クワーク

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クワーク(Quark)は、『スタートレック』シリーズ『ディープ・スペース・ナイン』に登場する異星人。フェレンギ人男性。アーミン・シマーマンが演じている。日本語吹き替えは稲葉実

概要[編集]

宇宙ステーションディープ・スペース・ナイン(DS9)でバーを経営するフェレンギ人で、弟のロムを雇用している。出身はフェレンギ母星のフェレンギナー。彼はフェレンギ人の例に漏れず金儲けに敏く、貪欲である。しかしその一方で、フェレンギ人にしては珍しく儲けよりも友情を優先させることもある。難民に儲け抜きで物資を売ったこともあり、これは暴利を貪るフェレンギ人にしては、恐ろしく親切なことである。

普段は、アルファ宇宙域の辺境にして特異ワームホールのすぐ近くに位置して、ガンマ宇宙域との接点にあるDS9のプロムナード(公共スペース)にあるバー「クワークの店」のカウンターで、オーナー兼バーテンとして客の応対に当たりつつ、うだつの上がらないロムにハッパをかけたり、宇宙艦隊士官らとジョークの応酬をしたり、オドーと悶着を起こしたりしている。

DS9の警備主任であるオドーは、ことある毎に何かと騒動を起こしたり、隙あらば物資を横流ししようとしたりするクワークを目の敵にする。クワークはオドーを過去に買収しようとした事もあったようだが、潔癖なオドーが自分の仕事に誇りを持って当たり、けして悪徳警官のように買収されない存在だと過去の経験に学んだらしく、少なくとも彼の前でだけは正直でいようとしているらしい。その関係は、やがて奇妙な友情にまで発展している。

価値観[編集]

密輸、粗悪品の売り付けや暴利等の詐欺など隙あれば犯罪を犯してでも利益を得ようと企むが、あくまで彼が犯そうとするのは商売上での犯罪だけであり、窃盗や殺人などはしない。武器の密輸の仲介を企てることもあるが、あくまで自衛としての武器売買に限られる。彼は特に殺人や戦争を嫌っており、武器商人になるフェレンギ人が多い中バーテンになったのもそういう経緯がある。ドミニオン戦争が激化すると、彼にも仲間を守る為に殺人をせざるを得ない場面に何度か遭遇することとなるが、彼は敵であるジェムハダーが自分の撃った銃で倒れた姿を見て、相当ショックを受けていた。

キング牧師の有名な演説をもじったクワークの台詞「私には夢が有る。それは、いつの日か平和が来て、全ての人々──人類、ジェムハダー、フェレンギ、カーデシア人──が手を携えて、私の店のゲームテーブルに一緒に座るという夢だ」は、フェレンギらしいオチを付けてはいるが、彼の根っからの平和主義的な考えを示すものと言える。

フェレンギ人の中でも一際高い商才を持つが、場末のバーのマスターに留まっている。本人は運が悪いからだと周りに漏らしているが、彼の根の人道主義的な性格、女性への節操のなさなどが原因だと思われる。そして何より話好きな性格でバーテンの仕事が好きで誇りを持っている点がバーを続けている最大の理由だろう。

家族[編集]

父親は既に他界しているようだが、母親イシュカは極めて健康、かつフェレンギ人にしては例外的に女性として商才に恵まれ、これまたフェレンギ人の習慣に反することだが、衣服を着ている。このことは、男尊女卑の風習根強いフェレンギ社会では「とんでもなく変態的なこと」とされていることから、彼の悩みの種であるらしい。その母はフェレンギ人社会全体の経営者(最高権力者)であるグランドネーガスと恋仲であり、そのフェレンギ人の中でもずば抜けた商才を発揮して、ネーガスとのパイプを繋いでいる。このため商才こそ全てのフェレンギ人であるクワークは、母親に頭が上がらない。

弟のロムはフェレンギ人では珍しい技術者肌の持ち主で、商売はヘタ。このためクワークはことある毎に彼を叱責したり鼓舞しようとするが、意見はすれ違うことも多い。兄貴風を吹かしてはいるものの、大事な弟だと見ていることには違いなく、立派なフェレンギ人として商売のコツを掴んで欲しいと思っているらしい様子も見て取れる。ただ、当人もやや商売の詰めが甘く、フェレンギ会計監査局 (FCA) のブラントが監査に来た際には戦々恐々としていたのだが。

劇中での役所[編集]

キャラクターの位置付けは、準レギュラーである。専らコミカルなやり取りが主体となる役所ではあるが、その一方で様々な人種が行き交う宇宙ステーションDS9では、同宙域に数少ないフェレンギ人ということもあり、地球人種を含む他人種とも、容姿や価値観の面で常に一定で等しい距離感をかもし出している。

