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双前歯目

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
カンガルー目から転送)
双前歯目
オオカンガルー
オオカンガルー Macropus giganteus
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 哺乳綱 Mammalia
階級なし : 有袋類 Marsupial
上目 : オーストラリア有袋類 Australidelphia
: 双前歯目 Diprotodontia
学名
Diprotodontia Owen, 1866[1]
和名
双前歯目[2][3][4]
亜目

双前歯目(そうぜんしもく、Diprotodontia)は、哺乳綱に含まれる目。別名カンガルー目[5]二門歯目[6]

分布

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インドネシア東部、オーストラリアパプアニューギニア[7]

形態

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ウォンバット科コアラ科ウォンバット型亜目)を除いて尾は長い[7]。下顎の切歯(門歯)は左右に1本ずつ(2本)[6][7]。下顎に犬歯はない[6]。後肢の第2趾と第3趾が癒合する[7]。樹上棲の種では第1趾に爪がなく、癒合指と対向し枝を掴むのに適している[7]。育児嚢は発達する[7]

生態

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繁殖

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育児嚢はよく発達しており、他の有袋類と比べ、体が大きく少産で、r-K戦略であるといえる。また、双前歯類の大体の育児嚢の利用日数は次の式で求められる[8]

育児嚢の利用日数 = 35.22 × (母体の体重)^0.21

例外的にキノボリカンガルー類はこの関数に反してかなり長いとされている[9]

食性

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植物食の種が多いが、雑食傾向の強い種では昆虫鳥類なども食べる[7]。過去にはティラコレオプロプレオプス英語版など、肉食の種もいたが、現在は絶滅している。出産数は1 - 6匹と少ない傾向がある[7]

分類

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以前は有袋目(フクロネズミ目)では双門歯亜目とされていた[7]。有袋目も適応拡散しているため複数の目に分ける説が有力となり、独立した目とする説が有力とされる[6]

以下現生科については、分類・英名はMSW3 (Groves, 2005)、和名は遠藤 (2018)、川田ら (2018) に従う[1][3][4]

画像

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参考文献

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  • 遠藤, 秀紀『有袋類学』東京大学出版会、2018年4月20日。ISBN 978-4-13-060254-9 

脚注

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  1. ^ a b Colin P. Groves, "ORDER DIPROTODONTIA," Mammal Species of the World, (3rd ed.), Volume 1, Don E. Wilson & DeeAnn M. Reeder (ed.), Johns Hopkins University Press, 2005, pp. 43-70.
  2. ^ 日本哺乳類学会 種名・標本検討委員会 目名問題検討作業部会 「哺乳類の高次分類群および分類階級の日本語名称の提案について」『哺乳類科学』第43巻 2号、日本哺乳類学会、2003年、127-134頁。
  3. ^ a b 遠藤秀紀「有袋類の多様性」『有袋類学』東京大学出版会、2018年、1-25頁。 
  4. ^ a b 川田伸一郎・岩佐真宏・福井大・新宅勇太・天野雅男・下稲葉さやか・樽創・姉崎智子・横畑泰志世界哺乳類標準和名目録」『哺乳類科学』第58巻 別冊、日本哺乳類学会、2018年、1-53頁。
  5. ^ ワシントン条約附属書(動物界)」(経済産業省)(2016年3月23日に利用)
  6. ^ a b c d 橘川次郎 「キタケバナウォンバット」など『動物世界遺産 レッド・データ・アニマルズ7 オーストラリア、ニューギニア』小原秀雄・浦本昌紀・太田英利・松井正文編著、講談社、2000年、131-150頁。
  7. ^ a b c d e f g h i 川道武男 「袋を持つ獣たちは、別天地オーストラリアで独特な進化をとげ、植物食の世界をつくり上げた。」『動物たちの地球 哺乳類I 2 カンガルー・コアラほか』第8巻 38号、朝日新聞社1992年、34-35頁。
  8. ^ Russell,E. M. 1989. Maternal behavior in the Macropodoidae. In: Kangaroos, Wallabies and Rat-kangaroos, pp549-569.Surry Beattry & Sons, Chipping Norton.
  9. ^ 有袋類学』p53

関連項目

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