コンサーティーナ
コンサーティーナ | ||||||||||
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別称:双面手風琴、六角手風琴、八角手風琴[1] | ||||||||||
各言語での名称 | ||||||||||
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19世紀製のアングロ・コンサーティーナ | ||||||||||
分類 | ||||||||||
音域 | ||||||||||
機種によって異なる。一例:C3~C7[2] | ||||||||||
関連項目 | ||||||||||
コンサーティーナ (concertina) は、アコーディオン族に属するフリーリード楽器で、蛇腹楽器の一種である。
通常正六角形または正八角形の小型の手風琴(てふうきん)で、欧米の民俗音楽などでよく見かける楽器である。名称は日本語ではまだ固定表記が無く、「コンサーティーナ」のほかにも、コンサーティナ、コンサティーナ、コンサルティーナ、コンセルティーナ、コンサルチーナ、コンチェルティーナ、コンツェルティーナ、コンサーチナ、コンサチーナなど様々な表記を見かける。[3]
特徴
蛇腹楽器の中では最も軽量な部類の楽器で(通常のアングロ・コンサーティーナの重さは2kg未満)、取り回しも楽であるが、メロディーや和音伴奏も弾けるなど演奏性能は高い。基本は座奏だが、慣れれば立奏や歩奏も可能で、室内でも野外でも使える。弾きながら語ったり、歌うこともできる。
コンサーティーナを活用する音楽のジャンルも幅広く、世界各地の民族音楽や、西洋のクラシック音楽、現代的な通俗音楽、家庭音楽や商業音楽など、さまざまな音楽シーンで見かける。
ただ、コンパクトな楽器本体に比較的多数のボタン鍵盤と金属リードを詰めこまねばならないため、構造上、妥協や制約を余儀なくされる面もある。コンサーティーナは種類ごとに鍵盤の並びかたや蛇腹の押し弾きの方式がまちまちであり(種類を参照)、ボタン鍵盤数の少ない機種では鳴らせない半音もある。
逆に言うと、コンサーティーナの奏者は自分の機種の特性にあった運指や奏法を工夫できる余地が大きく、それがこの楽器の面白さと奥深さにつながっている。
歴史
開発
コンサーティーナは、19世紀の産業革命期の発明品の一つであり、1829年にイギリスの物理学者・チャールズ・ホイートストンが発明した[4]。命名は、「演奏会」を意味する「コンサート」に、女性形縮小辞「-ina」[5]を付け、愛称化したものである。
ホイートストンが発明したコンサーティーナは、今日、イングリシュ・コンサーティーナ(英国式コンサーティーナ)と呼ばれるタイプである。
その後、ジャーマン・コンサーティーナ(ドイツ式コンサーティーナ。後のアングロ・コンサーティーナやバンドネオンの原型となった)や、最も普及しているアングロ・コンサーティーナ(英国系コンサーティーナ)、改良型のデュエット・コンサーティーナ(重奏式コンサーティーナ)など、さまざまなタイプのコンサーティーナが発明されている。
普及
手軽な楽器であり、移民や船員、旅芸人、ミュージシャン、行商人、キリスト教の宣教師、救世軍の楽隊[6]、などによって世界各地に広まった。
通俗的なダンス音楽や大衆音楽から、賛美歌、クラシック音楽まで幅広いジャンルの音楽の演奏に使われる。
民族音楽
世界各地の民俗音楽(民族音楽)でも広く使われる楽器である。例えばアイルランド音楽(特にクレア州)や、イングランドのフォーク・ミュージック、モリス・ダンスの音楽、カントリー・ミュージック、アフリカーナーのボーア音楽(Boeremusiek)、ズールー人の音楽、ボリビアのフォルクローレ(特にコチャバンバ県)等ではよく見かける楽器である。
欧米