彼のやや周囲に対してぶっきらぼうだがしつこい行動は、異質な異星人同士との相互関係において、バーという場を通して仲介するような立場にあり、どの人種とも付かず離れずの関係にある。客の相談に乗るのが好きなようだが、大抵はフェレンギ人の常識に照らし合わせたものなど的外れなものばかり。ただしたまに人の心のうちを見抜いたり、意味の無い助言が悩みを払拭するきっかけになったりするので意外に馬鹿に出来ない。

他の登場人物との関係[編集]

オドーとは、DS9がカーデシアからベイジョー政府に移管される以前からの付き合いで、惑星連邦がDS9に進駐する以前から度々悶着を起こしていたようだ。物資の横流しや密輸などを目論みながらも牽制し合うこともあるが、クワークが決定的な悪事に手を出さないため、中々逮捕にまで踏み切れないらしい。一方でクワークの倫理基準をも超えるような悪党を協力して逮捕したことがある。クワークも表面上は毛嫌いしているが、オドーが恋に悩んでいるときには叱咤したり密かに協力するなど、一言では言い切れない関係が築かれている。

キラ・ネリスともカーデシア占領時代からの付き合い。オドーと同様に、悪事を監視されている。クワークに対する態度はオドーよりは柔軟だが、クワークが何か問題を起こしたときはその限りではない。クワークはキラを怒らせることがほとんどだが、彼女が悩んでいるときや迷っているときにはそっと助言するようなこともある。

トリル人で共生体のジャッジア・ダックスとはトンゴと呼ばれるゲーム(賭けを含むゲームらしい)をよくやるが、専らジャッジアの一人がちに終わるらしい。後に共生生物ダックスの記憶を受け継いだエズリ・ダックスとも交友関係にある。どちらに対しても性的な魅力を感じているらしく、「耳掻きをおねだり」(フェレンギ人にとっては、性的なお付き合い申し込みに等しい)したことがある。

カーデシア人のエリム・ガラックは仕立て屋という表の顔と元(?)スパイという裏の顔を持つが、店が近いこともあってか、クワークとは「怪しいお友達」関係にあり、腹に一物持つ者同士で共にオドーに睨まれる仲である。

バーの常連客であるモーンはオドーらと同じくカーデシア占領時代からの付き合い。バーの中だけでの付き合いと思われるが、モーンに財産を託されるなど、一定の信頼があるようだ。

フェレンギ会計監査局 (FCA) のブラントとは犬猿の仲。従業員を甘やかし、客にツケ払いを許すクワークの存在は、典型的なフェレンギであるブラントには許し難いもの。初めにDS9を訪れたのは純粋な監査目的と思われるが、以降は策略を巡らして、ことあるごとにクワークを破滅に追い込もうとする。

いとこのゲイラが商売を始めるとき、金を貸した。成功したら船を買ってもらう約束だったが、ゲイラは意図的に故障させた船をよこすなど、互いにいい感情を持っていない。イシュカがドミニオンにとらわれたとき、救出隊の頭数をそろえるため、収監されていた惑星連邦の施設からクワークによって解放される(合法的に)。

バーで酔ったクリンゴンともみ合いになって偶然にも殺してしまったことが原因で、その家を存続させるため、妻であったグリルカと強制的に結婚させられる。しかしグリルカは女性に家督相続権がないクリンゴン社会では例外的に家長となることを認められ、クワークとは即時離婚した。後にドミニオン戦争で家が疲弊したグリルカはDS9を訪れ、クワークに家の経済的な立て直しを暗黙のうちに頼んだ。DS9滞在中に二人の中は親密になり、ついにクワークから結婚を申し込む。その後グリルカは登場しないので、正式に結婚したかどうかは不明。

惑星連邦の艦隊士官との関係は、概ね客と店主の枠を越えるものではないとはいえ、ベンジャミン・シスコは儲け話になりそうな騒動に鼻先を突っ込んでくるクワークに頭を抱えている。しかし、FCAによって全財産を没収されたときには、ステーション中の人々が家具や酒・グラスなどを持ち寄ってバーを復活させ、人望を得ていることがわかる。シスコ自身、「クワークにはクワークなりのルールがある」とウォーフを諭している。

医療士官のジュリアン・ベシアとは、ジャッジアやエズリを巡っての恋敵。

技術チーフのマイルズ・オブライエンは、後に技術士官となった弟ロムの上司にあたるため、クワークは彼を義兄弟のようにみなしている節が見られる。

ウォーフとは、オドーと違い全くそりが合わない。ウォーフはクワークを見下し、クワークがからかっても、ウォーフは無言で立ち去ってしまう。グリルカがDS9を再訪したときにウォーフは一目惚れするが、それに全く気づかないクワークにクリンゴン流の求愛法を教える羽目になりいらだちを募らせる。しかし、ジャッジアと付き合うようになってからは、彼女と仲のよいクワークには嫌でも接しなければならなくなった。ジャッジアの弔い合戦の際には志願したクワークを嫌々ながらも参加させている。

関連項目[編集]