正則行列

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正則行列(せいそくぎょうれつ、regular matrix (こう呼ばれることは稀である))、非特異行列(ひとくいぎょうれつ、non-singular matrix)あるいは可逆行列(かぎゃくぎょうれつ、invertible matrix)とは行列の通常の積に関する逆元である逆行列ぎゃくぎょうれつ、inverse matrix)を持つ正方行列のことである。

ある体上の同じサイズの正則行列の全体は一般線型群 GL と呼ばれるを成し、その成分の代数的な関係式によって定められる部分群は線形代数群あるいは行列群と呼ばれる代数群の一種で、その表現論代数的整数論などに広い応用を持つ幾何学的対象である。

定義[編集]

n正方行列 A に対して、

AX = XA = I

In単位行列)となる n正方行列 X が存在するとき、An正則行列、あるいは単に正則であるという。またこのとき、XA逆行列と呼び、A-1 と書く。

有限次の行列であれば AX = I または XA = I のどちらかが成り立てば、X = A-1 である事が証明される。従って、計算上はどちらかの式を満たすものを求めれば十分である。

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A=
\begin{pmatrix}
1 & 2 \\
3 & 4 \\
\end{pmatrix}

に対して、


X = 
\begin{pmatrix}
-2 & 1 \\
3/2 & -1/2 \\
\end{pmatrix}

は、AX = XA = I を満たすので、A は正則行列で、XA の逆行列 A-1 である。一方、X に注目すれば、X は逆行列 A をもつので正則である。

ただし、例えば整数を成分とする 2 次正方行列の全体 Mat(2, Z) の中で考えているとき、A はこの範囲で可逆でない。X が Mat(2, Z) に属さないからである。

性質[編集]

  • 正方行列が正則である、すなわち逆行列を持つための必要十分条件は、その行列式が0でないこと det(A) ≠ 0 である。
  • 逆行列はただ1つだけ存在し、2つ以上存在することはない。
  • 正則な正方行列 A について行列式|A^{-1}|=\frac{1}{|A|}が成り立つ。
  • (A^{-1})^{-1}=A
  • (AB)^{-1}=B^{-1}A^{-1}
  • A を正則行列とすると、 Ax = 0 を満たすベクトル x は x = A-1 0 = 0 のひとつだけである。(逆に ゼロ以外のベクトル x が Ax=0 を満たすならば行列 A は正則ではない)
  • X冪零行列ならば (I-X) は正則で、逆行列は1+X+ \dots +X^mの形で得られる。
  • 正則行列の各列ベクトルは互いに一次独立である。同様に各行ベクトルは互いに一次独立である。一般に、ある体 K 上の n 次正則行列の総数は、K 上のある n 次元ベクトル空間 V における順序付けられた基底の総数に等しい。

計算法[編集]

逆行列の計算には、基本変形を使って順に掃き出していく方法(ガウスの消去法)がよく使われる。一方で、理論的には行列式を使ったクラメールの公式も重要である。しかしこの方法は実際に計算するのには向かない。

4分割行列の逆行列[編集]

A, B, C, D はそれぞれ n × n, n × m, m × n, m × m 行列であって、AD - CA-1B はともに正則行列とする。このとき、この4つの行列で構成される区分行列は正則であって、その逆行列は


\begin{pmatrix}
 A & B \\
 C & D
\end{pmatrix}^{-1}
=\begin{pmatrix}
 A^{-1} + A^{-1}B(D-CA^{-1}B)^{-1} CA^{-1} & -A^{-1}B(D-CA^{-1}B)^{-1} \\
 -(D-CA^{-1}B)^{-1}CA^{-1} & (D-CA^{-1}B)^{-1}
\end{pmatrix}

で与えられる。

関連項目[編集]