二酸化炭素泉

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二酸化炭素泉(にさんかたんそせん)は、掲示用泉質名に基づく温泉泉質の分類の一種である。療養泉のうち塩類泉に分類される。

概要[編集]

炭酸水の入ったグラス

1キログラム中に遊離炭酸二酸化炭素)を1,000ミリグラム以上含む温泉や鉱泉を指す(鉱泉分析法指針、なお1,000ミリグラム未満の場合は療養泉として認められないが、250ミリグラム以上あれば温泉としては認められる)。旧泉質名は単純炭酸泉であり、今日でも「炭酸泉」という名称が多用されている。また、俗称として「ラムネの湯」とも一部で呼ばれている[1]

二酸化炭素泉に入浴して時間が経過すると、皮膚表面に二酸化炭素の泡が付着するものの、その付着量に関しては泉源により差が見られる。ただし、この事と二酸化炭素の実際の溶け込み量や、効能との関係などについて、一概に言えない[注釈 1]。なお、炭酸を多く含有していたとしても、それが純粋な二酸化炭素泉(単純二酸化炭素泉)とは限らず、天然の温泉では泉質上、日本では炭酸水素塩泉含鉄泉に分類される場合もある。また、含鉄泉の場合には赤褐色を呈する場合も多い[2]。さらに、二酸化炭素泉と炭酸水素塩泉の泉質を併せ持つ場合もある[3]

新旧泉質名[編集]

新旧泉質名では、以下に分類される。

新旧泉質名の対応[4]
旧泉質名 新泉質名 略記泉質名
単純炭酸泉 単純二酸化炭素泉 単純CO2

効能[編集]

以下の効能はその効果を万人に保証するわけではないものの、泉質に基づく効能として、以下が挙げられる。

浴用[編集]

一般的適応症の他に、高血圧症動脈硬化症切り傷やけど

飲用[編集]

慢性消化器病、慢性便秘

天然の二酸化炭素泉[編集]

ラムネ温泉館(長湯温泉)

日本列島には天然の炭酸含有泉が、そう多くない[5]。さらに、炭酸水素ナトリウム食塩などを含まない純粋な二酸化炭素泉となるとさらに数が限られるが、大分県の白水鉱泉は、ほぼ炭酸成分のみの単純二酸化炭素泉である。また同じく大分県の長湯温泉は、単純二酸化炭素泉と炭酸水素塩泉の2系統の炭酸含有泉の泉源を持つ[6]。なお、日本で確認されている二酸化炭素含有量1位の泉源は、2014年8月現在、青森県のみちのく温泉で遊離炭酸含有量4004 (mg/kg)である[7]

二酸化炭素泉が日本に少ない理由は、火山活動が活発で泉温が高く、二酸化炭素が溶け込みにくいからとされる。日本国外ではヨーロッパ、特にドイツで二酸化炭素泉が多く湧出しており、バーデン=バーデンバート・ナウハイムといった温泉地が知られている[8][9]

日本の代表的な温泉[編集]

人工の二酸化炭素泉[編集]

ガスボンベなどに充填された二酸化炭素は様々な用途に広く流通しており、これを利用するなどして、人工的に二酸化炭素泉を作る事も可能である。例えば、1000 ppm(=湯1リットル当たり炭酸ガス1 g以上の遊離炭酸を、強制的に湯に含有させる装置を三菱レイヨングループが1997年に開発した[11]。このような装置の導入により「人工炭酸泉」を目玉とするスーパー銭湯などの施設も出てきた[12]。研究団体として「人工炭酸泉研究会」(英語:The Society of Carbon Dioxide Balneotherapy)がある[13]

脚注[編集]

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注釈[編集]

  1. ^ 例えば、二酸化炭素が水の中に溶け込んでいたとしても、共存する他の成分や温度などによって、二酸化炭素の挙動は変化する。なお、共存する成分によって、効能が異なる。

出典[編集]

  1. ^ ラムネ温泉(ラムネ温泉館公式ホームページ)
  2. ^ 日本の天然炭酸泉について1(炭酸泉情報ガイド)
  3. ^ ラムネ銀泉の温泉効果(頓原ラムネ銀泉公式ホームページ)
  4. ^ 参考資料2新旧泉質名対照 (PDF)”. 環境省自然環境局自然環境整備課温泉地保護利用推進室. 2018年3月26日閲覧。
  5. ^ ウワサの「炭酸泉」(勝ちスポ!)
  6. ^ 炭酸泉の特性と長湯温泉(長湯温泉協会公式ホームページ)
  7. ^ みちのく温泉旅館|温泉 宿/旅館が満載【ゆこゆこネット】
  8. ^ 炭酸泉とは?”. 三菱ケミカルアクア・ソリューションズ. 2021年9月12日閲覧。
  9. ^ 炭酸泉の歴史”. 三菱ケミカルアクア・ソリューションズ. 2021年9月12日閲覧。
  10. ^ a b 山村 順次 『47都道府県・温泉百科』 p.7 丸善出版 2015年12月30日発行 ISBN 978-4-621-08996-5
  11. ^ 高濃度人工炭酸泉:炭酸泉の歴史(三菱レイヨン・クリンスイ株式会社)
  12. ^ 高濃度人工炭酸泉:炭酸泉を体験しよう(温浴施設)(三菱レイヨン・クリンスイ株式会社)
  13. ^ 人工炭酸泉研究会 会則”. 人工炭酸泉研究会. 2021年9月12日閲覧。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]

関連文献[編集]