「デロリアン・モーター・カンパニー」の版間の差分
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長い開発期間を経て[[1981年]]に登場した同社唯一のモデル『DMC-12』は、[[イタルデザイン]]の[[ジョルジェット・ジウジアーロ]]がデザインし、[[ロータス・カーズ|ロータス・カーズ]]がメカニカル設計を請け負った。 |
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[[フレーム形式 (自動車)#バックボーンフレーム|バックボーンフレーム]]上に[[繊維強化プラスチック|FRP]]ボディーを載せる構造はロータスが得意とした手法であるが、[[メンテナンス]]フリーをも狙って外部全体を無塗装[[ステンレス鋼|ステンレス]]で覆った。表面は加工時のサンドペーパーの傷をそのまま残したヘアラインとなっている。なお車高や[[最低地上高]]が高いのは、当時の法的基準における[[前照灯|ヘッドランプ]]の高さを満たすためと、[[北アメリカ|北米]]の道路事情を配慮した実用性確保のためである。 |
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*新車発売当時は、[[日産自動車|日産]]が[[自動車ディーラー|ディーラー]]になるとの話もあった。<ref>[https://web.archive.org/web/20100716172004/http://www.supercarnet.jp/File/File-Delorean/File-Delorean.htm SUPERCAR.NET内での紹介ページ(2010年7月16日時点でのアーカイブ)]</ref> |
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*日本の[[公道]]で走行するためDMC-12が[[車検]]を取得した場合、[[自動車検査証]]の車名表記は「デローリアン」となる。 |
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*全体として、モデルは前期型・中期型・後期型に分けられるとされている。前期型は[[ボンネット (自動車)|ボンネット]]脇に2本のプレスラインが入り[[給油]]口がある、中期型は給油口がなくなっており、ボンネットを開けて給油する事となる(尚、BTTFで用いられたもこのタイプ)、後期型は2本のプレスラインが消え、一番右下に「DeLorean」のエンブレムがある、という特徴がある。<!--但しボンネットは交換が容易なのでボンネットだけで正確に判断する事は難しいと言える(たとえば、後述のコンバートEVの場合中期型だが、事故の影響で後期型のボンネットを装着している)-->[http://www.jigowatt.org/dmc/car.html] |
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*かつて北海道[[函館市]]にあった、函館出身のロックバンド[[GLAY]]の記念館、Art Style of GLAYでは、鏡の部屋に半分だけのDMC-12が展示されてあり、観覧客が乗り込むことも可能だった。これは、メンバーの[[HISASHI]]お気に入りの映画が『バック・トゥ・ザ・フューチャー』であることと、自身の車好きのためだと推測される(彼は別冊カドカワのGLAY総力特集<ref>『別冊カドカワ 総力特集 GLAY』 角川書店<カドカワムック 213>、2005年1月 ISBN 4-04-894456-8</ref>での対談でもDMC-12について語っている)。 |
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*映画評論家の[[有村昆]]が所持し、メディアで度々取り上げられていたが、[[2015年]]に売却。 |
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*栃木県[[那須郡]][[那須町]]にある[http://www.ps-car.com/ 那須PSガレージ]にもノーマル状態とタイムマシン仕様の2台が展示されており、タイムマシン仕様のDMC-12としてはUSJ内に展示されているものよりも精巧である。 |
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*愛知県[[豊橋市]]に、[http://www.dmc.jp/ DMC Japan]があり、DMCからのライセンス供与を受け、修理や輸入代行を行っている。DMCevの輸入代行と国内適合も行なう予定である。 |
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*また、変わった[[エンジンスワップ]]が行われたケースもある。 |
