国鉄タキ7500形貨車

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国鉄タキ7500形貨車
タキ7500形アコタキ7532 (日産化学工業所有車 撮影:佐倉駅)
タキ7500形アコタキ7532
日産化学工業所有車 撮影:佐倉駅
基本情報
車種 タンク車
運用者 日本国有鉄道
日本貨物鉄道(JR貨物)
所有者 日産化学工業、三菱化成工業→三菱化成→三菱化学、住友化学工業、新日本窒素肥料、宇部興産
製造所 新三菱重工業日立製作所富士車輌川崎車輛富士重工業
製造年 1959年(昭和34年) - 1967年(昭和42年)
製造数 50両
消滅 2009年(平成21年)
常備駅 黒崎駅桜島駅速星駅
主要諸元
車体色
専用種別 濃硝酸
化成品分類番号 侵(禁水)84
軌間 1,067 mm
全長 9,200 mm - 9,400 mm
全幅 2,560 mm
全高 3,876 mm
タンク材質 アルミニウム
荷重 30 t → 28 t
実容積 20.2 m3 - 20.6 m3
自重 14.2 t - 17.3 t
換算両数 積車 4.5
換算両数 空車 1.6
台車 TR41C→TR41D
車輪径 860 mm
軸距 1,650 mm
台車中心間距離 5,100 mm - 5,300 mm
最高速度 75 km/h
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国鉄タキ7500形貨車(こくてつタキ7500がたかしゃ)は、1959年(昭和34年)から製造された、30 t積(後に28 t積)の濃硝酸専用の私有貨車タンク車)である。当初は日本国有鉄道(国鉄)、国鉄分割民営化後は日本貨物鉄道(JR貨物)に車籍を有した。

派生形式である濃硝酸専用タンク車タキ7450形についても本項目で解説する。

タキ7500形[編集]

タキ7500形は1959年から1967年(昭和42年)にかけて50両(アコタキ7500 - アコタキ7549)が新三菱重工業(18両)、日立製作所(23両)、富士車輌(1両)、川崎車輛(4両)、富士重工業(4両)の5社にて製造された30 t(後に28 t)積の濃硝酸専用車。最初の2両はタキ7300形(タキ7300、タキ7301)として登場したが、セメント専用車にタキ7300形が既に登場しており、二車現存となったため、タキ7500形に改番された経緯がある。

ドーム付直円筒形のタンク体は腐食防止のため、純アルミ製であり、「純アルミ」「連結注意」(鉄製に比べ強度が劣るため)と表記される。(日産化学工業が所有する車両は保冷のために遮熱用の外板(キセ)を取り付けた車両もあった)このため記号番号表記は特殊標記符号「アコ」(純アルミ製タンク車、全長 12 m 以下)を前置し「アコタキ」と標記する。

濃硝酸専用のタンク車で初のボギー車として登場した。1973年頃に濃硝酸専用タンク車の発煙・滴下事故が多発したことを受け、保安対策による積載荷重の見直しを行い1974年(昭和49年)8月1日より、30t積から28t積に変更されている。

本形式の他に濃硝酸を専用種別とする形式は、タム100形(2代)(239両)、タキ7450形(1両、後述)、タキ10450形(24両)、タキ29000形(17両)、タキ29100形(27両)の5形式がある。

1979年(昭和54年)10月より化成品分類番号侵(禁水)84」(侵食性の物質、水と反応する物質、腐食性物質、禁水指定のもの)が標記された。

荷役方式はマンホールまたは積込口からの上入れ、S字管を用いた空気加圧によって荷卸しを行う上出し式である。

車体色は銀色(当初はアルミニウム地色であったがその後銀色塗装となった)、全長は9,200 mm - 9,400 mm、全幅は2,560 mm、全高は3,876 mm、台車中心間距離は5,100 mm - 5,300 mm、実容積は20.2 m3 - 20.6 m3、自重は14.2 t - 17.3 t、換算両数は積車4.5、空車1.6、最高運転速度75 km/h台車ベッテンドルフ式で、当初は平軸受板ばね式のTR41Cであったが、後にコイルばね式のTR41Dに改造されている。これは1968年(昭和43年)10月1日ダイヤ改正以降、貨物列車の脱線事故が多発したことにより、ボギー中心間距離が6 m未満で板ばね式のTR41C台車を使用している車両は、オイルダンパを併用したコイルばね式のTR41Dへの改造が(1970年(昭和45年)の第一次台車改造)行われることになったためである。更にその後、三菱化学が所有する一部の車両は他車から転用したTR225へ換装した車両もあった。

1987年(昭和62年)4月の国鉄分割民営化時には47両(アコタキ7502、アコタキ7503、アコタキ7509を除く全車)の車籍がJR貨物に継承されたが、1998年(平成10年)度から淘汰が始まり、2009年(平成21年)度に最後まで在籍した車両が廃車となり同時に形式消滅となった。

