市橋秀夫 (精神科医)
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生誕 |
1943年生まれ 日本・東京都葛飾区柴又 |
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居住 | 日本 |
国籍 | 日本 |
研究分野 |
精神医学 精神病理学 児童精神医学 精神薬理学 行動生物学 精神療法 |
研究機関 |
東京医科歯科大学医学部 東京都精神医学総合研究所 福島大学教育学部 福島大学大学院教育学研究科 |
出身校 |
東京医科歯科大学医学部医学科 医学博士(東京医科歯科大学・1980年) |
主な受賞歴 | 島崎・島薗学術賞(1986年) |
プロジェクト:人物伝 |
市橋 秀夫(いちはし ひでお、1943年(昭和18年) - )は、日本の医学者・精神科医。専門は、精神病理学・児童精神医学・精神療法[1][2]。元福島大学教授。学位は、医学博士[3]。統合失調症とパーソナリティ障害の臨床と研究で知られる。その臨床経験から精神療法家として知られており、著書も多い。
来歴
[編集]- 1943年(昭和18年) - 東京都葛飾区柴又に生まれる[4]
- 1968年(昭和43年) - 東京医科歯科大学医学部卒業。東京医科歯科大学神経精神医学教室入局
- 1972年(昭和47年) - 東京都立松沢病院医員。東京都精神医学総合研究所兼務研究員
- 1979年(昭和54年) - 東京都立墨東病院精神神経科医長
- 1980年(昭和55年) - 医学博士(東京医科歯科大学)[3]
- 1987年(昭和62年) - 福島大学教育学部助教授
- 1990年(平成2年) - 福島大学大学院教育学研究科教授
- 1995年(平成7年) - 市橋クリニック開院
人物
[編集]1989年には境界性パーソナリティ障害(BPD)患者が引き起こす操作性に対して、医療機関が対応する際の指針を簡潔に提示した『ボーダーラインシフト(BLS)』を提唱し[6]、後の精神科医療におけるBPD対応の標準化に多大な影響を与えた[7][8][9][10][11]。また、精神療法のスーパービジョン等を通じて、長年に渡り専門医の教育に力を注いでいる[12]。パーソナリティ障害臨床の第一人者である[13]。著書は専門書多数。
受賞歴
[編集]学会
[編集]- 日本精神病理学会評議員
- 日本うつ病学会評議員
- 日本芸術療法学会評議員
- 日本外来臨床精神医学会理事、元会長
- 日本外来精神医療学会理事、元会長[5]
学職 | ||
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先代 山田和夫 |
日本外来臨床精神医学会会長 第14回:2014年2月16日 東京医科歯科大学 |
次代 市川光洋 |
先代 澤温 |
日本外来精神医療学会会長 第4回:2004年7月17日 - 2004年7月18日 ホテルメトロポリタン |
次代 山口直彦 |
著書
[編集]単著
[編集]- 『精神科・治療と看護のエッセンス』星和書店、1981年。ISBN 9784791100613。
- 『空間の病い 分裂病のエソロジー』海鳴社、1984年。ISBN 9784875250241。
- 『心の地図〈上〉—こころの障害を理解する』星和書店、1997年。ISBN 9784791103553。
- 『心の地図〈下〉—こころの障害を理解する』星和書店、1997年。ISBN 9784791103560。
- 『図解決定版 パーソナリティ障害を乗りこえる!正しい理解と最新知識』日東書院本社、2011年。ISBN 9784528012424。
- 『ダイエット依存症を乗りこえる!正しい治し方と知識』日東書院本社、2012年。ISBN 9784528016996。
共著
[編集]- 村上靖彦、永田俊彦、市橋秀夫、中安信夫『座談 精神科臨床の考え方—危機を乗り越えるべく』メディカルレビュー社、2005年。ISBN 9784896008265。
監修
[編集]- 『パーソナリティ障害(人格障害)のことがよくわかる本』講談社、2006年。ISBN 9784062594080。