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**現時点に於いて米国と日本で[[電気自動車]]に改造する事例が確認されており、日本に於いては、[[日本EVクラブ]]広島支部が[[広島国際学院大学自動車短期大学部]]内に場所を借り、DMC-12を電気自動車に改造するプロジェクトを実行。[[リチウムイオン二次電池|リチウムイオンバッテリー]]を搭載し、[[2009年]][[3月11日]]に車検を通して[[日本のナンバープレート|ナンバー]]を取得した。<ref>[http://delorean.tumblr.com 公式ブログ「デロリアンEV化計画」]</ref> |
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**また、電気自動車の他にも、[[ロータリーエンジン]]を搭載したケース等もある。 |
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**映画バックトゥーザフィーチャーの未来へのタイムスリップ記念に、DMC-12を[[衣服]]等から生成した[[バイオエタノール燃料]]で走行できるようにしたケースもある。映画のシーンにあるごみを直接投入することで稼働することはないが、リサイクル工場にて生成されたものを利用するものである。<ref>http://fukufuku-project.jp/GoDelorean/</ref> |
**映画バックトゥーザフィーチャーの未来へのタイムスリップ記念に、DMC-12を[[衣服]]等から生成した[[バイオエタノール燃料]]で走行できるようにしたケースもある。映画のシーンにあるごみを直接投入することで稼働することはないが、リサイクル工場にて生成されたものを利用するものである。<ref>http://fukufuku-project.jp/GoDelorean/</ref> |
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2016年4月29日 (金) 14:11時点における版
デロリアン(De Lorean )はアメリカ合衆国にかつて存在した自動車製造会社である。また同社で唯一製造された自動車『DMC-12』を指す通称としても用いられる。
DMC-12は、世界的にヒットした映画『バック・トゥ・ザ・フューチャーシリーズ』に登場するタイムマシンのベースカーとして広くその存在を知られている。
本記事では、企業としてのデロリアン社と自動車モデルのDMC-12の両方について解説する。
企業概要
1975年10月24日、当時ゼネラルモーターズの副社長であったジョン・ザッカリー・デロリアンが、理想の車を作るためにGMを辞職し独立して自ら設立したのがデロリアン・モーター・カンパニー(Delorean Motor Company Ltd. 、DMC)である。本社はミシガン州デトロイトに、製造工場はイギリス・北アイルランドのベルファスト郊外、アントリム州ダンマリー村にあった。1982年に解散(詳細は後述)。
DMC-12
デロリアン・DMC-12 | |
---|---|
DMC-12(トヨタ博物館所蔵) | |
ガルウイングドアを開放したDMC-12 | |
純金仕様のDMC-12(ネバダ州リノ市) | |
概要 | |
販売期間 | 1981年 - 1982年12月24日 |
デザイン | イタルデザイン・ジウジアーロ |
ボディ | |
ボディタイプ | 2ドアクーペ |
駆動方式 | RR |
パワートレイン | |
エンジン |
2,849cc PRV ZMJ-159型 ライトアロイ90度V6 SOHC 12バルブチェーン駆動 150 hp (EUR)/5,500rpm 130 hp (US)/5,500rpm |
変速機 | 5速MT/3速AT |
前 |
前:不等長ダブルウィッシュボーン 後:ダイアゴナルトレーリングラジアスアーム |
後 |
前:不等長ダブルウィッシュボーン 後:ダイアゴナルトレーリングラジアスアーム |
車両寸法 | |
ホイールベース | 2,408mm |
全長 | 4,267mm |
全幅 | 1,988mm |
全高 | 1,140mm |
車両重量 | 1,244kg |
長い開発期間を経て1981年に登場した同社唯一のモデル『DMC-12』は、イタルデザインのジョルジェット・ジウジアーロがデザインし、ロータス・カーズがメカニカル設計を請け負った。
バックボーンフレーム上にFRPボディーを載せる構造はロータスが得意とした手法であるが、メンテナンスフリーをも狙って外部全体を無塗装ステンレスで覆った。表面は加工時のサンドペーパーの傷をそのまま残したヘアラインとなっている。なお車高や最低地上高が高いのは、当時の法的基準におけるヘッドランプの高さを満たすためと、北米の道路事情を配慮した実用性確保のためである。
