フォーシーズ (家賃債務保証会社)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
フォーシーズ株式会社
4C's CO , Ltd.
種類 株式会社
本社所在地 日本の旗 日本
105-0004
東京都港区新橋5丁目13番7号
設立 1999年3月
(創業:1991年
業種 不動産インフラ・その他金融
法人番号 4010401048781 ウィキデータを編集
事業内容 家賃債務保証事業
代表者 丸山輝
資本金 332,000,000円
売上高 67億1,433万円(2023年7月31日時点)
営業利益 12億5,067万円(2023年7月31日時点)
経常利益 12億9,048万円(2023年7月31日時点)
純資産 52億4,850万円(2023年7月31日時点)
総資産 64億8,467万円(2023年7月31日時点)
従業員数 392名(2023年1月30日時点)
決算期 7月31日
外部リンク https://www.4cs.co.jp/
テンプレートを表示

フォーシーズ株式会社英語: 4C's CO , Ltd.)は、日本の家賃債務保証会社。「オフィス保証」「店舗保証」「高級賃貸保証」を展開する。本社は東京都港区

概要[編集]

1999年3月古物商展開を目的として会社が設立される。2000年丸山輝が代表取締役に就任し、翌年の2001年より家賃債務保証事業を本格的に開始する。一般社団法人全国保証機構、公益財団法人暴力団追放運動推進都民センターに加盟。

沿革[編集]

入居者支援策[編集]

家賃が払えなくなった家賃滞納者への支援策を実施。入居者支援窓口を設置し、その他にも行政機関との提携を多数行う。

具体的には下記の行政機関との提携がある。

  • 港区高齢者等入居支援事業協定業者
  • 新宿区高齢者等入居支援事業協定業者
  • 杉並区高齢者等入居支援事業協定業者
  • 大田区高齢者等住宅確保支援事業協定業者
  • 世田谷区居住支援制度協定業者
  • 板橋区家賃等債務保証支援事業協定業者
  • 中野区居住安定支援事業協定業者
  • 豊島区高齢者等入居支援事業協定業者
  • 目黒区居住支援事業協定業者
  • 川崎市居住支援事業協定業者
  • あきる野市民間賃貸住宅入居支援事業協定業者
  • 稲城市高齢者民間賃貸住宅入居支援事業協定業者
  • 武蔵野市高齢者住宅入居支援事業協定業者
  • 野田市住宅困窮者民間賃貸住宅居住支援事業協定業者
  • 戸田市高齢者等民間賃貸住宅入居支援事業協定業者
  • 蕨市高齢者、重度障害者及びひとり親世帯民間賃貸住宅保証料助成事業協定業者
  • 仙台市民間賃貸住宅入居支援事業協定業者

企業理念と2つのコーポレートスローガン[編集]

企業理念『“人が煩わしいと思う事、やりたくないと思う事”を率先して行う事により、人々に喜びを与え、世紀を越えた社会貢献企業であり続けます。』を実現する為に2つのコーポレートスローガンを掲げている。

  1. 『人にしかできない事だからこそ、価値がある。』
  2. 『企業を支援し、働く人を応援する。』

コンプライアンス強化への取り組み[編集]

当事業参入時から2007年までの間、自社を含め業界全体による家賃滞納者への対応を問題視し、同年12月コンプライアンスマニュアルの強化を実行する。業界慣習を一掃し、業界初の制服導入や100項目以上にも及ぶ社内コンプライアンスマニュアル[1]を作成。更にはお客様相談窓口も設置する。全国の事業拠点を管轄する消費者生活センター消費者庁への訪問を実行し、顧客のクレーム聞き取りを行い、業務の改善を行う。一般社団法人全国保証機構でも自主ルールを作成。国土交通省とも情報共有し、入居者支援策を実行するなどしている。

下記の9つの弁護士事務所との提携によりコンプライアンス強化への取り組みを行っている。

  • 半蔵門総合法律事務所
  • 若林・渡邊法律事務所
  • 弁護士法人水原・愛須法律事務所
  • 内田・後藤法律事務所
  • 木村良夫法律事務所
  • いわた総合法律事務所
  • 佐藤演甫法律事務所
  • はばたき法律事務所
  • 草香江法律事務所

KC’sによる追い出し条項差し止め請求訴訟[編集]

