回転行列

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索

線型代数において、回転行列(かいてんぎょうれつ、英語: rotation matrix)とは、ユークリッド空間内における原点中心の回転変換の表現行列のことである。例えば、ユークリッド空間の次元が 2 ならば、原点中心の θ 回転(反時計回りを正とする)の回転行列は


\begin{bmatrix}
\cos \theta & -\sin \theta \\
\sin \theta & \cos \theta \\
\end{bmatrix}

である。

二次元や三次元では、回転行列は最も単純な表現方法で、幾何学物理学コンピュータグラフィックスの分野での計算に非常によく使われている。大半の応用で扱うのは2次元や3次元の回転だが、n次元でも回転行列を定義することができる。

回転行列は、常に実数を成分とする正方行列である。代数学的には、n次元空間での回転行列はn次の直交行列であり、その行列式は1である。

R^T =R^{-1} ,\det R=1

2次元の回転行列[編集]

2次元空間での回転行列は、全て以下の形で表すことができる。

R(\theta )=\begin{bmatrix}
\cos \theta &-\sin \theta \\
\sin \theta &\cos \theta \\
\end{bmatrix}

なぜならば、原点中心に θ 回転して点 (x, y) が (x ', y ') に写るとすると、図形的考察または三角関数加法定理より、x ', y ' は以下のように表されることが分かる。

x'=x\cos \theta -y\sin \theta
y'=x\sin \theta +y\cos \theta

このことを行列の積で表すと、


\begin{bmatrix} x' \\ y' \end{bmatrix} = \begin{bmatrix}
\cos \theta & -\sin \theta \\
\sin \theta & \cos \theta \\
\end{bmatrix}
\begin{bmatrix} x \\ y \end{bmatrix}

となるからである。

逆の回転は、回転角が −θ になるだけなので、


R(-\theta )=\begin{bmatrix}
\cos (-\theta) & -\sin (-\theta) \\
\sin (-\theta) & \cos (-\theta) \\
\end{bmatrix} = \begin{bmatrix}
\cos \theta & \sin \theta \\
-\sin \theta & \cos \theta \\
\end{bmatrix}

となる。

3次元の回転行列[編集]

各軸周りの回転[編集]

3次元空間でのx軸、y軸、z軸周りの回転を表す回転行列は、それぞれ次の通りである:


R_x (\theta )=\begin{bmatrix}
1 &0 &0 \\
0 &\cos \theta &-\sin \theta \\
0 &\sin \theta &\cos \theta \\
\end{bmatrix}

R_y (\theta )=\begin{bmatrix}
\cos \theta &0 &\sin \theta \\
0 & 1 & 0 \\
-\sin \theta &0 &\cos \theta \\
\end{bmatrix}

R_z (\theta )=\begin{bmatrix}
\cos \theta &-\sin \theta &0 \\
\sin \theta &\cos \theta &0 \\
0 &0 &1
\end{bmatrix}

ここで回転の方向は、R_xy軸をz軸に向ける方向、R_yz軸をx軸に向ける方向、R_zx軸をy軸に向ける方向である。

一般の回転[編集]

他の回転行列も、これら3つの各軸周りの回転行列 R_x,R_y,R_z の積によって得ることができる。 例えば、次の積

R_z (\gamma ) R_x (\beta ) R_y (\alpha )

は、yxz系で表したときのオイラー角α, β, γ であるような回転を表す。

回転行列と'軸-角度'表現との相互変換[編集]

3次元空間での任意の回転は、回転の中心となると回転の量を表す角度の組で表すことができる。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]