欧米諸国において、コンサーティーナの人気は19世紀を通じて高かった。が、20世紀に入ると、新しい音楽ジャンルの勃興や、レコード音楽の普及、アコーディオンなど競合楽器の発展など、コンサーティーナを取り巻く環境が大きく変化し、その人気は急落した。20世紀半ばまでは、コンサーティーナのブランド・メーカーが次々に廃業するなど、長期低迷の状況が続いた。その後、欧米諸国では、1960年代の音楽界における「ルーツ・リバイバル」(英語版)(フォーク・リバイバル)運動をきっかけに、コンサーティーナの良さが少しづつ見直され、今日に至っている。
日本
日本にも、コンサーティーナは明治時代に伝来した。救世軍[7]や「オイチニの薬売り」の一部[8]などがコンサーティーナも使っていた(昔の日本語では、コンサーティーナとアコーディオンをまとめて、漠然と「手風琴」と呼んだ)。ただ、早くから国産品の普及が進んだアコーディオンとくらべると、コンサーティーナは今も昔も全て輸入品で日本のメーカーによる国産品は存在せず(個人が組み立てた楽器などを除く)、日本ではコンサーティーナは珍しい楽器のままであった。
とはいえ、日本でもテレビや映画などでは、そこそこコンサーティーナを見かける(コンサーティーナが登場する作品など)。ただ日本国内での知名度が低いため、アコーディオンやバンドネオンと混同されてしまうケースも多い。[9]
近年はコンサーティーナを弾く日本人も少しづつ増えており、YouTubeやニコニコ動画などの動画投稿サイトや、アイルランド音楽の講習会やアイリッシュ・パブにおけるセッション、オープンマイクやライブなどで、コンサーティーナの演奏を視聴できる。また日本語によるイングリッシュ・コンサーティーナの教則本[10]も刊行されている。
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1854年、ロンドンで刊行されたアングロ・ジャーマン・コンサーティーナの教則本の表紙。
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1880年ごろのロンドン。ミンストレルによるアングロ・コンサーティーナの立奏(中央の人物)。
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1900年ごろの南アフリカ。ズールー人の楽隊。コンサーティーナ(中央手前)とハーモニカも見える。
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アイリッシュ・パブにおけるアイルランド音楽のセッション。楽器はアングロ・コンサーティーナ(右端)、ダイアトニック・アコーディオン、バウロン。2008年、ドイツで撮影。
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モリス・ダンスの伴奏での、イングリッシュ・コンサーティナの座奏。2013年、オーストラリアで撮影。
演奏のしかた
コンサーティーナの奏法は多様である。楽器の本体を両手のあいだにはさみ、手ので蛇腹を押したり引いたりして空気の流れを作り、指でボタン鍵盤をおさえてメロディーや和音を奏でる、という基本は同じである。ただし、蛇腹の押し弾きの向きや、指づかい、演奏に使う指の本数などはコンサーティーナの種類ごとに大きく異なる。
コンサーティーナの演奏の基本姿勢は、楽器本体を膝やふとももの上に置く座奏であるが、慣れれば、手で楽器の重みを支える立奏や歩奏も可能である。
変則的な奏法も可能で、ベッドに寝たまま仰向けの姿勢で弾いたり、サーカスのピエロのように曲芸をしながら弾くこともできる。
どのような姿勢で弾くかは、演奏者のポリシーや、演奏場所の状況にもよる。また、楽器の構造や音楽性から、おのずと適した演奏姿勢の傾向が決まる面もある。
楽器の外部構造の面から見ると、手のひらをバンドで楽器本体に固定して楽器をしっかり保持できるアングロ・コンサーティーナやデュエット・コンサーティーナは、立奏も比較的容易である。イングリッシュ・コンサーティーナでも、熟練者であれば、首かけ紐なしでの立奏も可能である。
ただし、アングロ・コンサーティーナといえども、アイルランド音楽を演奏する場合は、蛇腹の押し弾きの切り返しを頻繁かつ機敏に行わねばならぬため、演奏者はもっぱら座奏の姿勢を取る。
