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ポルックス (恒星)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ポルックス
Pollux
仮符号・別名 ふたご座β星[1]
星座 ふたご座
見かけの等級 (mv) 1.15[2]
位置
元期:J2000.0[1]
赤経 (RA, α)  07h 45m 18.94987s[1]
赤緯 (Dec, δ) +28° 01′ 34.3160″[1]
赤方偏移 0.000011[1]
視線速度 (Rv) 3.23km/s[1]
固有運動 (μ) 赤経: -626.55 ミリ秒/年[1]
赤緯: -45.80 ミリ秒/年[1]
年周視差 (π) 96.54 ± 0.27ミリ秒[1]
(誤差0.3%)
距離 33.78 ± 0.09 光年[注 1]
(10.36 ± 0.03 パーセク[注 1]
絶対等級 (MV) 1.1[注 2]
β星の位置
物理的性質
半径 8.21 ±0.37 R[2]
質量 1.73 ±0.27 M[2]
表面重力 log g = 2.84 ±0.08 [2]
自転周期 38 日
スペクトル分類 K0IIIb[1]
光度 36.5 ±1.7 L[2]
表面温度 4935 ±49 K[2]
色指数 (B-V) +1.00[3]
色指数 (U-B) +0.85[3]
色指数 (R-I) +0.50[3]
金属量[Fe/H] 0.09 ±0.04 [2]
他のカタログでの名称
きんぼし[4][5],
ふたご座78番星[1],
BD +28 1463[1],
FK5 295[1],
HD 62509[1],
HIP 37826[1],
HR 2990[1],
SAO 79666[1],
LTT 12065[1],
NSV 3712[1]
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ポルックス[6](Pollux)は、ふたご座β星ふたご座で最も明るい恒星で全天21の1等星の1つ。冬のダイヤモンドを形成する恒星の1つでもある。

概要

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黄みの橙色をした巨星。α星のカストルとともに、ふたご座の兄弟の頭に見立てられている。バイエル符号は、ティコ・ブラーエ星表に基づいて視等級が明るいものからα、β、・・・と命名されているが、ふたご座の場合はカストルとポルックスの両方が1等級とされており、カストルがα星、ポルックスがβ星とされている。

太陽の8倍の半径・37倍の光度・2倍弱の質量を備える[2]。巨星の中では光度が小さく静穏で安定した天体として知られる[7]。平均的な巨星と比べると光度は5~6割程度しかない[7]。2002年から2010年にかけて行われた観測では変光は見つからず、有効温度は2ケルビンの範囲内で一定に保たれていた[7]。巨星に変化する前はA型主系列星だったと考えられている[2]。また磁束密度1ガウス以下の弱い磁場が存在する[8]

2002年4月小惑星パンドラによる星食の観測が期待されたが、天候不順のため観測されなかった。

名称

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学名はβ Geminorum (略称はβ Gem)。固有名のポルックス[9] (Pollux[10][11]) は、ギリシャ神話に登場する双子の弟ポリュデウケース (Πολυδεύκης) に因んで名付けられている[10]。父親はゼウス、母親はレーダーで、姉妹にトロイ戦争で有名なヘレネークリュタイムネーストラーがいる。2016年6月30日、国際天文学連合の恒星の固有名に関するワーキンググループは、Pollux をふたご座β星の固有名として正式に承認した[11]

岐阜県揖斐郡では、この二つの恒星の色から、ポルックスを「きんぼし」、カストルを「ぎんぼし」と呼んでいたという記録が残る[4][5]

惑星系

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2006年6月には木星の1.5倍程度の質量を持つ惑星が発見され、ポルックスb(別名HD 62509 b)と命名された。この惑星は2015年に国際天文学連合によって行われた太陽系外惑星の固有名の公募と投票によってThestiasと名付けられた[12]

ポルックスの惑星
名称
(恒星に近い順)
質量 軌道長半径
天文単位
公転周期
()
軌道離心率 軌道傾斜角 半径
b
(Thestias)
2.3 ± 0.45 MJ 1.64 ± 0.27 589.64 ± 0.81 0.02 ± 0.03

脚注

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注釈

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  1. ^ a b パーセクは1 ÷ 年周視差(秒)より計算、光年は1÷年周視差(秒)×3.2615638より計算
  2. ^ 視等級 + 5 + 5×log(年周視差(秒))より計算。小数第1位まで表記

出典

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  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s SIMBAD Astronomical Database”. Results for NAME POLLUX. 2013年1月15日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g h i Stello, D. et al. (2017). “Asteroseismic masses of retired planet-hosting A-stars using SONG”. MNRAS 472: 411. Bibcode2017MNRAS.472.4110S. 
  3. ^ a b c 輝星星表第5版
  4. ^ a b 野尻抱影『星座の話』(改)偕成社、1977年9月、238-239頁。ISBN 978-4037230104 
  5. ^ a b 野尻抱影『日本星名辞典』(七)東京堂出版、1986年4月10日、155頁。ISBN 978-4490100785 
  6. ^ おもな恒星の名前”. こよみ用語解説. 国立天文台. 2018年11月14日閲覧。
  7. ^ a b c Gray, D. F. (2014). “The stable K0 giant star β Gem”. ApJ 796: 88. Bibcode2014ApJ...796...88G. 
  8. ^ Auriere, M. et al.. “Discovery of a weak magnetic field in the photosphere of the single giant Pollux”. A&A 504: 231. Bibcode2009A&A...504..231A. 
  9. ^ 原恵『星座の神話 - 星座史と星名の意味』(新装改訂版第4刷)恒星社厚生閣、2007年2月28日、70頁。ISBN 978-4-7699-0825-8 
  10. ^ a b Paul Kunitzsch; Tim Smart (2006). A Dictionary of Modern star Names: A Short Guide to 254 Star Names and Their Derivations. Sky Pub. Corp.. p. 38. ISBN 978-1-931559-44-7 
  11. ^ a b IAU Catalog of Star Names”. 国際天文学連合. 2016年11月28日閲覧。
  12. ^ NameExoWorlds”. 国際天文学連合 (2015年12月15日). 2015年12月25日閲覧。

関連項目

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