福浜

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福浜
福浜
地図
福浜の位置(福岡市内)
福浜
福浜
福浜の位置(福岡県内)
福浜
福浜
福浜の位置(日本内)
福浜
福浜
北緯33度35分48.5秒 東経130度22分7.5秒 / 北緯33.596806度 東経130.368750度 / 33.596806; 130.368750
日本の旗 日本
都道府県 福岡県の旗 福岡県
市町村 福岡市
中央区
面積
 • 合計 39.86 ha
人口
(2022年12月末現在の人口)
 • 合計 4,507人
等時帯 UTC+9 (JST)
郵便番号
810-0066
市外局番 092

福浜(ふくはま)は、福岡県福岡市中央区町名。現行の行政地名は、福浜一丁目及び二丁目[1][2]。全町域が昭和40年代から昭和60年代にかけて数度にわたる海面の埋立によって造成された造成地であり、町域の大部分が住宅地、学校用地、漁業施設用地等としての土地利用がなされている。面積は39.86ヘクタール[3]。2022年12月末現在の人口は4,507人[4]郵便番号は810-0066[5]

地理[編集]

福岡市の中心とされる中央区天神の西北西約3キロメートル、中央区のほぼ北西端部に位置する。北端部は博多湾に面し、東で西公園及び伊崎と、南で唐人町と接する。西は菰川河口部(港湾区域)を隔てて地行浜と向き合い、北東は博多湾を隔てて荒津と向き合っている。地行浜とは地行浜橋(よかトピア通り)により繋がる。県営福浜団地や市営福浜住宅を中心として大半の地域が集合住宅の団地となっているが、一丁目の北側に一戸建ての住宅地もある。小学校、中学校、短期大学があり、学園都市としての一面もある。

全域が昭和40年代以降に西公園の西側を埋め立てて造られた埋立地であり[6]、海岸部には人工海浜(福浜海岸)が設けられている。

福浜海岸の北方の海上には鵜来島(うぐしま)[注釈 1]という小さな無人島があり、福浜海岸と一体的な眺望を形成している。

河川[編集]

福浜の西側に次の河川の河口[注釈 2]が横断している。

  • 菰川(上流は明治通り付近で暗渠になり排水路に繋がる。)

都市計画[編集]

都市計画に関しては、「福岡市都市計画マスタープラン」[11] において、福浜は、大規模な住宅団地などの中高層住宅や高層住宅で形成される住宅地で、良好な住環境の保全・形成、緑化の推進、大規模団地などの老朽化に対する適切な対応をまちづくりの視点とする「中高層住宅ゾーン」として位置づけられている。また、「西部広域拠点(西新藤崎シーサイドももち)」と位置付けられる地区とも近接している。用途地域は、よかトピア通りの道路境界線から概ね50メートルの地域及び黒門福浜線(福浜団地入口交差点から福浜小学校西交差点まで)の両側道路境界線から概ね30メートルの地域が第二種住居地域に、福岡高速道路の両側が第一種住居地域に、これら以外の地域は第一種中高層住居専用地域に指定されている[12]。また、福浜一丁目の一部において、建築協定の区域として「福浜1丁目1区8・9組」[注釈 3][13] が定められ、住宅地としての環境を高度に維持促進することについて協定が締結されており、通常の用途地域の規制に加えて、さらに建築物の高さ等に関する制限が加えられている。

港湾計画[編集]

海岸法に基づく海岸保全区域及び港湾隣接地域については、福浜海岸などで指定されており、建設等に関する規制がある[14]

語源[編集]

地名の「福浜」は、福岡城古来の名称「福崎」にちなむ[1]。また、「福崎」については、語源は膨らむ(ふくらむ)・崎(さき)。原義は平尾から延びてきた丘陵が赤坂付近でいったん括れ、再び膨らんで博多湾に突き出た地形[15]

歴史[編集]

埋立整備事業の背景と実施計画[編集]

福岡市の人口は、昭和20年代は年間3万人、昭和30年代は年間2万人程度の増加を示し、市街化区域内だけで住宅用地を供給することが困難であるため、海面を埋め立てて需要に応じなければならなくなった。このため、昭和40年代になって、豊浜団地が1968年(昭和43年)2月5日に竣功、城浜団地が1969年(昭和44年)2月13日に竣功と次々に埋め立てられ、次の福浜団地、香椎浜地区の埋立へつながっていった[16]

埋立工事 (昭和40年代)[編集]

昭和40年代の福浜地区における公有水面埋立については、博多港開発株式会社が1967年(昭和42年)3月30日に住宅用地の用途で埋立免許を受け、1969年(昭和44年)12月17日に「福浜団地」(310,471.07m2)の埋立工事が竣工した[16]

