82mm迫撃砲BM-37

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

これはこのページの過去の版です。Isebito (会話 | 投稿記録) による 2012年5月24日 (木) 00:59個人設定で未設定ならUTC)時点の版であり、現在の版とは大きく異なる場合があります。

82-мм батальонный миномета обр. 1937 г
82mm迫撃砲BM-37(写真の迫撃砲はポーランド製)
種類 迫撃砲
原開発国 ソ連
運用史
配備先 ソビエト連邦の旗 ソビエト連邦
ロシアの旗 ロシア
中華人民共和国の旗 中国
朝鮮民主主義人民共和国の旗 北朝鮮
 ベトナム
その他東側諸国
関連戦争・紛争 第二次世界大戦朝鮮戦争ベトナム戦争、その他多くの戦争・紛争
開発史
派生型 82mm迫撃砲BM-36
82mm迫撃砲BM-37
82mm迫撃砲BM-41
82mm迫撃砲BM-43
53式迫撃砲(中国製)
諸元
重量 56 kg
要員数 3

口径 82 mm
仰角 +45~+85
発射速度 25-30 発/分
有効射程 3,040 m
テンプレートを表示

82mm迫撃砲BM-37(ロシア語:82-мм батальонный миномета обр. 1937 г)とは、第二次世界大戦赤軍が使用していた迫撃砲である。

概要

フランス製のブラント81mm迫撃砲Mle27/31の改良型に当たるが、砲本体の形状はごく一般的なもので外見上特にこれと言って目立つ特徴は無い。最大の特徴は口径がオリジナルの81mmよりもやや大きめの82mmとなっていることである。このため外国軍の81mm迫撃砲ではソ連の82mm砲弾を捕獲しても流用できないが、ソ連の82mm迫撃砲は鹵獲した敵の81mm砲弾を発射可能である。

この特徴は、大祖国戦争序盤においてドイツの8cm GrW 34への82mm砲弾の流用を不可能とし、ドイツの戦力増強にならないようにすることができた[1]だけでなく、後の冷戦時代でもこれを供与された共産系反政府ゲリラ組織が親米・親西側政府軍から奪取した81mm迫撃砲弾を利用した弾薬調達を容易とし、ゲリラ戦遂行に対する大きな一助となった。

しかし大祖国戦争序盤の劣勢時にはかなりの数の「砲」そのものが接収され36型には8.2cm迫撃砲274/1(r)の名称が、37型には8.2cm迫撃砲274/2(r)の名称が、41型には8.2cm迫撃砲274/3(r)の名称がそれぞれ与えられドイツ軍によって使用されている。なおこれらの砲から81mm砲弾を発射した際の命中率は著しく低下した。

派生形

初期生産型の、82mm迫撃砲BM-36

ソ連の82mm迫撃砲は、時期によって4種類の生産型に分類される。

BM-36
初期型。支持架は逆Y字型二脚で、底盤の形状は、開発当時のストークブラン81mm迫撃砲で一般的な長方形である。
BM-37
最初の改良型で底盤の形状が円盤形に変更された他、砲口に砲弾の二重装填を防止する装置が取り付けられている。なお、同様の二重装填防止装置は120mm迫撃砲PM-43にも取り付けられている。
生産は戦後も続行されて東側陣営諸国に大量供与されたほか、中国や東欧などでライセンス生産もおこなわれている。
BM-41
支持架の形状を、逆Y字型よりも生産の容易な逆T字型に変更(折り畳み可能)。また、兵士1人での迅速な運搬を容易とするために、支持架に車輪を取り付けることも可能となっている。BM-43の生産開始に伴い生産は終了した。
BM-43
支持架の形状はBM-41と同様の逆T字型であるが、折り畳み機構を廃止し車輪を固定装備とするなど、構造を更に簡略化している。分解して運ぶ際に支持架の重量と容積増加が嫌われたのか、戦後に生産は終了している。

戦歴

開発時期を考えると、ノモンハン事件や冬戦争に投入された可能性もあるが、具体的な戦歴は不明。大祖国戦争においては赤軍の大隊迫撃砲として、より上位の120mm迫撃砲PM-38と共に広く使用された。第二次世界大戦以降も長期にわたって生産が続けられ、中国では53式82mm迫撃砲としてライセンス生産が行われるなど、東側陣営の標準迫撃砲となった。

冷戦時代には東側諸国の政府軍は勿論、南ベトナム民族解放戦線(ベトコン)などの共産系反政府ゲリラ組織にも多数が供与されている。1970年代後半からは軽量化などの改良が加えられた新型の82mm迫撃砲2B14en)への更新が進められたが、多くが予備兵器として保管されていると思われる。

注釈

  1. ^ これとは対照的なのが太平洋の戦闘で、アメリカ軍の81mm迫撃砲M1と日本軍の九七式曲射歩兵砲は同じフランス製ブラント81mm迫撃砲をライセンス生産したものだったため双方間にほぼ完全な弾薬の互換性があった。このため、双方ともに自前の弾薬が不足した際には、捕獲した敵の砲弾を流用して急場をしのぐことがあった。

外部リンク