ポリニヤ
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ポリニヤ(ロシア語: полынья、エストニア語: lahvandus、米国: polynya/英国: polynia)とは、氷に囲まれた開水面あるいは薄氷域のことである[1]。ロシア語のПолыньяからの借用語で、自然の氷穴を意味し、19世紀に極地の探検家が海の航行可能な部分を表現するために採用した[2]。
種類
[編集]ポリニヤは、沿岸ポリニヤ(coastal polynya)、外洋ポリニヤ(open-ocean polynya)の2種類に大別される。
沿岸ポリニヤ
[編集]沿岸ポリニヤは南極や北極の海岸付近で一年中見られ、滑降風のような局所的な沖風によって海氷が次々と沖へ運ばれることで生成されると考えられている[3][4]。
外洋ポリニヤ
[編集]外洋ポリニヤは氷帽の中で形成され、深く暖かい水の上昇流によって引き起こされると考えられている[5]。南極のウェッデル海で1973年9月に初めて発見されたWeddell Polynyaが代表的な例である[6]。
生態
[編集]カナダとグリーンランドの間にあるNorth Water Polynyaのように、ポリニヤの中には毎年同じ時期に同じ場所で季節的に発生するものがある。この規則性に生活戦略を適応させた動物がポリニヤに生息する。
冬には、南に移住しないセイウチのような海獣類、イッカクおよびシロイルカなどが生息する[要出典]。また、シロイルカの群れなどが氷に閉じ込められた場合でも、イルカが定期的に呼吸するためにつくる流れの影響でポリニヤが形成される場合がある[要出典]。また、それらの動物を餌として狙うホッキョクグマなどもポリニヤに集まる。ホッキョクグマは、ポリニヤの開放水域を65kmも泳ぐことができることが知られている[7]。
脚注
[編集]- ^ Stringer, W. J.; Groves, J. E. (1991-01-01). “Location and Areal Extent of Polynyas in the Bering and Chukchi Seas” (英語). ARCTIC 44 (5): 164-171. doi:10.14430/arctic1583. ISSN 1923-1245 .
- ^ Osborn, Sherard; Wells, Richard; Petermann, A. (1867). “On the Exploration of the North Polar Region”. Proceedings of the Royal Geographical Society of London 12 (2): 92-113. doi:10.2307/1799584. ISSN 1478-615X .
- ^ “Polynya | oceanography” (英語). Encyclopedia Britannica. 2021年4月21日閲覧。
- ^ 大島慶一郎「南極沿岸ポリニヤでの海氷生成と底層水形成 (巨大リザーバ : 南大洋・南極氷床)」『低温科学』第76巻、低温科学第76巻編集委員会、2018年、13-23頁、doi:10.14943/lowtemsci.76.13、ISSN 1880-7593、NAID 120006466488。
- ^ “Polynya | oceanography” (英語). Encyclopedia Britannica. 2021年4月21日閲覧。
- ^ Francis, Diana; Eayrs, Clare; Cuesta, Juan; Holland, David (2019-05-27). “Polar Cyclones at the Origin of the Reoccurrence of the Maud Rise Polynya in Austral Winter 2017” (英語). Journal of Geophysical Research: Atmospheres 124 (10): 5251-5267. doi:10.1029/2019JD030618. ISSN 2169-897X .
- ^ “Polar Bear Ursus maritimus - - GlobalTwitcher.com”. web.archive.org (2008年12月24日). 2021年4月21日閲覧。
関連項目
[編集]外部リンク
[編集]- 大島慶一郎「2015年度日本海洋学会賞受賞記念論文 : 海氷域の変動とその海洋循環に与える影響に関する研究」『海の研究』第27巻第2号、日本海洋学会、2018年、75-96頁、doi:10.5928/kaiyou.27.2_75、ISSN 0916-8362、NAID 130006549589。