埋立工事 (昭和60年代)[編集]

昭和60年代の福浜地区における公有水面埋立については、博多港開発株式会社が1985年(昭和60年)12月5日に埋立免許を受け、1986年(昭和61年)11月8日にふ頭用地の用途で「福浜第1工区」(15,594.00m2)の、1987年(昭和62年)7月8日に高速道路用地(福岡都市高速道路環状線)、住宅用地及び緑地の用途で「福浜第2工区」(77,249.03m2)の、合計面積で92,843.03m2の埋立工事が竣工した[16]

町域の変遷[編集]

住居表示実施後 実施年月日 住居表示実施前(各大字の一部)
福浜一丁目及び福浜二丁目 1970年(昭和45年) 埋立地
埋立の変遷
1956年3月14日撮影の福浜地区(伊崎地先沖)の国土地理院航空写真
1956年3月14日撮影
1975年1月14日撮影の福浜地区の国土地理院航空写真
1975年1月14日撮影
1981年11月14日撮影の福浜地区の国土地理院航空写真
1981年11月14日撮影
1987年9月20日撮影の福浜地区の国土地理院航空写真
1987年9月20日撮影
2005年3月21日撮影の福浜地区の国土地理院航空写真
2005年3月21日撮影
2020年10月5日撮影の福浜地区の国土地理院航空写真
2020年10月5日撮影

人口[編集]

福浜一丁目及び二丁目を合わせた人口の推移を福岡市の住民基本台帳(公称町別)[4] に基づき示す(単位:人)。集計時点は各年9月末現在である。

交通[編集]

町内の主な公共交通機関としてはバスがある。

道路[編集]

福岡市が管理する市道の主要なものは次のとおりである。

  • よかトピア通り(町内を通過する部分の正式名称は港福浜線)
  • 港福浜線
  • 黒門福浜線

また、町内を福岡都市高速道路環状線が通っている(町内に出入口はない)。

鉄道[編集]

町内に鉄道は通っていない。福岡市地下鉄空港線唐人町駅が最寄駅である。

バス[編集]

バスについては、西日本鉄道が運営するバスが運行しており、次の停留所がある。

  • 福浜
  • 福浜二丁目
  • 伊崎
  • 中央市民プール

主な施設[編集]

福浜一丁目[編集]

公共・公益施設[編集]

教育施設等[編集]

住宅[編集]

住棟一覧
住棟名 面積(m2) 竣工年月日 階数
福浜1号棟 1,851.20 1971年(昭和46年)3月31 5
福浜2号棟 1,851.20 1971年(昭和46年)3月31 5
福浜3号棟 1,851.20 1971年(昭和46年)3月31 5
福浜4号棟 5,332.80 1971年(昭和46年)9月20 8
福浜5号棟 5,250.56 1973年(昭和48年)11月27 8
福浜6号棟 5,250.56 1973年(昭和48年)11月27 8
福浜7号棟 6,481.21 1972年(昭和47年)11月1 8
福浜8号棟 5,387.71 1972年(昭和47年)11月1 8
福浜9号棟 16,517.20 1977年(昭和52年)5月27 15
福浜10号棟 14,947.36 1978年(昭和53年)2月16 15
福浜11号棟 12,776.60 1977年(昭和52年)5月18 13
福浜12号棟 10,730.24 1976年(昭和51年)4月28 13
福浜13号棟 11,228.24 1976年(昭和51年)4月26 13
福浜14号棟 12,014.48 1976年(昭和51年)4月26 13
福浜15号棟 10,527.60 1976年(昭和51年)4月26 13

福浜二丁目[編集]

公共・公益施設[編集]

教育施設等[編集]

住宅[編集]

  • 西公園下住宅(福浜二丁目、1から10号棟まで)
  • 福浜団地(福浜二丁目、AからF棟まで)
  • 福浜二丁目団地(福浜二丁目4番、UR

その他[編集]

公立学校の通学区域[編集]

町内には次の学校がある[22][23][24]

町内全域がこれらの小中学校の校区である。

名所・旧跡[編集]