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ギターとの立奏。
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立奏での弾き語り(ポーランド)
楽器の構造
蛇腹(ベロー)の左右両側に、多角形(六角形、八角形、四角形、十二角形など)の木製の箱(ボックス)が2つついている。それぞれの箱の板面には、ボタン式の鍵盤(キー)が並んでいる。左右の手で楽器をはさむようにして持ち、蛇腹を押したり引いたりすると、蛇腹の中の空気に圧力がかかる。指で箱の板面のボタン鍵盤を押すと、そのボタンと連動した空気穴が一時的にあき、穴にとりつけた金属製のフリーリードが空気の流れによって振動して、音がでる。このようなメカニズムは、アコーディオンやバンドネオンなど、他の蛇腹楽器と同様である。
コンサーティーナのボタンの配列は、蛇腹を押したときと引いたときで違う高さの音が出る押し引き異音式(ダイアトニック式。バイソニックとも言う)と、押したとき、引いたときに同じ音が出る押し引き同音式(クロマチック式。ユニソニックとも言う)の二種類に大別できる。ダイアトニック式とクロマチック式では、同じくコンサーティーナという名称であっても、奏法や音楽のフィーリングが全く異なるため、事実上は互いに別種の楽器であるといっても過言ではない。
コンサーティーナの箱の中の狭い空間に多くのリードとボタンをつめこんで配列するには、精密な機械にも似た複雑で高度な職人技が必要となる。
ヴィンテージスタイルの高級品のコンサーティーナは、金属リードも含めて職人の手作りであり、コンサーティーナ独特の音色がする。一方、廉価版のコンサーティーナでは、大量生産されたアコーディオン用の金属リードを流用したり、箱の内部のリードとボタンのしくみを簡易化することで価格を抑えている。
この他、電子楽器としてのリードのないMIDIコンサーティーナや、iPhoneやiPad用のコンサーティーナのアプリケーション(本物の楽器と同様の指使いで、画面をタッチして演奏できる)などもある。
外部構造
各部位の名称を示す。[12]
左はアングロ・コンサーティーナ、右はイングリッシュ・コンサーティーナ。
(1)【 button(s) 】 ボタン
(2)【 air valve button 】 エアバルブ・ボタン (アングロのみ)
(3)【 grille(s) 】 グリル 有孔板
(4)【 palm rest(s) 】 パームレスト 掌台(しょうだい) (アングロのみ)
(5)【 hand strap(s) 】 ハンドストラップ (アングロのみ)
(6)【 end frame(s) 】 エンドフレーム 筐体(きょうたい)
(7)【 bellows frame(s) 】 ベローフレーム 蛇腹枠
(8)【 bellows 】 蛇腹(じゃばら) ベロー
(9)【 bellows strap(s) 】 蛇腹どめバンド (アングロのみ)
(10)【 thumb strap(s) 】 親指どめ 親指ベルト (イングリッシュのみ)
(11)【 finger rest(s) 】 フィンガーレスト (イングリッシュのみ)
内部構造
Wheatstone(ホイートストン)ブランドのイングリッシュ・コンサーティーナを分解した写真。八角形の筐体(エンドフレーム。機械部分を収納する箱)の中に、リードが放射状に並んでいる。
コンサーティーナの種類
普通、コンサーティーナと言えば、アングロ・タイプとイングリッシュ・タイプの二種類を指すが、実はそれ以外にもさまざまな種類が存在する[13]。蛇腹楽器の常として、外見は同様の形状の楽器でも、奏法や音色、音楽のフィーリングなどによって、全く別種の楽器になってしまうため、楽器購入や学習にあたっては注意を要する。
コンサーティーナの高級品は、職人の手作りであり、奏者の注文に応じてアクシデンタル・キー(増加鍵盤)を追加するなど、一台ごとにきめ細かい改良が施される。世界に数台しかないという稀少タイプのコンサーティーナも存在する(例えば、フラングロ・コンサーティーナ=仏英折衷式、など)。
