ダイハツ・ハイゼットデッキバン

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ダイハツ・ハイゼット > ダイハツ・ハイゼットデッキバン

ハイゼットデッキバンダイハツ工業で生産されている軽自動車である。 ハイゼットバン、およびカーゴの特装グレードとして存在する。
また乗用仕様のアトレーにも同様の「アトレーデッキ」が存在しており、本稿ではこれに関しても便宜上記述する。

概要[編集]

元々「電器店冷蔵庫を立てたまま積めるように」[1]と、松下電器産業(現・パナソニック)と共同で開発された、ハイゼットバン/ハイゼットカーゴのCピラーから後ろの車体上部を取り払い、バックドアを下開きのアオリに変更し、荷室を荷台とした4人乗りの軽トラックである。塗装前のホワイトボディを切断して製作されている。

小回りが効き、維持費も低廉な軽貨物自動車でありながら、横倒しのできない冷蔵庫を立てて積め、かつ、小型家電工具と必要な人員を室内に収容できる点が電器店向け。電器店、花屋、工事業者、狩猟愛好家やサーファーまで、軽トラックと軽ワンボックスカーの2台が必要なところを1台でまかなえることから根強い人気を誇り、10代目となるハイゼットでも継続してラインナップされている。

日本国内では2015年11月現在、排気量2000cc未満の車種カテゴリーにおいては数少ない新車で購入可能なダブルキャブ・ピックアップである。また、キャビンと荷台が一体化されているスタイルは、アメリカ合衆国で近年に普及した、ピックアップトラック派生のスポーツユーティリティトラックに近く、近年では、手軽なレジャービークルとしても注目されつつある。

デッキバンをベースに、トーハツが架装した消防車(可搬ポンプ積載車)も製造販売しており、全国各地の消防団に配備されている。 近年では、マラソン中継撮影用車両に改造された例がある。(さがみエンヂニアリング社保有

2012年7月には富士重工業(現・SUBARU)へOEM供給も行われるようになり、同社ではスバル・サンバーの1モデルとして「オープンデッキ」が販売されている。

ハイゼットにはラージキャビン仕様の軽トラックであるハイゼットジャンボが存在しており、2018年5月にスズキキャリイの派生モデルである「スーパーキャリイ」が発売されるまではデッキバンと共に特有のモデルとして存在していた。

歴史[編集]

一貫して型式は同世代のハイゼットバン、またはカーゴの末尾のアルファベットの「V」を「W」に替えたものとなる(車検証に記載されている形状が「ピックアップ」となるため)。

型式登録を取得していないため特装車扱いになる。

初代(1988年-1993年 シリーズ通算7代目 S80/82W系)[編集]

初代ハイゼットデッキバン(1992年改良型) アトレーデッキ コスミックルーフ
初代ハイゼットデッキバン(1992年改良型)
アトレーデッキ コスミックルーフ

1988年7代目ハイゼットバンの荷室部分を切り取り4人乗りのトラックとしたものである。

ハイゼット・デッキバンの派生としてアトレーデッキが限定車として登場した。ターボEXをベースとしガラスサンルーフや回転対座シートを備えている。

1990年4月のマイナーチェンジで(当時の)新規格に対応。全長が100mm延長され、エンジンが全車547ccのEB型から659ccのEF型に変更となる。

2代目(1994年 - 1998年 シリーズ通算8代目 S100W系)[編集]

2代目ハイゼットデッキバン 4WD

アトレーデッキは消滅したが、内装を乗用にも対応したデッキバンGXがラインナップされた。

モーターショーではアトレーリバーノをベースにアトレーRTのフロントフェイスにしたデッキバンが参考出品されたが市販はされていない。

3代目(1999年 - 2004年 シリーズ通算9代目 S200W系)[編集]

3代目ハイゼットデッキバンGX(2001年改良型) 3代目ハイゼットデッキバンGX(2001年改良型)
3代目ハイゼットデッキバンGX(2001年改良型)

