四体液説

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索

四体液説(よんたいえきせつ)は、古代ギリシアヒポクラテス人間身体の構成要素として四種類の体液を挙げ、この体液のバランスによって健康状態などが決まるとする説。

左から、黄胆汁質(短気)、黒胆汁質(陰鬱)、粘液質(鈍重)、多血質(楽天的)各々の表情

エンペドクレス四大元素説の影響を受けてヒポクラテスが著書『人間の自然性について』の中で人間は血液粘液黄胆汁黒胆汁からできていると述べており[1]、これが主流の分類である。しかし『疾病について』の中では血液、粘液、胆汁、また『疾患について』で病気はすべて胆汁と粘液の作用であるとしており定まっていない。どちらを採用するかは学派によって異なり、ヒポクラテスのコス派は血液、粘液、黄胆汁、黒胆汁の四体液説で、クニドス派は胆汁、粘液説であった[2]

後にガレノス(129年頃 - 199年)はこの四体液説を重要視しながら、古代の医学を築きあげた。

この説においては、体液は人間の気質にも影響を与えるという。血液が多い人は楽天的、粘液が多い人は鈍重、黒胆汁が多い人は憂鬱(メランコリーの語源は黒胆汁である[3])、黄胆汁が多い人は気むずかしい気質を持つとする。

アル・ラーズィーによって四体液説の誤りが証明され、現代医学ではこの説は継承されていない。

脚注 [編集]

  1. ^ 小川 (1963),p.102
  2. ^ 梶田 (2003),p.53
  3. ^ 梶田 (2003),p.53、黒胆汁は古代ギリシア語でmelas-chole、melasは「黒」、choleは「胆汁」である。

参考文献 [編集]

関連項目 [編集]