ここでは、主な種類の紹介にとどめておく。
イングリシュ・コンサーティーナ
- クロマティック式(押し引き同音式)。「英国式コンサーティーナ」の意[14]。
- ピアノでいう黒鍵と白鍵に相当する半音階のボタン(♯/♭) を網羅しているので、ダイアトニック式と違い、1台あればどんな調の曲にも対応できる。
- 20ボタン、48ボタン、56ボタンなど様々なタイプがあり、ボタン数が多いほど音域は広い。蛇腹操作の特性上、蛇腹の長さはダイアトニック式にくらべて比較的短く、また、なめらかな曲を弾くのにも向いている。
- イングリッシュ・コンサーティーナの外見上の特徴は、左右の板面にサム・ストラップ(親指をくぐらせるベルト)とフィンガー・レスト(小指を置く耳のような金具)がある点で、それによってアングロ・コンサーティーナと見分けることができる。また、イングリッシュのボタン鍵盤の配列の形も、アングロとは異なっている。
- ボタン鍵盤は、左右の手の人差し指、中指、薬指の計6本で弾く[15]。左右の手の親指はサム・ストラップに、小指はフィンガー・レストに引っかけるため、演奏には使わない。
- メロディーと和音伴奏を同時に演奏することもできるが、高音と低音のボタンが左右それぞれに入り交じっているという複雑なボタン配列の特性上、バイオリンのようにメロディーだけを弾く人も多い。
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イングリッシュ・コンサーティーナを発明したイギリスの物理学者、サー・チャールズ・ホイートストン(1802-1875)の肖像。
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19世紀末のイングリッシュ・コンサーティーナ。現在のモデルとほとんどデザインが変化していない。蛇腹楽器では珍しいことだが、メンテナンスが十分な高級品のコンサーティーナは、100年以上前の中古品であっても、現在の市場で高値で取り引きされる。
アングロ・コンサーティーナ
- ダイアトニック式(押し引き異音式)。1850年代にイギリスのジョージ・ジョーンズ (George Jones) が開発した。
- 本来の名称はアングロ・ジャーマン・コンサーティーナ(英国系ドイツ式コンサーティーナ=英独折衷式コンサーティーナ)と言うが、単に「アングロ・コンサーティーナ」と呼ぶことが多い[16]。イングリッシュ・コンサーティーナを土台にして、「リヒター配列」(ハーモニカや、ドイツ式のダイアトニック系蛇腹楽器で採用された音の配列法)を採用したことからの命名である。
- ダイアトニック式のコンサーティーナは、普通のハーモニカと同様、一台の楽器で出せる半音の数は限られる。
- 例えばC調の一列ボタン式(ボタン数は10個前後)なら、ピアノでいう白鍵に相当する音階しか鳴らせない。
- C/G調の二列ボタン式(ボタン数は20個前後)なら、半音はF♯も出せるようになる。
- 三列ボタン式(ボタン数は30個から40個前後まで)なら、ほとんどの半音をカバーできるので「セミ・クロマティック式」ないし「アングロ・クロマティック式」とも呼ばれる。[17]
- 押し引き異音式は、出せる半音の数が限られているぶん、奏法は簡単で独習が可能である。そのため、ヨーロッパの民俗音楽などで、よく使われる。また蛇腹を激しく押し引きするため、アイルランド音楽のメリハリのある曲を素早く演奏するのにも適している。
- アングロ・コンサーティーナの外見上の特徴は、左右の板面にパーム・レスト(手のひらを置くための横木の台)とハンド・ストラップ(手のひらをくぐらせるベルト)があることで、それによってイングリッシュ・コンサーティーナと見分けることができる。
- 左右の手の、親指を除く計8本の指でボタン鍵盤を弾く[18]。左右の親指は、ハンド・ストラップの外に出ているため、動きに制約がある。左手の親指はドローン のボタンを押して鳴らすのに使い、右手の親指はエアバルブ・ボタン(空気抜きボタン)の操作に使う。
