計量テンソル

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索

計量テンソル(けいりょうテンソル、metric tensor)は、リーマン幾何学において、空間内の距離角度を定義する、階数(rank)が2のテンソルである。 多様体が与えられたとき、多様体の接空間で、滑らかに変化する非負の2次関数を選ぶことができる場合、その多様体をリーマン多様体と呼ぶ。そのため、計量テンソルは、リーマン計量(Riemannian metric)と呼ばれることもある。

ひとたび、ある座標系 xi が選ばれると、計量テンソルは行列形式で定義される。通常、Gとして表記され、各成分は、  g_{ij}^{} として表される。以下では、添え字の和に関してアインシュタインの縮約記法を用いる。


a から b までの曲線の長さは、t_{}^{} をパラメータとして、

L = \int_a^b \sqrt{ g_{ij}{dx^i\over dt}{dx^j\over dt}}dt \

として定義される。2つの接ベクトル(tangent vector)U=u^i{\partial\over \partial x_i} \ V=v^i{\partial\over \partial x_i} \ のなす角度\theta_{}^{} は、


\cos \theta = \frac{g_{ij}u^iv^j}
{\sqrt{ \left| g_{ij}u^iu^j \right| \left| g_{ij}v^iv^j \right|}}
 \

で与えられる。


[編集]

ユークリッド計量[編集]

2次元のユークリッド計量(平らな空間)は、

g = \begin{bmatrix} 1 & 0 \\ 0 & 1\end{bmatrix},  ds^2_{}=(dx^1)^2 + (dx^2)^2

で与えられ、曲線の長さは、良く知られた公式

L = \int_a^b \sqrt{ (dx^1)^2 + (dx^2)^2}   \

で与えられる。

座標系を替えたユークリッド計量の例をいくつか示す。

極座標(Polar coordinates)
(x^1, x^2)=(r, \theta) \
g = \begin{bmatrix} 1 & 0 \\ 0 & (x^1)^2\end{bmatrix},  ds^2_{}=(dr)^2 + r^2(d\theta)^2
円筒座標(Cylindrical coordinates)
(x^1, x^2, x^3)=(r, \theta, z) \  
g = \begin{bmatrix} 1 & 0 & 0\\ 0 & (x^1)^2 & 0 \\ 0 & 0 & 1\end{bmatrix},   ds^2_{}=(dr)^2 + r^2(d\theta)^2 + (dz)^2
球座標(Spherical coordinates)
(x^1, x^2, x^3)=(r, \theta, \phi) \
g = \begin{bmatrix} 1 & 0 & 0\\ 0 & (x^1)^2 & 0 \\ 0 & 0 & (x^1\sin x^2)^2\end{bmatrix} ,   ds^2_{}=(dr)^2 + r^2(d\theta)^2 + r^2\sin^2\theta (d\phi)^2
平らな ミンコフスキー空間(flat Minkowski space)
(x^0, x^1, x^2, x^3)=(t, x, y, z) \
g = \begin{bmatrix} -1 & 0 & 0 & 0\\ 0 & 1 & 0 & 0 \\ 0 & 0 & 1 & 0 \\ 0 & 0 & 0 & 1\end{bmatrix} ,  ds^2_{}=-(dt)^2 +(dx)^2 +(dy)^2+(dz)^2