セミキャブボディへ移行した。クラッシャブルゾーン追加による荷室長の削減から、荷台部分の奥行が短くなっている。後席もフルファブリックシートであった。

搭載されるエンジンは3AT車全車、および5MT車の最上級グレードにはEF-VE型が、最上級グレードを除く5MT車全車にはEF-SE型がそれぞれ搭載されていた。

同時期、三菱・ミニキャブ日産・クリッパーに類似モデル「ダブルキャブ」が追加された(丸文製)。
そのミニキャブとクリッパーが、2011年のマイナーチェンジにおいて、4代目ハイゼットデッキバン(10代目ハイゼットカーゴ、初代トヨタ・ピクシスバン、7代目スバル・サンバーバン/サンバーオープンデッキ含む)と同一のリアコンビランプを採用した。

4代目(2004年 - シリーズ通算10代目 S320/321W系)[編集]

4代目ハイゼットデッキバンG(2004年登場型)

先代の弱点であった荷室サイズの拡大が行なわれている。 生産はダイハツ九州(中津工場)担当。この代から構造変更申請(マル改)が不要になり、車検証には「改」の文字がつかなくなった。

モーターショーではオレンジ色のデッキバンが参考出品されたが、当時、市販カラーには存在していなかった(後にG"Limited"→GLのボディカラーとして「トニコオレンジメタリック」が設定される)。発売当初のカラーバリエーションには、ホワイトとシルバーメタリックのみの設定であったが、2005年の2月には5代目アトレーにも設定されているブルーメタリックが追加となっている。

2007年12月にはハイゼットカーゴと同時にマイナーチェンジ。バンパー意匠変更、および658ccのKF-VE型エンジンへの変更がなされた。マイナーチェンジに伴い、カラーバリエーションはブルーメタリックに替わりブラックマイカメタリックが追加された。

2010年8月にはハイゼットカーゴと同時に一部改良。同年9月から施行されるJC08コールドモード排出ガス基準をクリア。AT車は全車4速化により燃費が向上し、更に2WDのAT車は「平成22年度燃費基準+10%」を達成している。

2011年12月1日に一部改良。新たに「デッキバンG」にキーレスエントリーを標準装備とする。また、専用車体色「パールホワイト3」、ABSなどを装備した特別仕様車「デッキバンG"Limited"」を発売。これに伴い、4WD車の後部正面アオリの「4WD」ロゴのデカールの貼付が廃止された。

2012年7月4日に、富士重工業スバル・サンバーの「オープンデッキ」としてOEM供給を開始した。

2012年12月17日に一部改良。JC08モード燃費に対応し、2WD・4AT車は平成27年度燃費基準を達成した。

2015年4月3日に一部改良。ハイゼットカーゴ同様、AT車に電子制御式4ATを採用し、全車に電子制御スロットルを採用したことで燃費を向上し、2WD・4AT車は「平成27年度燃費基準+5%」、2WD・5MT車及び4WD車は「平成27年度燃費基準」をそれぞれ達成した。また、オーディオサイズをワイドDINサイズ化し、ボディカラーの「ホワイト」を3層塗装仕様のW19に変更した。併せて、以前発売されていた特別仕様車「デッキバンG"リミテッド"」をバージョンアップして発売。今回はハイゼットカーゴの一部グレードに設定されている「リミテッド」シリーズの追加モデルとして設定されるもので、メッキフロントグリルとトップシェイドガラス(ブルー、通常は「クルーズ」・「クルーズターボ」に装備)を標準装備し、内装にシルバーメーター&センタークラスターを採用。さらに、ベース車ではメーカーオプション設定となっているEBD機能付ABSも標準装備した。さらに、ボディ外板(荷台部を除く)の表面サビ3年・穴あきサビ5年にそれぞれ延長した長期サビ保証を標準付帯した。ボディカラーは特別色として「ブルーマイカメタリック(青系色の設定は2007年12月のマイナーチェンジに伴う廃止以来約7年4ヶ月ぶり)」、「トニコオレンジメタリック」、「オフビートカーキメタリック」の3色を設定し、カタログカラー3色を含めた6色展開とした[2]

