国鉄タキ25900形貨車

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国鉄タキ25900形貨車
国鉄タキ25900形、タキ25903 1994年2月19日、新南陽駅
国鉄タキ25900形、タキ25903
1994年2月19日、新南陽駅
基本情報
車種 タンク車
運用者 日本国有鉄道
日本貨物鉄道(JR貨物)
所有者 三菱化成工業→三菱化成→三菱化学
製造所 三菱重工業
製造年 1974年昭和49年) - 1976年(昭和51年)
製造数 5両
消滅 2000年平成12年)
常備駅 黒崎駅
主要諸元
車体色
専用種別 アクリルアマイド液
化成品分類番号 96
軌間 1,067 mm
全長 12,700 mm
全幅 2,500 mm
全高 3,757 mm
タンク材質 普通鋼一般構造用圧延鋼材
荷重 30 t
実容積 28.7 m3
自重 19.6 t
換算両数 積車 5.0
換算両数 空車 2.0
台車 TR41E-12、TR225
車輪径 860 mm
軸距 1,650 mm
台車中心間距離 8,600 mm
最高速度 75 km/h
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国鉄タキ25900形貨車(こくてつタキ25900がたかしゃ)は、かつて日本国有鉄道(国鉄)及び1987年昭和62年)4月の国鉄分割民営化後は日本貨物鉄道(JR貨物)に在籍した私有貨車タンク車)である。

本形式と同じ専用種別であるタキ18810形タキ24400形についても本項目で解説する。

タキ25900形[編集]

タキ25900形は、アクリルアマイド液専用の30 t 積タンク車として1974年(昭和49年)9月19日に4両(タキ25900 - タキ25903)、1976年(昭和51年)5月24日に1両(タキ25904)の合計2ロット5両が三菱重工業にて製作された。

本形式の他にアクリルアマイド液を専用種別とする形式にはタキ18810形タキ24400形の2形式が存在した。

1979年(昭和54年)10月より化成品分類番号「96」(有害性物質、毒性のあるもの)が標記された。

タンク体は、 一般構造用圧延鋼材(SS41、現在のSS400)製であり、積荷の純度保持のため内側はフェノール樹脂でコーティングされており、断熱材が巻かれキセ(外板)付きの直胴タイプである。

荷役方式は積込口からの上入れ・空気加圧を使用した液出管による上出し式である。

所有者は、三菱化成工業(社名はその後三菱化成、三菱化学と変更された)の1社のみであり、その常備駅は、北九州市黒崎駅であった。

塗装は、全長は12,700 mm、全幅は2,500 mm、全高は3,757 mm、台車中心間距離は8,600 mm、実容積は28.7 m3、自重は19.6 t、換算両数は積車5.0、空車2.0である。台車はロットにより2種類あり最初のロット(タキ25900 - タキ25903)はTR41E-12であり次のロット(タキ25904)はTR225であった。

1987年(昭和62年)4月の国鉄分割民営化時には全車の車籍がJR貨物に継承され、1995年平成7年)度末時点では全車健在であったが、2000年(平成12年)3月に全車が一斉に廃車となり同時に形式消滅となった。

タキ18810形[編集]

国鉄タキ18810形貨車
国鉄タキ18810形、タキ18812 1987年3月28日、佐倉駅
国鉄タキ18810形、タキ18812
1987年3月28日、佐倉駅
基本情報
車種 タンク車
運用者 日本国有鉄道
日本貨物鉄道(JR貨物)
所有者 三井物産三井東圧化学日本陸運産業
種車 タキ18800形
改造所 富士重工業
改造年 1973年(昭和48年)
改造数 4両
消滅 1989年(平成元年)
常備駅 茂原駅北袖駅
主要諸元
車体色
専用種別 アクリルアマイド
化成品分類番号 96
軌間 1,067 mm
全長 12,100 mm
全幅 2,510 mm
全高 3,757 mm
タンク材質 高張力鋼
荷重 31 t
実容積 30.1 m3
自重 19.6 t
換算両数 積車 5.0
換算両数 空車 2.0
台車 TR213A-1
車輪径 860 mm
軸距 1,650 mm
台車中心間距離 8,000 mm
最高速度 75 km/h
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1970年(昭和45年)10月6日に、液化クロルメチル専用の25 t 積タンク車としてタキ18800形4両(タキ18800 - タキ18803)が富士重工業にて製作された。

