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双胴機

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
双胴尾翼から転送)

twin-boom aircraft

日本語でいうところの双胴機(そうどうき)とは、一つには、水平尾翼垂直尾翼が2つの胴体の後端に取り付けられている航空機(一般には特に飛行機。例1)であり、今一つには、1つの胴体の両側に取り付けられた主翼またはエンジンナセルから張り出した部分に水平・垂直尾翼が取り付けられている航空機(例2・例3)を指す。

一方、英語では両者は明確に区別されており、前者は twin-fuselage aircraft日本語音写例:ツインフュージラージ・エアクラフト)、後者は twin-boom aircraft日本語音写例:ツインブーム・エアクラフト)と呼ばれている。

概要

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双胴機という機種は、第一次世界大戦が始まった20世紀初頭に登場した[1]

こうした構成が選ばれる理由としては、以下のものがある。

  • 貨物室の扉を胴体後部に設置できるため。
例:C-82 パケットC-119 フライングボックスカーノール ノラトラIAI アラバ
例:XP-52デ・ハビランド バンパイア■画像の例1)。
  • 後方を射撃する際に視界を妨げないため。
例:Fw 189 ウーフー
  • 既に存在する機体を並列に連結したため。
搭乗者席の増加[2]パイロットが複数であれば交代で操縦でき、長時間の飛行でも疲労が防げる[2]レーダー員やナビゲーターを乗せれば操縦者の負担軽減と精密・複雑な任務を遂行できる[2]
例:F-82 ツインマスタング■画像の例1)、ハインケル He 111ZMe 609
例:P-38 ライトニング

双胴機のなかでも、単胴機を2つ繋げて1つの機体に仕上げたものは、日本語で「双子機(ふたごき)」と呼ぶ[2]F-82 ツインマスタング■画像の例1)やスケールド・コンポジッツ ストラトローンチは、分かりやすい例と言える。

そのほか、機体中央下部に物体を吊すことが出来るため、空中発射ロケットの母機として用いられる(該当:スケールド・コンポジッツ ストラトローンチ)。

双胴機の中央に胴体を追加したものは、日本語で「三胴機(さんどうき)」、英語で triple-fuselage aircraft日本語音写例:トリプルフュージラージ・エアクラフト〉)とも呼ばれる。ルータン ボイジャーグローバルフライヤーなどがある。

