ノルム線型空間

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ノルム線型空間(ノルムせんけいくうかん)あるいはノルム付き線型空間(ノルムつきせんけいくうかん、normed vector space)とは、ノルムの定義されたベクトル空間のことである。線型ノルム空間または単にノルム空間ともいう。

ノルムは、ベクトルの "長さ" の概念の一般化であり、ノルム空間はそのノルムによる距離が定義されて距離空間の構造を持つ。ただし、一般のノルム空間は角度の概念は持たない(角度の概念を得るには内積が必要である)。ノルムの定める距離に関して完備なベクトル空間はバナッハ空間と呼ばれる。任意のノルム空間は、その完備化と呼ばれるバナッハ空間に稠密な部分空間として含まれる。

定義[編集]

ベクトル空間 V とそのノルム ||·||: VR の組 (V, ||·||) をノルム空間と呼ぶ。考えているノルムが明らかであるときは、省略して単に V でノルム空間を表すことも多い。

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  • 平面ベクトルの全体 R2 にベクトルの大きさ |·| を考えるとき、組 (R2, |·|) はノルム空間であり、バナッハ空間である。
  • 内積を持つベクトル空間(計量ベクトル空間)は内積からノルムが定まり、ノルム空間である。ヒルベルト空間は内積の定めるノルム(が導く距離)に関して完備な距離空間であるから、バナッハ空間である。

双対空間[編集]

ベクトル空間上の線型写像の全体は元のベクトル空間の双対ベクトル空間 (dual space) と呼ばれるベクトル空間をなす。

K 上のノルム空間 (X, ||·||X) においては距離空間の構造から写像連続性が定義されるが、連続な線型汎関数の全体 B(X) は双対ベクトル空間の部分空間となり、さらに作用素ノルムと呼ばれるノルム ||·|| により、(B(X), ||·||) はノルム空間となる。

\mathcal{B}(X):=
  \{f\colon X \to K \mid f \mbox{: continuous, linear}\},
\|f\| := \sup_{x\in X}\frac{\|f(x)\|}{\|x\|}
 = \sup_{\|x\| \le 1} \|f(x)\|
 = \sup_{\|x\| = 1} \|f(x)\|.

これを元のノルム空間の双対ノルム空間 (continuous dual)という。

関連項目[編集]