リップ・ヴァン・ウィンクル

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リップ・ヴァン・ウィンクル』(Rip van Winkle)は、19世紀アメリカの小説家ワシントン・アーヴィングによる短編小説。また、主人公の名前でもある。これはオランダからの移住者の伝説をもとにして、『スケッチ・ブック』(1820年発表)の中の一話として書き上げられたものである。

作者アーヴィングが晩年を過ごしたニューヨーク州のアーヴィントン(Irvington)には、このリップ・ヴァン・ウィンクルのブロンズ像が飾られている。

アーヴィントンにあるリップ・ヴァン・ウィンクル像

概要[編集]

いつもやかましい妻にガミガミどなられながらも、まわりのハドソン川キャッツキル山地の自然を愛する呑気者の木樵リップ・ヴァン・ウィンクルは、ある日、愛犬と共に猟へと出て行くが、深い森の奥の方に入り込んでしまった。すると、リップの名を呼ぶ声が聞こえてきた。リップの名を呼んでいたのは、見知らぬ年老いた男であった。その男についていくと、山の奥の広場のような場所にたどり着いた。そこでは、不思議な男たちが九柱戯(ボウリングの原型のような玉転がしの遊び)に興じていた。ウィンクルは彼らにまじって愉快に酒盛りするが、酔っ払ってぐっすり眠り込んでしまう。

ウィンクルが目覚めると、町の様子はすっかり変っており、親友はすべて年を取ってしまいアメリカは独立していた。そして妻は既に死去しており、恐妻から解放されたことを知る。彼が一眠りしているうちに世間では20年もの年が過ぎ去ってしまったのである……

リップ・ヴァン・ウィンクルは、アメリカにおいては伝説的な人物とされており、「時代遅れの人」の代名詞にもなっている。

この物語はまさに「アメリカ版浦島太郎」と言うべきもので、「主人公にとってはいくらも経っていないのに、世間ではいつの間にか長い時が過ぎ去っていた」という基本的な筋の類似性から、「西洋浦島」とも呼ばれている。

森鴎外によって翻訳された時は、『新世界の浦島』(『新浦島』)とつけられた。また、当時アメリカの雑誌に『浦島太郎』の英訳を発表した片岡政行は、題名を'Urashima : A Japanese Rip van Winkle'(浦島 日本のリップ・ヴァン・ウィンクル)と題している。


関連項目[編集]