- アングロは、ボタン鍵盤の操作に使える指の数が比較的多く、また、ボタン鍵盤の配列も右手は高音で左手は低音に分かれているため、メロディーと和音伴奏を同時に弾くことも比較的容易である[19]。
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20ボタンのアングロ・コンサーティーナ(右)。バンドネオン(左)と比較すると、そのコンパクトさがわかる。
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40ボタン・CG調の機種の「ドレミ…」の配置の例。例えば、図で(1)の番号が割り振られたボタン鍵盤を押しつつ、蛇腹を押すとミ、蛇腹を引っ張るとファの音が出る(オクターブなど音の高さの違いは図では省略)
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備前屋の和菓子「手風琴のしらべ」の紙の箱。20ボタンのアングロ・コンサーティーナを模している。「手風琴」という日本語がコンサーティーナも含む実例。2016年、日本で撮影。
デュエット・コンサーティーナ
- 右手で旋律、左手で伴奏を弾きやすいようボタン配列を改良したタイプで、日本国内では演奏者が少ない希少楽器である。デュエット・コンサーティーナの方式には、クレーン(Crane。トライアンフ Triumph とも言う)、マッカーン(MacCann)、ヘイデン(Hayden)、ジェフリーズ(Jeffries)などがあり、それぞれボタン配列の方式が異なる。
- デュエット・コンサーティーナの外見は、アングロ・コンサーティーナとよく似ている。しかし、一般的にデュエットのほうがアングロよりもやや大きく、またボタン・キーの数や配列の形もアングロとは微妙に異なるので、よく見ると外見だけで区別することができる。
ジャーマン・コンサーティーナ
- ダイアトニック式。1834年にドイツのカール・フリードリヒ・ウーリヒ(英語版)(Carl Friedrich Uhlig 1789–1874)が開発した四角いコンサーティーナで、バンドネオンやアングロ・コンサーティーナの原型となった(バンドネオンの欧米での俗称「タンゴ・コンサーティーナ」が示すとおり、バンドネオンもまた、広義のコンサーティーナの一種である)。
- ボタン鍵盤の並べ方は、1820年代末に発明された初期のダイアトニック・アコーディオンや、ハーモニカと同様の「リヒター配列」を採用している。
- ウーリヒがドイツ式のコンサーティーナを開発したとき、同時代のイギリスのホイートストンの発明を参考にしたのか、それとも、それを知らずに別個に発明したのか、どちらが真相なのかについては、よくわかっていない。
- ホイートストンが発明したイングリッシュ・コンサーティーナは、当初は比較的高価で、富裕層のサロン音楽の楽器としてもてはやされた。これと対照的に、ウーリヒのジャーマン・コンサーティーナは比較的低価格で、出せる半音が限られるなど性能面の制約はあったものの、庶民層の通俗音楽の楽器として世界各地に広がった(上掲の、1856年の英国の絵画「盲目の少女」の絵を参照)。
- 後に半音のボタンを追加したり、音域を広げるためボタン数とサイズを増大するなどした改良型のジャーマン・コンサーティーナも開発された。
- 各種のジャーマン・コンサーティーナの中で現在、代表的なのは、改良型の大型のケムニッツァ・コンサーティーナ (Chemnitzer concertina) である[20]。
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初期のジャーマン・コンサーティーナ
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発明者のカール・フリードリヒ・ウーリヒ。後ろのピアノの上にコンサーティーナが並んでいる。
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小型のジャーマン・コンサーティーナを立奏する観光地のガイド(米国)。