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 所在地は福岡市中央区伊崎浦167(住居表示未実施地区[7] のため地番)北緯33度36分22.4秒 東経130度22分0.4秒 / 北緯33.606222度 東経130.366778度 / 33.606222; 130.366778[8]博多湾内に浮かぶ無人島で、玄武岩の岩礁を南北に細長く砂浜が囲む。島名は、往時多数生息した鵜の営巣地であったことに因むと推測されている[1]。異説では、波蝕で穿(うが)たれ崩壊した島の地形とされる[9]
  2. ^ 百道浜、地行浜及び福浜は公有水面を埋立ててできた造成地であるため、本来の海岸線から先の河口部はすべて港湾区域である[10]
  3. ^ 33番5ほか37筆、6,609.43平方メートル
  4. ^ 所在地:福浜一丁目2番2号[17]
  5. ^ 伊崎船だまりは漁港漁場整備法に基づく指定を受けた漁港ではなく、港湾法第2条第5項第1号で定義される水域施設のひとつである「船だまり」に該当する。一角には福岡市漁業協同組合伊崎支所もある。
  6. ^ 所在地(地番):福浜一丁目32番1号北緯33度36分2.6秒 東経130度21分55.6秒 / 北緯33.600722度 東経130.365444度 / 33.600722; 130.365444、面積:6,489m2、管理者:福岡市港湾空港局港湾振興部港湾管理課[18]
  7. ^ 所在地:福浜一丁目17番、公園種別:都市緑地、面積:2,831m2、開園年度:1980[19]
  8. ^ 所在地:福浜一丁目19番、公園種別:街区公園、面積:1,741m2、開園年度:1991[19]
  9. ^ 所在地:福浜一丁目1番、公園種別:都市緑地、面積:855m2、開園年度:1976[19]
  10. ^ 所在地:福浜一丁目1番、公園種別:都市緑地、面積:787m2、開園年度:1976[19]
  11. ^ 所在地:福浜一丁目14番、公園種別:都市緑地、面積:761m2、開園年度:1976[19]
  12. ^ 所在地:福浜一丁目12番、公園種別:都市緑地、面積:412m2、開園年度:1976[19]
  13. ^ 所在地:福浜一丁目22番、公園種別:都市緑地、面積:815m2、開園年度:1980[19]
  14. ^ 所在地:福浜一丁目22番、公園種別:都市緑地、面積:1,021m2、開園年度:1981[19]
  15. ^ 所在地:福浜一丁目8番、公園種別:都市緑地、面積:580m2、開園年度:1991[19]
  16. ^ 所在地:福浜一丁目8番、公園種別:都市緑地、面積:706m2、開園年度:1991[19]
  17. ^ 所在地:福浜一丁目39番(地番)北緯33度36分2.6秒 東経130度22分7.2秒 / 北緯33.600722度 東経130.368667度 / 33.600722; 130.368667
  18. ^ 管理戸数:1,951、所在地:福浜一丁目1番及び5番並びに二丁目6番、竣工年度:昭和46年から52年まで
  19. ^ 所在地:福浜二丁目6番北緯33度35分49.3秒 東経130度21分58.6秒 / 北緯33.597028度 東経130.366278度 / 33.597028; 130.366278、公園種別:街区公園、面積:9,582m2、開園年度:1975[19]
  20. ^ 所在地:福浜二丁目、公園種別:都市緑地、面積:252m2、開園年度:1982[19]
  21. ^ 所在地:福浜二丁目、公園種別:都市緑地、面積:237m2、開園年度:1976[19]
  22. ^ 所在地:福浜二丁目、公園種別:都市緑地、面積:246m2、開園年度:1977[19]
  23. ^ 所在地:福浜二丁目、公園種別:都市緑地、面積:244m2、開園年度:1978[19]
  24. ^ 所在地:福浜二丁目、公園種別:都市緑地、面積:245m2、開園年度:1979[19]
  25. ^ 所在地:福浜二丁目、公園種別:都市緑地、面積:97m2、開園年度:1980[19]
  26. ^ 所在地:福浜二丁目4番1号、URの福浜二丁目団地内
  27. ^ 施設種別:スーパーマーケット
  28. ^ 業務内容:郵便窓口、貯金窓口、ATM、保険窓口
  29. ^ 所在地:福浜一丁目28番北緯33度36分0.51秒 東経130度21分52.85秒 / 北緯33.6001417度 東経130.3646806度 / 33.6001417; 130.3646806、伊崎船だまりの東側、運営:鳥飼八幡宮の兼務神社[25]、行事:毎年1月10日の十日恵比須祭り(玉せせり)、鳥飼八幡宮(本務神社)の法人番号:1290005000478[26]、外部リンク:鳥飼八幡宮. “伊崎の十日恵比寿神社の玉せせり”. 2011年11月14日閲覧。福岡市中央区総務部企画振興課. “十日恵比須祭り”. 2011年11月14日閲覧。、参考:元の神社は、昭和10年ころから昭和55年ころまで、伊崎7番6号北緯33度35分50.54秒 東経130度22分17.43秒 / 北緯33.5973722度 東経130.3715083度 / 33.5973722; 130.3715083にあったが、博多湾の埋立事業に伴い、伊崎漁港の代替施設である福浜船だまりの東隣に移転した。なお、もとの場所には防波堤記念碑が残っている。」[27]