- 『境界性パーソナリティ障害は治せる!正しい理解と治療法』大和出版、2013年。ISBN 9784804762234。
一部監修
[編集]- 『ポジうつ!「うつ友達」がいれば、ポジティブに生きられる!Yes, we can!』マガジンハウス、2007年。ISBN 9784838717484。
編著
[編集]- 『分裂病の精神病理と治療 7 経過と予後』星和書店、1996年。ISBN 9784791103201。
- 『精神科臨床ニューアプローチ 5 パーソナリティ障害・摂食障害』メジカルビュー社、2006年。ISBN 9784758302302。
- 『精神科臨床ニューアプローチ 1 症候から見た精神医学』メジカルビュー社、2007年。ISBN 9784758302265。
共編
[編集]- 『精神科プラクティス 第4巻 コンサルテーション・リエゾン精神医学』星和書店、1996年。ISBN 9784791103232。
共編著
[編集]- 『精神科エマージェンシー』中外医学社、1991年。ISBN 9784498028722。
- 『精神科プラクティス 第1巻 精神分裂病』星和書店、1991年。ISBN 9784791102150。
- 『精神科プラクティス 第5巻 器質性・外因性精神障害のとらえ方』星和書店、1992年。ISBN 9784791102457。
- 『精神科エマージェンシー 第2版』中外医学社、1994年。ISBN 9784498028739。(初版のコンパクト版)
分担執筆
[編集]- 『分裂病の精神病理 11』東京大学出版会、1982年。ISBN 9784130610919。
- 『分裂病の精神病理 12』東京大学出版会、1983年。ISBN 9784130610926。
- 『中井久夫著作集 別巻1 H・NAKAI 風景構成法』岩崎学術出版社、1984年。ISBN 9784753384136。
- 『分裂病の精神病理 13』東京大学出版会、1984年。ISBN 9784130610933。
- 『精神神経科マニュアル』朝倉書店、1988年。ISBN 9784254321180。
- 『精神分裂病—基礎と臨床—』朝倉書店、1990年。ISBN 9784254321395。
- 『分裂病の精神病理と治療 5』星和書店、1993年。ISBN 9784791102587。
- 『精神科症例集 第1巻 精神分裂病 I 精神病理』中山書店、1994年。ISBN 9784521450216。
- 『精神医学レビューNo.11 ヒポコンドリー(心気)』ライフ・サイエンス、1994年。ISBN 9784898011010。
- 『臨床精神医学講座 第3巻 精神分裂病 II』中山書店、1997年。ISBN 9784521490212。
- 『分裂病の精神病理と治療 8 治療の展開』星和書店、1997年。ISBN 9784791103591。
- 『新・病気とからだの読本 4 脳・神経と精神の病気』暮しの手帖社、2001年。ISBN 9784766000719。
- 『今日のうつ病 治療と研究への最新アプローチ』アルタ出版、2004年。ISBN 9784901694100。
- 『精神科臨床ニューアプローチ 4 統合失調症と類縁疾患』メジカルビュー社、2005年。ISBN 9784758302296。
- 『うつ病診療のコツと落とし穴』中山書店、2005年。ISBN 9784521672212。
- 『TODAY'S THERAPY 2006 今日の治療指針 私はこう治療している』医学書院、2006年。ISBN 9784260001014。
- 『気分障害』医学書院、2008年。ISBN 9784260005678。
- 『現代医療文化のなかの人格障害 新世紀の精神科治療 5 新装版』中山書店、2008年。ISBN 9784521730813。
- 『こころの科学セレクション こころの病気のセルフチェック』日本評論社、2011年。ISBN 9784535561052。
脚注
[編集]- ^ a b 市橋秀夫 (1997) 巻末
- ^ 上島国利、大平健、市橋秀夫、福島章 (1998) p.1358
- ^ a b 市橋秀夫 (1980)
- ^ 村上靖彦、永田俊彦、市橋秀夫、中安信夫 (2005) p.215
- ^ a b 市橋秀夫 (2012) 巻末