所有者は、三井物産の1社のみであり、その常備駅は福岡県宮浦駅であった。

積荷である液化クロルメチルはガソリンの添加剤となる鉛化合物の製造に用いられていたが、厚生省(現・厚生労働省)は1971年6月(昭和46年)に鉛化合物に対して環境基準を設定したため需要が急減し実際に運用されることはなかった。[1]ガソリンの無鉛化参照)

このため1973年(昭和48年)5月10日に富士重工業にて全車(4両)の専用種別変更が行われ(液化クロルメチル→アクリルアマイド)形式名は新形式であるタキ18810形に改められた。また常備駅は、1973年(昭和48年)4月に千葉県茂原駅へ変更された。

改造に際してはタンク体は種車のものを用いて内面にフェノール樹脂コーティングを施した。また専用種別の変更に伴いタンク体の塗色がねずみ色1号から黒へ変更されている。

所有者は、1979年(昭和54年)5月29日三井東圧化学に、更に同年11月20日には日本陸運産業へと名義変更された。日本陸運産業への名義変更と同時に常備駅は千葉県北袖駅へ変更された。

1979年(昭和54年)10月より化成品分類番号「96」(有害性物質、毒性のあるもの)が標記された。

車体色は黒色、寸法関係は全長は12,100 mm、全幅は2,510 mm、全高は3,757 mm、台車中心間距離は8,000 mm、実容積は30.1 m3、自重は19.6 t、換算両数は積車5.0、空車2.0、台車はベッテンドルフ改良型のTR213A-1である。

1987年(昭和62年)4月の国鉄分割民営化時には全車の車籍がJR貨物に継承されたが、1989年(平成元年)7月に全車が一斉に廃車となり同時に形式消滅となった。

タキ24400形[編集]

国鉄タキ24400形貨車
基本情報
車種 タンク車
運用者 日本国有鉄道
日本貨物鉄道(JR貨物)
所有者 三井東圧化学、日本陸運産業
製造所 富士重工業
製造年 1974年(昭和49年)
製造数 5両
消滅 1989年(平成元年)
常備駅 茂原駅→神栖駅
主要諸元
車体色
専用種別 アクリルアマイド液
化成品分類番号 96
軌間 1,067 mm
全長 12,100 mm
全幅 2,700 mm
全高 3,867 mm
タンク材質 耐候性高張力鋼
荷重 35 t
実容積 34.0 m3
自重 16.2 t
換算両数 積車 5.0
換算両数 空車 1.6
台車 TR41E-12
車輪径 860 mm
軸距 1,650 mm
台車中心間距離 8,000 mm
最高速度 75 km/h
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タキ24400形は、アクリルアマイド液専用の35 t 積タンク車として1974年(昭和49年)6月5日に5両(タキ24400 - タキ24404)が、富士重工業にて製作された。

所有者は、三井東圧化学の1社のみであり、その常備駅は千葉県の茂原駅であった。その後所有者は、1986年(昭和61年)2月28日に4両(タキ24401 - タキ24404)、1989年(平成元年)10月に1両(タキ24400)が日本陸運産業へと名義変更され常備駅は千葉県の神栖駅に変更された。

1979年(昭和54年)10月より化成品分類番号「96」(有害性物質、毒性のあるもの)が標記された。

車体色は黒色、寸法関係は全長は12,100 mm、全幅は2,700 mm、全高は3,867 mm、台車中心間距離は8,000 mm、実容積は34.0 m3、自重は16.2 t、換算両数は積車5.0、空車1.6であり、台車はベッテンドルフ式のTR41E-12である。

1987年(昭和62年)4月の国鉄分割民営化時には全車(5両)がJR貨物に継承されたが、1989年(平成元年)12月に最後まで在籍した3両(タキ24400 - タキ24402)がタキ23800形(タキ23819 - タキ23821)へ改造され同時に形式消滅となった。

出典[編集]

  1. ^ 運転局車務課 「昭和47年度の私有貨車の動きと昭和48年4.5月の状況」『車両と電気』1973年7月号 p.21

参考文献[編集]

  • 吉岡心平 『プロフェッサー吉岡の私有貨車図鑑(復刻増補)』 2008年、ネコ・パブリッシング刊 ISBN 978-4-7770-0583-3
  • 『日本の貨車-技術発達史-』(貨車技術発達史編纂委員会編著、社団法人 日本鉄道車輌工業会刊、2008年)
  • 『車両と電気』1973年7月号 車両電気協会刊

関連項目[編集]