アーソーポス
アーソーポス （古希: Ἀσωπός, Āsōpos） は、ギリシア神話の神である。長母音を省略してアソポスとも表記される。
アーソーポスはオーケアノスとテーテュースの子、ペーローとポセイドーンの子、あるいはゼウスとエウリュノメーの子で、シキュオーンのアーソーポス河、あるいはボイオーティアのアーソーポス河の河神である。河神ラードーンの娘メトーペーとの間にペラゴーン、イスメーノスと、20人の娘たちをもうけたといわれる[1]。
神話
シキュオーンのアーソーポス河は、ケールーサとポセイドーンの子アーソーポスが発見したため、アーソーポス河と呼ばれるようになった[2]。シキュオーンのアーソーポス河は小アジアのマイアンドロス河の水が海を渡って流れ出ているといわれ、マルシュアースの笛がマイアンドロスを流れてアーソーポスに達したという[3]。
ボイオーティアのアーソーポス河はボイオーティアの王アーソーポスの名前に由来するとされる[4]。
アーソーポスの娘で最も有名なのはアイギーナで、ゼウスはアイギーナを連れ去った。アーソーポスはアイギーナを探してコリントスにやって来て、アクロコリントに泉を湧き出させるのと引き換えにシーシュポスからアイギーナの居場所を聞き出した[5]。アーソーポスが追いかけていくとゼウスはアーソーポスに雷を投げつけて河に追い返した。このためアーソーポス河からは石炭が取れるといい、アイギーナはゼウスの子アイアコスを生んだという。[6]。
その他の娘のうち、アーソーピスは一説にイーアペトスの妻となった[7]。ロデーは一説にヘーリオスとの間に3人のヘーリアデスとパエトーンを生んだ[8]。またイスメーネーは一説に百目巨人アルゴスの母[9]、サラミースはキュクレウスの母となった[10]。ゼートスとアムピーオーンの母となったアンティオペーはアーソーポスの娘ともいわれる[11]。ゼートスの妻テーベーの父はボイオーティアのアーソーポスとも、シキュオーンのアーソーポスともいわれた[12]。ハルピンナは一説にエーリスのピーサの王オイノマオスの母といわれる[13]。
コルキュラはコルキュラ島の、クレオーネーはクレオーナイ市の、ネメアーはネメアー市の、プラタイアはボイオーティアのプラタイア市の、オーエロエーはオーエロエー河の、テスピアはテスピアイ市の由来となった[14]。
他にもシノーペー、コムベー、タナグラー、エウアドネー、エウボイア、ペイレーネーなどの娘がいたとされる。
系図
その他のアーソーポス
脚注
- ^ アポロドーロス、3巻12・6。
- ^ パウサニアス、2巻12・4。
- ^ パウサニアス、2巻5・3、7・9。
- ^ パウサニアス、9巻1・2。
- ^ パウサニアス、2巻5・1。
- ^ アポロドーロス、3巻12・6。
- ^ ヘーシオドス『仕事と日』古註、48。
- ^ 『オデュッセイア』古註、17巻、208。
- ^ ケルコープス（アポロドーロス引用、2巻1・3）。
- ^ アポロドーロス、3巻12・7。パウサニアス、1巻35・2。
- ^ ロドスのアポローニオス、1巻735。パウサニアス、2巻6・1。
- ^ パウサニアス、2巻5・2。
- ^ パウサニアス、5巻22・6。
- ^ パウサニアス、2巻5・2、15・1、15・3、9巻1・1、4・4、26・6。
- ^ パウサニアス、2巻12・4。
- ^ パウサニアス、9巻1・2。