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ケムニッツァ・コンサーティーナ。外見はバンドネオンと似ているが、まったく別の楽器である。
コンサーティーナが登場する作品など
映画、テレビ、ラジオなど
- 1948年の米映画「腰抜け二挺拳銃」(The Paleface)で、主演のボブ・ホープが、幌馬車の中で劇中歌 『ボタンとリボン』 (Buttons and Bows)をアングロ・コンサーティーナを弾きながら歌う(演奏は演技)。
- 1954年の米映画「海底二万哩」(20000 Leagues Under the Sea)で、カーク・ダグラスが演ずるネッド・ランドがギターの弾き語りをするシーンで、船員がアングロ・コンサーティーナで伴奏する(演奏は演技)。
- 1964年の米映画「メリー・ポピンズ」で、バートの「一人楽団」のシーンで、踊りながらアングロ・コンサーティーナも弾く(演奏は演技)。
- 1979年ー80年のテレビアニメ「ベルサイユのばら」の第20話以降、アングロ・コンサーティーナを弾き語りする隻眼隻脚の「吟遊詩人」がときどき登場する。(音源はコンサーティーナではなく、アコーディオンと思われる。なお実際には、フランス革命の時代にはまだコンサーティーナを含む蛇腹楽器は発明されていなかった)
- NHK総合テレビ「音楽の広場」1980年4月19日(土)放送「アコーディオン・時代を超えて」の回で、「コンサティーナ」という名称で紹介される。[21]
- 1990年代のテレビ番組「ウゴウゴルーガ」の1コーナーとして日本でも放送された「ももいろぞうさん」では、マックダフという名前の擬人化されたアングロ・コンサーティーナが登場する。
- まあだだよ(1993) 黒澤明監督作品。映画の中で寺尾聰がアングロ・コンサーティーナで「オイチニの薬屋さん」の歌を伴奏するシーンがある(演奏は演技。音はアコーディオンによるアフレコと思われる)。nicozonの動画
- グリコのチョコレート「絹練り」のテレビCM(1998)で、本上まなみが歩きながらアングロ・コンサーティーナを演奏(撮影用に、中身のリード類を抜いた状態で、演奏の演技をしていると思われる)。YouTubeの動画
- 「おジャ魔女どれみドッカ~ン!」第27話(2002.08.04)「白いゾウさん、はじめまして!」。白い子象の首に生まれたときからついてた「箱のようなもの」「アコーディオン」として、20ボタンのアングロ・コンサーティーナが登場。音は、コンサーティーナの生演奏ではなく、DTMと思われる。
- CASSHERN(2004) 紀里谷和明監督作品。実写版新造人間キャシャーン。映画の中で宮迫博之が、公園のベンチにすわり、アングロ・コンサーティーナを演奏するシーンがある。
- NHKテレビ「知るを楽しむ 歴史に好奇心」の「日中二千年 漢字のつきあい」第4回(2007年4月26日放送)で、「漢文二十面相」がアングロ・コンサーティーナを弾きながら哲学堂公園を歩く。
- エリオのCM(2009)で、沢田研二の「TOKIO」の部分を「エリオ」として替え歌でTOKMAが歌っている。劇中、エリオ車内後部でアングロ・コンサーティーナを弾いている。アコーディオン演奏はメインのパフォーマーとしてCMに出演しているパトリック・ヌジェ。
- 2010年のディズニー映画「塔の上のラプンツェル」でアングロ・コンサーティーナを弾く男が出てくる(2013年の映画「アナと雪の女王」でも、壁画の人物として一瞬だけ登場する)。
- 2012年、スマートフォン向け放送局WALLOP(ワロップ)で毎週水曜の番組「三浦みゆきのコンサーティーナの時間」放送開始。
- 2012年のSF映画「プロメテウス」で、宇宙船の船長がイングリッシュ・コンサーティーナを自慢するシーンがある。
- 明治チョコレートのCM「バレンタイン女子会」篇(2014)で、新垣結衣 がアングロ・コンサーティーナ(20ボタン)を弾く(演技のみで、演奏ではないと思われる)。YouTubeの動画
