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ミヤコドリ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ミヤコドリ
ミヤコドリ Haematopus ostralegus
保全状況評価[1]
NEAR THREATENED
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
Status iucn3.1 NT.svg
Status iucn3.1 NT.svg
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 鳥綱 Aves
: チドリ目 Charadriiformes
: ミヤコドリ科 Haematopodidae
: ミヤコドリ属 Haematopus
: ミヤコドリ H. ostralegus
学名
Haematopus ostralegus
(Linnaeus, 1758
和名
ミヤコドリ
英名
Eurasian Oystercatcher
      繁殖地       越冬地       周年生息地

ミヤコドリ(都鳥、学名: Haematopus ostralegus)は、チドリ目ミヤコドリ科に分類される鳥類の一種。

和名

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「都鳥」という名の初出は『万葉集』4462番歌「舟競ふ 堀江の川の 水際に 来居つつ鳴くは 都鳥かも」(大伴家持作との推定がある)である[2][3]。「都鳥」の名は、とくに『伊勢物語』の「東下り」の段に登場することでよく知られている。ただし現在は、『伊勢物語』の「都鳥」は、その叙述からカモメ科ユリカモメ Chroicocephalus ridibundus のこととするのが通説である[4][5][6]

中世には、カモメの仲間(ユリカモメ)とチドリの仲間(本種)に対して「都鳥」の名が用いられていた[7]。室町時代の謡曲『隅田川』においては、都鳥は千鳥とも鴎ともいうと記される[8]。こうした名称の混用状態から、古典文学作品に登場する「都鳥」はどちらを指すのかという問題が生じた[9]貝原益軒は『大和本草』において、西土(筑紫)で本種が「みやこどり」と呼ばれていることを紹介し、『伊勢物語』の「都鳥」も本種ではないかと記した[8][3]

江戸時代、江戸で文化が発展すると、隅田川と結びついた「都鳥」に対する関心も高まり、文芸・絵画や音楽で題材とされた[10]。1815年、江戸の向島で植物園「百花園」を開設・運営していた本草家北野鞠塢きくう(佐原鞠塢)は『都鳥考』を著し、多くの文献を引用しながら、古典の「都鳥」はカモメ類ではなく本種であると結論づけた[11][6][注釈 1]。ただし、『伊勢物語』に「しろき鳥」とあるのは「くろき鳥」の書き誤りであるとするなど、考証面では強引さも指摘される[11][12]

明治時代、飯島魁らによって鳥類の和名の統一が図られるが、飯島が参考にしたとみられる島津重豪編『鳥類便覧』は鞠塢の説を取り入れていたため、本種が「ミヤコドリ」とされた[11]。1944年、熊谷三郎は『都鳥新考』を著して「都鳥」を本種とする説に反駁し、古典文学作品に登場する「都鳥」はユリカモメであるとした[9]

上述の通り、『伊勢物語』の「都鳥」はユリカモメとされるが、『万葉集』の「都鳥」については本種の可能性もある[13][3]。同時に詠まれた歌がホトトギスの初鳴き(5月中旬頃)を題材としており、ユリカモメの北帰の時期よりも遅いことなどが挙げられるが、決め手にも欠ける[13]

なお、歴史学者の田島公は、武蔵国豊島郡の隅田川(当時の宮戸川)右岸にヤマト王権(大和朝廷)の屯倉(ミヤケ)があったとする川尻秋生の説[14]を発展させる形で、「都鳥」は元々は「ミヤケドリ(屯倉鳥)」が変じた呼称なのではないかとする仮説を述べている[15]

なお、貝類にも「ミヤコドリ」の名を持つ種(Phenacolepas pulchella あるいは Cinnalepeta pulchella.「ミヤコドリガイ」とも)がある[13][16]

分布

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北欧中央アジア沿海州カムチャツカ半島などで繁殖し、西欧アフリカ西岸、中東中国南部、日本にかけての海岸で越冬する。かつて日本では旅鳥または冬鳥として主に九州に渡来していたが、近年は東京湾でも定期的に観察されるようになった。また、アイルランド国鳥になっている。

形態

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体長は45cmほどで、ハトより少し大きい。くちばしと足は長くて赤い。からだの上面は黒く、胸から腹、翼に白い部分がある。

生態

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海岸で小さな群れを作ってすごすことが多い。英名の ‘Oystercatcher’ は、カキなどの二枚貝を食べる習性に由来している。くちばしは上下に平たくて先が鋭く、わずかに口を開けた二枚貝に素早くくちばしを差し込み、貝柱を切断して殻を開け、中身を食べる。ほかにカニゴカイなども食べる。

亜種

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3亜種に分けられる[17]

脚注

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注釈

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  1. 鞠塢は自宅で本種を3羽飼う[6]愛好家だった。

出典

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  1. BirdLife International. 2019. Haematopus ostralegus. The IUCN Red List of Threatened Species 2019: e.T22693613A154998347. doi:10.2305/IUCN.UK.2019-3.RLTS.T22693613A154998347.en. Accessed on 05 May 2025.
  2. 熊谷三郎 1944, p. 3.
  3. 1 2 3 吉海直人. 「都鳥」幻想”. 同志社女子大学. 2024年7月20日閲覧。
  4. ミヤコドリ”. 日本の鳥百科. サントリー. 2024年7月20日閲覧。
  5. ユリカモメ”. 日本野鳥の会京都支部. 2024年7月20日閲覧。
  6. 1 2 3 磯野直秀『日本博物誌総合年表』平凡社、2012年、463頁。
  7. 熊谷三郎 1944, pp. 99–100.
  8. 1 2 熊谷三郎 1944, p. 100.
  9. 1 2 都鳥”. 2024年7月20日閲覧。
  10. 熊谷三郎 1944, pp. 90–91.
  11. 1 2 3 ミヤコドリ”. 徒然野鳥記. 2024年7月20日閲覧。
  12. 熊谷三郎 1944, pp. 105–106.
  13. 1 2 3 都鳥(みやこどり)”. 万葉の生きものたち. バイオウェザーサービス. 2024年7月20日閲覧。
  14. 川尻秋生「国造の世界」『シリーズ 地域の古代日本 東国と信越』KADOKAWA、2022年。
  15. 田島公 著「『伊勢物語』第九段 東下り「都どり」の歌と「豊嶋ミヤケ」・「浅草寺縁起」」、西本昌弘 編『日本古代の儀礼と社会』八木書店、2024年、165-200頁。
  16. ミヤコドリ”. 愛媛県レッドデータブック. 愛媛県. 2024年7月20日閲覧。
  17. Clements, James F. (2007). The Clements Checklist of Birds of the World (6th ed.). Ithaca, New York: Cornell University Press. p. 89. ISBN 978-0-8014-4501-9

参考文献

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関連項目

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外部リンク

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