ヒジャブ

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さまざまな色のヒジャブを着用したインドネシアムスリム女性たち
ヒジャブを着用したイエメンの女性

ヒジャブアラビア語حجاب. 英語: Hijab, ħijāb)は、アラビア語で「覆うもの」を意味する名詞ヒジャーブペルシア語ではヘジャブとも。欧米諸国や、日本のメディアではムスリムイスラーム教徒)の女性がや身体を覆う布を指して使われることが多い。

概要[編集]

「覆う」「遮蔽する」「保護する」という意味の動詞حجب」を語源とする。一般に欧米では女性の頭と体を覆う布を意味するが、アラビア語においては頭に被るベールといった意味のほかに「貞淑」「道徳」といった意味も持つ。

形状は地域によって様々である。イランのヒジャブを例にすると、チャードルと呼ばれる大きな半円形の布で全身を覆うタイプと、ルーサリーと総称されるスカーフは頭巾型のメグナエといった簡易なタイプの、大きく分けて二つの種類が存在する。

イスラーム法とヒジャブ[編集]

イスラームでは女子の服装に関してシャリーア(イスラーム法)で規定される。その根拠となる法源には以下の様なものがある[1]

  • クルアーンの第24章31節には「また女の信仰者たちに言え、彼女らの目を伏せ、陰部を守るようにと。また、彼女らの装飾[注釈 1]は外に現れたもの以外、表に表してはならない」とある[2]。他に33章でも女子の服装に言及している。
  • ハディース預言者ムハンマドの言行録)では「成人に達した女性は、ここを除きどの部分も見られてはならない、と言って預言者は顔と手を示された」など、服装への言及がある。

イスラム法学では、法源を基にウラマー(イスラーム法学者)が解釈を行う。ヒジャブ着用が義務になるかどうかは時代や社会環境により一定ではない。最も一般的な解釈では、「女性が婚姻関係にない男性からの陵辱から身を守るために、ヒジャブは必要である」とされる[1]

社会[編集]

ヒジャブを着用したバレーボールイラン女子代表の選手たち
ヒジャブを着用したマレーシア空軍の女性兵士(右)

ヒジャブに対する対応はイスラーム教諸国やムスリムが暮らす地域によって様々まである。イスラームの地方的慣習法(ウルフ)により、人目を引く派手な色や模様のヒジャブは同じ国の中でも地域によって非難の対象となる場合と、ならない場合がある[1]

後者の例では、アメリカ合衆国のように、素材や色彩、デザインの面でファッション性を高めたヒジャブが販売されている地域もある[3]

イスラーム教が主な宗教となっている中東を始めとする諸国では、女性の一般的な服装である。ムスリムが多数を占める国でも、トルコチュニジアなど厳密な政教分離を掲げる国では公の場所での着用が禁止されていたが、両国ともに近年規制が緩和されつつあり、ヒジャブを付ける女性も珍しくはなくなっている。

イランやサウジアラビアのようにイスラームを国教としていたり、戒律に厳格な信徒が多かったりする国では、婚姻、血縁関係のない男性がいる場での着用を法律で義務化している場合もある。

一方、フランスでは1905年に制定されたライシテ(政教分離)法に基づいて2004年に公立学校における「これみよがし」な宗教的標章等の着用を禁止する法律[4]が制定されたため、ヒジャブもその対象とされ、内外のムスリムから反発を受けている。

また、スポーツの試合中における着用についても、国際競技連盟によって認める場合と一切認めない場合に分かれる[5][6]

注釈[編集]

  1. ^ 装飾とは、美しく魅力的な部分で、顔と両掌以外の全身を指す。

出典[編集]

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  1. ^ a b c 藤本 2012, pp. 285-300.
  2. ^ 田中考(監修) 『日亜対訳クルアーン[付]訳解と正統十読誦注解』 株式会社作品社2016年、382頁。ISBN 978-4-86182-471-5。「また女の信仰者たちに言え、彼女らの目を伏せ、陰部を守るようにと。また、彼女らの装飾は外に現れたもの以外、表に表してはならない」
  3. ^ 【米国見聞】イスラムファッションに商機/百貨店、サイトに洗練商品『日経MJ』2018年3月2日(グローバル面)
  4. ^ Bulletin officiel n° 21 du 27 mai 2004”. www.education.gouv.fr. 2018年6月11日閲覧。
  5. ^ 【アジア大会】髪覆うヒジャブ着用禁止、カタールが試合放棄 バスケット女子 The Huffington Post 2014年9月25日
  6. ^ サッカーのアフガン代表、「ヒジャブ」付きユニホームを発表 CNN.co.jp 2016-03-11 18:06(JST)

参考文献[編集]

  • 藤本優子「イランのヒジャーブと女性:政治・法律・個人」、『着衣する身体と女性の周縁化』、恩文閣出版、2012年NAID 9784784216161

関連項目[編集]