ニルスのふしぎな旅
『ニルスのふしぎな旅』 (ニルスのふしぎなたび、スウェーデン語:Nils Holgerssons underbara resa genom Sverige) は、スウェーデンの女流作家セルマ・ラーゲルレーヴが1906年に執筆した子ども向けの物語。原題は「ニルス・ホルゲションの素晴らしきスウェーデン旅行」の意。
概要
ニルス・ホルゲルソン (原作では「ニルス・ホルゲション」:出身地から「西ヴェンメンヘーイの」という冠詞が付く) という少年がトムテ (Tomte:妖精、ノームのスウェーデン名) によって小人にされ、ガチョウのモルテンやガンの群れと一緒にスウェーデン中を旅する物語。この物語は、子ども達に自分たちの国の地理を楽しく学べるように、スウェーデン政府がスウェーデン女流作家であるセルマ・ラーゲルレーヴに執筆を依頼して書かれたものである。セルマ・ラーゲルレーヴは、女性で初めてノーベル文学賞 (1909年) を受賞した人物でもある[1]。
スウェーデンの20クローナ紙幣の表面には、作者セルマ・ラーゲルレーヴの肖像が、裏面にはモルテンに乗っているニルスの絵が印刷されている[1]。
日本語訳
- 『ニルスのふしぎな旅』(全4巻) 香川鉄蔵、香川節訳、偕成社、 ISBN 4-03-651061-4 、1982年。 - 完訳版
- 『ニルスのふしぎな旅』 (上・下) 菱木晃子訳、ベッティール・リーベック画、福音館書店〈福音館古典童話シリーズ〉2007年。
その他、抄訳や翻案が多数ある。
主な登場人物
- ニルス
- 本名「ニルス・ホルゲソン」。 スウェーデンの農場の一人息子。動物いじめが祟って、妖精に悪戯したために、小さくされて農場を追われてしまい、ガンの群れと共に冒険に出るという設定になっている。
- モルテン
- 農場の生活を捨てて、ガンの群れと共にラップランドに旅立ったガチョウ。ニルスの相棒。
- アッカ
- 群れの隊長。雌のガン。原作では「ケプセネイアの― 」と冠が付く。
- ユクシ
- 雄のガン。群れのサブリーダー。アニメ版ではグンナー。
- カクシ
- 雌のガン。群れのマドンナ的存在。 アニメ版ではイングリット。
- ズル
- 動物カーニバルにおいて狼藉を働いたため動物社会から追放されたキツネ。アニメ版ではレックス。執拗にアッカの群れを襲おうとするが、その度ニルスに煮え湯を飲まされる存在。
アニメ
1980年製作、1話24分で全52話である。NHKで1980年1月8日から1981年3月17日まで放送された。スウェーデンではアニメの一部のカットがスウェーデン政府観光局のCMにも使われた。この他にハンガリー、ドイツ、ベルギー、オランダ、フランス、スペイン、ポルトガル、ギリシャ、イスラエル、トルコ、フィンランドなど、世界中で放送された。
アニメーション制作はスタジオぴえろ。後にテレビ東京系列でも放送されたが同局は民放局という体質上、CMを入れるため、オープニングの一部やエンディングをカットした。その後、NHK衛星第二放送やファミリー劇場で再放送された。これらはエンディングがないテレビ東京版が放送された。2010年3月からキッズステーションで、2010年4月13日からBS12(TwellV)で[2]再放送された。これらはオープニング・エンディング・次回予告がノーカットのNHKオリジナル版であった。
NHKでの初回放送時に日立製作所がキャンペーンキャラクターとして使用している。
スタッフ
- 原作:セルマ・ラーゲルレーヴ
- チーフディレクター:鳥海永行
- プロデューサー:神保まつえ、森島恒行、平井寛
- 企画:原正次、石川茂樹
- 原画:岡田敏靖、高橋資祐、半田輝男、前田康成、田中亨、山崎隆生、他
- 動画チェック:上梨一也、藤田茂
- 仕上検査:小磯栄子、西香代子
- オープニングアニメ:羽根章悦
- エンディングアニメ:中村泰敏
- キャラクターデザイン、作画監督:岡田敏靖
- 作画監督補佐:道下有希子、宮川洸二
- 美術監督:中村光毅
- 撮影監督:都島雅義
- 録音監督:斯波重治
- 特殊効果:朝沼清良
- 色指定:内田千代子
- 音楽:チト河内
- 背景:デザインオフィスメカマン、プロダクションアイ
- 仕上:アートキャッツ
- 撮影:緒方プロダクション
- 編集:戸田礼子
- 現像:東京現像所
- 調整:桑原邦男
- 効果:イシダサウンド
- 録音制作:千代田プロダクション
- タイトルデザイン:杉澤英樹
- 制作デスク:伏川政明
- 製作担当:松本堯一
- 設定進行:木村房代
- 製作進行:久保真、神島功、阿部信雄
- アニメーション制作:スタジオぴえろ
- 製作:学研
声の出演
- ニルス:小山茉美