2015年11月30日に一部改良。カーゴ同様、スピーカーサイズを10cmから16cmに拡大し、純正ナビ・ドライブレコーダー装着用プリワイヤーハーネスを追加。また、同年4月に発売された特別仕様車「デッキバンG"リミテッド"」においては、「デッキバン」・「デッキバンG」と同様の改良(スピーカーサイズの拡大及び純正ナビ・ドライブレコーダー装着用プリワイヤーハーネスの追加)と専用設定色の入れ替え(「ブルーマイカメタリック」を廃止する替わりに、「ミストブルーマイカメタリック」、「アーバンナイトブルークリスタルメタリック(オプションカラー)」、「パールホワイトIII(オプションカラー)」を追加)を行った上で、「デッキバンGL」に改名してカタロググレードに昇格した[3]

2017年11月にマイナーチェンジ。グレード体系を「デッキバンL」と「デッキバンG」の2種類に集約し、「スマートアシストIII」などを装備した「デッキバンL"SA III"」と「デッキバンG"SA III"」が追加設定された(当初は4AT車のみの設定)。ガードフレームが標準装備化され、ガードバーの形状変更したほか、助手席は固定式からスライド式(スライド量120mm)に変更した。「デッキバンG」系はアトレーワゴンと同じデザインのフロントグリルに変更し、LEDヘッドランプやLEDフォグランプを標準装備。ボディカラーは標準設定色を「ホワイト」と「ブライトシルバーメタリック」の2色のみとし、「ブラックマイカメタリック」、「パールホワイトIII」、「オフビートカーキメタリック」は「デッキバンG」系に新たに設定されたメーカーオプション「カラーパック」専用色に移行。この「カラーパック」にはカーゴ同様に「ライトローズマイカメタリック」と「ファインミントメタリック」も設定される[4]

2018年12月に一部改良。スマートアシストIII搭載グレードの「デッキバンL"SA III"」と「デッキバンG"SA III"」に5MT車が追加設定され、それに伴って、「デッキバンG」は「デッキバンG"SA III"」へ統合のため廃止。また、「デッキバンL"SA III"」と「デッキバンG"SA III"」はフロントウィンドゥにブルーのトップシェイドガラスとIRカット機能が追加された[5]

脚注[編集]

  1. ^ 引っ越しなどで、冷蔵庫を運搬する際の注意点は? - パナソニック > よくあるご質問(2017年7月19日閲覧)
  2. ^ “ダイハツ軽商用車「ハイゼット カーゴ」、軽乗用車「アトレーワゴン」一部改良により燃費性能を向上~ハイゼット カーゴ特別仕様車「リミテッド」シリーズにデッキバンを追加~” (PDF) (プレスリリース), ダイハツ工業株式会社, (2015年4月3日), http://www.daihatsu.co.jp/wn/2015/0403-1/20150403-1.pdf 2015年4月7日閲覧。 
  3. ^ “ダイハツ軽商用車「ハイゼット カーゴ」のアニバーサリー特別仕様車を設定~軽商用車「ハイゼット カーゴ」「デッキバン」、軽乗用車「アトレーワゴン」を一部改良~” (PDF) (プレスリリース), ダイハツ工業株式会社, (2015年11月30日), http://www.daihatsu.co.jp/wn/2015/1130-1/20151130-1.pdf 2015年11月30日閲覧。 
  4. ^ “ダイハツ 軽商用車「ハイゼット カーゴ」軽乗用車「アトレー ワゴン」をマイナーチェンジし、「スマートアシストⅢ」を採用” (PDF) (プレスリリース), ダイハツ工業株式会社, (2017年11月13日), https://www.daihatsu.com/jp/news/2017/20171113-1.pdf 2017年11月13日閲覧。 
  5. ^ “「ハイゼット カーゴ」を一部改良し、MT車にも「スマートアシストIII」を搭載” (PDF) (プレスリリース), ダイハツ工業株式会社, https://www.daihatsu.com/jp/news/2018/20181210-1.pdf 2018年12月10日閲覧。 

関連項目[編集]

外部リンク[編集]

ハイゼット デッキバン【公式ページ】