縮小辞

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縮小辞(しゅくしょうじ、diminutive)は、主に名詞形容詞につき、「小さい」「少し」といった意味を表す接辞である。縮小語尾指小辞[1]ともいう。接尾辞が多いが、日本語の「小(こ)」のような接頭辞もある。

用法としては、愛情、愛着、親近感(愛称)などのニュアンスを込める場合、また逆に軽蔑などの意を込めて用いる場合もある。こうした使い分けはおおむね語によってあらかじめ決まっていることが多い。また、なにかを指し示すのに適当な名称が見当たらない場合、類似のものを指す名詞に縮小辞を添えて、「~のようなもの」といった意味で用いる場合もある[2]。この場合往々にして、「小さい」のようなニュアンスは全く含まない。

アフリカの言語には縮小辞(接頭辞)のついた名詞が特別の名詞クラス(ヨーロッパ語ののような区分)となるものもある。また、現代ギリシア語の中性名詞が縮小辞のついた形に由来していることや、ドイツ語で縮小辞のついた名詞が中性化するなど、性の転化が見られることもある。

縮小辞の例[編集]

以下にさまざまな縮小辞の例を挙げる。 なお、以下の例では縮小形が固定的な特定の意味を持つに至った例を多く挙げているが、実際にはこのようなものが多数を占めるとは言えず、むしろ、単なる愛称であったり、あるいは「かわいらしさ」「手軽さ」「瑣末さ」などのニュアンスをもとの単語に付加するだけの例も多いことに留意されたい。

言語 元になった単語 意味 縮小形
(太字が縮小辞)
縮小形の意味 備考
日本語 きれい ぎれい ほかに「一時間」「銭」「腹がすいた」、人名「政」など。
東北方言 べこ べこっこ
琉球方言 まや まやぐゎ 猫ちゃん
中国語 姐姐 (姉) xiǎojiě お嬢さん、ミス ほかに「」「Q」などの「」も。
英語 fox キツネ foxy フォックステリア
cinder 燃え殻、灰 Cinderella シンデレラ
灰かぶり姫
もともと大陸ヨーロッパの説話であり、異国風の接尾辞をとっている。
app アプリケーション(略称) applet アプレット 近年の造語の例
ドイツ語 Hans ハンス(人名) Hänschen ハンスちゃん
(愛称として)
最も一般的な男性名として「太郎君」のように使われ、民謡等に登場する。
Rose バラ Röslein 小さなバラ
(参考:野ばら
-lein-chenに比べてやや古風な表現とされる。
Bissen 一口 (ein )bisschen 少し、ちょっぴり 元の意味を離れ、付加語的、副詞的に使われる。
オランダ語 huis huisje 小さな家 オランダ語では指小辞が頻用される。-je, -tjeなど。
ラテン語 rana ranunculus ラナンキュラス 葉の形が蛙の足に似るとされる。が変化している。
cerebrum cerebellum 小脳 近代以降の学術語の例
イタリア語 ombra ombrello 傘、パラソル 性が変化している
spago ひも spaghetto
(複数形:-i)
スパゲッティ パスタの名前は縮小辞の宝庫。
spaghetto
(複数形:-i)
スパゲッティ spaghettino
(複数形:-i)
スパゲッティーニ スパゲッティーニは標準的なスパゲッティよりも細い。縮小辞が二重についた例。
フランス語 maison maisonnette 小さな家 日本語「メゾネット」の語源となっている。
スペイン語 buena 良い bonita ボニータ -ue-はアクセントのある時に現れる-o-の変異形。
armado 武装した(者) armadillo アルマジロ armadoはarmar「武装する」の過去分詞形。
ロシア語 вода(voda) водка(vodka ウォッカ 発音は「ヴァダー」「ヴォートカ」。
チェコ語 řeka říčka 小川
アラビア語 كوت(kuwt) كويت(kuwayt) クウェート 「小さな砦」の意。母音部(-u-ay-)が縮小辞に相当。ほかに Hassan → Hussayn (人名)など。

なお、ヨーロッパ系の人名には上記のような縮小辞が含まれている例も多い。

出典[編集]

  1. ^ 学術用語集 言語学編』(オンライン版
  2. ^ 例:スペイン語: plata 「銀」 > platina 「銀のようなもの」 > ラテン語: platinum 「プラチナ」。 ラテン語: oculus 「目」 > ocellus 「(比喩としての)目」「(英語)眼状紋」など。

関連項目[編集]