- ^ 市橋秀夫 (1989)
- ^ 山本愛子、渡辺由美子、林芳弘 他 (1996)
- ^ 山内昭雄、今忠 他 (1997) pp.164-165
- ^ 那須誠二、穴田幸一、藤野弘樹、瀬尾美香、山田久子 (2002)
- ^ 中井優子、青木恵美、幸田恵、山本玲華、高田章代、山岡由紀子 (2005)
- ^ 河野伸子 (2007)
- ^ 志津雄一郎 (2009)
- ^ 井原裕 (2006) pp.98-100
- ^ 市橋秀夫 (2004b)
参考文献
[編集]図書
- 市橋秀夫「境界人格障害の治療」『日本精神病院協会雑誌』第8巻第12号、1989年、1118-1125頁。
- 市橋秀夫『心の地図〈下〉—こころの障害を理解する』星和書店、1997年。ISBN 9784791103560。
- 市橋秀夫「戦後60年の価値観の変化と青年の変貌」『外来精神医療』第4巻第1号、2004年、7-13頁。
- 市橋秀夫『ダイエット依存症を乗りこえる!正しい治し方と知識』日東書院本社、2012年。ISBN 9784528016996。
- 井原裕「都市型臨床の時代(1) 治療文化のフロンティア」『こころの科学』第129号、2006年、94-100頁。
- 上島国利、大平健、市橋秀夫、福島章「現代日本人の心性と社会的異常現象をどうみるか」『日本医師会雑誌』第119巻第9号、1998年、1355-1370頁。
- 河野伸子「精神障害を持つ人の看護 ボーダーラインシフト」『萱間真美(編):精神科看護実習ガイド パーフェクト臨床実習ガイド』、照林社、2007年、179-180頁。
- 中井優子、青木恵美、幸田恵、山本玲華、高田章代、山岡由紀子「人格に課題を有するPTSD患者にボーダーラインシフトを試みて 急性期病棟での実践の考察」『日本精神科看護学会誌』第48巻第1号、2005年、198-199頁。
- 那須誠二、穴田幸一、藤野弘樹、瀬尾美香、山田久子「境界例患者への対応 ボーダーラインシフトの実施」『日精看四国地区看護研究論文集録』第6号、2002年、69-72頁。
- 村上靖彦、永田俊彦、市橋秀夫、中安信夫『座談 精神科臨床の考え方—危機を乗り越えるべく』メディカルレビュー社、2005年。ISBN 9784896008265。
- 山内昭雄、今忠、青野牧子、大場奏子、仲田洋子、三島節子、横井妙『こころの辞典』丸善出版、1997年。ISBN 9784621043660。
- 山本愛子、渡辺由美子、林芳弘、他スタッフ一同「境界性人格障害患者の退院までのプロセス—家族との関わりとボーダーライン・シフトの有効性—」『日本精神科看護学会誌』第21巻、1996年、105-107頁。
Web
- 市橋秀夫 (1980年). “比較行動学的見地よりみた精神分裂病の精神病理—ナワバリ行動障害の問題を中心にして”. 国立国会図書館. 2013年2月11日閲覧。
- 志津雄一郎 (2009年). “第15回(通算36回)日本精神神経科診療所協会総会・学術研究会 - ご挨拶”. 日本精神神経科診療所協会. 2015年4月3日閲覧。
関連人物
[編集]関連項目
[編集]外部リンク
[編集]- 公式
- 記事
- 朝日新聞 - アタマを探る(3)「幸福薬 気分高揚 米では胃腸薬感覚」 - ウェイバックマシン(2002年10月5日アーカイブ分)
- 日本精神科病院協会 - 知っておきたいメンタルヘルス「人格障害」 - ウェイバックマシン(2006年7月10日アーカイブ分)
- 日本精神科病院協会 - 知っておきたいメンタルヘルス「精神症状について」 - ウェイバックマシン(2006年7月15日アーカイブ分)
- 日本経済新聞 - 専門医は語る 第19回「新しいタイプのうつ病が増えている」 - ウェイバックマシン(2010年5月29日アーカイブ分)
- 日本経済新聞 - 専門医は語る 第20回「結果ではなくプロセスに目を向けよう」 - ウェイバックマシン(2010年10月22日アーカイブ分)
- ダイヤモンドオンライン - 「引きこもり」するオトナたち 第20回「成績優秀な人ほど要注意!一度の失敗で“うつ”になるエリートたち」
- ドクターズファイル vol.1374
- 大日本住友製薬 - VOL. 56 忘れられない患者さん