ストレート・エッジ

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ストレート・エッジ (Straight Edge、略称:SEもしくはSxE) は、ロック音楽などにおける思想・概念・ライフスタイルであり、ハードコア・パンクのサブジャンルである。

喫煙しない」「麻薬を使用しない」「アルコールを摂取しない」「快楽目的のみのセックスをしない」というのが基本的な理念。それまでのロックの価値観であった「セックス、ドラッグ、ロックンロール」という享楽的な生き方に対するアンチテーゼと捉えられている。さらに進んで「菜食主義」「カフェインを摂取しない」「医師から処方されたものも含め、いかなる薬物も使用しない」という者もいる。

概要[編集]

フガジイアン・マッケイワシントンD.C.に本拠を置くディスコード・レコード主催者)が最初に提唱したものであることから、ストレート・エッジ思想の発祥の地はワシントンD.C.とされ、ハードコア・パンク・シーンと密接な関係がある。なお、「ストレート・エッジ」という言葉自体は、かつてイアン・マッケイが在籍したバンドマイナー・スレットの曲のタイトルから生まれたものである。 しかし「セックス、ドラッグ、ロックンロール」を価値観として掲げている者が多い保守的・守旧的なパンクスからは、パンクの精神を伴わないとして度々批判を受けており、この思想を持つバンドに反感を持つパンクスも少なくない。

なお、日本ではパンクロッカーよりも秋田昌美灰野敬二などのノイズアーティストにストレート・エッジに近い価値観を標榜する者が多いが、彼らがパンク的な意味での「ストレート・エッジ」に意識的であるかは不明である。また日本のストレート・エッジ・ファンの一部には、禁欲主義を追い求めたあげく、右翼的・全体主義的な政治運動に参加するものまで出現してきている。

起源[編集]

イアン・マッケイが当時在籍していたバンド、ティーン・アイドルズ1980年にアメリカ西海岸ツアーを行った際、メンバー全員が未成年であったことを理由にクラブでの演奏を拒否されたことから、クラブオーナーとの妥協案として、店員が彼らにアルコール類を出さないようにバンドメンバーの手の甲に大きくバツ印(×)を書いたことに始まる。

ワシントンD.C.に戻るまで、イアン・マッケイは演奏する先々で、店に未成年が入るのを許可する方法として「未成年の手の甲にバツ印(×)を書く」というやり方を提案し、いくつかのクラブはその方法を取り入れたことから、手の甲のバツ印はアルコールとドラッグに反対するシンボルとなった。当時リリースされた、ティーン・アイドルズのEP『MINOR DISTURBANCE』には、手の甲にバツ印を書いた写真がジャケットとして使用されており、ここからハードコアシーンに於けるストレート・エッジ思想が始まる。

その後、マイナー・スレットにおいてイアン・マッケイが歌った『STRAIGHT EDGE』と、『OUT OF STEP』の歌詞「DON'T SMOKE, DON'T DRINK, DON'T FUCK」によって、「タバコ・ドラッグをしない、酒を飲まない、快楽のためにSEXをしない」という考え方がストレート・エッジ思想として定着することとなる。

マッケイは、自分の周囲で前述の3つによって破滅するものが多いことにうんざりし、『OUT OF STEP』の歌詞を書いたと述べている。しかし、マッケイにとってはあくまで自己節制の表明とOUT OF STEP LPのジャケットが示すように宗教や同調圧力への異議の表明であったにも拘わらず、フォロワーたちは教条的・宗教的に受け取ってしまい、酒を飲んでいる観客に暴行が加えられるなど、図らずもストレート・エッジの思想が新たな同調圧力を生む結果となってしまった。

標榜する人物・集団[編集]

ストレート・エッジのタトゥー
CMパンク(中央)が2010年に結成していたユニットストレート・エッジ・ソサエティ

ロックミュージシャン・バンドの他、音楽以外のアーティストやプロレスラーなどのアスリートにも標榜者が存在する。

関連項目[編集]