プレッツェル

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プレッツェル - アメリカのスナックタイプのもの

プレッツェル(正しくはブレーツェルドイツ語 Brezel)は、独特な結び目の形に作られているドイツ発祥の焼き菓子のひとつ。

小麦粉イーストを原料とし、焼く前に数秒間水酸化ナトリウム水溶液(3-5%)につける。焼ける間に空気中の二酸化炭素と反応して炭酸ナトリウムと水に変化し、表面が特徴的な茶色になる。稀に炭酸水素ナトリウム水溶液にくぐらせることもある。ドイツ語圏ではアルカリ溶液を意味する Lauge を付け加えて、Laugenbrezel ラウゲン・ブレーツェルとも呼ばれる。焼き上げる前には岩塩の粒をまぶす。

概要[編集]

ドイツの伝統的なプレッツェル

プレッツェルには柔らかく焼き上げた大きい種類と、固く焼いた小さい種類がある。パンのように柔らかく焼き上げたプレッツェルは、焼きたてを食べ、長期の保存には向いていない。スナック菓子のように固く焼きしめた小さいプレッツェルは保存性がある。

柔らかく焼きあげたプレッツェルはドイツの伝統的なプレッツェルである。ドイツではプレッツェル売りが、パブなどビールを飲む場所を回ってビールを飲んでいる客に販売する伝統がある。また、オクトーバーフェストに代表されるビールがらみのイベントでは定番のつまみの一つとなっている[1]

まぶされた岩塩を食べる直前に手で落としてしまい、残った塩味を味わうのが一般的な食べ方である。

北米ではスナック菓子タイプのプレッツェルとパン・タイプのプレッツェルの両方が普及しており、どちらも同じPretzel(プレッツェル)の名称が使われている。スナック菓子タイプのものは、アメリカで作られた食べ物で、北米を中心に販売されている。但し、スナック菓子タイプの発祥地もドイツである。スーパーマーケットで袋入りで市販されている。北米の固いプレッツェルはビールを飲むときのおつまみとして食べる。スポーツ観戦時のスナックとして定番である。アメリカにおけるプレッツェル市場は1億8000万ドルを超える巨大な産業である。

歴史[編集]

語源はラテン語ブラーキテッルム brachitellum に由来し、その語根は bracchium 「」である。腕組をしたような形を示している。古高ドイツ語 brezitella を経て、現代の諸方言につながっている。

プレッツェルの起源ははっきりわかっていない。一般的な説では、プレッツェルはブレーツェル Brezel、あるいはブレーツェ Brezeと呼ばれている南ドイツバーデン地方)の焼き菓子が広まったものとしている。それ以外にもドイツとの国境に近いフランスアルザスの料理であるとする説もある。最初に作られたのは中世ヨーロッパ時代とする説もあれば、ローマ帝国時代だとする説、他にも古代ケルト人の菓子であったとする説もある。

プレッツェルの独特の形についてもいろいろな説がある。窃盗の罪を犯したパン職人が、一つのパンから太陽を一つの角度から3度見ることができれば牢獄に入らなくても良いと領主に言われ、生地をプレッツェルの形にねじり上げて焼き上げたという伝承がある。プレッツェルの形は祈りをささげている修道士をかたどったものだとする伝承がある。また別の伝承によるとこの3つの穴はキリスト教三位一体を象徴しているとする。プレッツェルはパン屋のシンボルとして、よく店の看板やマークに使用されることがある。かつてドイツでは3つの輪をつなげた看板がパン屋の看板として使われていたが、プレッツェルの形が看板として使われたのか、プレッツェルが看板の形に作られたのかはっきりしない。しかし、いずれの伝承も後付けされたものであるようで、答えはわからない。

逸話[編集]

ブッシュ大統領が2002年1月NFLのゲームをテレビにて観戦中に喉に詰まらせたとされるものもこの固いプレッツェルである(放送局によってはクラコットとも報道された)。この時、アメリカの風刺漫画家はこぞって「新手のテロか?」などと描き立て、新聞各紙に大量に掲載された。当時イラク派兵に関してアメリカと反目していたフランスの市民から、皮肉とエスプリを込めてブッシュにプレッツェルが贈られた。フランスではブッシュが食べたスナックタイプのプレッツェルが一般的では無いため、アメリカのプレッツェルを知らなかったフランス人はドイツの伝統的なプレッツェルを郵送したそうである。

ドイツ以外の国家での事情[編集]

棒状プレッツェル
北米

アメリカとカナダではスーパーなどで手軽に買えて日持ちのするスナックタイプのプレッツェルが一般的である。スナックタイプのプレッツェルは伝統的なプレッツェルの形状だけでなく、棒状のプレッツェル・スティックスも販売されている。但し、棒状のプレッツェル・スティックスの発祥地もドイツである。

ベーグルのような生地を用いて特に柔らかく焼かれたソフトプレッツェルは、アメリカでもパン屋などでしばしば販売されている。マスタードをつけて食べたり、一般的な塩味ではなく甘く味付けして売られたりする。

ポーランド

特に中世以来ポーランド王ヤン1世勅令にのっとった製法を守り古都クラクフの旧市街とその周辺の決められた地域でのみ製造が許可され、同地域内に出店する公認屋台だけで販売が許可されるソフトプレッツェルはベーグルのもとになった食べ物と推定されており、これは「オブヴァジャーネック(the Obważanek)」と呼ばれる。ヨーロッパ連合(EU)の法律によって、2010年10月30日よりこのプレッツェルだけがこの「オブヴァジャーネック」の名称の使用を許されている。この食べ物はプレッツェルとベーグルの両方に共通する特徴があり、英語ではポーランドのプレッツェルとして紹介されることもあればポーランドのベーグルとして紹介されることもある。

スイス

北部では柔らかいプレッツェルをサンドイッチに使うことがある。

ハンガリー

ペレツ perec と呼ばれる。これではスラヴ語で「胡椒」を意味する語と同じになってしまう。([1] クン地方伝統ペレツ

日本

日本ではグリコプリッツを代表とするスティックタイプのプレッツェルが製造されており、広く親しまれている。 またアメリカ製のハードタイプのプレッツェルも販売されており、輸入食料品店などで入手することができる。 無印良品などもスナックタイプ(ハードタイプを砕いて一口大にしたものに、チーズパウダーなどで味付けを施したもの)を販売している。

出典[編集]

  1. ^ “独オクトーバーフェスト、パン職人ストでピンチに”. AFPBBNews (フランス通信社). (2014年9月2日). http://www.afpbb.com/articles/-/3024632 2014年9月3日閲覧。 

関連項目[編集]