コンテンツにスキップ

エコテロリズム

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

これはこのページの過去の版です。葛餅 (会話 | 投稿記録) による 2012年4月8日 (日) 07:34個人設定で未設定ならUTC)時点の版 (→‎概要: 基本的に環境破壊に対する実力行使なので性犯罪に類する行為を行う必要がないし、聞いた事もありません)であり、現在の版とは大きく異なる場合があります。

エコテロリズムEco-terrorism)は、「環境保護」「動物の権利擁護」などを目的とした団体を自称しながら、非合法破壊脅迫暴行などのテロリズム行為を実行する組織、及び、それら組織とその活動家の行動・主張を正当化・支持する思想のこと。

エコテロリズムに基づくテロ活動を実践する者を、アメリカ連邦捜査局(FBI)のテロリスト分類ではエコテロリストEco-terrorist)と呼称している。

概要

「エコテロリズム」ないし「エコテロリスト」という単語の由来は、FBIの報告書で使用されたことに端を発する。

エコテロリスト団体として国際的に著名な団体には動物解放戦線(ALF;Animal Liberation Front)、地球解放戦線(ELF;Earth Liberation Front)、ハンティンドンの動物虐待阻止(SHAC;Stop Huntingdon Animal Cruelty)、シーシェパード(Sea Shepherd Conservation Society)などがあり、これらは地球環境保護や動物愛護などの目的を掲げてはいるが、実際には放火爆破破壊略奪脅迫誘拐拷問、傷害、強姦[要出典]等のテロリズムに分類される活動を繰り返している。これらは大半の法治国家において犯罪行為に該当するそれら自らの行動について、確信犯的に全面的に正当化する主張を展開し、犯罪行為を行った場所の国家の法律の無視はもとより様々な常識的な社会通念・規範をも蔑ろにしている事も多い。環境保護や動物愛護を目的として掲げる組織とはいえ、国際的かつ大規模・著名な環境保護団体であっても、グリーンピースの様に、組織の内部や周辺に目的達成のためのテロリズムを容認する急進的・過激な一派が存在していたり、多数の派閥勢力が存立して活発な活動を行っている場合、この種の問題を長年にわたって内包している事も見られる。さらに、組織内部で活動方針や主導権などを巡って派閥間抗争や内紛に発展している場合には、その活動方針を巡って武闘闘争を訴える派閥の構成員などが一種の内ゲバ行為を引き起こす場合もある。

「エコテロリスト」という言葉の定義についてはしばしば論争の的となっているが、欧米の団体において顕著な市民的不服従の延長線上の活動として自組織の目的達成の為の暴力的な行為や破壊行為を実行する環境保護団体[1]に対する蔑称として用いられる事が多い。事例としては2006年1月8日、南極海において捕鯨問題をめぐって対立している日本鯨類研究所グリーンピースとの間での応酬があげられる。鯨類研究所の調査捕鯨の実施と、それに対するグリーンピースの抗議行動のさなかに発生した、調査捕鯨母船「日新丸」とグリーンピースのキャンペーン船「アークティック・サンライズ」の接触事故に関して、日本鯨類研究所側がグリーンピースを非難するプレスリリースの中でこの言葉を使っている[2]。なお、この接触事故に関しては、双方共にビデオ・写真を公開して事件の説明をしているが、双方が「相手にぶつけられた」と主張しており、見解は対立している(日本鯨類研究所は、日新丸は他船に貨物を移し替える為停船していたと主張している)。なお、グリーンピースについては米国の連邦捜査局(FBI)が国内テロリズムの団体として監視対象としている団体であることがACLUが、情報公開法に基づいて入手したFBI資料で明らかとされている[3]。また、日本政府調査捕鯨対策として武装した特殊警備隊が乗船している事を非公式に表明した。

2010年2月にはシーシェパードが所有する抗議船「アディ・ギル」が南極海で調査捕鯨船「第2昭南丸」に接触し損壊、その後、別の抗議船による曳航中に沈没するという事件を起こした。だが、これはテレビ映えする刺激的な映像を収録し、国際世論からの同情を買うことを目的に、代表のポール・ワトソンの指示により曳航可能な「アディ・ギル」を南極海に故意に沈没させ放棄した、シーシェパードによる自作自演のパフォーマンスであったことが、同年10月にニュージーランドでラジオ番組に出演した当時の「アディ・ギル」船長のピーター・ベスーンにより暴露されている[4]