エンジンはプジョー・ルノー・ボルボが乗用車用に共同開発したPRV型、V型6気筒SOHC2,849ccをフランスで製造したもので、これを後部に搭載するリアエンジンレイアウト(RR)を採った。このパワートレインとレイアウトは、トランスミッションの歯車比やエンジンのチューニングは異なるものの、アルピーヌ・ルノーA310・V6とも共通する。このエンジンは当初90°バンクのV型8気筒として設計されていたが、1973年のオイルショックの影響で出力よりも経済性を重視せざるを得なくなり、そのままのバンク角で2気筒を切り落とした経緯を持つ実用型である。
前宣伝の効果も手伝って、多くのバックオーダーをかかえる中でのスタートとなり、初年度は約6,500台を販売するなど売り上げは好調であった。この時期はターボチャージャーの搭載や、4枚ガルウイングドアの4座仕様などの追加計画もあったが、発売価格が2万5,000ドル. 現在の価値で$83,785ドル.[1](これを当時の為替レートで計算すると約1600万円)と高額であったことや、大量のキャンセルなどから、翌年以降はたちまち売り上げ不振に陥った。
また北アイルランドへの工場誘致の条件として交付されていたイギリス政府からの補助金が停止された。後にエンロンの会計監査も行ったアーサー・アンダーセンが、デロリアン社の資金を社長ジョン・デロリアンが私的に流用するなどしたことを黙認していたことがマスメディアの調査などで明らかになっている。
さらに1982年10月19日に、社長のジョン・デロリアンがコカイン所持容疑で逮捕されるスキャンダルが発生したことにより(後に無罪)、会社は資金繰りが立ち行かなくなり、倒産に至った[2][3]。
DMC-12の短い生産期間中には風変わりなバージョンも製造された。1981年モデルの最後を締めくくったのが2台の純金パネル仕様車で(1台12万5,000ドル. 現在の価値で$418,924ドル.という)、1台は現在もネバダ州リノのNational Auto Museumに展示、もう1台はテキサス州のSnyder Bankに展示されていたが2004年頃に撤去された。なお、最後に製造された車も純金パネルであったが、これは宝くじのような富くじ方式で一般人の手に渡った。
最終生産車が作られたのは工場閉鎖後のことで、工場に残っていたパーツ等で1982年12月24日に作られた4台が一般向け生産の最後となった。最終的に8,583台が製造されたと見られているが、500台が調整用として確保されたため実質8,083台と思われる。
ジョン・デロリアンとDMC-12のその後
これら多くの逸話・スキャンダルを伴った希少性と、生産終了後の映画「バック・トゥ・ザ・フューチャーシリーズ」での活躍によって、DMC-12は1980年代を代表する著名なカルトカーとなり、21世紀初頭の現代でも多くの自動車マニアのコレクション対象となっている。倒産後のデロリアンの設備を取得したStephen Wynneは、現在もDMC-12のオーナーに修理用パーツを供給し続けており、1台丸ごと新車を組み立てることも可能である。
ジョン・デロリアンは、麻薬売買に関わった容疑で逮捕されたものの、のちに裁判の末、無罪となった。彼はその後も、再び新たな高性能車を創造するプランを抱いていたが、新モデルの開発、発売を果たすことなく、2005年3月19日に死去した[4]。
DMC-12の再生産計画
DMC-12の修理などを行っている Stephen Wynneは2007年8月、DMC-12を再生産することを明らかにした。
しかし、近年の衝突安全基準や排出ガス規制等に合わせて設計を変更することは困難であり、再生産車では車検に適応し一般道を走らせることはほぼ不可能なため、展示用や富裕層のコレクターズアイテム的な目的で出荷されている。
Wynneは、アメリカのテキサス州ヒューストン郊外に約3700m²の工場を建設し、そこで新DMC-12を再生産することを計画している。オリジナルのDMC-12には電装系や配線などにトラブルがあったが、新バージョンではそれらは改善される予定である。生産台数は、月20台とデロリアン社時代と比べて減るものの、ファンからの期待は高いようである[5]。
現在、全ての補給部品と現行品による新車もデロリアン・モーター・カンパニー に注文できる。また整備、中古車の売買の仲介等も行なっているようである。
2011年10月、Stephen WynneはベンチャーEVメーカー・Epic EV と協力し、DMC-12を2013年までにEV化して生産する計画を発表した。[6]。
