明造社殿が4つ並ぶ様は壮観である。月讀荒御魂宮は2014年(平成26年)10月6日午後10時、伊佐奈岐宮・伊佐奈弥宮は10月10日に遷御を催行した[2]。2014年(平成26年)に解体された月讀荒御魂宮の古材は、2012年(平成24年)に火災で本殿を焼失した栃木県足利市緑町の八雲神社へ譲られた[3]

向かって右(東)から月讀荒御魂宮、月讀宮、伊佐奈岐宮、伊佐奈弥宮と並んでいるが、参拝は月讀宮-月讀荒御魂宮-伊佐奈岐宮-伊佐奈弥宮の順が正しいとされる。

最高神天照大神(あまてらすおおみかみ)の弟神の月讀尊が祭神であることから、内宮別宮としては天照大神の魂を祭神とする荒祭宮(あらまつりのみや)に次ぐ順位で、内宮宮域外の別宮としては最高位の別宮である。

宮域には上記別宮4社のほかに、内宮末社の葭原神社(あしはらじんじゃ)がある。ほかの境外別宮と同様に、神職が参拝時間内に常駐する宿衛屋(しゅくえいや)があり、お札・お守りの授与や、神楽や御饌の取次ぎを行なっている。

祭神[編集]

歴史[編集]

由緒は定かではないが、第50代桓武天皇延暦23年(804年)の大神宮儀式帳に「月讀宮一院、正殿四区」で、一囲の瑞垣内に祀られていたと記されており、別宮4社あわせて「月讀宮」と呼ばれていた。第56代清和天皇貞観9年(867年)8月に伊佐奈岐宮と伊佐奈弥宮の宮号が与えられた。

第60代醍醐天皇延長5年(927年)の延喜式によれば、この時代には伊佐奈岐宮と伊佐奈弥宮に瑞垣をめぐらし一院とし、月讀宮と月讀荒御魂宮が同様に一院となっていたとされる。1873年明治6年)より、4社とも個別の瑞垣を持つ現在の形になった。

祭事[編集]

皇大神宮に準じた祭事が行なわれ、祈年、月次、神嘗、新嘗の諸祭には皇室からの幣帛(へいはく)がある。

  • 1月
    • 歳旦祭(さいたんさい)(1月1日) 新年を祝い、皇位の無窮を祈る祭り。
    • 元始祭(げんしさい)(1月3日) 年始にあたり、天津日嗣(あまつひつぎ)の本始を祝う祭り。
  • 2月
    • 建国記念祭(けんこくきねんさい)(2月11日) 神武天皇の建国の創祀を祝う祭り。
    • 祈年祭(きねんさい)(2月18日) 年の初めに穀物の豊穣と国家の安泰を祈る祭り。
    • 天長祭(てんちょうさい)(2月23日)徳仁天皇の誕生日を祝う祭り。
  • 5月
    • 風日祈祭(かざひのみさい)(5月14日) 外宮内宮のほか、別宮末社摂社などに幣帛を供進し、風雨の災いなく五穀豊穣であるように祈る神事。
  • 6月
    • 月次祭(つきなみさい)(6月18-19日) 6月と12月の11日に国家の平安と天皇の福寿を祈った祭り。神宮では神嘗祭と合わせて三節祭または三時祭と呼ぶ。
  • 8月
    • 風日祈祭(かざひのみさい)(8月4日) 外宮内宮のほか、別宮末社摂社などに幣帛を供進し、風雨の災いなく五穀豊穣であるように祈る神事。
  • 11月
    • 新嘗祭(にいなめさい)(11月24日) 天皇がその年に収穫された穀物を神に供えるとともに自らも食し、収穫を感謝する祭り。
  • 12月
    • 月次祭(つきなみさい)(12月18-19日)

境内[編集]

伊佐奈岐宮と伊佐奈弥宮

別宮4社の社殿はほぼ同じで、祭神が男神か女神かに関係なく内宮に準じ、内削ぎの千木と、6本で偶数の鰹木を持つ萱葺の神明造で南面している。遷宮のための古殿地は通常は東西に隣接するが、月讀宮は南北であり隣接していない。月讀宮の社殿はほかの3社より若干大きく、鳥居も大きい。

  • 月讀宮 - 伊勢神宮皇大神宮(内宮)別宮。内宮宮域外の別宮としては最高位の別宮。
  • 月讀荒御魂宮 - 祭神:月讀尊荒御魂(つきよみのみことのあらみたま)。皇大神宮(内宮)別宮。
  • 伊佐奈岐宮 - 祭神:伊弉諾尊。皇大神宮(内宮)別宮。
  • 伊佐奈弥宮 - 祭神:伊弉冉尊。皇大神宮(内宮)別宮。
  • 葭原神社 - 祭神:佐佐津比古命(ささつひこのみこと)、宇加乃御玉御祖命(うかのみたまのみおやのみこと)、伊加利比売命(いかりひめのみこと)。祭神はいずれも田畑を守護する五穀の神とされる。皇大神宮(内宮)末社。葭原神社は内宮に準じ、内削ぎの千木と偶数の4本の鰹木に板葺の神明造である。
  • 宿衛屋

交通[編集]

JR参宮線伊勢市駅から徒歩約1時間

脚注[編集]

  1. ^ 『式年遷宮記念 せんぐう館|125社5』(式年遷宮記念 せんぐう館、2015年5月3日閲覧)
  2. ^ a b 「神業?」何度も台風の直撃を回避する伊勢神宮の「遷御の儀」”. 伊勢志摩経済新聞 (2014年10月13日). 2014年10月19日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年10月19日閲覧。
  3. ^ 八雲神社に待望の本殿 伊勢神宮が譲渡” (2015年2月21日). 2015年2月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年2月28日閲覧。
  4. ^ 月読宮(皇大神宮別宮)”. 2024年3月9日閲覧。

参考資料[編集]

  • 『月讀宮以下四別宮参拝のしおり』(発行:神宮司庁)
  • 『お伊勢さんを歩こう』(発行:伊勢神宮崇敬会)
  • 『お伊勢まいり』(発行:伊勢神宮崇敬会)

関連項目[編集]