日本史 (科目)

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日本史(にほんし)は、日本高等学校における科目の一つ。日本の歴史について学習する。

戦前は「国史(こくし)」という科目名で小学校中学校にも設置されていたが、第二次世界大戦後にこれらの歴史分野は「社会科」・「歴史」などの科目に統合された。

高等学校科目としての「日本史」の変遷

高等学校における日本史の学習は、戦後の社会科の成立以来、社会科の中に「日本史」科目(終戦直後の一時期は「国史」という科目名称だったこともある)を置いて、日本史の通史を学習していた。

しかし1989年告示の学習指導要領で高等学校社会科が地理歴史科公民科に分割されたことに伴い、この学習指導要領が適用された1994年度第1学年からは、地理歴史科の科目として日本史を学ぶようになった。

また1989年告示の学習指導要領では、日本史に関連する科目として、「日本史A」(2単位)と「日本史B」(4単位)の2科目を設置した。

この科目構成は、1998年に告示され2003年度第1学年から学年進行で実施された学習指導要領でも引き継がれている。

高等学校の日本史

現在の高等学校では、地理歴史科の科目として「日本史A」が2単位・「日本史B」が4単位でそれぞれ履修する内容となっている。地理歴史科では世界史が必修で、日本史は地理との選択履修という扱いになる。一方で日本史を必修にすべきだという意見もある。東京都など4都県教育長は2006年9月、高等学校日本史の必修化を求めて文部科学省に要望書を提出し、また東京都教育委員会として2006年10月に文部科学省に意見書を提出している[1]神奈川県教育委員会においては、日本史を必修科目にする独自の学習指導要領(国の基準を満たしたうえで、さらに県独自に指導要領を定めるもの)の準備を行っている。

日本史A

近現代史を中心に学習する。世界史必修・地理歴史2科目必修化に伴う生徒の負担軽減、従来の歴史教育では軽視されてきた近現代史の重点学習のためA科目が導入された。

2単位

学習内容は

(1) 歴史と生活

(2) 近代日本の形成と19世紀の世界

(3) 近代日本の歩みと国際関係

(4) 第二次世界大戦後の日本と世界

である。

普通科においては世界史Bを履修した生徒が必修条件を満たすために、この科目を履修することが多い。また1学年または2学年でこの科目を履修して近現代史を学習し、2学年または3学年でB科目を履修して古代史~近代を詳細に学習するケースもある。職業を専門とする専門学科や定時制通信制においては多くがこの科目を履修する。

センター試験で出題される科目である。受験する受験生は日本史Bに比べてはるかに少ない。国公立大学の多くで要求科目として指定されている。私立大学において指定している大学は少ない。国立大学二次試験(個別試験)・私立大学一般入試で試験科目としている大学はない。

日本史B

古代から現代における日本の歴史を通史で学ぶ。

学習内容は、

(1) 歴史の考察

(2) 原始古代の社会・文化と東アジア

(3) 中世の社会・文化と東アジア

(4) 近世の社会・文化と国際関係

(5) 近代日本の形成とアジア

(6) 両世界大戦期の日本と世界

(7) 第二次世界大戦後の日本と世界

の内容を柱としている。日本史ではあるが、世界とのつながりなど世界史的視点での考察、地図の活用などの地理的な学習を含むとしている。政治史を中心として、文化史、経済史など多様な分野について学習を行う。近年の教育課程では、単純な事象の暗記・知識の習得にとどまらず、歴史的思考力の育成や、史料の活用能力の育成にも重点が置かれている[2]

4単位。現場においては学習量が多いため、6コマから9コマ程度を使って授業が行われる。

普通科においては地理歴史の選択科目としてほとんどの学校で開講されている。文系を中心に選択する生徒が多い。職業を専門とする学科では商業科を中心に近年選択できるようにする学校が増えている。大学への進学が増えているためである[3]

センター試験の出題科目である。ほとんどの国公立大学で、日本史Bを含む地理歴史B科目と公民の「政治・経済、倫理」の中から1科目ないし2科目選択して受験することになる。二次試験においては、一部の文系学部において選択科目の一つとなっている。私立大学においては文系学部で選択科目として出題される。

江戸から東京へ

東京都教育委員会独自の取り組み。日本史必修化の一環として都立高等学校に導入された。日本史を履修しない生徒にこの科目を履修させるとしている。江戸東京をテーマとして、戦国時代から現代までの日本史を概観することができる。1単位。江戸・東京と外国とのつながりなど世界史ともリンクさせて学習できるように工夫されている。

小中学校での日本史学習

小学校中学校での日本史学習は独立した教科や科目ではなく、社会科として日本史に関する内容を学習する。

小学校では第6学年の社会科で、日本の歴史上の主な事象について、人物の働きや文化遺産などに焦点を当てて、日本史に関する内容を学習する。また、第3学年、第4学年において身近な地域の歴史について学習を行う。

中学校では歴史的分野として、「我が国の歴史の大きな流れと各時代の特色を世界の歴史を背景に理解させ(学習指導要領)」という観点で、世界史と関連づける形で日本史を学習する。

脚注

関連項目

外部リンク