出典[編集]

  1. ^ a b c 「角川日本地名大辞典」編集委員会 竹内理三『角川日本地名大辞典』 40 福岡県(初版)、角川書店、1988年3月8日、218、1177頁。ISBN 4-04-001400-6 
  2. ^ 福岡市. “福岡市区の設置等に関する条例”. 2022年8月9日閲覧。→別表第1
  3. ^ 福岡市統計調査課 (2020年10月1日). “2020年(令和2年)国勢調査の結果”. 福岡市. 2023年2月5日閲覧。
  4. ^ a b 福岡市統計調査課. “登録人口(公称町別)- 住民基本台帳(日本人)男女別人口及び世帯数”. 福岡市. 2022年11月24日閲覧。
  5. ^ 日本郵便株式会社. “郵便局”. 2023年1月23日閲覧。→「郵便番号を調べる」→キーワード検索等
  6. ^ 埋立・分譲事業 - 博多港開発株式会社
  7. ^ 「福岡市の住居表示実施地区と未実施地区の町名一覧」(各区別、令和4年7月19日現在)の3ページ福岡市市民局総務部区政推進課. “住居表示実施地区について知りたい。”. 2022年9月27日閲覧。→「住居表示実施地区・未実施地区町名一覧」(PDF)
  8. ^ 福岡市WEBまっぷ”. 2022年9月27日閲覧。→字図(地番現況図)情報→地図から探す(福浜海岸の北方約0.6キロメートル)
  9. ^ 池田善朗 (2013), 筑前の古地名・小字, 石風社, pp. 79, ISBN 978-4-88344-222-5 
  10. ^ 福岡市港湾空港局港湾計画部計画課. “博多港港湾計画”. 福岡市. 2022年8月15日閲覧。→令和2年4月軽易な変更→博多港港湾計画図[PDF形式]
  11. ^ 福岡市都市計画マスタープラン
  12. ^ 福岡市WEBまっぷ”. 2022年5月16日閲覧。
  13. ^ 福岡市開発・建築調整課. “福岡市内の全ての建築協定がダウンロードできます。”. 福岡市. 2022年5月21日閲覧。→「【区別】建築協定一覧」→「中央区」
  14. ^ 福岡市港湾空港局港湾計画部計画課及び港湾振興部港湾管理課. “海岸保全区域とは何か。”. 2022年9月27日閲覧。→「博多港港湾隣接地域・海岸保全区域平面図」(PDF)
  15. ^ 池田善朗 (2013), 筑前の古地名・小字, 石風社, pp. 78, ISBN 978-4-88344-222-5 
  16. ^ a b c 福岡市港湾局編『博多港史:開港百周年記念』福岡市港湾局、2000年、235、469~471頁。 JP番号:20221637
  17. ^ 福岡市. “福岡市公民館条例”. 2022年5月20日閲覧。
  18. ^ 福岡市財政局財産有効活用部財産活用課公有財産係. “固定資産台帳の公表”. 2022年11月24日閲覧。→固定資産台帳データ→固定資産台帳(令和2年度末時点、Excel形式ファイル)
  19. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q 公園等検索”. 公益財団法人福岡市緑のまりづくり協会. 2022年9月27日閲覧。→キーワード検索:「福浜緑地」
  20. ^ 福岡市. “福岡市営住宅条例”. 2022年9月12日閲覧。別表第1-3-中央区
  21. ^ 福岡市財政局財産有効活用部財産活用課公有財産係. “固定資産台帳の公表”. 2022年9月12日閲覧。→固定資産台帳データ→固定資産台帳(令和2年度末時点)
  22. ^ 福岡市教育委員会教育環境部通学区域課. “福岡市通学区域”. 2022年5月17日閲覧。
  23. ^ 福岡市. “福岡市立小学校設置条例”. 2022年5月17日閲覧。
  24. ^ 福岡市. “福岡市立中学校設置条例”. 2022年5月17日閲覧。
  25. ^ 鳥飼八幡宮. “鳥飼八幡宮”. 2011年11月14日閲覧。
  26. ^ 国税庁長官官房企画課法人番号管理室. “国税庁法人番号公表サイト”. 2022年11月14日閲覧。→検索
  27. ^ 福岡市中央区役所企画課. 伊崎恵比寿神社の跡 (説明板(現地設置)) (Report). 荒戸二丁目5番16号. {{cite report}}: |access-date=を指定する場合、|url=も指定してください。 (説明); |format=を指定する場合、|url=も指定してください。 (説明)福岡市中央区総務部企画振興課. “中央区歴史と文化の説明板”. 2022年11月14日閲覧。→「当仁校区説明板地図」(PDF)

関連項目[編集]