賃貸住宅で借り主が2カ月以上家賃を滞納するなどとした場合、物件を明け渡したとみなす家賃保証会社「フォーシーズ」の契約条項は違法だとして、大阪市のNPO法人が差し止めを求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第1小法廷(堺徹裁判長)は2022年12月12日、消費者契約法に基づいて条項は「無効」とする初判断をし、差し止めを命じた。条項では、家賃を2カ月以上滞納するなどの要件を満たせば、物件を明け渡したとみなし、契約者の同意なしに家財などを搬出できると規定していた。[2]

以下、時系列。

■2016年10月、適格消費者団体特定非営利活動法人消費者支援機構関西(KC’s)から、家賃を滞納している借り主に対して、事前通告なく賃貸契約を解除したり、法的手続きを経ずに、部屋の荷物を処分したりできる条項を契約内容に盛り込んでいることが、不当な取り立てや「追い出し」につながる消費者契約法違反として、契約条項の一部について、使用停止を求める差止請求訴訟を提起された。

■一方、フォーシーズは2015年5月に大阪地方裁判所で賃貸人と共に賃借人に対して明け渡し訴訟を起こしており、その中で、保証契約条項が消費者契約法違反であるという賃借人側の主張を排斥し、フォーシーズによる賃貸借契約の解除権は有効と認める判決が出ている。2016年1月には大阪高等裁判所にて賃借人からの控訴を退ける判決が出されており、解除権について有効とされた。

■2019年6月21日 大阪地裁一審判決[3]

・KC’sが問題とした家賃債務保証契約の条項のうち、18条2項2号を除く条項は妥当としてKC’s敗訴。18条2項2号に関わる滞納時の残置物処分に関してはKC’sの主張を認める。

■2019年7月2日KC’s控訴。同月3日フォーシーズ控訴。

■2021年3月5日 大阪高裁、控訴審判決。[4][5]

・18条2項2号を除いた条項について地裁の判断を維持し、KC’sの控訴を棄却。18条2項2号については、地裁の判決を覆し、消費者契約法に反しないとしてKC’sの主張を退け、結論としてフォーシーズが全面勝訴。

■2021年3月17日 KC'S 上告

■2022年12月12日 最高裁 上告審判決[6]

契約の差止めや契約書ひな形の廃棄を命じる判決を言い渡し、KC'Sが全面勝訴。 判決では「賃貸契約の当事者でもないフォーシーズの一存で、借り主が物件を使用する権利を制限することになり、著しく不当」「条項は、何らの限定なく無催告解除できるとしたもので、借り主が重大な不利益を被る恐れがある」として次の条項の差し止めを命じた。

・13条1項前段 フォーシーズは、賃借人が支払を怠った賃料等及び変動費の合計額が賃料3か月分以上に達したときは、無催告にて原賃貸借契約を解除することができるものとする。

・18条2項2号 フォーシーズは、賃借人が賃料等の支払を2か月以上怠り、フォーシーズが合理的な手段を尽くしても賃借人本人と連絡がとれない状況の下、電気・ガス・水道の利用状況や郵便物の状況等から本件建物を相当期間利用していないものと認められ、かつ本件建物を再び占有使用しない賃借人の意思が客観的に看取できる事情が存するときは、賃借人が明示的に異議を述べない限り、これをもって本件建物の明渡しがあったものとみなすことができる。


この判決を受け、KC'Sはホームページにて次の通り述べている。[7]

「最高裁の判断は、消費者団体訴訟の制度趣旨に則したものであって、きわめて妥当であり、フォーシーズのみならず、他の家賃債務保証業者においても、保証委託契約の不当な条項の改善を迫る内容になっており、家賃債務保証業のあり方を見直すことにつながるものといえます。」

また、フォーシーズにおいてはホームページの大切なお知らせにて次の通り述べている。[8]

「本判決は、将来にわたる差止め対象条項の内容による契約の締結を禁止するとともに、同内容の条項が記載された契約書用紙の廃棄を命ずるものですが、差止め対象条項の内容が記載された旧版条項の契約書用紙は、いずれも回収・廃棄済みとなっております。また、今後、弊社において、本判決において契約締結を禁じられた差止め対象条項の内容を含む契約を締結することもございません。」

脚注・出典[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]