Kh-31 (ミサイル)

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Kh-31
Russian missile -MAKS Airshow 2003
種類 中距離空対艦ミサイル
性能諸元
ミサイル直径 360 mm
ミサイル翼幅 914 mm
ミサイル重量 Kh-31A:610 kg
Kh-31P :600 kg
射程 Kh-31A:最低 7.5 km 最大 70 km
Kh-31P:最大 110 km
飛翔速度 Kh-31A/P: 2,160–2,520 km/h
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Kh-31(Х-31)は、ソビエト連邦で開発された空対艦対レーダーミサイルである。2022年ロシアのウクライナ侵攻で、ロシア連邦軍により空対地ミサイルとして実戦投入されている[1]

NATOコードネームAS-17 クリプトン(Krypton)。また、非公式にミニモスキートとも呼ばれているようである。

概要[編集]

Kh-31は1970年代末に開発が開始された航空機搭載型の大型ミサイルで、固体燃料ロケット統合型ラムジェットエンジンを使用する超音速ミサイルの一つである。これはまず固体燃料ロケットモーターによりマッハ1.8まで加速し、その後ラムジェットエンジンに切り替えて最大マッハ4.5まで加速、巡航すると言う推進方式であり、これによって敵防空システムによる迎撃を困難なものにしている。

尾部に初期加速用の固体ロケットモーターがあり、固体ロケットが燃え尽きた後、ロケットモーターの燃料室がそのままラムジェット燃焼室になる。さらに固体ロケットからラムジェットに移行する際胴体側面にある4つの棒状部分の先端が吹き飛び、ラムジェット用のエアインテークとなる機構を採用している。

Kh-31は1980年代末からロシア(ソ連)海軍において運用が開始されており、さらに中国海軍もKh-31を購入し、YJ-91/KR-1として独自に生産も開始している。

タイプ[編集]

地上展示されるKh-31P(向かって右側)

Kh-31には終末誘導にアクティブ・レーダー・ホーミング方式を用いる対艦ミサイル型のKh-31Aと、同じく終末誘導にパッシブレーダー方式を用いる対レーダーミサイル型のKh-31Pの大きく分けて2種類のタイプが存在する。

さらにKh-31A/Kh-31Pのそれぞれのタイプにおいて、初期型のMod1と胴体の延長および燃料搭載量の増加、およびそれに伴う射程延伸を図った後期型のMod2があり、多少ややこしい分類になっている。

Kh-31A/Kh-31Pでそれぞれ射程が大きく違うのは、攻撃目標に対する飛翔経路の選択がそれぞれ異なることが影響していると考えられる。

また、現在Kh-31Pは地上および海上のレーダーを攻撃するように設計されているが、早期警戒管制機(AWACS)などの空中目標を攻撃するための改良型も開発中である。

派生型[編集]

Kh-31A
基本型。アクティブ・レーダー・ホーミング誘導の対艦ミサイル型。
Kh-31AM
Kh-31Aのシーカーを発展型に換装した能力向上型。開発中。
Kh-31P
基本型。パッシブ・レーダー・ホーミング誘導の対レーダーミサイル型。
Kh-31PM
Kh-31Pのシーカーを発展型に換装した能力向上型。開発中。
YJ-91/KR-1
Kh-31の中国版。対レーダー用がメインらしく、輸入とは別に独自に生産もしている。
MA-31
Kh-31をベースにアメリカ合衆国で開発された標的機。

仕様[編集]

Kh-31A[編集]

Kh-31P[編集]

搭載機種[編集]

参考文献[編集]

  • 青木謙知『軍用機ウエポン・ハンドブック 航空機搭載型ミサイル・爆弾450種解説』2005年 ISBN 4-87149-749-6
  • 石川潤一「日本周辺のマルチロール戦闘機脅威」『軍事研究2006年10月号別冊 空自F-Xとスーパーマルチ戦闘機』所収

脚注[編集]

  1. ^ 露「多様なミサイル」ウクライナ分析 兵器不足背景か読売新聞』夕刊2023年3月10日4面(2023年3月19日閲覧)

関連項目[編集]

外部リンク[編集]