ローフード

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ローフードの一例。生のトマトソースをかけた生のズッキーニの「パスタ」とオリーブセロリホウレンソウ

ローフード(英語:raw food)とは、酵素を含む食べ物を多く摂取すれば体に良い効果があると考え、加工されていない生の食材を用いた食品、あるいは食材を極力生で摂取する食生活(ローフーディズム)のことである。リビングフード (英語:living food)とも呼ばれる。ローフーディズムは植物性食品のみを食べるローヴィーガニズムと混同されることが多いが、ローフードの実践者の中には、生であれば、動物の肉や、その他の動物性食品を食べる者もいる。食物が持つ、加熱によって失われがちな酵素ビタミンミネラルなどを効率よく摂取することを目的とし、酵素が破壊されないとされている摂氏48度以下でならば加熱してもかまわないと考える人もいる。

しかし、特殊な疾患の場合を除いて人間は必要な酵素をすべて自ら作り出している。ローフーディズムでは植物の生食も推奨されるが、植物に含まれる酵素は植物のためのものであり、これらの酵素は、植物の発芽、光合成、呼吸、分解などを助けるが、人体に対しては、消化を含むいかなる機能に対しても効果はない。また、ローフードで摂取が推奨されている食物の酵素で、胃酸をくぐり抜けて栄養素を吸収する腸まで達するのはほんの一部あり、これは最新の知見というわけではなく基本的な生物学の知識である。このように、酵素を含む食べ物の摂取が体に良いという考えは迷信であると指摘されている。[1]医学専門家の研究では、ローフード食は体にさまざまな問題を起こすという研究結果もある。また、酵素を摂取する効能については実験や研究を経て根拠が示されておらず、科学者や医師に広く受け入れられているものではない。徹底した菜食者はビタミンB12が不足しやすいため、アメリカでは栄養失調を防ぐためのベジタリアン向けガイドラインもある。

ローフーディズムは、1900年代から欧米で提唱されてきた食生活であり、近年では、アメリカ西海岸や、イギリスドイツオーストラリアなどを中心に人気があり、大都市ではローフード専門のレストランも開店している。

概要[編集]

種類と食材[編集]

ローヴィーガニズム 最もポピュラーなローフード食生活の形態。動物製品の使用を行わない生活様式かつ生食の実践を行う。果物類、野菜全般、スプラウト海藻類、発酵食品ナッツ種子類、類、 発芽小麦などの穀物を食べる。ナッツミルクアーモンドミルクなど)、ナッツバターピーナッツバターなど)、ドライフルーツ味噌生醤油梅酢イースト菌オリーブ・オイル海塩香辛料ココアパウダーバニラエッセンスメープルシロップなどもよく使われる。有機栽培や天然の食材にこだわり、化学添加物が含まれる食品、加熱殺菌処理された食品を摂らない人もいる。 なかには、フルーツのみを食べる者(ローフルータリアン)や、生食材を絞ったジュースだけを飲む者(ローリキッダリアン)もいる。ローヴィーガン食の実践者からは、体重の減少や、活力の増加、肌の状態の向上、全体的な体調の改善などがあったという声が聞かれる。しかし、慎重に食生活を計画しないと、カルシウムビタミンDビタミンB12亜鉛タンパク質などが不足しがちになる。

ローベジタリアニズム 植物の生食を行う。果物、野菜、スプラウト、ナッツ、種、穀物、豆などを食べる。

ローアニマルフード・ダイエット 生で食べることができるものであれば、動物性、植物性を問わずに食べるが、 生の穀物や豆類は消化不良や毒性の問題があるため、たいていは含まれない。放し飼いや、動物にとって自然な飼料(牛肉なら牧草のみ)で育てられた動物の肉、養殖でない魚が好まれる。俳優メル・ギブソンユマ・サーマンは、ローアニマルフード・ダイエットの実践者として知られる。

ローフード支持者の食生活[編集]

問題点[編集]

  • 生の肉や魚介類には食中毒の危険性がある。タラサンマサケスルメイカ等のアニサキス、カニの肺臓ジストマコイフナタナゴ肝臓ジストマアユ横川吸虫など寄生虫に注意すべきとされる[3]。生野菜やフルーツも、危険な微生物に汚染されている可能性があり注意が必要である。ただし市販の刺身のように、適切な温度と時間で冷凍されていれば寄生虫類は死滅する。(細菌やウイルスは生存する)
  • 加熱調理することで、効果や吸収力が増加するビタミンや抗酸化物質もある。
  • ローフード実践者を対象に行った調査では、45歳以下の女性のうち30%が、無月経症状をおこしがちであることがわかった。その数字は長期間に及ぶ厳格なローフード実践者ほど顕著であった。[4]
  • オランダではティーンエイジャーの息子をローヴィーガニズムで育てている母親が、児童福祉審議会から『年齢の割に身長が低いなど、成長に必要な栄養が足りていない。母親の行為は虐待である。』と裁判になった例がある。医師の診断も『たんぱく質とカルシウムが欠如している』というものであった[5]

[編集]

  1. ^ 酵素は体にいい? 酸性食品は悪い? 消化に関する6つの迷信 Beth Skwarecki 2015年7月14日 ライフハッカー
  2. ^ 酵素ダイエットとローフード. アンチエイジング事典. 2006年.
  3. ^ 落合敏監修 『食べ物と健康おもしろ雑学』 p.112 梧桐書院 1991年
  4. ^ Consequences of a Long-Term Raw Food Diet on Body Weight and Menstruation: Results of a Questionnaire Survey”. Content.karger.com. 2008年11月7日閲覧。
  5. ^ わが子を“生食(ローフード)”で育てたい~ある母子の選択~NHK BS「世界のドキュメンタリー」

関連項目[編集]