年度別製造数[編集]

各年度による製造会社と両数、所有者は次のとおりである。(所有者は落成時の社名)

  • 昭和33年度 - 1両
    • 新三菱重工業 1両 三菱化成工業(アコタキ7500)
  • 昭和34年度 - 3両
    • 新三菱重工業 1両 三菱化成工業(アコタキ7501)
    • 日立製作所 2両 住友化学工業(アコタキ7502 - アコタキ7503)
  • 昭和35年度 - 2両
    • 新三菱重工業 2両 三菱化成工業(アコタキ7504 - アコタキ7505)
  • 昭和36年度 - 7両
    • 新三菱重工業 3両 三菱化成工業(アコタキ7506 - アコタキ7508)
    • 富士車輌 1両 住友化学工業(アコタキ7509)
    • 日立製作所 2両 日産化学工業(アコタキ7510 - アコタキ7511)
    • 新三菱重工業 1両 新日本窒素肥料(アコタキ7512)
  • 昭和37年度 - 3両
    • 新三菱重工業 1両 日産化学工業(アコタキ7513)
    • 川崎車輛 2両 宇部興産(アコタキ7514 - アコタキ7515)
  • 昭和38年度 - 1両
    • 川崎車輛 1両 宇部興産(アコタキ7516)
  • 昭和39年度 - 12両
    • 三菱重工業 1両 三菱化成工業(アコタキ7517)
    • 三菱重工業 4両 三菱化成工業(アコタキ7519 - アコタキ7522)
    • 日立製作所 6両 日産化学工業(アコタキ7518、アコタキ7525 - アコタキ7529)
    • 川崎車輛 1両 宇部興産(アコタキ7524)
  • 昭和40年度 - 7両
    • 三菱重工業 4両 三菱化成工業(アコタキ7523、アコタキ7533 - アコタキ7535)
    • 富士重工業 3両 日産化学工業(アコタキ7530 - アコタキ7532)
  • 昭和41年度 - 3両
    • 富士重工業 1両 日産化学工業(アコタキ7536)
    • 日立製作所 2両 日産化学工業(アコタキ7537 - アコタキ7538)
  • 昭和42年度 - 11両
    • 日立製作所 11両 日産化学工業(アコタキ7539 - アコタキ7549)

タキ7450形[編集]

国鉄タキ7450形貨車
基本情報
車種 タンク車
運用者 日本国有鉄道
日本貨物鉄道(JR貨物)
所有者 日産化学工業
製造所 富士重工業
製造年 1966年(昭和41年)
製造数 1両
消滅 2008年(平成20年)
常備駅 速星駅
主要諸元
車体色
専用種別 濃硝酸
化成品分類番号 侵(禁水)84
軌間 1,067 mm
全長 9,600 mm
全幅 2,547 mm
全高 3,879 mm
タンク材質 アルミニウム
荷重 30 t → 28 t
実容積 20.2 m3
自重 15.6 t
換算両数 積車 4.5
換算両数 空車 1.6
台車 TR41C→TR41D
車輪径 860 mm
軸距 1,650 mm
台車中心間距離 5,500 mm
最高速度 75 km/h
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タキ7450形1966年(昭和41年)6月24日に1両(アコタキ7450)が富士重工業にて製作された30 t積の濃硝酸専用車である。基本的な構造はタキ7500形に準ずるが、製造時から保冷用の断熱材と外板(キセ)を設けたため、別形式となった。

記号番号表記は特殊標記符号「アコ」(純アルミ製タンク車、全長 12 m 以下)を前置し「アコタキ」と標記する。積載荷重はタキ7500形と同様の経過により1974年8月1日より28t積に変更された。

所有者は日産化学工業であり、高山本線速星駅を常備駅として運用された。

1979年10月より化成品分類番号「侵(禁水)84」(侵食性の物質、水と反応する物質、腐食性物質、禁水指定のもの)が標記された。

車体色は銀色(当初はアルミニウム地色であったがその後銀色塗装となった)、全長は9,600 mm、全幅は2,547 mm、全高は3,879 mm、台車中心間距離は5,500 mm、実容積は20.2 m3、自重は15.6 t、換算両数は積車4.5、空車1.6、最高運転速度は75 km/hである。台車は落成時はTR41Cであったがその後TR41Dに改造されたのはタキ7500形と同様の経過である。

1987年4月の国鉄分割民営化時には車籍がJR貨物に継承されたが、2008年(平成20年)度に廃車となり同時に形式消滅となった。

参考文献[編集]

  • 吉岡心平「プロフェッサー吉岡の私有貨車図鑑(復刻増補)」2008年、ネコ・パブリッシング刊 ISBN 978-4-7770-0583-3
  • 『日本の貨車-技術発達史-』(貨車技術発達史編纂委員会編著、社団法人 日本鉄道車輌工業会刊、2008年)

関連項目[編集]