愛のコリーダ

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愛のコリーダ
L'Empire Des Sens
監督 大島渚
脚本 大島渚
製作 アナトール・ドーマン
若松孝二
出演者 松田暎子
藤竜也
音楽 三木稔
撮影 伊東英男
編集 浦岡敬一
製作会社 アルゴス・フィルム=オセアニック=大島渚プロ
配給 東宝東和
ギャガ・コミュニケーションズ (2000年)
公開 日本の旗 1976年10月16日
日本の旗 2000年12月2日
上映時間 104分
製作国 日本の旗 日本
フランスの旗 フランス
言語 日本語
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愛のコリーダ』 (あいのコリーダ、フランス語: L'Empire des sens英語: In the Realm of the Senses)は、1976年公開の日本フランス合作映画大島渚監督、藤竜也松田暎子主演。

制作プロダクションのノートによると、『本作は日本初のハードコア・ポルノとしてセンセーショナルな風評を呼んだ』としている[1]。題名の「コリーダ」はスペイン語闘牛を意味する「Corrida de toros」(牛の走り、la corridaのみでも闘牛を指す)からとっている。フランス語の題名 L'Empire des sens (官能の帝国)は、ロラン・バルトによる日本文化論 L'Empire des signes (邦題 『表徴の帝国』)にちなむ。

昭和史に残る「阿部定事件」を題材に、男女の愛欲の極限を描く。作品内容は神代辰巳監督の 『四畳半襖の裏張り』 (1973年)に大きな影響を受けており、大島自身も制作に当たって一番参考にした作品であることを認めている。

映画では主に藤竜也(吉蔵役)と松田暎子(定役)の性的シーンはすべて無修正であり、二人の陰部が無修正で写されているシーンもあるため、日本国内では大幅な修正が施されて上映されたが2000年に「完全ノーカット版」としてリバイバル上映された。

あらすじ[編集]

 昭和11年、東京中野の料亭「吉田屋」を舞台に、吉田屋の主人吉蔵(藤竜也)と阿部定(松田暎子)の二人が出会い、定が吉蔵に一目惚れする。吉蔵も定に惹かれ、二人は吉田やのそこここで密会を重ねていく。その関係が露見すると、二人は料亭を出奔して、待合に入り浸り酒や芸者をよびつつ、昼夜を問わずに体を求め合った。二人は待合の一室で貪るように愛欲生活を送った。二人の愛戯はエスカレートし、お互いの首を締め快感を高めるのが日常化していた。しかしある日、定は吉蔵の首を強く絞めすぎ、死ぬ寸前まで行った。定の介抱も実らず、吉歳は一旦、「吉田屋」に帰って養生すると定に伝える。しかし、定は吉蔵を自分一人のものにするため、吉蔵を殺す決意をする。

キャスト[編集]

スタッフ[編集]

主な性的シーンについて[編集]

映画では出演者の裸や性行為といった性的シーンが度々出てくるが、それらはすべて性器無修正で描写されている。そのためこれらのシーンはカットされ、前述のように日本国内では大幅な修正で上映された。主な性的シーンは以下のとおりである。

