アストンマーチン・ラゴンダ

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アストンマーチン・ラゴンダ
シリーズ2
Aston Martin Lagonda West London.jpg
販売期間 1974年 - 1990年
乗車定員 4人
ボディタイプ 4ドアセダン GT
エンジン V型8気筒 DOHC 5340 cc
変速機 3速AT
駆動方式 FR
全長 5,281mm
全幅 1,791mm
全高 1,302mm
ホイールベース 2,916mm
車両重量 2,023kg
先代 ラゴンダ・ラパイド
後継 アストンマーチン・ラピード
-自動車のスペック表-

ラゴンダLagonda )は、イギリスの高級スポーツカーメーカー・アストンマーチンが1974年から1990年まで製造していた大型高級4ドアセダンである。

概要[編集]

第二次世界大戦以前の『ラゴンダ』は、ル・マン24時間レース優勝経験もあり、ベントレーに匹敵する程の名門高級車メーカーであった。1948年、ラゴンダは、アストンマーチンと共に農業トラクターメーカー経営者のデイビッド・ブラウンの所有となった。その後、1961年にアストンマーチンの4ドア版としてアストンマーチン・ラゴンダ・ラパイドが登場しラゴンダの名が復活したが、生産期間はわずか4年であった。

そののち、約10年の時を経て再登場したのが、本項で説明するアストンマーチン・ラゴンダである。

シリーズ1(1974年 - 1975年)[編集]

シリーズ1のベースであるアストンマーチン・DBS

DBSをベースに、4ドアセダンに仕立て直されたモデルである。

1974年10月に発表された時には、約25年間君臨したデイビッド・ブラウンが経営危機のため会社を去っており、次にアストンマーチンを引き継いだカンパニーディヴェロップメンツは倒産直前であった[1]。そのような中、ラパイド以降は消滅していた最高級4ドアセダン(5人乗り)を再登場させた。DBSのホイールベースを約300mm延長、4ドアとして、そしてアストンマーチン製4ドアセダンの伝統に則って『ラゴンダ』と名付け生産を開始した。

デザイン
  • DBSがベースであるが、デザインは改良型のアストンマーチン・V8を基本にしており、外観も同様に全体がゆるやかな曲面で構成されている(詳細は下記外部リンク参照)。2ドアクーペであるV8の4ドア版という印象である。フロントフェンダーの2連ダクトを継承しており、リア周りも同様で主要部品の流用も多い。V8同様、真正面から見た顔つきや雰囲気がフォード・マスタングの遠い親戚のようにも見える。
機構
  • メカニズムはすべてアストンマーチン・V8からの流用である。キャブレター4個付きで5,340ccのV8DOHCは、最高出力・最大トルクともに未公表だが、4ドアセダン用として最大出力をやや下げトルク重視の仕様に変更されている。トランスミッションは、ZF製5速MTクライスラー製3速ATを選択できた。サスペンションは前輪がダブルウィッシュボーン/コイルで後輪がド・ディオン式のパラレルトレーリングアーム。タイヤは225VR15インチ。最高速度は240km/hに達し、当時は「世界最速の4ドアセダン」と称された。
  • シリーズ1は、1974年から1975年の間に7台のみが生産された。
  • 全長4,928mm、全幅1,829mm、全高1,323mm、ホイールベースは2,910mm。
  • 車両重量は2,000kg。

シリーズ2~シリーズ4(1976年 - 1990年)[編集]

シリーズ2・内装
シリーズ3
シリーズ3をベースにしたシューティングブレーク版(ルーツ社製)
シリーズ4

1976年10月の英国国際モーターショーでシリーズ2が発表された。これはデザインから構造まで一新された新開発のモデルであり、アストンマーチンは「スポーツカーメーカーが作る4ドアセダン」という市場に着目し登場させた。当時、この市場での競合車種はマセラティ・クアトロポルテデ・トマソ・ドーヴィルといった少数の高価格車のみだった。日本向けには約3900万円で販売され、後年になるにつれ上昇し最終的には4500万円ほどになった。

当時出資者が転々としアストンマーチンは幾度となく経営危機に陥っていたが、そうした状況のなか新設計のアストンマーチン・ラゴンダは発売された。なお会社は一時的ながら倒産の危機を免れたが1987年に倒産しフォードに救済されることになる。

