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犬のおまわりさん

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
いぬのおまわりさんから転送)

犬のおまわりさん』(いぬのおまわりさん)は、佐藤義美作詞、大中恩作曲の日本の童謡である。2007年(平成19年)に日本の歌百選に選出されている。

なお、JASRACのデータベースに登録されている表題は「犬のおまわりさん」であるが[注釈 1]、初出である『チャイルドブック』ではすべて平仮名で「いぬの おまわりさん」(空白は実際には改行)と表記されている[1][注釈 2]

概要

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チャイルドブック1960年10月号で、迷路遊びの曲として中尾彰の迷路挿絵とともに発表された[3]。同誌別売のソノシートが初録音である[3]。この挿絵に描かれている「犬のおまわりさん」の犬種はコリーであり、また歌詞とは異なり子猫は泣いていない[4]。当時の子供の歌としては歌詞が長過ぎると、編集長が歌詞の修正を求めたが、作詞者の佐藤が拒否したためそのまま掲載されたというエピソードがある[3]

1961年(昭和36年)10月10日に初めてNHKの『うたのえほん』で流され、この曲はさらに広まった[5]。後継番組の『おかあさんといっしょ』でも定番曲として流れている[5]

佐藤義美記念館名誉館長で童話作家の稗田宰子によると、この曲が多くの人に知られるようになったのは、作詞者の佐藤が亡くなった1968年(昭和43年)以後である[6]

1977年以後、小学校の音楽の教科書にも掲載されている[2]

2006年に日本の文化庁と日本PTA全国協議会が、親子で長く歌い継いでほしい童謡・唱歌や歌謡曲といった抒情歌や愛唱歌の歌101曲を選定した日本の歌百選にもなっている。

動物を擬人化した歌で、お巡りさん迷子子猫に家をたずねるが、子猫は泣くばかりなので困り果てて「ワンワン」と吠えてしまうというほのぼのとした情景を歌っている。

なお、童謡には歌い出しを曲名とするケースも比較的多いため、本作の題名を「迷子の子猫ちゃん」であると誤解する向きもある。

「POOR LITTLE LOST KITTEN」(英訳詞:HENRY V. DRENNAN[7]、「The Police Dog」[8]、「Doggy Cop And Lost Kitty」(英訳詞:井口紀子[9]という英語版も存在する。

録音した歌手

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(2001年発売『けんたろうとミクのワイワイキッズ ミクのワイワイダンス3』)

関連事項

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  • 週刊文春』1979年9月6日号の表紙は、本曲の歌い出しの歌詞にちなみ、「いぬのおまわりさん」と題したネコのイラストだった[11]。同イラストは『週刊文春』2019年9月12日号の表紙に再掲された。

絵本

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脚注

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注釈

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  1. ^ この曲を『うたのえほん』で歌った中野慶子の歌唱盤が東芝EMIで発売されたときの曲題が「犬のおまわりさん」だった(『犬のおまわりさん/はまべの貝がら/トマト/知らない子』東芝レコード JB-1055)。
  2. ^ 音楽教科書に掲載された際の表題もすべて「いぬのおまわりさん」である[2]

出典

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  1. ^ チャイルドブックの歴史、チャイルド本社 - 2021年7月23日閲覧。
  2. ^ a b 『歌い継がれる名曲案内 音楽教科書掲載作品10000』日本アソシエイツ、2011年、111-112頁、311頁。ISBN 978-4816922916
  3. ^ a b c 読売新聞文化部『唱歌・童謡ものがたり』岩波書店、1999年、238頁。ISBN 4000233408
  4. ^ 片野ゆか『ポチのひみつ』集英社集英社文庫)、2009年、205-207頁。ISBN 978-4-08-746407-8
  5. ^ a b 『唱歌・童謡ものがたり』239頁。
  6. ^ 片野ゆか『ポチのひみつ』209頁。
  7. ^ 1979年発売のコンパクト盤『英語で歌う日本の童謡 手をたたきましょう/かたつむり/おもちゃのチャチャチャ/いぬのおまわりさん』(日本コロムビア EK-31)に収録された(歌:HENRY V. DRENNAN、REGINA M. DOI、青葉インターナショナルスクール児童)。
  8. ^ 1997年4月21日発売のアルバム『ハッピー・チャイルド!〜英語でうたおう こどものうた みんなのうた〜』に収録された(歌:グレッグ・アーウィン
  9. ^ 『えいごどうよううたのえほん Let's sing! きいてうたってえいごのうた16曲 楽しく歌って英語が身につく!』永岡書店、2005年、14-15頁。ISBN 978-4-522-48471-5
  10. ^ 1963年8月新譜。『Music monthly』(月刊ミュジック社)1963年8月号、78頁。NDLJP:1761314/47
  11. ^ 『週刊文春』2019年9月12日号、142頁。

外部リンク

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