また、過激な思想・手法を積極的に肯定している一部組織には、ロケット弾などの明らかに攻撃対象の殺傷・破壊を主目的とする軍事用の兵器を用いたり、戦闘目的の軍艦と同然の装甲を公然と施すなど、常識的な法治国家ならば所持・持込自体が違法行為とされるはずの高度な武装が用いている状況も見られ[5]、この場合、シーシェパードが抗議船の根拠地としているオーストラリアの様に、当該組織のみならず組織の拠点や活動の出発地となっている国の政府・行政の対応が疑問視される事もある。

他方で、逆に環境保護・自然保護に不熱心・無理解であるとされる行政責任者・官僚実業家を、「環境破壊者」「自然破壊者」であるとして批判者が非難をする場合のレトリックとしても使用されることが見られる[6]

環境テロリズム

エコテロリズム/テロリストと同様の表現に「環境テロリズム/テロリスト」がある。

だが、こちらは意味合いとしては大きく異なり、具体的には環境保護が目的ではなく、目的達成の手段として環境を人質にとるテロリズム[7]を指すように区別して使われている[要出典]

エコテロリズムを扱った作品

  • 小説・映画『さよならジュピター』(1984年)-作品中の木星太陽化計画を環境保護団体が阻止する為にテロ行為を行っている。
  • コミックス・アニメ『機動警察パトレイバー』(1988年-) - 作中に登場する大規模工事が多大な環境破壊を伴うことから反対運動が起きており、過激派によるテロ攻撃がしばしば発生している。
  • 映画『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』(1988年) - 作中では宇宙移民側が地球環境の破壊を続ける人類を粛清する目的で巨大な隕石落下による核の冬を引き起こす事が目的である。
  • オリジナルビデオ『ウルトラマンG』第11話「第47格納庫」(1991年)-環境保護を訴えるカルト団体がテロ行為のために異星人の宇宙船の強奪及び量産をたくらむ、この話のみ合作相手のオーストラリア側のプロットである。
  • 映画『アップルゲイツ』(1991年)
  • プラネテス』(1999‐2004)‐作中に人類が地球外天体の資源を採掘などの環境破壊を阻止するために、環境保護団体がケスラーシンドロームを引き起こし地球と宇宙の往来を遮断しようとする話がある。
  • TVドラマ『相棒』Season7 第10話『ノアの方舟〜聖夜の大停電は殺人招待状!』(2009年)
  • 映画『クレヨンしんちゃん オタケベ!カスカベ野生王国』(2009年)

脚注

  1. ^ ただし、この問題に関わる環境保護動物愛護動物福祉動物の権利(アニマルライツ)の区別はこういった問題に関心が薄い一般層には困難であり、その主張や団体の意義も混同され、実像が伝わっていない部分もある。動物愛護団体#動物愛護団体への偏見と誤解も参照
  2. ^ 南氷洋上のエコテロリズム
  3. ^ 2005年12月20日USA TODAY
  4. ^ シー・シェパード高速艇沈没、自作自演だった : 国際 : YOMIURI ONLINE(読売新聞) 2010年10月8日
  5. ^ シー・シェパードがロケット弾で日本船を攻撃 船員3人軽症 緊迫の映像も - 産経新聞 2010年2月12日
  6. ^ 気候変動防止のための国際条約である京都議定書を批准しないことを理由として、オーストラリアジョン・ハワード首相に向けて使われた事例などがある。
  7. ^ つまり、「我々の要求が受け入れられない場合には、何らかの手段を以て地域・人類・生物・自然にとって重大な悪影響を与える環境破壊・環境汚染を引き起こす者達を我々が抗議や実力行為を持ってこれを阻止する」と脅迫を行い、彼らの意に従わない場合には抗議の実力行使による破壊活動に繋がる(やられる側に取ってはテロ行為ともなる)行為を率先して行う事がある。

関連項目