- NHK みんなのうた 2014年10・11月新曲「ぎんなん楽団カルテット」の実写アニメーションで、コンサーティーナが登場。
- NHKラジオ語学講座「レベルアップ中国語」2015年10月9日放送の回(「つかみの中国語」第10課)で、アングロ・コンサーティーナの生伴奏にあわせて、出演者が「旅愁」の中国語版を合唱。
その他
- 東京ディズニーリゾートでオブジェとして、イングリッシュ・コンサーティーナを見ることができる。
- 長崎にあるグラバー園でオブジェとして、アングロ・コンサーティーナを見ることができる。
- アイリッシュ・ダンスでの伴奏、アイリッシュパブでの演奏会、アイルランドの聖パトリックの祝日、セント・パトリックス・デイ・パレードなどで見ることができる。
外部リンク
総論
- Concertina FAQ(日本語) www.concertina.info の抄訳。歴史や種類等を総合的に解説。
- YouTubeの「コンサーティーナ」の動画演奏の動画など。
- メロディオン&コンサーティーナ ホームページ 楽器の内部構造も写真つきで解説。
- コンサーティーナ・レビュー 名器の写真、名盤を紹介。
- Concertina.Net(英語) コンサーティーナについての国際的なフォーラム。
- Concertina Library(英語) コンサーティーナについての歴史的な資料を公開するデジタル図書館。
イングリッシュ・コンサーティーナ
- 三浦みゆき アコーディオン&コンサーティーナの日々 イングリッシュ・コンサーティーナの教室情報も。
- 三浦みゆきのコンサーティーナの時間 WALLOPの番組(毎週水曜日 18時30分)
- イングリッシュ・コンサーティーナ教本 三浦みゆき ISBN 4-88371-563-9
- 八角手風琴 Maki Aozasa イングリッシュ・コンサーティーナの演奏が聴ける (mp3)。
アングロ・コンサーティーナ
- コンサーティーナ入門 演奏の動画や、和音伴奏のしかたの解説など。
- Irish Flute and Anglo Concertina アイリッシュの曲の演奏の視聴や、各メーカーごとの音色の違いも視聴できる。
- ダイアトニック・アコとコンサーティーナについて 演奏の動画など。
コンサーティーナを所蔵している博物館
- Musik-und Wintersportmuseum Klingenthal ドイツ・ザクセン州・クリンゲンタールにあるMusic & Wintersports博物館(アングロ・コンサーティーナ、バンドネオン)
- Harmonikamuseum Zwota ドイツ・ザクセン州・ズウォタ(クリンゲンタールの隣町)にあるhamonica博物館(アングロ・コンサーティーナ、バンドネオン)
- Horniman Museum and Gardens イギリス・ロンドンにあるホーニマン博物館(イングリッシュ・コンサーティーナ、アングロ・コンサーティーナ)
- 浜松市楽器博物館 静岡県浜松市(イングリッシュ・コンサーティーナ)
脚注
- ^ 2015年現在、日本語や中国語のサイトでは「双面手風琴」「六角手風琴」「八角手風琴」など未統一の漢字訳も散見されるが、いずれも未定訳である。コンサーティーナの形は四角形、六角形、八角形、十二角形などいろいろなので、「N角形~」と形を限定する呼称を入れてしまうと、コンサーティーナ全般を指す汎称(はんしょう)としては不適切になる。
- ^ コンサーティーナ入門
- ^ 近年は「コンサーティーナ」という表記が増えている。例えばキアラン・カーソン著、守安功訳『アイルランド音楽への招待』(音楽之友社、1998)では「さて、この楽器、日本ではどういうわけかコンセルティーナと表記されているが、正しくは「コンサーティーナ」である」(p.179)とあり、三浦みゆき著『イングリッシュコンサーティーナ教本』(サーベル社、2010)も「コンサーティーナ」である。しかし、依然として「コンサーティナ」その他の表記も見受けられ、統一されていない。
