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*: 新しい検査として[[ペントラキシン]]-3が、疾患活動性の指標として有用である可能性が報告されている。<ref>Dagna L et al.Pentraxin-3 as a Marker of Disease Activity in Takayasu Arteritis.Ann Intern Med. 2011 Oct 4;155(7):425-33.</ref>
*: 新しい検査として[[ペントラキシン]]-3が、疾患活動性の指標として有用である可能性が報告されている。<ref>Dagna L et al.Pentraxin-3 as a Marker of Disease Activity in Takayasu Arteritis.Ann Intern Med. 2011 Oct 4;155(7):425-33.</ref>
*血管造影
*血管造影
*:[[カテーテル]]を動脈内に挿入し、造影剤を注入して検査を行う。大・中動脈の狭窄、閉塞、拡張、[[動脈瘤]]や石灰化見られることある。検査と同時に血管内治療を行うことができるメリットがある。
*:[[カテーテル]]を動脈内に挿入し、造影剤を注入して検査を行う。大・中動脈の狭窄、閉塞、拡張、[[動脈瘤]]の程度を評価できる、大動脈炎の診断そののには寄与しない。検査と同時に血管内治療を行うことができるメリットがある。
*[[コンピュータ断層撮影|CT]]、[[核磁気共鳴画像法|MRI]]
*[[コンピュータ断層撮影|CT]]、[[核磁気共鳴画像法|MRI]]
*:造影剤を用いた検査は本症の診断にきわめて重要であり、ダイナミック造影と呼ばれる手技を用いることで、動脈の狭窄程度なども評価できる。
*:動脈造影は本症の診断にきわめて重要ではあるものの、動脈造影にみられるような血管の狭窄がみられるようになってしまうともはや疾患は進行している事を示しており、そこから治療をおこなっても狭窄が治るわけではない。近年の画像診断技術の発達により、本症が血管の狭窄を来たす以前に炎症性の血管壁肥厚をきたすことが、CT、MRIで早期に検出できる様になってきた。
*CTアンジオグラフィー、MRアンジオグラフィー
*CTアンジオグラフィー、MRアンジオグラフィー
*:造影・非造影MRIや造影CTの情報を三次元的に再構成したMRA(MRアンジオグラフィ)およびCTA(CTアンジオグラフィ)で、血管造影より精度は劣るものの同様の効果を得ることが出来る。
*:近年の画像診断とコンピュータの融合は目覚しく、その最たるものがCT情報を三次元的に再構成した[[コンピュータ断層撮影#技術革新|3DCT]]である。これを用いて大動脈を三次元的に再構築する事により、動脈造影のメリットとCTのメリットの双方が得られ、本症の診断に当たって大変有用である。また従来よりMRA(MR angiography)も施行されている。MRIでは血管肥厚のみならず、[[浮腫]]性変化から[[炎症]]所見を得ることができる。
*[[PET-CT]]
*[[PET-CT]]
*:{{独自研究範囲|date=2014年1月|通常の[[ポジトロン断層法 |PET]]はあまり役立たないのではないか思われる。PET-CTでは炎症をこしている大血管壁動性の炎症所見をみることができると考えているが、まだ実際経験数少なくはっきしたことは言えない。}}
*:{{独自研究範囲|date=2015年1月|FDG(フルオロデオキシグルコース、陽電子放出フッ素で標識されたグルコース類似体)を用いた[[ポジトロン断層法 |PET]]では高集積部位して炎症部位見るとが出来るが、炎症が狭い範囲に限局している場合脈硬化性の炎症と鑑別困難である。PET-CTではFDGの高集積範囲を精細に評価できるため、炎症が動脈壁か周囲組織に波及している場合には大動脈炎診断容易であ、炎症範囲の評価にも有用である。}}


== 診断 ==
== 診断 ==

2015年1月9日 (金) 06:57時点における版

大動脈炎症候群のデータ
ICD-10 M314
統計 出典:
世界の患者数
日本の患者数 約5,000
(2005年6月3日)
○○学会
日本 日本リウマチ学会
日本脈管学会
日本炎症学会
世界
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高安動脈炎
概要
診療科 免疫学, リウマチ学
分類および外部参照情報
ICD-10 M31.4
ICD-9-CM 446.7
OMIM 207600
DiseasesDB 12879
MedlinePlus 001250
eMedicine med/2232 ped/1956 neuro/361 radio/51
MeSH D013625