  • 吉蔵(藤竜也)と女将・トク(中島葵)が部屋で性交に及ぶ(アンダーヘアは確認できるが、結合部は見えない)。
  • 外で陰茎を露出したまま眠っていた老乞食(殿山泰司)に、子供たちが雪玉を投げている。
  • 定が吉田屋の廊下を歩いているとき老乞食が現れ、定の陰部を見たいと懇願し、定は外に出て陰部を見せる。老乞食は陰茎を出して手でしごくが勃起せず、彼女は諦めるよう促す(松田暎子のアンダーヘアは確認できるが、までは見えない)。
  • 夜、吉蔵が飲んでいる座敷へ酒を運んだ定に吉蔵から性交を求められ、吉蔵が陰茎を見せて定が上に乗る(女性上位で結合部は見えないが、藤竜也の勃起した陰茎が確認できる)。
  • 場所を変えて吉蔵と定が性交を行う。吉蔵が定から離れて、ソファーに仰向けになったところに定が吉蔵の陰茎をくわえ、フェラチオをほどこす。そして吉蔵はあまりの快感に耐え切れず、ついに定の口内に精液を放つ。定はゆっくり吉蔵の陰茎から口を放す。恍惚の表情で吉蔵を見つめる定の口からは吉蔵の精液が滴る(松田暎子が藤竜也の陰茎をフェラチオするシーン、口内射精するシーンで藤竜也の陰茎が確認できる。松田暎子は着物を着ているので膣は見えない)。
  • トクが定に水を交換する仕事を指示して、定が水を換えて戻ると、トクは吉蔵と性交に及んでいた(藤竜也、中島葵とも全裸であるが、陰部等は一切見えない)。
  • 吉蔵と定が待合「みつわ」へ行き、性交をするため裸になる(二人とも陰部は見えない)。
  • 吉蔵と定が料亭「田川」で祝言の宴を開き、芸者たちが見ている前で性交を始める。芸者たちは一人の芸者をからかい、着物を脱がせ裸にして膣に鳥の置物を挿入させる(芸者役女性の全裸、膣が確認できる)。
  • 宴が明けても定が吉蔵の陰茎を握っていて、再び二人が性交に及ぶ(藤竜也の陰茎が確認できる)。
  • 定が出掛ける準備をしていると、吉蔵は「田川」のおかみ(松井康子)の前で性交を始める。性向後全裸の吉蔵が定の長襦袢を羽織って家に帰る(性交中の二人の陰部は見えない。藤竜也が長襦袢を着て外を駆け出しているのは、前がはだけた状態である)。
  • 定は校長と市会議員をしている大宮(九重京司)の元を訪れて布団に入り、彼の上に乗る(背面からの松田暎子の膣が見える)。
  • 待合「満佐喜」吉蔵と定が性交をする。性交後の食事で定の膣に吉蔵がゆで卵を挿入する。定が必死になってゆで卵をだして吉蔵にからかわれた思いをぶつける(松田暎子の膣が確認できて、ゆで卵の挿入がはっきりと見える)。
  • 待合「満佐喜」に戻った吉蔵が定に責められ、吉蔵の陰茎を包丁で切ろうとする行動を見せる(藤竜也の陰茎が確認できる)。
  • 定が吉蔵の上に乗り、陰茎を出して自分の膣に入れる。持っているひもで吉蔵の首を絞めながら腰を動かす。一度は首を絞めるのをやめたが、再度吉蔵の上に乗りひもで首を絞めることで吉蔵はぐったりとなる(松田暎子が自分の膣に藤竜也の陰茎を挿入するシーン、腰を上下に動かすシーンで性交を行っていることが確認できる)。

他に男女の幼児が丸裸ではしゃぐシーンもある。

上記のうち、特に官能的なものは、藤竜也の首をひもで締めるシーンで二人の性交している結合部が映し出される。ゆで卵を膣に挿入するシーンで、松田暎子の膣がはっきりと映し出されている。中でも口内射精シーンは松田暎子が藤竜也の陰茎をフェラチオするシーンがしばらく続き、そして口内射精の瞬間に藤竜也の陰茎を深く咥え込んだ松田暎子の顔がアップで映し出されると、喘ぐような声を出して徐々に顔を上げていき、陰茎から口を放す寸前には藤竜也も喘ぐような声を発する。そして陰茎から口を放すとともに、松田暎子の口から藤竜也が発射した精液が滴り落ちて笑みを浮かべるという非常に官能的なシーンがある。

『愛のコリーダ』事件裁判[編集]

この作品の脚本と宣伝用スチル写真等を掲載した同題名の書籍が発行されたが、その一部がわいせつ文書図画に当たるとして、わいせつ物頒布罪で監督と出版社社長が検挙起訴された。対する被告人側は「刑法175条は憲法違反である」と主張し憲法判断を求めた。しかし、一審二審とも従来の判例を基本的に維持しながらも「当該書籍はわいせつ物に当たらない」として無罪とした[2]

関連作品[編集]

  • 『裸の時代 ポルノ映画・愛のコリーダ』 - 当作品に出演もしているドキュメンタリー監督の野田真吉による、当作品のメイキング映画。

脚注[編集]

  1. ^ 外部リンク「大島渚プロダクション」より(2015年8月4日閲覧)。
  2. ^ 「愛のコリーダ」事件控訴審判決(憲法判例研究(3)),松本 昌悦,中亰法學 17(2)22-43,1983年(CiNii論文情報ナビゲータ掲載)

関連項目[編集]

外部リンク[編集]