DMCevのプロトタイプは、ヒンジで開閉するフロントのダミーグリルの奥に充電用プラグインソケットを持ち、フロントトランク内の左右と旧エンジンルーム前側にリチウムイオンバッテリーを搭載する。交流240V電源による3.5時間充電で、約100マイルの市街地走行が可能とされ、バッテリーの予想寿命は7年もしくは10万マイルとされている。ラゲッジスペースの両側約2/3がバッテリーに占領されているが、燃料タンクやスペアタイヤが無いため、中央部はある程度の長さと深さが確保されている。
電動機は1基で、水冷、直流400V、出力215kW(260hp)/5,000 - 6,000rpm、トルク488Nm(49.7kgf・m)/0 - 7,200rpm、最高回転数14,000rpmの仕様のものをリアオーバーハングの低い位置に搭載し後輪を駆動する。組み合わされる変速機はギア比2.65:1の1速永久固定、ファイナルドライブのギア比は3.12:1で、最高速度201km/h、0 - 60MPH加速は4.9秒と発表されている。
後述する既存のデロリアンをハンドメイドでEV化するものとは異なり、当初からEVとして販売される[7]。
展示されている博物館
その他
- 新車発売当時は、日産がディーラーになるとの話もあった。[8]
- 日本の公道で走行するためDMC-12が車検を取得した場合、自動車検査証の車名表記は「デローリアン」となる。
- 全体として、モデルは前期型・中期型・後期型に分けられるとされている。前期型はボンネット脇に2本のプレスラインが入り給油口がある、中期型は給油口がなくなっており、ボンネットを開けて給油する事となる(尚、BTTFで用いられたもこのタイプ)、後期型は2本のプレスラインが消え、一番右下に「DeLorean」のエンブレムがある、という特徴がある。[1]
- かつて北海道函館市にあった、函館出身のロックバンドGLAYの記念館、Art Style of GLAYでは、鏡の部屋に半分だけのDMC-12が展示されてあり、観覧客が乗り込むことも可能だった。これは、メンバーのHISASHIお気に入りの映画が『バック・トゥ・ザ・フューチャー』であることと、自身の車好きのためだと推測される(彼は別冊カドカワのGLAY総力特集[9]での対談でもDMC-12について語っている)。
- 映画評論家の有村昆が所持し、メディアで度々取り上げられていたが、2015年に売却。
- 栃木県那須郡那須町にある那須PSガレージにもノーマル状態とタイムマシン仕様の2台が展示されており、タイムマシン仕様のDMC-12としてはUSJ内に展示されているものよりも精巧である。
- 愛知県豊橋市に、DMC Japanがあり、DMCからのライセンス供与を受け、修理や輸入代行を行っている。DMCevの輸入代行と国内適合も行なう予定である。
- また、変わったエンジンスワップが行われたケースもある。
- 現時点に於いて米国と日本で電気自動車に改造する事例が確認されており、日本に於いては、日本EVクラブ広島支部が広島国際学院大学自動車短期大学部内に場所を借り、DMC-12を電気自動車に改造するプロジェクトを実行。リチウムイオンバッテリーを搭載し、2009年3月11日に車検を通してナンバーを取得した。[10]
- また、電気自動車の他にも、ロータリーエンジンを搭載したケース等もある。
- 映画バックトゥーザフィーチャーの未来へのタイムスリップ記念に、DMC-12を衣服等から生成したバイオエタノール燃料で走行できるようにしたケースもある。映画のシーンにあるごみを直接投入することで稼働することはないが、リサイクル工場にて生成されたものを利用するものである。[11]
脚注
- ^ “What is a dollar worth?”. The Federal Reserve Bank of Minneapolis. May 9, 2008閲覧。
- ^ デロリアンの歴史
- ^ 5分で分かるデロリアンの歴史
- ^ “デロリアン氏、80歳で死去”. Response. (株式会社イード). (2005年3月22日) 2016年4月12日閲覧。
- ^ “DeLorean To Re-Enter Limited Production in 2008”. Gadget Lab from Wired.com. 2014年7月10日閲覧。
- ^ “「バック・トゥ・ザ・フューチャー」でおなじみの「デロリアン」が電気自動車になって復活 - ねとらぼ]”. 2014年7月10日閲覧。 - なお、この記事によるとStephen Wynneは現在DMCの商標を取得しているとあり、プレスリリースもDMC名義で発表されている。
- ^ Delorean .com DMC ev
- ^ SUPERCAR.NET内での紹介ページ(2010年7月16日時点でのアーカイブ)
- ^ 『別冊カドカワ 総力特集 GLAY』 角川書店<カドカワムック 213>、2005年1月 ISBN 4-04-894456-8
- ^ 公式ブログ「デロリアンEV化計画」
- ^ http://fukufuku-project.jp/GoDelorean/