大動脈炎症候群(だいどうみゃくえんしょうこうぐん、aortitis syndrome)は大動脈炎症が起こる自己免疫疾患で、血管炎のひとつ。発見者を病名につける欧米では高安動脈炎(たかやすどうみゃくえん、Takayasu's arteritis;TA)という名称が通常であり、発見者の母国である日本においてその名前をあまり用いないことは皮肉である。脈なし病(みゃくなしびょう、pulseless disease)ともいう。特定疾患に定められている。

疫学

日本に最も多く患者がおり、またインド中国などのアジア諸国にも患者が多い。一方、他の地域では比較して患者数が少ない。女性に多い疾患で、男女比は1:10である。発症年齢は20代が最も多く、次いで30代や40代が多い。

症状

合併症

検査

  • 血液検査
    赤沈亢進、CRP陽性、白血球増加、凝固能亢進、高ガンマグロブリン血症などが見られる。
    新しい検査としてペントラキシン-3が、疾患活動性の指標として有用である可能性が報告されている。[1]
  • 血管造影
    カテーテルを動脈内に挿入し、造影剤を注入して検査を行う。大・中動脈の狭窄、閉塞、拡張、動脈瘤の程度を評価できるが、大動脈炎の診断そのものには寄与しない。検査と同時に血管内治療を行うことができるメリットがある。
  • CTMRI
    造影剤を用いた検査は本症の診断にきわめて重要であり、ダイナミック造影と呼ばれる手技を用いることで、動脈の狭窄程度なども評価できる。
  • CTアンジオグラフィー、MRアンジオグラフィー
    造影・非造影MRIや造影CTの情報を三次元的に再構成したMRA(MRアンジオグラフィ)およびCTA(CTアンジオグラフィ)で、血管造影より精度は劣るものの同様の効果を得ることが出来る。
  • PET-CT
    FDG(フルオロデオキシグルコース、陽電子放出フッ素で標識されたグルコースの類似体)を用いたPETでは高集積部位として炎症部位を見ることが出来るが、炎症が狭い範囲に限局している場合には動脈硬化性の炎症と鑑別が困難である。PET-CTではFDGの高集積範囲を精細に評価できるため、炎症が動脈壁から周囲組織に波及している場合には大動脈炎の診断が容易であり、炎症範囲の評価にも有用である。[独自研究?]

診断

診断基準と重症度分類の詳細は[1](PDFファイル)を参照のこと。

診断基準

動脈造影で確定診断を行う。大動脈とその第一次分枝に閉塞性または拡張性病変が多発していれば当疾患を疑い、炎症反応があれば確定する。その他、自覚症状や検査所見が合致し、鑑別疾患が除外できるものも当疾患であるとする。

  • 鑑別疾患
動脈硬化症、炎症性腹部大動脈瘤、血管ベーチェット病梅毒性中膜炎、巨細胞性動脈炎、先天性血管異常、細菌性動脈瘤、全身性硬化症バージャー病

重症度分類

治療せず経過観察のみあるいはステロイドを除く治療を短期間加える程度の段階をI度とし、治療の難度や合併症によってV度までの5段階に分類する。

治療

炎症性活動病変があればステロイド剤を投与する。副作用のためステロイドの使用が困難な場合などは、やむを得ずシクロスポリンシクロフォスファミドメソトレキセートなどの免疫抑制剤を用いることもある。
その他、血管狭窄に対して抗血小板薬や血管拡張薬、高血圧に対して降圧薬の投与などの対症療法を行う。
現在はサイズの大きなステントの開発も進んでおり、狭窄の強い大血管への血管内治療も可能となりつつある。
内科的治療に反応せず、虚血による症状がひどい時には、外科的にバイパス術などの血行再建術を施行することもある。

予後

生命予後は良好で、5年生存率は約90%、10年生存率は約80%である。死因は弁膜症から誘発される心不全、高血圧、脳出血など。

診療科

アレルギー科、膠原病科、循環器内科など

歴史

1908年高安右人によって初めて報告される。

脚注

  1. ^ Dagna L et al.Pentraxin-3 as a Marker of Disease Activity in Takayasu Arteritis.Ann Intern Med. 2011 Oct 4;155(7):425-33.

関連項目

外部リンク