ショートケーキ

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日本式ショートケーキの典型例

ショートケーキ英語: shortcake)は、洋菓子ケーキの一種。ただしその形態は国によって異なる。

概要[編集]

ショートケーキ (short cake) は日本及び西欧にそれぞれあるケーキの種類であるが、日本人のイメージする「スポンジとクリームが層になって、イチゴなどがのせられた」ショートケーキは英語圏ではレイヤーケーキ(Layer cake、あるいはLayered cake)と呼ばれることが多い。

日本式のショートケーキ[編集]

日本では、スポンジケーキを土台にして、ホイップクリームをつなぎと外装に、そしてイチゴを味付けに使ったものを「ストロベリーショートケーキ」といい、一般にはこれを単に「ショートケーキ」ともいう。イチゴ以外の食材を使ったものは通常その食材の名を冠して、「バナナショートケーキ」「ピーチショートケーキ」などという。

発案者[編集]

日本ではこの種のケーキが最もポピュラーで、ケーキ屋やカフェでは外せない一品になっている。この「スポンジケーキ+ホイップクリーム+イチゴのケーキ」を大正時代に日本に紹介して広めたのは不二家だが、発案者が誰なのかは伝わっていない。 有力な説は、フランス菓子をアレンジした門倉国輝コロンバン創業者)またはその周辺説、アメリカのケーキをアレンジした不二家説など、諸説あり、またそれぞれに交流があったともされる。このようなアレンジが行われた背景には、フランス式やアメリカ式のショートケーキが日本人の持つ「洋菓子=高級」という感覚に合致するものではなかった、日本人はやわらかいものを好む、などの理由があると言われ、誰ともなしに(ただし不二家によれば不二家が最初に)スポンジケーキをビスケットの替わりに使うようになったのだという。この日本式ショートケーキの発案にまつわる事情は、吉田菊次郎ブールミッシュ創業者)の「西洋菓子彷徨始末」(朝文社、2006年)に客観的記述がある。

なお、不二家がショートケーキを販売したのは1922年からとされており、発案者が誰であれ、発案の時期はこれに近い年代となるが、日本にショートケーキが広まるのはそれから30年以上後、冷蔵設備が一般家庭に普及する1955年以降となる。

語源[編集]

「ショート」の語源については諸説ある。

  • アメリカの「ショートケーキ」と呼ばれるお菓子をヒントとして作られたとする説[1][2]ショートケーキ#アメリカ式のショートケーキ参照)
  • 「ショートタイム」の意味であるとする説
    • 短時間で作れるからとみる説[1][3]
    • 生クリームやイチゴを使用するため日持ちしないからという説[1]
  • 英語の「short」の「もろい」や「サクサクした」に由来しているとする説[1][3][4]
  • スポンジを作るのにショートニングを使っているからという説[1]

『料理食材大事典』(主婦の友社、1996年)によれば、「ショートケーキ」の「ショート」とは元来はクッキーに用いられていたサクサクした食感を表す語であるが[3]、現在ではスポンジ生地に生クリームや果物をあしらっただけで仕上げることができることから「ショート・タイム」の意にも解釈されているとしている[3]

日本式のショートケーキは、フランスあるいはアメリカ式のショートケーキを日本風にアレンジしたものであり、後述のようにその原義には小さいケーキ(カットケーキ)という意味は含まれていないが、一般に誤解している人も少なくない。

基本材料[編集]

直径18cm 丸型の場合
作成対象 材料名
スポンジケーキ本体 小麦粉(薄力粉) 100g
砂糖 90g
鶏卵 M3個
バター 10g
バニラエッセンス 少々
ブランデー
クリーム・飾りつけ 生クリーム 200cc
砂糖 15g
イチゴ 1パック

アメリカ式のショートケーキ[編集]

ビスケットを用いたアメリカ式ショートケーキの一例
パウンドケーキを用いたアメリカ式ショートケーキの一例。揚陸指揮艦ブルー・リッジの兵員向けに用意されているところ。

ケーキといえばヨーロッパというイメージが強いが、前述の不二家説では、日本式のショートケーキはアメリカ合衆国の庶民的な家庭菓子ショートケイク (shortcake) を日本風にアレンジしたものとされている。本節では、このアメリカ式ショートケイクを説明する。

アメリカ式のショートケーキは日本式に見られるスポンジケーキではなく、「ビスケット」と呼ばれるパンケーキの中間のようなものを土台にしている。これは小麦粉の生地にショートニングラードを加え、重曹ベーキングパウダーで膨らませた、外側はサクサクとして内側はふっくらとした食感のあるパン/ケーキであり、英国のプレーンのスコーンとよく似ているが、スコーンと較べて軽くあっさりしているのが特徴である。甘めに味付けしたビスケットを横半分に割って刻んで砂糖をふったイチゴを挟み、その上にさらにイチゴやホイップクリームをトッピングすることが多い。19世紀半ばにはクッキーパイ生地の中間のようなペイストリーを土台としていた[5]

なおアメリカでも、大都市や洗練された街のケーキ屋に限っては「スポンジケーキ+ホイップクリーム+イチゴのケーキ」のことをストロベリー・ショートケイクということがある。その由来には二説あり、アメリカでも誰かがビスケットのかわりにスポンジケーキを使ったところ好評でこれが定着したとするもの、日本式のショートケーキが逆輸入されてこれが外国文化の影響を受けやすい都市部に広まったとするもので、この両方とする説もある。

家庭でもビスケットの代わりにスライスしたパウンドケーキを用いることがあるが、日本のショートケーキとは全く形状が異なる。

フランス式のショートケーキ[編集]

フランスにおけるショートケーキは、スポンジはアーモンドペーストが入ったしっとりとしたもので、つなぎや外装にはクリーム、バタークリーム、クレーム・ムースリーヌなどが使われる。日本でも本格フランス菓子を標榜する店では、このフランス風ショートケーキをフレジエFraisierフランス語でイチゴの意)として出しているところが多い。中には主にイチゴをはさみ、ピンク色に染めて薄く伸ばしたマジパンで表面を覆うのが一般的である。 苺とバニラを使ったムース状のショートケーキをフレーズ・バニーユと呼ぶ。

ショートケーキの日[編集]

近年、日本の菓子業界の一部において、毎月22日を「ショートケーキの日」として宣伝していることがある。

2007年に仙台の洋菓子店「カウベル」が発案したものが広まったというのが通説で、一般的な7日を1列に配置しているカレンダーにおいては、22日の真上に15日が位置しており、日本において一般的なショートケーキのイメージである「イチゴ(=15の語呂合わせ)が上に乗っている」との連想からであるという。

脚注[編集]

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  1. ^ a b c d e 平川陽一編『今さら誰にも聞けない500の常識』廣済堂文庫 p.285 2003年
  2. ^ 平川陽一編『今さら誰にも聞けない500の常識』廣済堂文庫 p.285 2003年ではこの説を「正解」とみている
  3. ^ a b c d 『料理食材大事典』主婦の友社 p.401 1996年
  4. ^ 猫井登(2008年) p.13
  5. ^ Alice Ross, "July and Strawberry Shortcake" Journal of Antiques and Collectibles, July 2000

参考文献[編集]

  • 猫井登 『お菓子の由来物語』 幻冬舎ルネッサンス、2008年9月20日、12-13頁。ISBN 978-4-7790-0316-5

関連項目[編集]