- ^ 厳密に言うと、ホイートストンが1829年にロンドンで特許を取得したのは「シンフォニウム」(symphonium)という別の楽器である(蛇腹はなく、口をあてて息を吹き込んで鳴らす小型のボタン式鍵盤楽器)。彼が「コンサーティーナ」という名前を初めて使って特許を取得したのは1844年である。ただし、1829年の「シンフォニウム」の特許申請書の中にすでに蛇腹を使ったコンサーティーナの原型のアイディアが図示されていること、シンフォニウムのボタン鍵盤の配列法が後のイングリッシュ・コンサーティーナと同様であることから、ホイートストンをコンサーティーナの発明者とするのが定説となっている。
- ^ ラテン語では「-inus(男性形)、-ina(女性形)」。イタリア語・スペイン語では「-ino(男性形)、-ina(女性形)」。
- ^ 救世軍のコンサーティーナバンド
- ^ 「一八九五(明治28)年九月二十二日、東京の基督教青年会館で、救世軍の開戦を告げる集会が開かれました。(中略)その集会の様子は、「……用いた楽器は、バイオリン、コルネットというラッパ及び手風琴(コンサチーナ)で、メロディーはすべて快活、勇壮で楽しいもの……」と伝えられています。」以上、救世軍の「ときのこえ」2015年9月号の記事「JOY! 喜び満ちあふれる救世軍 勝地 次郎」より引用。
- ^ 「オイチニの薬売り」の楽器と歌詞と楽譜
- ^ 一例をあげると、TVアニメ「おジャ魔女どれみドッカ~ン!」第27話(2002.08.04放送)「白いゾウさん、はじめまして!」の中で白いゾウが首にかけている楽器はアングロ・コンサーティーナだが、劇中のセリフでは一貫して「アコーディオン」と呼ばれ、バンダイから発売された関連玩具の商品名も「おジャ魔女どれみドッカ~ン! たのしいアコーディオン」になっている。
- ^ 三浦みゆき著『イングリッシュコンサーティーナ教本』(サーベル社、2010)ISBNコード:9784883715633
- ^ 演奏の動画は、ボストン美術館のサイトの中の<Wheatstone's Symphonium>で見ることができる。2016-3-4閲覧
- ^ コンサーティーナ入門
- ^ 同じ「コンサーティーナ」という名称でも、時代や国の違いにより、別の楽器を指す場合すらあるので要注意である。例えばポルトガル語で単にconcertinaと言えば、ダイアトニック・アコーディオン(ダイアトニック式のボタン・アコーディオン)を指す。ポルトガル語版のconcertinaの項を参照。
- ^ 英国人チャールズ・ホイートストンが発明した最初のコンサーティーナと同様のタイプの楽器であるため、「イングリッシュ」と呼ばれる。
- ^ 親指や小指を使わない理由は、他の3本の指と長さが違うためである。オルガンなどの手鍵盤の運指でも、16世紀ごろまでは親指と小指は使わず、18世紀になってさえ親指の使用にはまだ消極的だった。
- ^ 英語圏では、第一次世界大戦勃発後、敵国名である「ジャーマン(ドイツ)」を避けて単にアングロ・コンサーティーナと呼称することが増えた。
- ^ よく「C/G調のコンサーティーナではCメジャーとGメジャーの調の曲しか弾けない」と誤解する人が多いが、アクシデンタル・ボタンのあるC/G調の機種なら、C/Gの近親調であるAマイナー、Dメジャー、Dマイナー、Eマイナー、Fメジャー等の曲も容易に弾ける。外部リンクの、アングロ・コンサーティーナの演奏動画なども参照のこと。
- ^ あくまでも理論上、最大で同時に8本の指でボタン鍵盤を鳴らせる、という意味である。アイルランドの伝統音楽などを演奏する場合には、それほど多くの指は使わない。
- ^ アイルランドの伝統音楽でアングロ・コンサーティーナを弾く場合は、和音を弾かず、フィドルのような単旋律をなるべく少ない数の指で(そのほうが速く弾けるため)弾くことが多い。
- ^ この大きい四角形の楽器は、日本でもまれに輸入品や中古品(骨董品)が市場に出るが、外見がバンドネオンと酷似しているため、しばしば日本では混同されがちで、要注意である(実際には、ボタン配列や奏法、音色などが異なる全く別の楽器である)
- ^ 番組の写真