- キャロット:山崎唯 ※アニメ版のオリジナルキャラクター。原作には存在しない
- モルテン:安原義人
- アッカ隊長:寺島信子
- グンナー:田中秀幸
- イングリット:松島みのり
- グスタ:千葉繁
- ラッセ:緒方賢一
- スイリー:松金よね子
- ダンフィン:滝沢久美子
- ゴルゴ:玄田哲章
- レックス:富山敬 ※アニメ版では最後にチューリップと家庭を持ち子供も産まれる。
- ニルセン:三輪勝恵 (第39話のみ高坂真琴)
- 妖精:槐柳二
- エメリック:はせさん治 ※原作では「エルメンリーク」表記
- バタキ:八代駿
- オーサ:中野聖子
- マッツ:横沢啓子
- 雄鶏:水鳥鉄夫
- メイローズ:増岡弘
- チューリップ:向井真理子
- ニルスの父:津嘉山正種
- ニルスの母:池田昌子
- ナレーション:松島みのり
ほか
放送リスト
- わんぱくニルス
- 小さくなったニルス
- がちょうに乗って
- 森のリスのSOS
- モルテンの大ピンチ
- 鳥の体力テスト
- ネズミの戦い
- ツルの舞踏会
- はらぺこニルス
- レックスの悪だくみ
- あるく銅像
- モルテンの初恋
- 地獄谷の羊たち
- 月夜に浮かぶ幻の街
- 欲ばりカラスと金貨のつぼ
- カラスのボスを決めろ
- おとりにされた子ガモ
- 湖がなくなる
- あまえん坊の子ジカ
- ヘビの仕かえし
- お天気魔女のいたずら
- 森を追われるふたごのクマ
- 大洪水 白鳥の湖
- くたばれレックス 番犬作戦
- 空からの救えん隊
- 嵐の日の出来事
- モルテンの婚約
- 街角でうたうニルス
- 捕われのオオワシ
- 焼きたてのパンの味
- 森の妖怪
- 危いニルス 山火事だ
- 五羽のていさつ隊
- 太陽と氷の精の戦い
- 父をさがすガチョウ番の子
- 鳥たちの恋
- しんまいパパのモルテン
- 日が暮れないラプランド
- あとを追わないでゴルゴ
- オオカミのしゅうげき
- 湖の火まつり
- 森をつくった大男
- ニルスの子守
- 閉じこめられたバタキ
- 満月のゆうれい屋敷
- 銀いろに光る海
- 村まつりのよびもの
- レックスの新しい旅立ち
- 秘密を知ったニルス
- ガンのプレゼント
- なつかしいわが家へ
- さようならアッカ
主題歌
- 「ニルスのふしぎな旅」(オープニング、作詞:奈良橋陽子、藤公之介、作曲:タケカワユキヒデ、編曲:チト河内〔レコード用のフルコーラス版・テレビ東京・NHK BS2等での再放送版〕/小松崎純〔NHK総合テレビでの初回放送版・DVD版〕、歌:加橋かつみ)
- 「みんなのうた」でも放送されていた(アニメ本編と異なりステレオ放送だった)。
- 同番組のテレビでの初回放送時はテレビバージョンと同じ小松崎編曲で長さが異なる物が使われ、映像も本編と同じスタジオぴえろが製作していたが、NHKには現存していないため、公式ホームページ「みんなのうた発掘プロジェクト」で、視聴者からの提供を呼びかけている。
- そのため、2008年にNHK第二放送の同番組で放送された際には、レコード・CD化されているチト河内編曲版をフルコーラスで流していた。
- 「いつまでも友だち」(エンディング、作詞:奈良橋陽子、作曲:タケカワユキヒデ、編曲:チト河内、歌:加橋かつみ)
- 挿入歌
- 「ワンダフルアドベンチャー」 作詞:奈良橋陽子、作曲:タケカワユキヒデ、歌:加橋かつみ
- 「ぼくはキャロット」 作詞:奈良橋陽子、山川啓介、作曲:タケカワユキヒデ、歌:キャロット(山崎唯)
- 「腹ペコ・レックス」 作詞:奈良橋陽子、山川啓介、作曲:タケカワユキヒデ、歌:レックス(富山敬)
- 「わたしは歌う(スイリーのテーマ)」 作詞:奈良橋陽子、山川啓介、作曲:タケカワユキヒデ、歌:スイリー(松金よね子)
- 「わんぱくニルス」 作詞:奈良橋陽子、山川啓介、作曲:タケカワユキヒデ、歌:小山茉美
- 「The Song to Nils」 作詞:奈良橋陽子、作曲:タケカワユキヒデ、歌:加橋かつみ
- 「ニルスのふしぎな旅」の英詞版
劇場版
1982年に劇場版(オリジナル長編版)が製作されたが、製作の学研の都合で劇場公開されず一時幻の作品となった。後にビデオソフト、DVD化された。
2011年12月27日にNHK BSプレミアムで放送された。
脚注
- ^ ノーベル賞全賞を通じての初の女性受賞者は、1903年に物理学賞を受賞したマリ・キュリー。
- ^ http://www.twellv.co.jp/program/kids/index.html#kids2
関連項目
外部リンク
NHK総合 火曜19:30枠 | ||
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