双胴機の一覧

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※当セクションにおける略号は以下のとおり。表示の無いものは、詳細未確認(もしくは、元情報無し)、あるいは、未編集。
[2FA]= twin-fuselage aircraft、[3FA]= triple-fuselage aircraft(三胴機)、[2BA]= twin-boom aircraft
カプロニ Ca.1(1914年)
バーネリ UB-14
  • ニューポール カートン=パート(ニューポール セスキプレーン プッシャー) (仏: Nieuport Carton-Pate、英: Nieuport sesquiplane Pusher)
[2BA] 一半葉機 (sesquiplane)、飛行艇。軍用。1913年初飛行。フランスの旗 フランス
飛行艇。1937年7月15日初飛行、1940年10月運用開始。生産期間 1938–1943年。ドイツ帝国の旗 ドイツ帝国
[3FA] 1939年1月27日初飛行、1941年生産開始・運用開始。退役。アメリカ合衆国■右に画像あり。
バルティ XP-68 トルネード
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バルティ XP-68 トルネード
[2BA] 1939年発注。初飛行の時期は不明。1941年不採用。アメリカ合衆国■右に画像あり。
[2BA] 1943年9月20日初飛行、1945年運用開始。1990年退役。イギリスの旗 イギリス■右上段に画像あり
C-82 パケット
[2FA] 双子機。1945年6月15日初飛行、1946年運用開始。1953年退役。アメリカ合衆国■右上段に画像あり
1947年11月17日初飛行。1955年生産終了。退役。アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
シービクセン
セスナ スカイマスター
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セスナ スカイマスター
OV-10 ブロンコ
[3FA] 1951年9月26日初飛行、1959年生産開始。1972年退役。イギリスの旗 イギリス■右に画像あり。
[2BA] 1961年2月28日初飛行。生産期間 1963–1982年。アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国■右に画像あり。
[2BA] ヘリコプター。1965年8月18日初飛行。生産期間 1968–1985年。現役。ソビエト連邦の旗 ソビエト連邦■右上段に画像あり
1965年7月15日初飛行、1968年運用開始。現役。アメリカ合衆国■右に画像あり。
Yak-141(構造図)
[2BA] 超音速VTOL戦闘機。1987年3月9日初飛行。計画中止。ソビエト連邦の旗 ソビエト連邦■右に画像あり。
PAL-V リバティ
スケールド・コンポジッツ ホワイトナイト
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スケールド・コンポジッツ ホワイトナイト
[3FA] スケールド・コンポジッツ社が開発した輸送機。有人宇宙船スペースシップワンの運搬機。2002年8月1日初飛行。2014年退役。アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国■右に画像あり。
機体名:ホワイトナイト、開発コード名:モデル318。
空虚重量 6,360ポンド(約2.889トン)、燃料積載量 6,400ポンド(約2.903トン)、最大ペイロード 8,000ポンド(約3.629トン)、最大離陸重量 18,000ポンド(約8.165トン)。全幅(翼幅)83フィート(約25.30メートル)。
[2BA] 2003年5月20日初飛行、2004年退役。アメリカ合衆国
ピピストレル・トーラスG4英語版電動航空機
[2BA] 無人航空機。2012年1月22日初飛行、2012年運用開始。アメリカ合衆国■右に画像あり。
ボーイング・インシツ RQ-21 ブラックジャック
[2FA] 双子機。スケールド・コンポジッツ社傘下のプロジェクト企業の一つであるストラトローンチ・システムズが開発した輸送機。空中発射ロケットの母機。2017年初公開、2019年4月13日初飛行。事業の中心人物が志半ばで病死したため、全ての開発事業の終了が決定したが、当人の夢であった初飛行だけは実現させたうえで終了した。したがって、初飛行を最後に"飛ばない飛行機"となっている。アメリカ合衆国■右に画像あり。
機体名:ストラトローンチ、開発コード名:モデル351、愛称:ロック、通称:モデル351 ロック (Model 351 Roc)。
空虚重量 500,000ポンド(約226.796トン)。燃料を満載した宇宙ロケット(空中発射ロケット)を吊り下げた状態で機体重量は1,200,000ポンド(約544.31トン)超。最大離陸重量 1,300,000ポンド(約589.670トン)。全幅(翼幅)385フィート(約117.35メートル)、全長238フィート(約72.54メートル)、全高(テール高)50フィート(約15.24メートル)。
規格外に大きい「史上最大の双胴機」であり、航空機の分野においても歴史に残る1機となっている。「史上最も幅の広い航空機翼幅が史上最大の航空機)」であることを始め、「最大離陸重量」においても、An-225 ムリーヤ(640.000トン)に次ぐ第2位である。通常の飛行機と違い、全幅に比べて全長の短い例が多いのが双胴機の特徴の一つであるが、それでも当機の全長は、現役の航空機のなかで第6位(飛行機限定では第5位)に付けている(※2021年時点。詳しくは『乗り物に関する世界一の一覧#航空機 大きさ』の『世界最長の、現役の航空機』を参照のこと)。

脚注

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  1. ^ 石津祐介(ライター、写真家)「飛行機の「双胴機」なぜそのカタチ? P-38「ライトニング」ほか、それぞれのワケ」『乗りものニュース』株式会社メディア・ヴァーグ、2018年8月13日。2021年1月4日閲覧。
  2. ^ a b c d 柘植優介(乗りものライター)「「戦闘機 合体させよう!」なぜアメリカはそう考えたのか? F-82「ツインマスタング」」『乗りものニュース』株式会社メディア・ヴァーグ、2020年1月23日。2021年1月8日閲覧。

関連項目

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