ルッコラ

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ルッコラ
ルッコラ
分類
: 植物界 Plantae
: 被子植物門 Magnoliophyta
: 双子葉植物綱 Magnoliopsida
: フウチョウソウ目 Capparales
: アブラナ科 Brassicaceae
: キバナスズシロ属 Eruca
: キバナスズシロ E. vesicaria
学名
Eruca vesicaria
(L.) Cav.
シノニム
Eruca sativa Mill.
和名
キバナスズシロ(黄花蘿蔔)
ルッコラ
英名
Arugula
Garden rocket
Rocket

ルッコラ: RucolaEruca vesicaria)は、アブラナ科キバナスズシロ属(エルーカ)の1種の、葉野菜ハーブである。地中海沿岸原産の一年草英語名から別名でロケットともよばれる。主にサラダなどにして生で食べられる。

イタリア語の発音に近いルーコラと書かれる事もある。英語ではロケット (Roquette)、アルグラアルギュラArugula [əˈɹuːgjələ])、コールウォートColewort)。種の和名はキバナスズシロ

名称

日本ではイタリア料理の普及とともに一般に知られるようになったため、園芸分野で広まったロケット(英語: rocket)よりもイタリア名ルッコラの方が知名度が高い。 イタリア語: rucola (ルーコラ)が標準形であり、rughetta, ruchetta (ルゲッタ、ルケッタ) とも呼ぶ。 英語: rocketフランス語: roquette (ロケット)から来ており、アメリカ英語: arugula はイタリア語の方言形から来ているといわれているが、後者が使われ出したのは20世紀半ば過ぎである。

英語名ロケットはハナダイコン Hesperis matronalis のことを指すこともある。正確には、キバナスズシロ Eruca vesicariagarden rocketrocket-salad、ハナダイコンは dame rocket などという。 スズシロとは、ダイコンを意味する。

ロボウガラシ(ルケッタ・セルヴァティカ)

イタリア語: ruchetta selvatica(「野生のルケッタ」)と呼ばれる別属の野生種ロボウガラシ Diplotaxis tenuifolia とキバナスズシロ Eruca vesicaria はどちらもルッコラやルーコラと呼ぶが、キバナスズシロのみをルーコラ、ロボウガラシをルケッタと区別することもある。

特徴

イタリア料理で馴染みがある香味野菜で、食材としてのは5 - 7月か11 - 12月といわれており、葉先までピンとして茎がしっかりしたものが市場価値の高い良品とされる[1]。炒りゴマのような風味とほのかな辛みがあり[1][2]、成長とともに苦みが強くなる。可食部100グラム (g) あたりの熱量は19キロカロリー (kcal) で、栄養素としてはカルシウム鉄分ビタミンCビタミンEが豊富で、ビタミンCはホウレンソウの約2倍含まれている[1][2]抗酸化作用や肌を美しく保つ効果がある[2]。辛味成分のアリルイソチオシアネート抗菌作用があり、がん抑制などの効果が期待されている[1]

「キバナ」という和名にもかかわらず、花は白色ないし薄いクリーム色である。

ルッコラの野生種

系統的にはキバナスズシロ属(エルーカ)には種分化は認められず、1種キバナスズシロ Eruca vesicaria だけが属する[3][4]

しかし、細分化した種分類も広くおこなわれており、その場合、ルッコラには Eruca sativa の学名が与えられ、この種がキバナスズシロとされる。そのほかの種には、野生種 Eruca vesicaria北アフリカで栽培されている Eruca pinnatifida があり[5]、さらに多くの種を認める説もある。ただしいずれも、多少風味が違うものの、ルッコラ同様に利用される。

折衷的な説として、ルッコラを亜種 Eruca vesicaria ssp. sativa に分類することもある[6]

利用方法

加熱すると独特の辛み・苦みは消えてしまうため、風味を生かすため生で使うのがふつうである[1]。主にサラダカルパッチョとして葉を生食するほか、シンプルなパスタや焼いたピザの仕上げに散らして、彩りと香りを加えるという使い方もされる[1]ホウレンソウオランダガラシなどと共にサラダに混ぜて使われる。また、おひたし炒め物に使われる。

種には強壮作用があるとされハーブティーに用いられる。

イタリアでは、焼きあがったピザに載せる具材としてごく一般的に用いられる。また、カルパッチョなどの肉料理やパスタにも向いている。ステーキハンバーグや魚のムニエルなどの添え物としてもよく見られる。

栽培

プランターでの栽培
調理例(サラダ)

ほれ薬の効果があると信じられ、ローマ帝国の時代から栽培されてきたものの、大規模な生産は1990年代になるまで進んでいなかった。栽培地としてはイタリア北西部のヴェネト州が有名。

ルッコラは1年草で発芽率が高く、また病気もほとんどないため比較的栽培しやすいが、アブラムシアオムシなどの虫がつきやすい。2か月ほどで収穫することができるため、プランターでも栽培でき、家庭菜園に向いている[1]。 日当たりのよい場所を好んで育つ。水はけがよく、湿り気があり、有機質を多く含んだ栄養豊富な土が適している。

葉を採ることが目的の場合、真夏を除きいつでも種をまくことができるため、種をまく時期をずらして栽培すれば一年を通してルッコラを楽しむことができる。しかし、とう立ちさせてしまうと葉がかたくなり、食用に適しにくくなる。

花は春に咲き、クリーム色をしている。アブラナ科に特有の4花弁の十字型をしており、花弁には紫色の脈が入っていて、中央部は黄みがかっている。

出典

  1. ^ a b c d e f g 主婦の友社編 2011, p. 241.
  2. ^ a b c 猪股慶子監修 成美堂出版編集部編 2012, p. 60.
  3. ^ Flora of China: Eruca
  4. ^ Flora Europaea: Eruca
  5. ^ NCBI Taxonomy Browser: Eruca
  6. ^ ITIS: Eruca vesicaria

参考文献

  • 猪股慶子監修 成美堂出版編集部編『かしこく選ぶ・おいしく食べる 野菜まるごと事典』成美堂出版、2012年7月10日、60頁。ISBN 978-4-415-30997-2 
  • 主婦の友社編『野菜まるごと大図鑑』主婦の友社、2011年2月20日、241頁。ISBN 978-4-07-273608-1