デザイン
  • 過去の伝統をすべて排した、低く長く、未来的なデザインを持つ。フロントには、小さなフロントグリルとその横いっぱいに並べたランプ類、リトラクタブル・ヘッドライト(シリーズ2・3)。リアにはそれと対をなす、整然と並べられた薄型ランプ[2]。極端なロングノーズ・ショートキャビンであり、エッジの効いたボディラインはまるで折り紙のようでもある。異形であるが、最高級セダンとして極めて個性的であり、モダンな雰囲気を強く感じさせる。とにかく一目見たら忘れることが出来ないぐらいインパクトがあるデザインである。
  • 翻って内装は、最上級のコノリーレザーまたはベロア、ウッドパネルなどを採用した贅をつくしたもの。それらは基本的にイギリス製高級車の文法に則っているが、シリーズ2でのシートには同時期のアメリカ製高級車を思わせる豪奢なデザインを採用しており、外観の先鋭さと比べいささか異なった趣を持つ。
  • この車の内装での一番の特色はデジタルメーターを採用したことである。また車両管理にコンピュータを採用しており、これらはともに市販車として世界初である。これらメーターおよびコンピュータシステムには、車両本体自体の実に4倍に及ぶ開発費が掛けられている。
機構
  • アルミニウム・ボディである。
  • エンジンは相変わらずアストンマーチン・V8と共通である。最高出力289仏馬力/5,500rpm、最大トルク32.7kgm/3,000rpmを発揮し、最高速度は225km/hである。トランスミッションはクライスラー製3速ATのみ。
  • 全長5,281mm、全幅1,791mm、全高1,302mm、ホイールベースは2,916mm。
  • 車両重量は2,023kg。
  • 外部コーチビルダーによるいくつかの改装バージョンを持つ。後部座席の空間を伸ばしたロング・ホイールベース仕様、シューティングブレーク、2ドアクーペなど。
モデル変遷
  • シリーズ2のモデルライフ途中で以下の変更を実施した。
  • シリーズ4での主な変更点は以下の通り。
    • ホイールサイズを16インチに拡大。
    • デジタルメーターの表示パネルを更に変更。表示部分を大幅に拡大した。
    • デザインの大幅な変更を実施し、全体的に若返えらせた。
      • 角張っていたボディの角を丸め、ボリューム感を増した。
      • ボディサイドのキャラクターラインやクロームメッキのモールを廃止すると共に、フロントグリルをカラード化。ドアミラーのデザインを変更。
      • リトラクタブル・ヘッドライトを廃止し、角目6灯のヘッドライトを新規採用。フロントのウィンカーランプ設置場所をバンパー内に変更。
      • 薄い長方形型リアランプユニットを二段重ねから一段に変更すると共に、設置場所をトランクリッド側からボディ側に変更。
生産台数
  • 1976年~1990年の間に645台が生産された。
    • シリーズ2(1976年 - 1986年):465台、シリーズ3(1986年 - 1987年):75台、シリーズ4(1987年 - 1990年):105台[3]

脚注[編集]

  1. ^ 1974年末に倒産し、アメリカなど各国の出資者により新会社 “Aston Martin Lagonda (1975) Limited” となった。
  2. ^ シリーズ2・3のリアランプは、ランプユニット全体がトランクリッド開口部に一体化されており、夜間にトランクリッドを開けると灯火類が見えなくなってしまう構造である。そのためイギリス国内仕様車などにおいては、トランクリッド内側に補助のリアウィンカーテールランプが増設されている。これと同じ構造は、現在でもアウディ・A1などで見ることが出来る。
  3. ^ シリーズ4においては1週間あたり約1台という生産ペースだった。最終製造車のシャシーナンバーは13645。この車は1990年3月18日にイギリス国内仕様車としてラインオフし、同年6月14日に顧客に販売されている。この車両は2011年時点においてイギリスで現存している。

ラゴンダが登場した作品[編集]

書籍[編集]

  • 『自動車アーカイヴVol.3』-'60年代のイギリス車編-別冊CG-二玄社
  • 『自動車アーカイヴVol.7』-'70年代のイギリス車編-別冊CG-二玄社

漫画[編集]

外部リンク[編集]

関連項目[編集]


アストンマーチン・ラゴンダ ロードカータイムライン 1948-<- 戦前モデル  
タイプ '40 1950年代 1960年代 1970年代 1980年代 1990年代 2000年代 2010年代
8 9 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 0 1 2 3
グラントゥーリズモ DB1 DB2 DB2/4 DB MkIII DBS
/ヴァンテージ
DB7 i6 DB7
ヴァンテージ
V8ヴァンテージ
DB4
/DB4GT
DB5 DB6 V8 ヴィラージュ/V8 DB9
ヴィラージュ
V8ヴァンテージ V8ヴァンテージ V12ヴァンキッシュ DBS V12 ヴァンキッシュ
スーパーカー DB4GT
ザガート
V8
ザガート
DB7
ザガート
AR1 One-77
セダン 2.6-Litre 3-Litre ラパイド ラゴンダ ラピード
小型車 シグネット
オーナー David Brown Limited William Willson| Sprague & Minden Pace Petro
-leum & Gaunt
-lett
Gauntlett & Livanos Gauntlett, Livanos & Ford フォード Richards, Sinders, Dar, Adeem
レーシングカー: DP212DP214DP215B08-60
コンセプトカー: AMV8
人物: ライオネル・マーチン, ロバート・バンフォード(創業者)・デイビッド・ブラウン
公式WEBサイト: Aston Martin