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数学の、特に函数解析学の分野におけるベッセルの不等式(ベッセルのふとうしき、英: Bessel's inequality)は、正規直交列についてのヒルベルト空間のある元
の係数に関する不等式である・
をヒルベルト空間とし、
を
内の正規直交列とする。このとき、
内の任意の
に対し

が成立する。ここで 〈•,•〉 はヒルベルト空間
の内積を表す。
方向のベクトル
の無限和

を定義すると、ベッセルの不等式よりこの級数は収束する。基底
によって表現される
が存在するものと考えることが出来る。
完全正規直交列(すなわち、基底であるような正規直交列)に対しては、不等号が等号に置き換えられたパーセヴァルの等式が成り立つ(したがって
は
となる)。
ベッセルの不等式は、任意の自然数 n に対して成り立つ次の関係式より従う:
